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GHG算定ツールとは?導入のメリットやデメリット、選び方を解説
目次
カーボンニュートラル実現を目指し、世界中でさまざまな取り組みが行われています。GHG(温室効果ガス)排出量削減のために、GHG算定ツールの導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。
この記事では、炭素排出量削減の計画や実務に携わる人に向け、GHG算定ツールの概要と導入するメリット・デメリット、選び方などについて解説します。
GHG算定ツールとは
GHG算定ツールとは、CO2(二酸化炭素)などのGHG排出量を算定・管理できるツールです。「CO2排出量管理システム」とも呼ばれています。GHGは温室効果ガスのことであり、地球の温度上昇を促す性質を持つ気体の総称です。
地球温暖化の要因とされ、世界各国でGHG削減に向けた積極的な取り組みが課題となっています。GHG算定ツールは、事業活動で排出されるCO2排出量の自動計算と、数値の一元管理が可能です。CO2排出量を可視化することで、具体的な削減施策の策定・検討に役立ちます。
GHG排出量の見える化が重要視されている理由
近年、GHG排出量増加による地球温暖化が問題視されています。気温上昇は、自然災害の増加や生態系への影響、海面上昇などに影響することから、日本でも2020年に「2050年カーボンニュートラル宣言」が出されました。
政府は、「2050年までにGHG排出を全体としてゼロにする」という目標を掲げ、企業においてもカーボンニュートラル実現に向け、GHG排出量を削減するための取り組みが求められています。取り組みを推進するためには、GHG算定ツールが必要です。GHG排出量を見える化し、情報開示することで、企業イメージの向上にもつながります。
GHG算定ツールを導入するメリット
GHG算定ツールの導入には、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下では、3つのメリットについて解説します。
GHG排出量を効率よく把握できる
GHG算定ツールを導入することで、手間をかけずに効率よくGHG排出量を算定できます。数値が自動で算定されるため、エクセルへの入力作業は必要ありません。
リアルタイムに算定できるものや、データをそのまま報告書として活用できるものなどツールによって機能は異なり、業務効率化につながります。また、企業がサプライチェーン全体のGHG排出量を把握することで、優先的な削減対象の特定にも役立つでしょう。
GHG排出量削減に向けた施策が実行しやすくなる
算定されたデータをもとに、ツール上で具体的な施策や目標の設定が可能です。データを分析することで、改善すべき部分や効果的なアクションを明確にし、GHG排出量削減に向けた施策を打ち出せます。
進捗管理も行えるため、施策が実行しやすくなるといえるでしょう。ツールによって機能やサービスは異なりますが、GHG排出量削減に向けた最適なサービスを提案してくれる機能や、コンサルティングなどのサポートを提供しているものもあります。
脱炭素経営の推進を全社的に実現できる
GHG算定ツールの導入は、従業員にも自社の現状や取り組み目標などを共有できることから、組織全体で脱炭素経営に対する意識の醸造・推進に役立ちます。GHG排出量の可視化によって気づきを得られれば、自発的な取り組みにもつなげやすくなるでしょう。
また、脱炭素経営を顧客や取引先などにもPRすることで、外部のステークホルダーを巻き込んだ活動も可能になります。こうした環境問題への取り組みは、企業のイメージや社会的信用の向上も期待できます。
GHG算定ツールを導入するデメリット
反対に、GHG算定ツールのデメリットとしては、導入コストやランニングコストの発生です。GHG算定ツールには、機能の拡張や自社向けにカスタマイズできるものがあります。多くの場合、本体価格にオプション料金が上乗せとなるため、導入コストが高くなる可能性が考えられるでしょう。
また、ツールの運用には、月額料金やメンテナンス費用、更新費用などが必要です。ランニングコストがかかる点も考慮してツールの選定を行わなければなりません。
GHG排出量の算定はエクセルでも可能?
GHG排出量の算定はエクセルでも可能です。使い慣れたツールを使用でき、費用がかからないといったメリットがあります。環境省からも、「二酸化炭素削減効果算出様式.xlsx」やその使用法が公表されており、データを入力するだけでGHG排出量の算定が可能です。
しかし、エクセルの場合はデータの手入力が必要であり、ツールに比べて手間がかかる点がデメリットといえます。人が作業するためミスの発生も、懸念されるでしょう。効率化を図るなら、ツールの積極的な活用がおすすめです。
GHG算定ツールの選び方
ここでは、GHG算定ツールの選び方について、6つのポイントを解説します。
機能
求める機能によって選択肢は変わるため、まずは、自社にとって必要な機能を明確にし、ツール搭載の有無をチェックしましょう。例えば、次のような機能が挙げられます。
・自動計算機能
・レポート作成機能
・分析機能
・カーボンオフセット機能
・インポート・エクスポート機能
・ビジュアル化機能
レポート作成機能については、対応するフォーマットを確認することも大切です。機能の有無や拡張性によって料金も変動するため、優先順位をつけて選ぶとよいでしょう。
Scopeの対応範囲
次に、Scopeの対応範囲をチェックしましょう。Scopeとは、GHGの排出量を測定する範囲のことです。3つのカテゴリーがあり、ツールによって対応できる範囲が異なります。
・Scope1:製品の製造などを通して、自社が直接排出するGHG
・Scope2:供給された電気・熱などの使用により、間接的に排出されるGHG
・Scope3:原材料仕入れや販売後に排出されるGHG
事業によって注目するGHGの範囲は異なるため、自社に合わせたScopeを理解することが重要です。
操作性
ツールの操作性もチェックしておきたいポイントです。操作性が悪いと従業員の負担が増え、効率が低下する恐れがあります。操作を覚えやすく、誰もが使いやすいツールなら、従業員もストレスなく利用できるでしょう。
さらに、難解な専門用語がないか、マニュアルやサポートは充実度も確認しておきたい点です。データ入力からレポート作成までをスムーズに行えれば、業務効率化を実現できます。
コスト
前述したように、GHG算定ツールは導入コストに加え、ランニングコストも発生します。導入や運用にかかるコストを確認したうえで、自社の予算と照らし合わせながら、効果的に使用できるツールを選びましょう。
対応範囲や機能性が高くなるほど料金も高くなる傾向にあるため、毎月の費用が負担になる場合もあります。しかし、必要な機能が搭載されていることは重要なため、安さだけにフォーカスしないことも大切です。
セキュリティ
GHG算定ツールは機密情報を扱うため、セキュリティ対策の有無も重要なポイントです。データ漏洩や乱用防止に向けたデータの暗号化、不正アクセスを防ぐサイバーセキュリティ対策などが整備されているかどうかを確認しましょう。
例えば、第三者認証機関による情報セキュリティ認証の取得は、ツール選択時の判断材料になります。そのほかデータバックアップの体制や、システム障害・トラブル時の対応なども確認しておくと安心です。
サポート体制
サポート体制の充実度もツール選定時には大切です。GHG算定ツールの導入・運用時には、不明点や不具合が出る可能性も考えられます。問い合わせ窓口の有無や連絡手段、対応時間帯などを確認しておきましょう。
チャットボットや24時間受け付けのサポート窓口などがあれば、トラブル時にもすぐに対応できて安心です。また、ツール以外のサポートを提供しているサービスもあります。運用代行や開示支援、コンサルティングなど多岐にわたるため、上手に活用するとよいでしょう。
GHG算定ツールを導入する際の注意点
ここでは、GHG算定ツールを導入時に注意したい、2つのポイントについて解説します。
導入目的を明確化する
GHG算定ツールを導入する際には、目的を明確にしておくことが大切です。例えば「算定の効率化を実現したい」ならば、データの自動収集やビジュアル化機能、分析機能などが搭載されたツールがよいでしょう。
「カーボンオフセットまで対応したい」場合は、クレジットと呼ばれる排出権の選定・導入支援や、再生可能エネルギーの調達を提案してくれるツールがおすすめです。自社にマッチしたツールを選ぶためにも、実現したいことや課題を明確化しておきましょう。
導入事例も確認しておく
初めてGHG算定ツールを導入する場合、活用のイメージがつきづらいかもしれません。導入を検討しているツールに関しては、他社事例を確認しておくと選定ミスを防げるでしょう。業種や企業規模、課題ごとに絞り込める場合もあり、自社の業種や課題に近い事例を確認することが可能です。活用イメージやヒントを得る際に役立ちます。
CO2排出量を簡単に算定するなら「ゼロ炭素ポート」
ゼロ炭素ポートは、東京ガス株式会社が運営する、脱炭素・カーボンニュートラルについての情報発信やソリューションの紹介、相談を行うサイトです。キーワードから脱炭素に関するトピックスを検索でき、補助金情報の検索依頼も可能です。
また、「CO2排出量計算ツール」を提供しており、CO2排出量の概算を算出できます。Scope 1およびScope 2のCO2排出量を無料で簡単に計算できるため、まずは現状把握に活用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
GHG算定ツールは、CO2をはじめとしたGHG排出量の算定と管理を行うツールです。自動計算や分析、レポート作成などの機能により、効率的にGHG排出量を把握でき、脱炭素経営の推進を図れます。もし、脱炭素やカーボンニュートラルについての情報を得たい場合は、情報サイトを利用してみてはいかがでしょうか。
ゼロ炭素ポートは、脱炭素・カーボンニュートラルに関する情報発信を行うサイトです。問題解決へのヒントやビジネスチャンスへの活用、さらには相談の場になることを目指しています。自社のみならず他社ソリューションとも協力し、脱炭素に取り組む人のニーズにお応えします。
執筆者プロフィール
会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA