カーボンニュートラルの市場規模は?成長予測や業界別の取り組みなど解説 

目次

カーボンニュートラル市場は、再生可能エネルギー、水素エネルギー、蓄電技術、カーボンキャプチャー技術など、幅広い分野で急成長を遂げています。カーボンニュートラルの市場規模は、一体どの程度なのでしょうか。本記事では、カーボンニュートラルの市場規模について詳しく解説します。ぜひ、参考にしてください。 

カーボンニュートラルの市場規模はどのくらい? 

カーボンニュートラル市場には、さまざまなエネルギー・技術があります。具体的には、再生可能エネルギー、水素エネルギー、蓄電技術、カーボンキャプチャー技術などの幅広い分野があり、急成長を遂げています。 

2022年時点では、世界のカーボンニュートラル市場規模は約103億1,000万ドル(約1兆5,400億円)と推定されており、2030年には2倍以上の規模になると予測されます。 

※参考:カーボンニュートラル市場規模、シェア|2032年までの業界予測 

そもそもカーボンニュートラルとは 

カーボンニュートラルとは、人間の活動によって排出される温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることによって、実質的な排出ゼロを目指す取り組みのことです。温室効果ガスとは、主に二酸化炭素(CO2)を指します。具体的な施策としては、植林や再生可能エネルギーの導入や炭素回収・貯留技術(CCS)活用などが挙げられます。 

政府のカーボンニュートラル政策と目標 

日本政府では、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「2050年カーボンニュートラル」を目標としており、以下のような施策を行っています。 

・グリーン成長戦略の策定 
再生可能エネルギーの導入拡大や水素エネルギー活用による水素社会の構築、省エネルギー技術の推進といった14の重点分野における成長戦略の策定 

・再エネの主力化 
2030年までに電力供給に占める再生可能エネルギーの割合を36~38%に引き上げることを目標として掲げ、太陽光や風力発電といった再エネ設備の導入を支援 

・カーボンプライシングの導入検討 
炭素税や排出量取引制度などの、炭素排出を削減するための価格メカニズムの検討によって、企業の脱炭素化促進 

・地域での取り組み支援 
ゼロカーボンシティの推進や地産地消による再生可能エネルギー活用、自治体新電力の設立などの支援 

カーボンニュートラル市場の成長予測

カーボンニュートラル市場は、今後どのようになっていくと考えられているのでしょうか。ここでは、2021年度から2050年度までの市場規模予測と再生可能エネルギーや水素エネルギーの市場拡大について解説します。 

2021年度から2050年度までの市場規模予測 

日本政府では、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目標としています。目標達成のために、エネルギー・産業部門の構造転換はもちろんのこと、大胆な投資によるイノベーション創出が求められています。 

経済産業省の資料によると、具体的な市場規模の予測として2050年に向けたカーボンニュートラル達成のためのシナリオ分析が進められています。この分析によると、再生可能エネルギーや水素エネルギーの導入および拡大が、カーボンニュートラル達成には重要だとされています。 

再生可能エネルギーや水素エネルギーの市場拡大 

再生可能エネルギーはカーボンニュートラル実現の鍵となる非常に重要な要素です。そのため、再生可能エネルギーの導入が加速化しています。特に、太陽光発電や風力発電の普及が進んでおり、今後も増えていくと考えられます。 

しかし、電力需要の増加に再生可能エネルギーの供給が追いついていないことは事実でしょう。電力需要に対応するために、水素エネルギーはカーボンニュートラル実現に向けた次世代エネルギーとして期待されており、2024年5月に「水素の社会実装を強力に推進していくための法律(水素社会促進法)」が成立しています。 

※参考:014_01_00.pdf

業界別のカーボンニュートラルへの取り組み 

カーボンニュートラルの取り組みはさまざまです。ここでは、CO2排出が多い業界とされるエネルギー業界・自動車業界・鉄鋼業界・建築業界が実施している、カーボンニュートラルへの取り組みについて詳しく解説します。 

1. エネルギー業界 

エネルギー業界では、太陽光や風力、水力といった再生可能エネルギーの導入拡大を進めています。太陽光などを利用したクリーンエネルギーを促進することで、CO2排出量の削減を実現しています。 

また、水素エネルギーを次世代のエネルギー源として活用するための施策も行っているようです。具体的には、水素の製造や利用に関する技術開発、輸送や貯蔵技術の発展やコスト削減などが挙げられます。 

2. 自動車業界 

自動車業界では、自動車の電動化が急速に進められています。従来の化石燃料であるガソリンを使うガソリン車から電気で走る電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)への転換を行っているのが特徴です。 

トヨタや日産を始めとする国内の主要メーカーでは、2030年代までに電動車をメインとするという目標を掲げており、電動車の開発や販売に力を入れています。また、水素社会の実現に取り組むメーカーもあります。 

3. 鉄鋼業界 

鉄鋼業界では、従来の化石燃料を使用する製鉄プロセスから、再生可能エネルギーを使用する製鉄プロセスへの見直しが図られています。また、水素を活用する新技術によってCO2の排出を削減する取り組みやバイオマス活用など、複合的な取り組みが行われています。 

今後は、排出されたCO2を回収して資源として再利用するカーボンリサイクル技術の導入も検討されているようです。カーボンリサイクルはカーボンニュートラルの鍵となる技術ともいわれており、これによって大気中へのCO2の排出を抑制することが可能です。 

4. 建設業界 

建設業界では、建物のエネルギー収支をゼロにするゼロエネルギービル(ZEB)の普及を進めています。一般的に行われている例としては、省エネルギー技術と再生可能エネルギーを活用することで、建物のエネルギー消費とエネルギーの創出を均衡させ、エネルギー消費を実質ゼロにする取り組みなどです。 

また、鉄筋コンクリートではなく木造建築を活用してCO2を吸収・固定する方法も注目を集めており、木造建築の需要も高まっています。 

カーボンニュートラル実現に向けた課題 

カーボンニュートラルの実現には、いくつかの課題があります。主な課題は、以下のとおりです。 

・再生可能エネルギーの開発・普及が難しい 
・排出基準の設定による国際的な格差 
・温室効果ガス排出量の正確な検証が難しい 

ここでは、それぞれの課題について詳しく解説します。 

1. 再生可能エネルギーの開発・普及の難しさ

CO2の排出量を削減するには、再生可能エネルギーの導入は欠かせません。しかし、再生可能エネルギーは発電コストや導入コストが高く、天候などの自然条件に左右されるなど不安定です。そのため、普及が進みにくいのが現状です。技術革新によりコストカットも進んでいますが、より安定的に供給できる仕組み作りが必要です。 

2. 排出基準の設定による国際的な格差

CO2排出量は、通常、生産ベースで算出されます。しかし、先進国の企業が新興国に生産拠点を移転させることも多いです。これにより、先進国のCO2排出量は減少し、新興国の排出量が増加する事態になっています。このため、消費を軸にした排出量算定が提案されていますが、国際的な合意形成が難しく、格差の解消には至っていません。 

3. 温室効果ガス排出量の正確な検証の難しさ

温室効果ガスの排出量を正確に測定することは技術的に難しく、現在は推定して計算しています。このため、排出量の科学的な裏づけ、根拠が弱いと指摘されるケースも多いです。また、オフセットプロジェクトへの過度の依存も問題視されており、正確な検証方法、測定方法の確立が必要です。 

企業がカーボンニュートラルに取り組むメリット 

カーボンニュートラルに取り組むことで、企業はどのようなメリットを得られるのでしょうか。 

・企業イメージ、信頼性の向上
・コスト削減 
・投資機会の拡大 
・リスク管理の強化 
・ビジネスチャンスの創出 

ここでは、各メリットについて解説します。 

1. 企業イメージと信頼性の向上 

カーボンニュートラルを実現するための取り組みは、環境問題に対する意識の高さや真摯な姿勢を社会に対して示すことにつながります。SDGsなどへの意識の高まりとともに、消費者や取引先の多くは環境保護に積極的な企業を支持する傾向が強いです。特に、若い世代の購買層ではその傾向が強く、カーボンニュートラルに取り組むことで選ばれやすくなります。 

また、環境に配慮した経営を積極的に行うことで企業イメージや信頼性が高まり、グローバル市場での競争力向上も見込めるでしょう。 

2. コスト削減 

カーボンニュートラルへの取り組みを行うことで、長期的に見るとコスト削減にもつながります。たとえば、使用するエネルギーを再生可能エネルギーへ切り替える、省エネルギー型設備を整えるなどすることで、環境負荷を低減しながら電力や燃料コストの削減が可能です。 

また、効率的な生産プロセスを導入することにより、エネルギー消費量を抑制しつつコストカットもできます。エネルギーコストが減るため、経済的なメリットも得られます。

3. 投資機会の拡大 

カーボンニュートラルを実現しようとする企業は、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の対象として注目されます。投資家や金融機関は、持続可能な事業に資金提供する傾向が強まっているため、ESGを意識した経営を行うことが重要です。 

環境だけでなく社会や企業による管理体制が整った企業や、環境配慮型の経営を行うことで評価が高まるため資金調達がしやすくなります。 

4. リスク管理の強化 

カーボンニュートラルに取り組むことによって、気候変動におけるリスク軽減につながります。CO2を始めとした温室効果ガスは地球温暖化の要因となり、海面上昇や生態系の変化などさまざまな悪影響を及ぼします。そのため、CO2排出を抑制する規制などが設けられました。 

具体的には、温室効果ガス排出に対する規制が強化されているため、早期に対応しておくとよいでしょう。早期対応によって罰則や税負担などを回避できるため、余計なコストをかけるリスクが下がります。 

5. 新たなビジネスチャンスの創出 

環境問題への取り組みは、新しい市場や今までとは異なる顧客層の開拓にもつながるでしょう。たとえば、エコな商品やサービスの開発、環境問題の解決などにつながるグリーン技術の提供、再生可能エネルギー関連のビジネス展開など、さまざまなビジネスにつながる可能性があります。 

環境問題は深刻化しているため、環境に配慮した商品やサービスを開発、展開することで、大きな利益を得られるでしょう。 

まとめ

カーボンニュートラルの市場は急成長を遂げており、市場規模は拡大を続けています。カーボンニュートラルに取り組む企業も増えており、特にCO2の排出が多いエネルギー業界や自動車業界、鉄鋼業界などでは脱炭素に向けた取り組みを実施しているのが現状です。 

カーボンニュートラルに取り組むことで、企業イメージの向上やコスト削減などのメリットも得られます。 

ゼロ炭素ポートでは、自社だけではなく他社ソリューションとも協力しながら、お客さまのニーズに応えるサイトです。カーボンニュートラルに関する情報やソリューションなどを提供しています。カーボンニュートラルに対する取り組みをお考えなら、お気軽にご相談ください。 

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA