再生可能エネルギーに関する法律「再エネ特措法」とは?2024年の改正点を解説

目次

再生可能エネルギーに関する法律として「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(再エネ特措法)」がありますが、具体的にはどのような法律なのでしょうか。

この記事では、再エネ特措法の概要や目的に触れたうえで、2024年に施行された改正のポイントを解説します。その他の再生可能エネルギーに関する法律についても解説するため、ぜひ参考にしてください。

再生可能エネルギー関する法律「再エネ特措法」とは

再生可能エネルギーに関する法律として、「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(以下「再エネ特措法」という。)」は、再生可能エネルギーにより生み出された電気について、電力会社による買い取りを義務付けている法律です。2011年8月に成立し、2012年7月から施行されました。

再エネ特措法の施行とともに「固定価格買取制度(以下「FIT制度」という。)」が導入され、電力会社による電力の買い取りが実際に行われています。FIT制度の狙いは、設備投資に対する資金回収をスムーズにし、再生可能エネルギーの活用を推進することです。

※参考:再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法 | e-COV法令検索

2022年4月から導入されたFIP制度とは

2020年6月の再エネ特措法の改正では、新しく「フィードインプレミアム(以下「FIP制度」という。)」の導入が決まり、施行された2022年4月から運用が始まっています。FIP制度とは、再生可能エネルギーに由来する電気を販売すると、一定額の補助金が上乗せされる制度です。

FIT制度では買取価格が変動しませんが、FIP制度では市場価格に応じて買取価格が変化します。よって、FIP制度では電力需給に応じた売電を促せるようになっています。

再エネ特措法の財源について

再エネ特措法の財源は「再生可能エネルギー発電促進賦課金(以下「再エネ賦課金」という。)」とよばれています。再エネ賦課金は、再生可能エネルギーに由来する電力を電力会社が買い取る際にかかる費用を補填するためにあります。

消費者が電気を使用するために支払う電気料金に費用が上乗せされており、それが再エネ賦課金として活用される仕組みです。電気の使用量に応じて請求されます。

再エネ特措法の成立の目的と背景

再エネ特措法が設けられた目的は、再生可能エネルギーを普及させるためです。日本のエネルギー自給率は2022年度で12.6%に留まっており、他国からの化石燃料の輸入に大きく依存しています。

しかし、再エネ特措法に基づくFIT制度やFIP制度により、設備投資に対する資金回収の見通しが立てやすくなりました。国内における再生可能エネルギーの普及は着実に進んでおり、この流れの加速が期待されています。

※参考:令和4年度(2022年度)エネルギー需給実績を取りまとめました(速報) | 経済産業省

再エネ特措法における事業者へのメリット

再エネ特措法により、事業者は再生可能エネルギーを活用しやすい状況になっています。再エネ特措法によって設けられたFIT制度やFIP制度により投資回収のリスクが軽減され、再生可能エネルギー発電事業の参入障壁が下がっているからです。特にFIP制度なら補助金も上乗せされるため、再生可能エネルギーの売電価格がより高くなります。

再エネ特措法の対象となる再生可能エネルギー

ここでは、再生可能エネルギーのうち何が再生可能エネルギーの対象になっているか解説します。

太陽光発電

太陽光発電とは、太陽電池を利用し、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換して発電する方法です。日当たりがよい屋根や壁面に設置でき、スペースを有効活用して再生可能エネルギーによる発電ができます。メンテナンスの手間もあまりかかりません。ただし、天候によって発電量が左右される点に注意が必要です。

参考:PPAモデルの太陽光発電で企業の脱炭素への1歩を後押し|株式会社ヒナタオエナジーインタビュー | ゼロ炭素ポート

風力発電

風力発電とは、風のエネルギーで風車を回し、電気を作り出す方法です。風が吹いていれば、昼夜を問わず発電できます。陸上風力発電と洋上風力発電があり、平地が少ない日本では洋上風力発電が中心です。設置場所が限られる点や発電効率が風の強さに影響を受ける点が、課題としてあげられます。

水力発電

水力発電とは、海や川の高低差を利用してエネルギーを生み出し、発電する方法です。日本は水資源が豊かであり、従来から水力発電が行われています。発電効率が高く、電力需要に応じて安定した発電が可能です。ただし、事前調査には時間がかかるうえに、設備投資には高額の費用がかかります。

地熱発電

地熱発電とは、地下にあるマグマの地熱エネルギーを活用して電気を生み出す方法です。タービンを回して発電します。季節、天候、時間帯などにかかわらず発電が可能です。ただし、地盤調査が必要であり、開発には時間がかかります。また、地熱発電に利用できる資源が存在する場所は限られており、希望しても必ず利用できるとは限りません。

バイオマス発電

バイオマス発電とは、バイオマスのエネルギーを利用する発電方法です。バイオマスとは、食品廃棄物、木材のチップ、家畜の糞尿といった動植物由来の物質です。バイオマス発電を行うと、廃棄物の削減にも貢献できます。

ただし、設備投資だけでなく、原料の収集にもコストがかかります。搬送にかかるコストの問題から設備は小規模になりやすく、発電効率が低くなりがちです。

【2024年4月施行】再エネ特措法の改正ポイント

再エネ特措法は、2024年に改正されています。ここでは、改正の主なポイントを解説します。

※参考:改正再エネ特措法の施行に向けて | 資源エネルギー庁

FIT・FIP認定の要件追加

FIT・FIP認定申請要件が追加され、再生可能エネルギーによる発電について周辺地域の住民に対する事前周知が必要になりました。特別高圧・高圧(50kW以上)については、説明会の開催による事前周知が必要です。低圧(50kW未満)なら、原則として説明会以外の方法で事前周知できます。

ただし、屋根に設置できる住宅用太陽光を利用する場合、事前周知は求められません。事前周知では、再生可能エネルギーによる発電の詳細を周辺地域の住民に示す必要があります。具体的な内容をあげると、事業計画の内容、関係法令遵守状況、工事概要などです。

委託先・再委託先に対する監督義務

FIT・FIP制度の認定事業者は、再生可能エネルギー発電事業を実施するための業務を委託する場合、監督義務があります。契約書の締結も必要であり、委託先は認定基準・認定計画に従う旨を示すよう求められています。また、認定事業者は、年1回の頻度で国へ定期報告が必要です。

違反時におけるFIT・FIP交付金の一時停止措置

改正後の再エネ特措法では、関係法令に違反した際のペナルティが強化されました。違反が発覚して書面による指導などが行われた場合、FIT・FIP交付金が一時的に停止されます。交付金を再び得るには、違反を解消したうえで事業の廃止や適正な廃棄などを行う必要があります。

違反を解消できなければ、認定の取り消しにより交付金の返還を求められるため、注意が必要です。

太陽光発電設備の更新・増設時のルール見直し

太陽光発電の既存の設備を有効活用するため、太陽光パネルの更新や増設をすると、増出力分にのみ最新の価格を適用できるようになりました。既存の設備についてはもとの価格が維持され、買取価格の低下を防止できます。このルールを適用するには、太陽光パネルを廃棄する場合に適切な対応が求められます。証拠となる書類の提出も必要です。

その他再生可能エネルギーに関連する主な法律

再生エネルギーに関連する法律は、再エネ特措法以外にも存在します。以下で、それぞれ解説します。

エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律

「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(以下改正省エネ法という)」とは、一定規模のエネルギーを使用する事業者に対し、使用状況に関する報告を求める法律です。省エネに関する取り組みの見直しや計画の策定などについても定められています。

非化石エネルギーの必要性が増しており、エネルギーを有効活用して経済活動を進める目的があります。なお、2023年4月の改正により、非化石エネルギーも報告の対象に加えられました。

※参考:エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律 | e-GOV 法令検索

地球温暖化対策の推進に関する法律

「地球温暖化対策の推進に関する法律(以下「地球温暖化対策推進法」という。)」とは、地球温暖化対策を推進する目的で定められた法律です。1997年に京都で開催された「気候変動枠組条約第3回締結国会議(COP3)」で採択された「京都議定書」に基づき、国内における具体的な取り組みの指針を示すために制定されました。

地球温暖化対策推進法では、国、地方公共団体、事業者、国民が一体となり、地球温暖化対策に取り組むための基本が明示されています。

※参考:地球温暖化対策の推進に関する法律 | e-GOV 法令検索

脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律

「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律(以下「水素社会推進法」という。)」とは、2050年までにカーボンニュートラルを達成するため、低炭素水素の活用を促進する目的で作られた法律です。カーボンニュートラルは温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、実質的に排出をゼロにする考え方です。

水素社会推進法により、低炭素水素を供給する事業者や利用する事業者が計画を作成して認定されると、資金や助成金の交付を受けられます。

※参考:脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律 | e-GOV法令検索

まとめ

再エネ特措法は、再生可能エネルギーの利用を促すための法律です。再エネ特措法に基づいてFIT制度やFIP制度が設けられており、再生可能エネルギーによって生み出した電気は電力会社に買い取ってもらえます。改正により新たなルールも加えられているため、よく確認して再生可能エネルギーを活用しましょう。

ゼロ炭素ポートは、事業者の省エネや温室効果ガスの排出削減などに関する情報を発信しているWebサイトです。自社だけでなく、他社のソリューションとも協力しており、さまざまなニーズに対応できます。役立つ資料も配布しているため、ぜひ活用してください。

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA