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GHG排出に関する規制とは?日本・海外における対策・取り組みを解説
目次
GHG(温室効果ガス)は気候変動に影響を与えており、削減に向けて各国でさまざまな規制が行われています。日本でもGHGの排出に関する法律が制定されています。企業としてGHGの排出量削減を目指すとさまざまなメリットを期待できるため、各社で取り組みが行われるようになってきました。
この記事では、日本・海外におけるGHG排出に関する規制について解説します。
GHG排出に関する規制とは
GHG排出に関する規制とは、世界の国々で行われているGHGの排出量の削減に向けた法規制や対策のことです。気候変動は世界中の人々にとって大きな問題であり、それぞれの国がGHGの排出量を積極的に削減しなければなりません。国際的な基準として、例えば「パリ協定」や「SDGs」などがあり、各国はこれらに基づいて独自の法規制や対策を行っています。
GHG排出量が環境に与える影響
GHGとしては、二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)などがあげられます。これらのGHGは地表に熱をため込む性質があり、地球の気温を上昇させます。大量の化石燃料の使用や森林の大幅な減少によりGHGが増加し、地球温暖化が加速している状況です。GHGの排出量を削減しなければ、異常気象、生態系の崩壊、食糧危機などが深刻になる恐れがあります。
GHG排出に関する日本の法規制
日本では、GHG排出の削減を直接義務づける法規制はありません。ただし、GHG排出に関する法律は存在するため、以下でそれぞれ解説します。
エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律
「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(以下「改正省エネ法」という。)」は、一定の規模以上の事業者にエネルギーの使用状況の報告を求める法律です。改正省エネ法は2023年4月に施行され、太陽光、風力、水力などの非化石エネルギーも含めて合理化すべきとされています。
また、特定の事業者に非化石エネルギーへの転換を目指す計画の作成を求めており、取り組みが不十分な場合は勧告や公表の対象になる可能性もあります。さらに、電気需要の最適化のための対策も必要です。
※参考:エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律 | e-GOV 法令検索
地球温暖化対策の推進に関する法律
地球温暖化対策の推進に関する法律(以下「地球温暖化対策推進法」という)は、GHGを大量に排出している事業者に対し、排出量の算定や報告を義務づける法律です。「温対法」ともよばれています。国は事業者から報告された内容を集計し、情報を公表します。
エネルギー起源の二酸化炭素またはそれ以外のGHGを排出している事業者が、対象となっています。制定の目的は、事業者が排出するGHGの量を把握し、具体的な対策を実行させることです。また、情報の公表により、国全体でGHGの排出抑制に対する意識を高める狙いもあります。
※参考:地球温暖化対策の推進に関する法律 | e-GOV法令検索
再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法
再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(以下「再エネ特措法」という。)は、再生可能エネルギーで発電された電力の買い取りを電力会社に義務づける法律です。2011年8月に制定され、2012年7月から施行されています。電力の買い取りにより設備投資の資金回収が容易になるため、再生可能エネルギーの普及を促進する狙いがあります。
電力を買い取る制度として、再エネ特措法に基づいてFIT制度が作られました。買い取りの財源を確保するため、電気料金に再生可能エネルギー発電促進賦課金(以下「再エネ賦課金」という)が上乗せされています。
※参考:再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法 | e-GOV法令検索
GHG排出に関する海外の規制・対策
ここでは、海外におけるGHG排出に関する規制や対策について解説します。
欧州(EU)
EUでは、GHGの排出量を削減するための政策パッケージとして「Fit for 55」を発表しています。2030年までにGHGの排出量を最低55%削減するという目標を達成するための取り組みです。具体的な内容は、排出量取引の促進、再生エネルギーの導入目標の引き上げ、ガソリン車の新車販売の禁止(2035年以降)などです。
ほかにも、航空機が排出する二酸化炭素の量を削減する「ReFuelEU規則案」が施行されています。船舶が排出する二酸化炭素の量に上限を設けた「FuelEU規則案」もあります。また、GHGのなかで二酸化炭素の次に排出量が多いメタンの排出を抑制するための「メタン規制」も設けられました。
※参考:第1部 第2章 第1節 脱炭素を巡る世界の動向 │ 資源エネルギー庁
インド
インドでは、排気ガスを規制する「Bharat Stage(バーラト・ステージ)」の取り組みが展開されています。インドの大気汚染は特に深刻であるため、排気ガスに特化した規制が設けられました。具体的には、窒素酸化物排出量をガソリン車は60mg/km以下、ディーゼル車は80mg/km以下にするという内容です。
また、インドは、2070年までにGHGの排出量をゼロにすると宣言しています。そのための取り組みとして、2030年までに総電力の50%を再生可能エネルギーにし、GHGの排出量の予測から10億トンを削減するとしています。
※参考:モディ首相、2070年までのGHG排出量ゼロを宣言(インド) | ジェトロ
日本のGHG排出量
日本のGHGの排出量は、2022年度で11億3,500万トンでした。2013年度と比較すると、19.3%にあたる2億7,190万トンが減少しています。2022年度のGHGの排出量の9割以上は二酸化炭素です。そのうち、エネルギー起源CO2は84.9%、非エネルギー起源CO2は6.4%となっています。
※参考:2022年度(令和4年度)温室効果ガス排出・吸収量について | 環境省
企業がGHG排出量削減に取り組むメリット
企業が積極的にGHGの排出量の削減に取り組むと気候変動の問題解決につながるだけでなく、さまざまなメリットを期待できます。環境に配慮した活動を行っている企業というイメージが定着すれば、投資家をはじめとするステークホルダーからの評価が高まります。また、金融機関の融資の審査においても有利になる可能性が高いです。
さらに、エネルギー効率も改善できるため、コストの削減にもつながります。
企業におけるGHG排出量削減のための取り組み例
さまざまな企業で、GHGの排出量を削減するための取り組みが行われています。以下で、具体的に解説します。
GHG排出量の把握・管理
自社の事業活動において、具体的にどれくらいGHGを排出しているか把握する必要があります。GHGの排出量を把握するうえでは、GHGプロトコルの導入が効果的です。
GHGプロトコルは、GHGの排出量の算出や報告に使用できる国際的な基準です。Scope1〜3の区分があり、サプライチェーン全体におけるGHGの排出量を正確に算出し、管理できるようになっています。
再生可能エネルギーの導入
再生可能エネルギーとは、自然界に常に存在していて枯渇せず、繰り返し使用できるエネルギーのことです。例えば、太陽光、風力、地熱などがあげられます。
例えば、自社工場に太陽光発電の設備を導入し、再生可能エネルギーを使用する方法があります。また、電力会社が提供している再生可能エネルギーのメニューを選択すれば、より簡単に再生可能エネルギーの導入が可能です。
低炭素自動車への切り替え
自動車は二酸化炭素を多く排出するため、低炭素自動車へ切り替えるとGHGの排出量の削減につながります。
例えば、自社の事業活動で使用する自動車を電気自動車やハイブリッド自動車などに切り替え、二酸化炭素の排出を削減している企業も増えてきました。日本政府は2035年には新車として販売される車をすべて電動車にするとしており、低炭素自動車を選択する企業はさらに増えると考えられます。
まとめ
GHGの排出量の削減に向けて各国が取り組みを展開しており、日本でも複数の法律が定められています。企業はGHGの排出削減に関する法律に従い、適切な取り組みや対応をしなければなりません。企業がGHGの排出量を削減させれば、イメージの向上やコスト削減などのメリットも期待できるでしょう。
ゼロ炭素ポートでは、脱炭素に向けて企業が取り組める施策を幅広く紹介しています。自社に限らずさまざまな企業のソリューションを取り上げ、多様なニーズに対応しています。具体的な事例も多数扱っているため、脱炭素経営の実現に向けてぜひ参考にしてください。
執筆者プロフィール
会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA