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GHGの排出源は?日本のGHG排出量や企業が削減するためのステップ
目次
地球温暖化を防止するためにも、GHG(温室効果ガス)排出量の削減は日本だけでなく、世界的に重要視されています。この記事では、国内外のGHG排出量やGHGの排出源などを解説します。あわせて、企業としてのGHG排出量削減へ向けたステップなども解説するため、ぜひ参考にしてください。
GHGの種類
GHGとは、温室効果ガスのことで地球温暖化を引き起こす要因とされている気体です。地球温暖化対策の推進に関する法律においては、以下がGHGの種類として挙げられています。
・二酸化炭素
・メタン
・一酸化二窒素
・ハイドロフルオロカーボンのうち政令で定められているもの
・パーフルオロカーボンのうち政令で定められているもの
・六フッ化硫黄
・三フッ化窒素
これらの温室効果ガスは、太陽光から赤外線を吸収して再度放出するという働きがあり、大気を暖めます。そのため、GHGの濃度が高まってしまうと地球の表面温度が上昇し、地球温暖化につながります。
※参考:地球温暖化対策の推進に関する法律 | e-GOV法令検索
GHG排出量とは
GHG排出量とは、その名のとおり二酸化炭素を始めとした、GHGの排出量をすべて合計した値です。温室効果ガスの排出量を表す際には、二酸化炭素換算の重量を表すために使われる「t-CO2」が用いられるケースが多いです。また、炭素換算の重量を表す「t-C」を用いることもあります。
t-CO2とt-Cは相互に計算で求められます。二酸化炭素の重量から炭素の重量だけを抜き出したものが、炭素換算であるt-Cとなります。
GHGの排出源
GHGの排出源としては、4つの部門が挙げられます。
・産業部門
・運輸部門
・業務その他部門
・家庭部門
ここでは、それぞれの部門について詳しく解説します。
※参考:2022年度(令和4年度)温室効果ガス排出・吸収量について | 環境省
産業部門
産業部門とは、製造業やエネルギー供給業などのことです。工場などで化石燃料を燃焼させる工程によってGHGが排出されます。産業部門の業種はさまざまですが、業種別にみると鉄鋼業からの排出量がもっとも多い結果となっています。次いで、化学工業、機械製造業となっており、上位3つの業種で全体の排出量の65%と多くを占めている現状です。
工場では熱が多く使われますが、この際に化石燃料を直接燃やすケースが多いため、GHG排出量が多くなります。
運輸部門
運輸部門とは、交通手段のことです。たとえば、自家用自動車、貨物用自動車、航空機や鉄道、船舶などのさまざまな交通手段から排出されるGHGが該当します。運輸部門で排出されるGHGは、約6割が自家用自動車や鉄道、航空などの旅客運輸から排出されています。
残りの4割が貨物自動車や貨物鉄道などの物流関係です。また、輸送機関別にみると自家用自動車と貨物自動車の自動車関係が全体の約8割以上と高い値となっています。
業務その他部門
業務その他部門とは、事業活動のことです。たとえば、事務所やビル、卸売店などといった事業活動を行う際に排出されるGHGが該当します。業務その他部門で排出されるGHGの量は、業種別にみると卸売業と小売業がもっとも多いです。ついで、宿泊業・飲食サービス業、医療・福祉となっています。
業務その他部門では、電力消費を由来とするGHG排出量がもっとも多くなっており、全体の約7割です。そのため、電力消費量の削減がGHG排出量の削減には欠かせません。
家庭部門
家庭部門とは、家庭で使用する電力やガスなどが該当します。日常生活を送るうえで、電気は欠かせないものとなっています。そのため、家庭部門では電力消費に由来するGHG排出量が全体の約69%ともっとも多い傾向です。
用途別の排出量を比較すると、照明や家電製品などを由来とするものがもっとも多く、全体の約48%を占めています。ついで給湯用、暖房用となっており、GHG排出量削減には節電が重要です。
日本・世界のGHGの排出量
GHG排出量の削減のためにはまず、現状の排出量を把握することが重要です。ここでは、日本と世界のGHG排出量を解説します。
日本のGHGの排出量
日本におけるGHG排出量は、2020年度で11億3,500万トン(CO2換算)となっています。このGHG排出量のほとんどを、CO2が占めています。CO2に次いで排出量が多いのが、メタンです。
このように、日本のGHG排出量の多くがCO2ですが、2013年度をピークとしてCO2排出量は減少しています。減少した背景としては、再生可能エネルギーの普及促進や省エネの促進などが挙げられるでしょう。また、ハイドロフルオロカーボン類の排出量も、減少に転じています。
※参考:2022年度(令和4年度)温室効果ガス排出・吸収量について | 環境省
世界のGHGの排出量
世界のCO2排出量は、2021年度で約332億トンとなっています。世界のCO2排出量は中国が約3割を占めておりもっとも多いです。次いでアメリカ、インド、ロシアの順に続きます。
二酸化炭素の濃度の増加のうち、4分の3以上は化石燃料の燃焼に由来するものだとされています。つまり、工業化が進み産業が発展しているアメリカやロシアといった先進国は、多くのCO2を排出しており、重い責任があるといえるでしょう。
※参考:世界の二酸化炭素排出量(2021年) | JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター
データで見る温室効果ガス排出量(世界) | JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター
日本のGHG排出量削減のための取り組み
日本では、2050年までにカーボンニュートラルを目指すと宣言しています。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させて、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという取り組みです。
また、2030年度にはGHGを2013年度から46%削減することを目標として設定しており、さらにその上をいく50%の削減に向けて挑戦し続けることを宣言しています。また、「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(以下改正省エネ法という)」などの、GHG排出に関する法律も存在します。
※参考:第3節 2050年カーボンニュートラルに向けた我が国の課題と取組 │ 資源エネルギー庁
企業が自社のGHG排出量を削減するためのステップ・方法
カーボンニュートラル実現のためには、企業としての取り組みも必要です。ここでは、企業がGHG排出量を削減するための方法を解説します。
1.サプライチェーン排出量を把握する
まずは、現状の把握が重要になるため、サプライチェーン排出量を把握しましょう。サプライチェーン排出量は、Scope1・Scope2・Scope3の3つで構成されています。
・Scope1:燃料の使用や製造工程などで自社が直接排出したGHG
・Scope2:電気や熱など他社から供給されたエネルギーを作る際に排出されたGHG
・Scope3:原料や部品が製造される過程で排出されたGHG
サプライチェーン排出量は、算定ツールを積極的に使用しましょう。算定ツールを活用すると、効率的にサプライチェーン排出量を把握できます。
2.GHG排出量削減の目標を決定する
サプライチェーン排出量を正確に把握した後は、そのデータを基にして削減目標を決定します。目標を決定する際には、SBT(Science Based Targets)の認定を受けるのもおすすめです。SBTとは、気候変動問題への対応を目的とした国際条約である「パリ協定」が定める水準を満たした、削減目標のことです。
2030年または5~10年先を目標として削減目標を設定し、SBTの運営事務局に申請します。認定を受けられれば、社外へのアピールとしても活用できます。
3.GHG排出量削減のための施策を検討する
GHG排出量削減のために必要な施策を検討しましょう。施策を検討する際には、自社のサプライチェーン排出量を分析して、排出が多い部分の削減を目指す、すぐに取り組める部分の施策を優先するといった方法があります。
企業としてできる具体的な取り組みとしては、再生可能エネルギーの導入や工場などのエネルギー効率化などです。GHG排出量の多くはCO2のため、再生可能エネルギーを導入することでCO2削減を目指せます。
4.削減施策を実行する
GHG排出量削減のための具体的な施策を検討した後は、実際に削減施策を実行します。GHG排出量削減の施策は実行して終わりではありません。定期的な評価と改善が必要です。施策によってどのような効果が得られたのかを分析と評価を行って、改善していくことでより効果的な施策を行えるようになります。
また、サプライチェーン排出量の算定も繰り返して現状を把握しながら、必要な施策を進めていきましょう。新しい削減施策がないかなど、常に最新情報を取得することも大切です。
5.外部への情報開示
GHG排出量削減のための取り組みを行う際には、外部への情報開示も行いましょう。外部のステークホルダーにGHG排出量削減に関する具体的な取り組みや施策を公開することで、透明性や説明責任を確保できるだけでなく、ステークホルダーからの支持を得ることにもつながります。
外部に対する情報公開を積極的に行うことで、環境に配慮した企業であるとアピールできます。そのため、企業としてのブランド価値向上や信頼性の向上などが期待できるでしょう。
まとめ
GHGとは温室効果ガスのことで、地球温暖化対策のためにもGHG排出量削減が求められます。GHGの排出源は、産業部門・運輸部門・業務その他部門・家庭部門の4つに分かれており、それぞれの削減が必要です。企業としてGHG排出量削減を目指すために、本記事で紹介した5つのステップを意識しながら、効果的な施策を行っていきましょう。
ゼロ炭素ポートは、自社だけでなく他社ソリューションとも協力してお客さまのニーズにお応えするサイトです。脱炭素に関する情報やCO2排出量計算ツールも提供しています。GHG排出量削減の取り組みをお考えなら、お気軽にお問い合わせください。
執筆者プロフィール
会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA