アメリカの再生可能エネルギーの事情は?各エネルギー源の特徴と増加した理由

目次

地球温暖化の解決に向けて、世界は再生可能エネルギーの普及に力を入れています。本記事では、世界のエネルギー自給率や再生可能エネルギーの割合をはじめ、日本と再生可能エネルギーの割合が近いアメリカのエネルギー事情について解説します。

化石燃料と再生可能エネルギーの違い

化石燃料と再生可能エネルギーはどちらもエネルギーとして欠かせないものですが、以下のような違いがあります。

化石燃料とは

化石燃料とは、従来エネルギーとして主に利用されている石油・石炭・天然ガスなどを指します。燃やすと大量のCO2が排出されるため、地球温暖化を加速させてしまうのが特徴です。化石燃料は採取できる国や地域が限られており、地球上にも限られた量しかありません。また、一度消費されると再生されないのが特徴です。

再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーは、風力や太陽光などの自然から得られるエネルギーです。CO2を排出しないまたは増加させないという特徴があります。地球上のどの地域にもある自然界に存在する資源を利用し、長期的にエネルギーを供給できるのが特徴です。

再生可能エネルギーの種類

日本では「エネルギー供給事業者によるエネルギー源の環境適合利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律(以下高度化法という)」で、再生可能エネルギーの種類が以下のように定められています。

・太陽光
・風力
・水力
・地熱
・太陽熱
・大気中の熱その他の自然界に存在する熱
・バイオマス(動植物に由来する有機物)

※参考:エネルギー供給事業者によるエネルギー源の環境適合利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律施行令(平成二十一年政令第二百二十二号)|e-GOV 法令検索

世界主要国の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合

世界主要国の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合について、日本の再生可能エネルギーの割合と世界でも割合が大きいエリアを解説します。

日本の再生可能エネルギーの割合

資源エネルギー庁の発表によると、世界主要国の発電電力量に占める再生可能エネルギー比率を比較した結果、日本の再生可能エネルギー比率は21.7%でした。天然ガスが33.8%、石炭が30.8%だったので、日本は化石燃料への依存度が高いことが分かります。

※参考:再エネの導入|経済産業省

再生可能エネルギーの割合が大きいのはヨーロッパ

再生可能エネルギーの割合が最も大きかったのはカナダの69.0%でした。カナダは水力を除く再生可能エネルギーの比率は、7.9%と他国よりも少なかったものの、水力が61.1%を占めています。水力を除く再生可能エネルギーの比率が高いのはヨーロッパ各国です。ドイツが40.7%、イギリスが40.2%、EUが28.8%、イタリアが25.6%と高い割合でした。

※参考:再エネの導入|経済産業省

世界主要国の一次エネルギー自給率

次に、世界主要国の一次エネルギー自給率について、水準が高い国と日本の状況を解説します。

自給率の水準が高い国

世界主要国の2021年一次エネルギー自給率で100%を超えているのは、ノルウェー、オーストラリア、カナダ、アメリカでした。4か国とも天然ガス、原油、石炭などの自給率が高いのが特徴です。

※参考:日本のエネルギー|経済産業省

自給率の水準が低い日本

日本の2021年一次エネルギー自給率は13.3%となり、世界主要国のなかで37位でした。日本は化石燃料の輸入に大きく依存していることが分かります。特に東日本大震災以降は、化石燃料依存度が83.5%になりました。

エネルギー自給率が低い場合、化石燃料の輸入がストップすると深刻なエネルギー不足に直面します。再生可能エネルギーを取り入れる、省エネルギーに取り組むなどの対策を行い、自給率を上げていかなくてはなりません。

※参考:日本のエネルギー|経済産業省

アメリカのエネルギー事情

世界の発電電力量の割合や自給率が分かったところで、日本の再生可能エネルギーとの割合が近いアメリカのエネルギー事情を解説します。

発電方法と割合

資源エネルギー庁の発表によると、アメリカは2022年時点で以下のような発電比率となっています。

・天然ガス38.9%
・石炭20.4%
・原子力18.0%
・石油・その他1.3%
・再生可能エネルギー(水力除く)15.7%
・水力5.7%

水力を除く再生可能エネルギーの15.7%と、水力の5.7%を足した再生可能エネルギーの割合は21.4%で、日本の21.7%とほぼ変わらない状況です。

※参考:再エネの導入|資源エネルギー庁

エネルギー自給率

日本の2021年一次エネルギー自給率は13.3%であったのに対し、アメリカの一次エネルギー自給率は103.5%でした。自給率が100%を超えているので、アメリカは国内でエネルギー生産量のほとんどをまかなえています。石油と天然ガスが大きな割合を占めているのが特徴です。

アメリカでは、シェールオイルやシェールガスなどの開発が進んでおり、今後も自給率は高い水準が続いていくと予想されます。

※参考:日本のエネルギー|経済産業省

アメリカにおける各エネルギー源の特徴

以下では、アメリカにおける各エネルギー源の特徴について、経済産業省のデータをもとに解説していきます。

※参考:再エネの導入|資源エネルギー庁

天然ガス

2022年度のアメリカにおける電源構成のうち、38.9%と多くの割合を占めていたのが天然ガスです。アメリカでは2000年代後半に、地下約2,000メートルのシェール層にあるシェールガスを掘削する技術革新が起こり、増産が可能になりました。それまでのアメリカは、中東の石油に頼っていましたが、シェールガスを輸出産業に育てるため、力を入れています。

石炭

昔から石炭はアメリカの主要エネルギーでしたが、現在は20.4%と減少しています。天然ガスや再生可能エネルギーに比べ、石炭を用いた火力発電は運転コストが高いため、価格競争に負けたのが減少した理由です。さらに、政府が温室効果ガスの排出量を削減する方針を発表したため、今後も石炭の割合は減少していくことが予想されます。

原子力

アメリカの2022年の電源構成のうち、原子力の割合は18.0%でした。2021年12月末時点で、アメリカで稼働している原子力発電所は93基あり、安定した供給源として重要な役割を果たしています。

再生可能エネルギー

前述の通り、アメリカの再生可能エネルギー割合は日本と同程度で、水力が5.7%、その他が15.7%を占め、合計21.4%に達しました。また、石炭(20.4%)や原子力(18.0%)を上回っています。さらに、アメリカでは再生可能エネルギーの発電割合が毎年増加しており、2035年までに電力の脱炭素化実現を目指した取り組みが行われています。

アメリカで再生可能エネルギーが増加した理由

アメリカにおける再生可能エネルギーが増加したのには、以下の理由が考えられます。

気候変動対策は優先政策の1つ

バイデン政権は、優先政策課題の1つとして気候変動対策を挙げていました。2021年の大統領就任直後から、さまざまな気候変動対策に取り組んでいるため、再生可能エネルギーの割合は増加しています。

具体的な目標の達成努力

アメリカでは、以下のように具体的な目標を掲げ、達成する努力を行っていることから、再生可能エネルギーの割合が増加したと考えられます。

・2030年までに温室効果ガスの排出量を50~52%削減(2005年比)
・2035年までに電力を95%カーボンフリーで供給
・2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロ

※参考:米エネルギー省(DOE)、太陽光発電導入のシナリオ発表、2035年までに4割供給へ|ジェトロ

再生可能エネルギーに対するアメリカ政府の取り組み

環境に対する目標を達成するために、2023年に米国エネルギー省(DOE)は、以下のような取り組みを発表しました。

・クリーン水素ハブの立ち上げ
・送電網への歴史的な投資
・全米電気自動車(EV)充電ネットワークの構築
・米国民のコスト削減
・環境正義の重視
・次世代のクリーンエネルギー人材の育成
・国内製造とサプライチェーンの強化

上記の目標が実践されることで、アメリカの再生可能エネルギーの普及は今後も加速することが予想されます。

再生可能エネルギーに対するアメリカの州ごとの取り組み

アメリカでは、州単位でも再生可能エネルギーの取り組みを行っています。ここでは、再生可能エネルギーに対するアメリカの取り組みを州ごとに紹介します。

太陽光発電の強化

南東部や南西部の州では、再生可能エネルギーのなかでも特に太陽光発電に力を入れています。特にカリフォルニア州は多くの太陽光発電容量があるため、再生可能エネルギーの推進に大きく貢献している州として有名です。

再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準(RPS)の設定目標の引き上げ

再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準(以下「RPS」という。)とは、すべての電気事業者および電力小売事業者に対し、電力販売量のうち、一定の割合で再生可能エネルギーから供給することを義務付ける制度です。

アメリカの50州のうち、29州とワシントンDCでRPS制度が導入されています。設定目標は州によって異なりますが、今後は複数の州でRPSの設定目標を引き上げる動きがあります。

※参考:アメリカ|国立国会図書館デジタルコレクション

アメリカの再生可能エネルギーに対する今後の予測

アメリカでは、今後以下のような再生可能エネルギーの取り組みを行っていくと予測されます。

再生可能エネルギーと蓄電池の拡大

アメリカでは、2035年までに電力をほぼカーボンフリーで供給するという目標に向けて、さまざまな取り組みを行っています。原子力よりも、経済性と環境の面で競争力がある自然エネルギーと蓄電池を最優先に拡大していく方針です。

※参考:On The Path to 100% Clean Electricity|米国エネルギー省

化石燃料の減少

2010年から2022年までの12年間で、再生可能エネルギーの割合は127%増加しています。化石燃料による発電量は減少し続けており、今後も再生可能エネルギーに発電方法をシフトしていく方針です。

※参考:米国が2035年に電力を100%脱炭素へ、自然エネルギーに注力|自然エネルギー財団

まとめ

アメリカの再生可能エネルギーは地球温暖化対策として注目され、発電量が毎年増加しています。州ごとの取り組みや政府支援も強化され、2035年までに電力のカーボンフリーを目指している状況です。日本でも再生可能エネルギーの普及に向けてさまざまな取り組みが行われていますが、個人や企業単位での取り組みも求められています。

ゼロ炭素ポートは、脱炭素・カーボンニュートラルの実現のため、困りごとを気軽に相談できる「場」を目指しています。省エネコスト削減や太陽光発電の資料のダウンロードも可能ですので、ぜひご活用ください。

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA