- コラム
- サステナビリティを社内浸透させるには?|施策・よくある課題と対策・企業事例
サステナビリティを社内浸透させるには?|施策・よくある課題と対策・企業事例
目次
企業がサステナビリティの取り組みで成果を上げるためには、取り組みについての社内浸透が不可欠です。本記事では、主にサステナビリティ推進の担当者に向けて、サステナビリティを社内浸透させる必要性や方法、よくある課題とその対策、企業事例などを解説します。ぜひ参考にしてください。
企業に求められるサステナビリティとは
サステナビリティとは、環境・社会・経済の持続的な発展を目指す考え方です。環境問題とそれに伴う社会課題が深刻化している現代では、企業に対して、持続可能な観点からの活動が求められるようになりました。
企業に求められる活動は、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献や、環境や社会へのCSR(企業の社会的責任)を果たす取り組みとして、表明されるのが一般的です。
サステナビリティを社内浸透させる必要性
企業全体でサステナビリティを推進するためには、組織文化の変革が必要です。サステナビリティの取り組みは、企業の価値観やビジョンを反映させる場合が多く、全社的かつ長期的に取り組む必要があるからです。理想的には、全従業員がサステナビリティの重要性を理解し、自分ごととして取り組めるように社内浸透を行う必要があります。
サステナビリティを社内浸透させるために必要な方針
サステナビリティを社内浸透させるには、トップダウンとボトムアップの両方が必要です。
経営陣のコミット
サステナビリティを戦略的課題として進めるには、経営陣が意思を示すことが重要です。経営層が方針を明示することで、組織全体がサステナビリティを事業に組み込む意識を持てるようになります。特に、サステナビリティが企業利益と相反する部分がある場合は、SDGsやCSRの活動とビジネスを両立させるために、経営層の戦略的判断と指揮が重要になります。
全従業員の参加
前述のとおり、企業のサステナビリティの取り組みは、全社的かつ長期的に取り組む必要があります。そのためには、全従業員を対象とした意識や知識の底上げが欠かせません。
従業員が自社のサステナビリティの取り組みを十分理解し、組織の活動や目標と個人の価値観を一致できている状態が理想的です。これにより、各自がサステナビリティを向上させるための業務改善や、ビジネス創出などを主体的に行えるようになります。
サステナビリティを社内浸透させるための施策
サステナビリティの考え方を効果的に浸透させるには、情報発信や教育、さらには動機付けの仕組みを整える必要があります。
サステナビリティのビジョンを発信する
サステナビリティを社内浸透させるには、経営層やサステナビリティ推進の担当者が、積極的にビジョンや戦略を発信する必要があります。具体的には、社内報やニュースレターを活用して、定期的にサステナビリティ関連の情報を発信する方法があります。
また、イントラネットや社内SNSを活用し、最新情報や取り組み事例を共有してもよいでしょう。外部へのアピールを兼ねて、コーポレートサイトやメディア媒体で発信する企業も少なくありません。いずれにしても、サステナビリティが従業員に伝わり、アクションが広がるような発信を継続すると効果的です。
従業員に対する教育制度を整える
サステナビリティを組織全体で推進するには、共通認識を醸成する教育制度の整備も重要です。近年では脱炭素や森林保護といった環境問題に関心を持つ人も多くいますが、従業員の自主性に任せきりでは企業全体の意識改革にはつながりません。
そこで、eラーニング教材を活用した全体研修を導入する、新人研修にサステナビリティの内容を含めるなどの施策が求められます。一過性とならないためには、制度として仕組み化することがポイントです。
自分ごと化してもらうための動機付けを行う
従業員がサステナビリティの取り組みを、自分ごと化するための動機付けも検討しましょう。自発的にやりがいを持つ従業員もいますが、そうでない従業員も少なからずいるからです。従業員の内側から湧き上がる内発的動機を高めるには、ワークショップを通じて共感を得たり、成果をたたえる表彰会を設けたりする施策が有効です。
また、ボーナスやインセンティブによる外発的動機の施策も役立ちます。例えば、省エネ目標を達成した際にボーナスに反映させるといった方法があります。
サステナビリティの社内浸透を進める流れ
サステナビリティの社内浸透を進めるには、段階を踏む必要があります。一般的には、以下のような流れが効果的です。
1.基礎知識の共有
社内研修やeラーニングで、全従業員にサステナビリティの基本を理解させます。
2.実践的なスキルの習得
専門研修で具体的な取り組み方法を学ばせます。
3.方針と目標の周知
全社の目標を共有し、部門ごとの役割を明確化します。
4.取り組みの実施と情報共有
上記の1~3をふまえた取り組みを始めます。さらに、社内方針の発信や成功事例の共有などで意識を高める活動も実施します。
5.浸透状況の確認と改善
アンケートで浸透度を確認し、必要に応じて施策を改善します。
段階的かつ計画的に進めていきましょう。
サステナビリティを社内浸透させる際の課題と対策
社内浸透にあたっては、「適切な人材がいない」「研修の実施が難しい」といった課題が出てきます。以下では、よくある課題とその対策を解説します。
サステナビリティの専門人材がいない
サステナビリティは比較的新しい概念のため、専門的な知識を持った担当者や経営者がいない企業は珍しくありません。自社での育成が難しい場合、外部の研修機関や学習コンテンツを活用すると効率的です。関連コミュニティーや展示会への参加も効果的で、実践的な情報収集が可能です。
従業員を集めて教育するのが難しい
日常業務の忙しさやテレワークによる在宅勤務者がいるなどの理由で、従業員を一堂に集めた研修の実施が難しい企業もあるでしょう。こうした場合は、eラーニングやオンラインセミナーを導入し、場所や時間に制約されずに学べる環境を整えるのがよい方法です。
eラーニングにおいては短時間で学べるコンテンツを用意すると、スキマ時間を活用でき、学習のハードルを下げられます。
社内浸透の効果を検証できない
サステナビリティやSDGsの取り組みを進めても、浸透度や効果を把握する手段がなければ、次の施策につなげる改善が難しくなってしまいます。社内浸透の施策を実施した後は、定期的にアンケートを実施し、従業員の理解度や意識変化を把握しましょう。
例えば、理解度を1~5の数値で答えられる形式の質問を用意すると、社内浸透の状況を客観的に測定しやすくなります。
行動につながらない
サステナビリティの理解だけでは、行動には結びつかない場合があります。知識を実践に移すため、具体的な行動例を提示することも大切です。
例えば、ペーパーレス化や節電など、業務に自然に取り入れられる取り組みを設定するとよいでしょう。資源の削減量や節電率などを可視化できる調査体制や、ITシステムなどを取り入れると目標ができ、行動につなげやすくなります。
サステナビリティを社内浸透させた企業の成功事例
企業は実際にどのような社内浸透の施策を実行しているのでしょうか。ここでは、3社の成功事例を紹介します。
リコージャパン株式会社|スキマ時間を活用した社内浸透
リコージャパン株式会社では、従業員が多忙な業務に追われ、まとまった時間を使って、SDGsやESGについて学ぶことが難しい現状がありました。そこで、同社は1講座あたり約10分で完結する学習動画を用意しました。さらに、知識定着と効果測定のため、確認テストも実施しました。
短時間の学習形式により、日常業務に負担をかけずに意識改革を進められたといいます。従業員がSDGsを自分ごととして捉えやすくなり、サステナビリティへの理解も深まりました。
三承工業株式会社|SDGs朝礼を実施
三承工業株式会社では、従業員がSDGsに関連する、具体的な行動をイメージできない課題を持っていました。個々の行動が、目標にどのように貢献するかを理解する機会が不足していたといいます。そこで、朝礼にSDGsの取り組みを取り入れました。例えば、従業員がその日に行う業務や、アクションがSDGsにどのように貢献するかを発表するなどです。
結果として、従業員のSDGsへの意識が向上し、具体的な行動の定着につながったといいます。
伊藤忠商事株式会社|啓発活動の実施
伊藤忠商事株式会社では、環境問題・人権問題・気候変動など、多岐にわたるサステナビリティの課題への従業員の理解が不十分でした。最新の社会動向や企業の具体的な対応状況について、フォローできていない部分がありました。
そこで同社は、毎年役員を含む全従業員を対象に、「サステナビリティ一般教育」を実施しています。研修内容は、環境問題・人権問題・気候変動に関する最新動向や、伊藤忠商事の取り組みを中心に構成されています。研修の受講率は毎年100%を達成し、組織全体のサステナビリティへの理解が向上しました。
まとめ
サステナビリティを社内浸透させるには、各企業の独自の工夫が重要です。従業員の動機付けや教育制度の整備など、必要な対策を講じましょう。
ゼロ炭素ポートでは、サステナビリティの重要テーマである脱炭素を中心に、最新動向や企業の取り組み事例などを発信しているサイトです。お客さまのニーズや困りごとなどを気軽に相談できる場もあるため、ぜひご活用ください。
執筆者プロフィール
会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA