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サステナビリティな取り組みを行うスタートアップ企業!背景・メリットも解説
目次
近年、サステナビリティな取り組みを行うスタートアップ企業が増加しています。この記事では、スタートアップ企業がSDGsに取り組む背景や、サステナビリティをビジネスのテーマにするメリットを解説します。注目したい国内のスタートアップサービスを分野別に紹介するので、ぜひ参考にしてください。
企業によるサステナビリティな取り組み
サステナビリティとは、環境や社会、経済などが持続的に発展する社会の実現を目指す考え方です。2015年9月に国連サミットで採択されたSDGsは、サステナビリティを具体化したもので、日本語では「持続可能な開発目標」と呼ばれています。SDGsでは、サステナビリティに関わる17の目標について、2030年までに実現することを提唱しています。
日本国内でも、さまざまな企業がサステナビリティの取り組みを実施しており、その動きはスタートアップにも広がるようになりました。既存企業の場合は、自社の活動において、サステナビリティに不足する部分を改善する必要があるものの、スタートアップはSDGsをテーマにしてビジネスに参入することも可能です。
※参考:SDGsとは?|外務省
SDGsに取り組むスタートアップが注目されている理由
スタートアップ企業とは、革新的なビジネスモデルで事業を展開し、短期間で急成長を遂げる企業を指します。まずは、SDGsに取り組むスタートアップが注目されている理由について解説します。
世間の社会・環境問題に対する意識が高まった
世間の社会・環境問題に対する意識は年々高まっています。特に、SNSを通して世界中の情報に触れる機会の多い若い世代ほど、社会・環境問題への関心が高い傾向です。たとえば「環境負荷がかかっているかどうか」が商品やサービスを利用する大きな判断軸となっています。
また、環境問題に対する取り組みは職場選びの基準にもなっており、優秀な人材を採用するためにもSDGsへの取り組みは欠かせません。
### スタートアップへの投資が拡大した
近年、投資家たちの意識にも変化が生じています。世界の投資家を対象とした2022年の調査では、約45%の投資家が「企業は温室効果ガス排出量削減など、環境問題に関する事柄を優先して成果を上げるべき」と回答しました。
また、少額から気軽に投資できるクラウドファンディングなどが普及したことも、スタートアップの投資が拡大した背景の1つです。海外と比べると規模は小さいものの、日本国内のスタートアップの資金調達額も年々増加しています。
※参考:PwC「グローバル投資家意識調査2022」企業のサステナビリティへの取り組みに対する投資家の見解|PwC Japanグループ
臨機応変に対応できる点が評価されている
スタートアップは大手企業と比べると、情勢やニーズに合わせて臨機応変に対応できます。大手企業の場合、承認プロセスが長く意思決定に時間がかかるケースがあるものの、スタートアップはフットワークが軽くスピード感のある対処が可能です。また、他者を巻き込むエネルギーが強いところも、投資家や消費者を惹きつけていると考えられます。
サステナビリティをビジネスのテーマにするメリット
ここでは、サステナビリティをビジネスのテーマにするメリットを4つ解説します。
ブランディングに効果的
SDGsに取り組むことで、企業のイメージや社会的価値の向上が期待できます。企業の規模にかかわらず、サステナビリティに積極的な姿勢は、「社会に対して責任を果たそうとしている」というポジティブな印象を持ってもらえます。
スタートアップの多くは、会社名や事業内容を世間に広く知られていません。しかし、サステナビリティな取り組みを行うことで、対外的なアピールにつながり企業としての信頼性も得られます。
同じ志を持つ人材が集まりやすい
同じ志を持つ人材が集まりやすいところも、サステナビリティをビジネスのテーマにするメリットです。従来は給与や待遇、職場環境が主な基準でしたが、最近では企業の方針や社会的な意義を重視する人も少なくありません。
世間的にもサステナビリティへの関心が高まっていることから、企業理念としてサステナビリティの推進を掲げているスタートアップは、同じ志を持つ人材を確保しやすいといえるでしょう。
消費者・投資家の支持を得やすい
SDGsの考え方が広がるにつれて、消費者や投資家の意識にも変化が生まれています。二酸化炭素の排出力削減や再生エネルギーの活用をはじめ、サステナビリティに取り組む企業は、消費者・投資家からの支持を得やすい傾向です。
投資においては、ESG(Environment・Social・Governance)など、非財務情報の重要性も高まっています。一部の金融機関では、SDGsに取り組む企業向けに融資の金利を優遇する動きもあります。
政府・自治体によるサポートを受けられる
日本政府は、SDGsに取り組むスタートアップ企業へ向けて、開業資金サポートや債務保証などの支援を提供しています。また、特別試験研究費税額控除制度では、企業とスタートアップが共同研究や委託研究を行う場合に、支出する費用の一定割合を法人税額から控除できます。
全国の自治体でも、独自にスタートアップ向けの補助金などが用意されているケースがあるため、利用できるものがないか確認してみましょう。
【環境系】注目すべきスタートアップサービス3選
ここからは、注目すべきスタートアップ企業をピックアップし、それぞれの事業内容や特長を紹介します。以下ではまず、環境系で注目すべきスタートアップサービスを紹介するため、ぜひ参考にしてください。
株式会社JEPLAN(旧社名:日本環境設計株式会社)
株式会社JEPLAN(旧社名:日本環境設計株式会社)は、独自のケミカルリサイクル技術を駆使して、環境問題に貢献している企業です。「あらゆるものを循環させる」というミッションを掲げ、使用済みのペットボトルから新しいペットボトルをつくる、水平リサイクルによる資源循環を実現しています。
事業の柱は「商用プラント事業」「技術ライセンス事業」「アパレル事業」「ボトル事業」です。新しいリサイクル技術を開発しながら、地下資源の使用量や温室効果ガスの排出量削減を目指しています。
fabula 株式会社
fabula 株式会社では、さまざまな種類の⾷品廃棄物を再利用するための技術を研究し、ゴミを新しい素材として⽣まれ変わらせています。⾷品廃棄物を乾燥、粉砕して熱圧縮するというシンプルな工程とはいえ、従来のコンクリートに比べ、約4倍もの曲げ強度を誇る新素材の開発にも成功しました。その他にも、食品廃棄物から平皿や平版などを製造・販売しています。
EF Polymer株式会社
EF Polymer株式会社は、インドの干ばつ地域で生まれ育ったナラヤン・ガルジャール氏が、2020年に設立してスタートアップ企業です。「干ばつに悩む家族・世界中の農家を助けたい」という想いから、最先端技術を駆使して、100%有機で完全生分解性を有する超吸水性ポリマーを製造しています。
農家の水不足問題の解決を目指し、国内外で実証実験を行うとともに、農業以外の製品開発にも意欲的に取り組んでいます。
【脱炭素系】注目すべきスタートアップサービス3選
「脱炭素」は、サステナビリティな取り組みに欠かせない重要なキーワードです。ここでは、脱炭素系の注目すべきスタートアップサービスを紹介します。
アスエネ株式会社
アスエネ株式会社は「次世代によりよい世界を」をミッション掲げているサステナブル経営支援企業です。二酸化炭素排出量の見える化・削減・報告を行えるクラウドサービスを開発し、幅広い業種の企業に導入されています。
また、ESGクラウド評価サービスも建設業や製造業を中心に活用されており、累計導入社数は15,000社以上と実績が豊富です。2023年には、環境省が主宰する2022年度環境スタートアップ大賞において、最も評価の高い「環境スタートアップ大臣賞」を受賞しました。
株式会社チャレナジー
株式会社チャレナジーは、新しい風力発電機の開発に挑戦しているスタートアップ企業です。世界初の風力発電技術を駆使して開発された「垂直軸型マグナス式風力発電機」は、強風時でも暴走しにくい作りとなっており、台風もエネルギーに変えることができます。
チャレナジーは多角的に事業を展開しており、大型の風力発電機だけでなく、災害時の非常用電源として活用できる「次世代マイクロ風車」の開発も進めています。
株式会社テックシンカー
株式会社テックシンカーは、二酸化炭素排出量の可視化事業や、カーボンオフセット支援サービスなどを提供しています。具体的な取り組みは、サプライチェーン全体における二酸化炭素排出量の可視化に向けた、プラットフォームの運用です。
プラットフォームの活用により、自社のサプライチェーンにおける温室効果ガスの排出量を詳細に把握し、削減目標を設定することができます。さらに、グリーントランスフォーメーション(GX)を推進するための強力なツールとなります。
【その他】注目すべきスタートアップサービス3選
ここでは、ダイバーシティや防災などのカテゴリーに含まれる、注目すべきスタートアップサービスを紹介します。
株式会社ヘラルボニー
株式会社ヘラルボニーは、知的障害者のアートを版権化し、経済価値を与えているクリエイティブカンパニーです。絵を描くことが好きな自閉症の兄を持つ双子の兄弟、松田 崇弥氏と松田 文登氏によって設立された企業で、障害のイメージを変えることを目指しています。
版権化だけでなく、アパレルメーカーとのコラボレーション、ギャラリーの運営なども行っています。
株式会社Gaia Vision
株式会社Gaia Visionは、気候科学を専門とする東大発のスタートアップ企業です。最先端のテクノロジーを活用したソリューションを駆使し、気候変動問題の解決に取り組んでいます。
具体的には、洪水リスクを簡単に分析できるWebアプリケーションの開発をはじめ、高解像度のグローバル洪水ハザードマップの開発、気候変動の影響評価に関する研究開発を行っています。
リンクス株式会社
リンクス株式会社は、デジタル技術を活用し、社会問題の解決に貢献するスタートアップ企業です。特殊技術を使った視覚障害者ナビゲーションシステムアプリ「shikAI(シカイ)」を開発しています。
このアプリは、スマートフォンで点字ブロック上のQRコードを読み取ることで、目的地まで正確に誘導してくれるシステムです。東京メトロ各線で導入されており、今後も順次エリアを拡大する予定となっています。
インパクトスタートアップ育成支援プログラム 「J-Startup Impact」とは
「J-Startup Impact」とは、経済産業省が2023年に設立された制度で、インパクトスタートアップ支援が目的です。「J-Startup Impact」では、社会・環境問題の解決や持続可能なビジネス成長を目指す企業を選定します。選定された企業は、国内外の大規模なイベントへの出展支援や、各種補助金の支援施策における優遇などが受けられます。
J-Startup Impactに選定されている企業3選
最後に、J-Startup Impactに選定されている企業のなかから、3社をピックアップして紹介します。
株式会社ユーグレナ
株式会社ユーグレナは、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養を世界で初めて成功させた企業です。「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」という企業哲学を掲げ、先進的な取り組みを実施しています。
微細藻類ユーグレナを原料とした食品やサプリメント、バイオ燃料の開発などを行っており、事業を通して人と地球を健康にすることを目指しています。
自然電力株式会社
自然電力株式会社は「自然エネルギー100%の世界を共につくる」という明確なビジョンを持ち、太陽光や風力による発電事業や、脱炭素化の実現に向けたソリューションの提案を行っています。地域の特長や課題に合わせた再生可能エネルギー発電所の開発も進めており、日本はもちろん、ブラジルやインドネシア、マレーシアでもプロジェクトが進行しています。
株式会社Synspective
株式会社Synspectiveは、地表の画像を高解像度で取得できる小型SAR衛星の開発・運用、衛星データを活用したソリューションサービスを提供している企業です。同社では、独自の地球観測衛星によって獲得したSARデータを、政府機関や企業に提供しています。地球規模の人口増加や環境破壊などを宇宙から俯瞰して把握し、社会・環境問題の解決に貢献しています。
まとめ
サステナビリティな取り組みは、大手企業だけが実施するものではありません。環境や脱炭素、ダイバーシティをテーマに、ビジネスを展開するスタートアップは増加傾向です。そして、政府も多くの支援策を打ち出しています。
自社に合ったサステナビリティな取り組みをはじめるには、まず現状を把握することが大切です。『ゼロ炭素ポート』では、CO2排出量を計算できるツールや省エネ診断など、さまざまなサービスをご用意しております。補助金に関するご相談も可能なので、まずはお気軽にお問い合わせください。
執筆者プロフィール
会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA