再生可能エネルギーの取り組み|現状と方針、普及に向けた課題を解説

目次

太陽光や風力などの再生可能エネルギーを普及させるための取り組みは、世界的な規模で必要とされています。日本でも、国や自治体、各企業が再生可能エネルギーの普及に積極的に取り組んでいる姿勢を見せています。

この記事では、再生可能エネルギーの取り組みについて、日本のエネルギー政策に関する基本的な方針から普及状況、現状と今後の見通し、課題をまとめて解説します。再生可能エネルギーに興味がある人は、ぜひ参考にしてください。

世界的な取り組みの中心に位置する「再生可能エネルギー」とは?

再生可能エネルギーは、自然の力を利用する持続可能なエネルギーとして注目されてきました。再生可能エネルギーは、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料とは異なり、燃焼させることなくエネルギーを生み出します。二酸化炭素を排出しないので、二酸化炭素の排出量を抑える世界的な取り組みの中心に位置するものです。

エネルギー安全保障にも役立つ再生可能エネルギーは、重要な低炭素の国産エネルギー源になることでも期待されています。

再生可能エネルギーの種類と各々の取り組み

再生可能エネルギーは、大きく分けると太陽光発電、風力発電、地熱発電、中小水力発電、バイオマス発電の5つの種類に分類されます。ここでは、それぞれのメリット・デメリットや取り組みの概要を解説します。

(1)太陽光発電の取り組み

太陽光発電は、日本を代表する再生可能エネルギーの1つで、太陽光がシリコン半導体に当たると電気が発生する現象を利用しています。太陽電池(半導体素子)によって光エネルギーを直接電気に変換し、ソーラーパネルの設置だけで手軽に導入可能なのがメリットです。

そのため、個人や中小企業を中心に、送電設備がない遠隔地や非常用電源としての活用も進んでいます。

一方で、発電量が天候に左右されやすいというデメリットやコストの課題があります。これに対し、荒廃農地や空港などの適地確保、発電コスト低減、新型の軽量で柔軟な太陽光電池の開発など、新たな導入モデルの取り組みが推進されています。

(2)風力発電の取り組み

風力発電は、風が風車を回す力を利用して電気エネルギーに変換する仕組みで、変換効率がよく、昼夜問わず発電が可能なのがメリットです。欧米諸国では再生可能エネルギーの象徴として導入が進む一方、日本では開発コストのデメリットや設置場所の課題があります。

そのため、発電量の安定化やコスト低減を目指す取り組みが進行中です。特に海上に設置する洋上風力発電が注目されており、浮体式洋上風力発電システムの実証研究など、新技術による普及が期待されています。

(3)バイオマス発電の取り組み

バイオマス発電は、動植物由来の生物資源や廃棄物を燃焼やガス化により発電燃料として活用する方法です。

未利用の廃棄物を再利用することで、廃棄物の削減や循環型社会の構築に貢献します。一方、小規模分散型設備が多くなる点がデメリットであり課題です。具体例として、廃棄物処理施設で汚泥をメタンガスに変換し、工場内で電力や熱エネルギーとして再利用する取り組みが進められています。

(4)水力発電の取り組み

水力発電は純国産の再生可能エネルギーで、ダムだけでなく河川や農業用水、上下水道を利用した発電も行われています。運用コストが安価で安定的に発電できるメリットがある一方、ダム建設などの初期費用が高いことがデメリットや課題です。

最近では、らせん水車を活用した発電所やマイクロ水力発電設備を導入した小規模な発電所の設置が進み、地域の特性を活かした取り組みが注目されています。

(5)地熱発電の取り組み

地熱発電は地球内部の熱を利用する純国産エネルギーで、日本の火山地帯という特性を活かした安定した発電が特徴です。主に東北や九州で発電所が設置され、昼夜を問わず稼働できるほか、高温蒸気や熱水の再利用が可能な点がメリットです。

近年では、従来よりも低温の熱源を利用できる「バイナリー発電」の技術開発が進み、さらなる普及が期待されています。 

日本の再生可能エネルギーの取り組み、現状と割合

日本の再生可能エネルギーの取り組みの現状を、導入割合やエネルギー自給率の低さなどの課題も合わせて解説します。

日本の再生可能エネルギー導入の現状と割合

日本は資源に乏しく、エネルギー供給の8割以上を石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料に依存し、そのほとんどを輸入に頼っています。このため、2020年度時点のエネルギー自給率は11.3%とOECD諸国のなかでも低く、韓国に次いで34位です。

再生可能エネルギーの導入は進んでおり、2022年度の電力消費全体の22.7%を占めます。内訳は、太陽光発電が9.9%、水力発電が7.1%、バイオマス発電が4.6%、風力発電が0.9%、地熱発電が0.3%です。特に太陽光と水力発電が全体の約40%を占めており、日本の再生可能エネルギーの中心的存在となっています。

※参考:安定供給 | 日本のエネルギー 2022年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」 |広報パンフレット|資源エネルギー庁
※参考:2022年の自然エネルギー電力の割合(暦年・速報) | ISEP 環境エネルギー政策研究所

エネルギー自給率が低い日本の問題の現状と課題

日本のエネルギー自給率が低いことは、国際情勢の変動による燃料価格や電気料金の上昇を通じて景気に大きく影響を及ぼします。再生可能エネルギーの導入が進まない主な理由は、コストの高さです。化石燃料による発電コスト(10.7〜12.5円/kWh)に比べ、日本の再生可能エネルギー発電コストは最大30.0円/kWhと高額です。

特に太陽光パネルや風力発電機の調達コストが諸外国の約1.5倍、設置工事費は1.5〜2倍とされることが大きな課題となっています。このため、コスト削減と効率的な導入が急務とされています。

※参考:資源エネルギー庁がお答えします!~再エネについてよくある3つの質問|エネこれ|資源エネルギー庁

再生可能エネルギーの導入メリット

再生可能エネルギーの導入により、化石燃料への依存を減らし、エネルギー自給率を向上させることが可能です。また、温室効果ガスを削減し、地球温暖化対策を進める重要な手段となります。さらに、発電施設の整備や都市部への電力供給は、地域活性化や新たな雇用の創出につながります。

再生可能エネルギーは、災害時や非常時に安定したエネルギー供給を可能にし、環境負荷が少なく持続可能で枯渇の心配がないため、未来のエネルギー源としても有望です。

再生可能エネルギーを普及させるための日本の方針と取り組み

ここでは、再生可能エネルギーをさらに幅広く深く普及させるための日本政府の方針と、現在の取り組みを解説します。

日本の再生可能エネルギーに関する基本方針「3E+S」(エネルギーミックス)

日本政府は、エネルギー政策の基本方針として「3E+S」を掲げています。「Safety(安全性)」を最優先しながら、エネルギー政策の3つの柱である「Energy Security(エネルギー安全保障)」「Economic Efficiency(経済効率性)」「Environment(環境適合性)」を同時に達成することを目指すものです。

その実現に向けて、各エネルギー源の強みを活かし、弱みを補うエネルギーミックスを推進しています。2030年度までに、温室効果ガス排出量を2013年度比46%削減する目標を掲げ、再生可能エネルギーの導入や効率的なエネルギー利用を進めています。

1.Energy Security(エネルギー安全保障):安定供給

「3E+S」のEnergy Security(エネルギー安全保障)は、2030年度までにエネルギー自給率を東日本大震災前の約20%を超える25%程度に引き上げ、安定供給を目指す方針です。

2.Economic Efficiency(経済効率性):電力コスト

「3E+S」のEconomic Efficiency(経済効率性)は、2030年度までに電力コストを2013年度の9.7兆円から9.5兆円に引き下げ、経済的な負担軽減を目指す方針です。

3.Environment(環境適合性):温室効果ガス排出量

「3E+S」のEnvironment(環境適合性)は、2030年度までに温室効果ガスの排出量を2013年度比で26%削減する目標を掲げています。これは、欧米諸国に遜色ない水準の削減目標であり、再生可能エネルギーの導入促進やエネルギー効率の向上を通じて、持続可能な社会の実現を目指す方針です。

FIT制度・FIP制度や補助金

日本政府は再生可能エネルギーの普及を促進するため、2012年に固定価格買取制度(以下「FIT制度」という。)を導入しました。この制度は、再生可能エネルギーで発電された電力が一定価格で買い取られることが保証され、安定した収益を発電事業者に提供するものです。

さらに、2022年からフィードインプレミアム(以下「FIP制度」という。)が開始され、電力の市場価格に一定の補助額を上乗せした価格で電力を買い取る仕組みを導入しました。市場原理を活用しつつ再生可能エネルギーの普及を支援するものです。また、補助金制度も活用され、設備導入や技術開発への資金支援が行われています。

2030年度に向けた日本の方針

日本は2030年度までに、発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合を2019年度の18%から22〜24%に引き上げる目標を掲げました。具体的には、水力が8.8〜9.2%、太陽光が7.0%、バイオマスが3.7〜4.6%、地熱が1.0〜1.1%とされています。

また、陸上・洋上風力発電の拡大を推進し、全体の発電容量の底上げを目指す方針です。さらに、地域ごとの取り組みを強化するため、100以上の「脱炭素先行地域」を設立し、持続可能なエネルギー社会の実現を目指しています。

2050年度に向けた日本の方針

日本は2020年10月に、2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を目指す目標を掲げました。カーボンニュートラルとは、地球温暖化の主因である二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を削減し、吸収量で相殺して実質ゼロにすることを意味します。

この目標を達成するため、再生可能エネルギーの使用を増やすことが鍵となります。また、原子力発電など他の低排出電源との組み合わせも進め、持続可能で環境に優しいエネルギー社会を構築する方針です。

再生可能エネルギーを普及させる自治体の取り組み

日本では、国だけでなく地方自治体も再生可能エネルギーの導入を積極的に支援しています。例えば、東京都はほぼ全ての新築住宅に太陽光パネルの設置を義務化する制度を導入しました。

また、自治体ごとに再生可能エネルギー施設の設備費を支援する補助金を交付し、発電施設の建設に必要な土地の提供を行うなど、地域の特性を活かした取り組みが進められています。これにより、エネルギーの地産地消や地域活性化が期待されています。

## 再生可能エネルギー導入拡大のための取り組みと課題点

再生可能エネルギー導入に際して、さらに拡大させるための取り組みと普及に向けた課題点を解説します。

発電コストを安くする

再生可能エネルギーの導入拡大には発電コストの低下が不可欠です。特に、太陽光発電のコストは世界標準で2009年の約35円/kWhから2017年には約10円/kWhにまで大幅に下がりましたが、日本国内では依然として高コストが普及の障壁となっています。

これを解決するため、発電設備の効率化や製造・設置コストの削減など、競争力のある水準まで発電コストを引き下げる低コスト化の取り組みが進められています。 

需要と供給バランスの制御

再生可能エネルギーの導入拡大には、需要と供給のバランス制御が課題となります。天候や季節による発電量の変動が大きく、市場価格の先行きも不透明なため、柔軟で効率的な調整が必要です。

これに対応するため、直流から交流に変換する機器の技術開発や、大量の電力を蓄える蓄電池の普及が重要です。また、再生可能エネルギーと従来の送電システムを統合し、各エリア内で需給を均衡させる仕組みを構築することが求められます。

まとめ

日本の再生可能エネルギーの取り組みについて、日本のエネルギー政策に関する基本方針や普及状況、現状と今後の見通し、課題を含めて幅広く解説しました。太陽光や風力、バイオマス発電などの再生可能エネルギーを普及させるため、国や自治体、各企業が積極的な取り組みを多方面から展開しています。

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執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA