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省エネ対策&方法・補助金紹介!化学工場編

作成者: 高牟礼昇|2024年10月31日

執筆者プロフィール

高牟礼昇

Noboru Takamure

オーストラリア最古の大学であるシドニー大学のSchool of Physicsで研究員として勤務し、ガラスや次世代太陽電池と言われているペロブスカイト太陽電池、水素の電気分解などカーボンニュートラルに関係する分野の研究を行う。現在はシドニー大学の客員研究員として研究を行う傍ら、山梨県で研究開発サービスを行う株式会社マッケンジー研究所を設立し研究開発サービス及び脱炭素コンサルティングなどを行っている。

製造コストを下げる方法として省エネがあります。省エネはエネルギーを効率的に利用できる省エネ設備の導入などにより実施することができますが、一方で省エネ設備導入コストが製造コスト削減分を上回ると導入できないため、これまで省エネ設備導入の敷居は高くなっていました。しかし、近年のカーボンニュートラルの流れにより、GHG排出削減の必要性が追い風となっていること、補助金が充実していることにより、省エネ設備導入の敷居が低くなっています。省エネには製造コスト削減に加えてGHG排出削減の効果がありますので、省エネにより製造コストとGHG排出両方の削減の効果が期待できるようになっています。

本記事は、化学工場の省エネ方法や実施事例、省エネに関する補助金情報を解説いたしますので、化学工場の設備導入担当者様や脱炭素担当者様は是非とも参考にしてみてください。

1. 省エネ対策で得られるメリット

省エネは燃料や電気の使用量を削減することでエネルギーコストの削減が期待できる上に、GHGの削減も同時に行えるというメリットがあります。また、GHG排出量を削減すると、環境に配慮した企業としてPRでき、企業のイメージアップにもつながります。ここでは企業が省エネを行うメリットについて解説いたします。

1-1. なぜ今企業に省エネが求められる?

これまでは企業が省エネを行う理由として、製造コストを下げることが挙げられました。特に化学工場においては、製品製造のために大量の燃料や電気が必要になり、エネルギーコストがかかっています。このエネルギーコストを下げるために、これまで様々な技術が開発されており、省エネ生産設備として導入されてきました。

一方で、省エネ設備の価格が高すぎると、せっかく省エネできても高価な省エネ設備導入により製造コストが高くなってしまう可能性があるので、長い目で見て初期投資を回収できる範囲でしか省エネ設備への投資は出来ませんでした。

しかし、近年の世界的な脱炭素の流れにより、排出量取引制度などを通してGHG排出削減量に対して価格が付くようになりつつあります。省エネ設備を導入することは、エネルギーコストの削減と共にGHGの排出削減に繋がるため、両者を組み合わせることで初期投資がより回収しやすくなります。また、カーボンニュートラル実現へ向けた補助金も増えているため、補助金を上手く利用することで省エネ設備を導入しやすくなります。

カーボンニュートラルは法律面でも進んでおり、2023年の省エネ法改正により、省エネの強化や非化石エネルギーの導入が推進されるなど、化学業界でも対応が迫られています。他にも、バリューチェーンの上流企業からの要望・グリーン購入(省エネ基準を満たすものの購入など)の徹底が進められていることもあり、様々な方面から省エネの推進が行われるようになっています。

1-2. 省エネによる直接的なメリット 

省エネによる直接的なメリットに、エネルギーコストを削減することが挙げられます。省エネ設備導入により使用するエネルギーが少なくて済みますので、製造コストとGHG排出量の削減に繋がります。また、日本政府は2050年のカーボンニュートラル達成を目標に掲げています。このため、GHG排出削減実現に向けた省エネに関する補助金が充実してきています。省エネ設備を導入する際に補助金が得られれば、その分導入コストが削減できるため、初期投資の回収が容易になります。つまり、省エネを行う際には、補助金を利用して省エネ設備導入を行うと共にエネルギーコストの削減を行うことで製造コストの削減という直接的なメリットが得られます。

1-3. 省エネによる間接的なメリット

省エネによる間接的なメリットとして、カーボンプライシングに有利に働くことが挙げられます。資源エネルギー庁の定義では、カーボンプライシングとは、「企業などの排出するCO2(カーボン、炭素)に価格をつけ、それによって排出者の行動を変化させるために導入する政策手法」となっています。

出典:環境エネルギー省 (https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/carbon_pricing.html

代表的なカーボンプライシングには排出量取引制度と炭素税が挙げられます。排出量取引制度では、企業にCO2排出枠が割り振られます。そして、この排出枠を下回った分は排出権として売却できるため、省エネを推進することでCO2の排出を排出枠内に抑えることが出来る上、下回った分を売却することで利益が得られます。この排出量取引制度は2026年から本格導入される見込みとなっています。

もう一つの炭素税については、すでに一部導入されていますが将来的に本格導入される可能性が高いです。炭素税はCO2排出量に対して課税されます。このため、省エネを推進することで、将来炭素税が本格導入された際に高い節税効果が得られることになります。

また、省エネによりCO2排出削減を行うことで、例えばCDPの質問書への回答に対して高評価が得られる、SBTiへ参加できるなど、気候変動対策を行っている企業という名声が獲得できます。

さらに、サプライチェーン排出量の削減にもつながると共に、従来の経営に脱炭素の視点を組み込んだ脱炭素経営に移行しやすくなるなど、様々な間接的なメリットが期待できます。

出典:https://japan.cdp.net/

出典:SBT | 脱炭素用語集 | ゼロ炭素ポート (zerotansoport.com)

脱炭素経営を実践するために重要な3つのステップ | ゼロ炭素ポート (zerotansoport.com)

2. 化学工場の省エネ対策

大型の化学工場になると広大な敷地内に様々な設備があるため、ボイラや炉を使用して加熱する設備から、成分分離、化学物質の合成を行う設備、冷却や電気分解、搬送を行う設備まで、製造している化学物質の種類の分だけ多種多様にあります。これに伴い、省エネの方法もたくさんあるため、省エネを始めたいけどどうすればいいのか分からない化学工場の設備導入担当者様や脱炭素担当者様も多いのではないでしょうか。このような場合には他社の事例が参考になるでしょう。ここでは、多くの化学工場が取り組んでいる省エネ手法をご紹介いたします。 

2-1.化学工場の設備を省エネ

省エネを考えた時に、真っ先に頭に思い浮かぶことは高効率の設備導入ではないでしょうか。それまで使用してきた旧式の設備を高効率の最新設備にスクラップ&ビルドすることにより、エネルギー使用量の削減が可能になります。

他にも、発電機のある工場では、コージェネレーションを導入することによりエネルギー効率を上昇させることができます。コージェネレーションは発電により生じた熱を回収し、再利用することで、エネルギー使用効率を上昇させるシステムです。

2-2.化学工場の製造工程を省エネ

これまでの製造工程を見直すことや、デジタル化やAI導入を行うことで無駄な工程やエネルギー使用量を削減できる可能性があります。生産設備の配置の最適化など、無駄をなくすことにより省エネが行えます。これにより、歩留まりの改善などの副次的な効果も期待できます。

2-3.化学工場の太陽光発電設備導入による省エネ

化学工場の屋根や敷地内などの空いた土地に太陽光発電設備を導入することも省エネ対策として挙げられます。再生可能エネルギーを利用し、自社で発電した電気を使用するために省エネと言えます。近年は工場の屋根などに太陽光パネルが設置されている様子をよく目にするようになっていますが、この一因としてPPAモデルの浸透があります。

PPAは「Power Purchase Agreement」の略で、「電力購入契約」を意味します。PPA事業者が契約者とPPAを結んだ場合、PPA事業者が太陽光発電設備を契約者の敷地内に設置する上、メンテナンスも行うため契約者側は初期費用ゼロ、メンテナンスフリーで太陽光発電設備を導入することが可能になります。近年では、事業者向けの大規模PPAサービスが増えているため、PPAを活用することで工場などの広大なスペースに大規模な太陽光発電設備を容易に設置できるようになっています。

この太陽光発電設備を活用して発電を行い、発電で得られた電気を工場内で使用することで化学工場のZEB化が行えます。

参考記事:PPAモデルの太陽光発電で企業の脱炭素への1歩を後押し|株式会社ヒナタオエナジーインタビュー | ゼロ炭素ポート (zerotansoport.com)

2-4.化学工場のZEB化による省エネ

建物の省エネ方法にZEBがあります。資源エネルギー庁のZEBの定義では、「先進的な建築設計によるエネルギー負荷の抑制やパッシブ技術の採用による自然エネルギーの積極的な活用、高効率な設備システムの導入等により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギー化を実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、エネルギー自立度を極力高め、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した建築物」となっています。つまり、建物内省エネを行うことでエネルギー使用量を削減すると共に、建物内で使用するエネルギーに再生可能エネルギーを使用することで、年間のエネルギー収支をゼロにすることを目指した建物がZEBになります。

建物をZEB化することで、建物の使用による排出が無くなるため、カーボンニュートラルに向けて日本政府はZEB化を強く推進しています。このため、建物をZEB化することで補助金などの特典が得られます。エネルギー使用量が少なく、広い敷地内に太陽光発電設備を導入できる工場はZEB化できる可能性がありますので、ZEB化検討の価値があります。

出典:https://www.env.go.jp/earth/zeb/detail/01.html

2-5.化学工場の照明・空調を省エネ

工場内では多数の照明や空調が使用されていますが、これらの省エネは実施の敷居が低く比較的取り組みやすいです。

例えば、照明は蛍光灯からLEDへと変更することで、同じ照度でも消費電力を削減できます。また、使用しないときには消灯すればその分省エネになりますが、消灯と点灯を人の手で行うと手間がかかります。しかし、近年のAIやIoTの発展により、照明の消灯のタイミングを自動制御し、最適化できるようになっています。このLEDとAIにより自動制御の組み合わせにより照明の大幅な省エネが実現できます。

参考記事:https://article.murata.com/ja-jp/article/advanced-iot-lighting

空調の省エネは、省エネタイプの空調の導入や設定温度の変更、こまめな清掃などを行うことで可能です。また、空調に関してもAIを活用した自動制御による最適化技術が開発されており、快適性を維持しつつ省エネを行っています。空調の消費エネルギーの管理や需要の予測、温度管理や稼働状況、人流の把握などを通して、快適性を維持しつつ省エネを行います。このように、将来的には照明と空調の両方で自動制御による省エネが進んでいくと考えられます。

参考記事:https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2024/05/0516a.html 

2-6.化学工場の省エネ対策に利用できる補助金

ここでは化学工場の省エネに関する補助金をご紹介いたします。全ての補助金を網羅することは難しいので一部のご紹介になりますが、この点をご容赦ください。

・資源エネルギー庁による省エネルギー投資促進に向けた支援補助金

資源エネルギー庁では省エネ設備導入や電化に関する補助金として、省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金と省エネルギー投資促進支援事業費補助金が用意されています。令和5年度の省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金の予算額は910億円、省エネルギー投資促進支援事業費補助金の予算額は250億円となっています。

以下に省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金(Ⅰ)、(Ⅱ)、(Ⅳ)と省エネルギー投資促進支援事業費補助金(Ⅲ)、(Ⅳ)の内容を表にまとめました。(Ⅳ)は他の各型との組み合わせでも、単体でも使用可能です。

事業区分 事業概要 補助対象経費 補助率及び限度額
(Ⅰ)工場・事業場型
(生産ラインの入れ替えや集約など、工場・事業場全体で大幅な省エネ化を測るものを補助)
工場・事業場全体で、機械設計が伴う設備又は事業者の使用目的や用途に合わせて設計・製造する設備、先進型設備等の導入を支援 設備費・設計費・工事費 中小企業等
1/2以内(先進型設備等を導入し、先進要件のいずれかを満たした場合、2/3)
大企業その他
1/3以内((先進型設備等を導入し、先進要件のいずれかを満たした場合、1/2以内)
【上限】15億円/年度(非化石転換は20億円/年度)
【下限】100万円/年度
(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型
(主に中小企業の活用を念頭に、脱炭素につながる電化や燃料転換を伴う設備更新を補助)
化石燃料から電気への転換や、より低炭素な燃料への転換等、電化や脱炭素目的の燃料転換を伴う設備等の導入御支援 設備費(電化の場合は付帯設備も対象) 1/2以内
【上限】3億円/年度(電化の場合5億円)
【下限】30万円
(Ⅲ)設備単位型
(より中小企業が使いやすいように、リストから選択する機器への更新を補助)
予め定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、補助対象設備として登録及び公表した指定設備を導入 設備費 1/3以内
【上限】1億円
【下限】30万円
(Ⅳ)エネルギー需要最適化型(申請単位で、「EMSの制御効果と省エネ診断等による運用改善効果」により、
原油換算量ベースで省エネルギー率2%以上を満たす事業)
SIIに登録されたエネマネ事業者と「エネルギー管理支援サービス」を契約し、 SIIに登録されたEMSを用いて、より効果的に省エネルギー化及びエネルギー需要最適化を図る 設計費・設備費・工事費 中小企業者
1/2以内
大企業、その他
1/3以内
【上限額】1億円/事業全体
【下限額】100万円/事業全体

(Ⅲ)の設備単位型では、ユーティリティ設備や生産設備のリストが準備されており、このリストに該当する設備を導入する際に適用されます。

(Ⅳ)は、補助金事業を実施している団体である環境共創イニシアチブに予め登録されているエネマネ事業者と「エネルギー管理支援サービス」を契約し、EMS(エネルギーマネジメントシステム)機器の導入する際に適用されます。

詳細は資源エネルギー庁及び環境共創イニシアチブのサイトをご覧ください。

出典:各種支援制度 | 省エネ関連情報 | 省エネポータルサイト

ⅢⅣ事業|省エネ設備への更新支援(省エネ補助金)

環境省では、一部農林水産省・経済産業省・国土交通省と連携して「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」を行っています。この「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」の中には、「ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業」と「LCCO2削減型の先導的な新築ZEB支援事業」とZEBに関する二つの補助金事業があります。これらの補助金事業は、2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、建物から排出されるGHGの削減を行うために、省エネ及び創エネによる建物のZEB化を推進するために行われています。

・ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業

「ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業」では、既存、新築建築物のZEB化普及促進に資する高効率設備導入等を導入する際に補助金が支給されます。補助率は下の表の通りZEBの種類と延べ面積により異なっています。

延べ面積 新築建築物 既存建築物
2,000㎡未満 『ZEB』 1/2
 Nearly ZEB 1/3
 ZEB Ready 対象外
『ZEB』 2/3
 Nearly ZEB 2/3
 ZEB Ready 対象外
2,000㎡~10,000㎡ 『ZEB』 1/2
 Nearly ZEB 1/3
 ZEB Ready 1/4
『ZEB』 2/3
 Nearly ZEB 2/3
 ZEB Ready 2/3
10,000㎡以上 『ZEB』 1/2
 Nearly ZEB 1/3
 ZEB Ready 1/4
 ZEB Oriented 1/4
『ZEB』 2/3
 Nearly ZEB 2/3
 ZEB Ready 2/3
 ZEB Oriented 2/3

ZEBは省エネと創エネ量によりZEB、Nearly ZEB、ZEB Ready、ZEB Orientedの4種類にランク分けされています。

画像出典:ZEBの定義 | 環境省「ZEB PORTAL - ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ゼブ)ポータル」

・LCCO2削減型の先導的な新築ZEB支援事業

「LCCO2削減型の先導的な新築ZEB支援事業」では、ZEB化に資するシステム・設備機器等の導入費用について補助金が支給されます。ZEB Ready基準以上の省エネルギー性能を満たした上で、事業と同様にエネルギー管理体制の整備、ZEBリーディング・オーナーへの登録、ZEBプランナーの関与等がある上で、LCCO2(ライフサイクルCO2)の算出及び削減、再エネの導入等が要件となっており、採択時には付随する運用時の先導的な取組も評価されます。ZEBランクによる補助率は以下の表の通りです。

ZEBランク 補助率
ZEB 3/5
Nearly ZEB 1/2
ZEB Ready 1/3

出典:zeb.pdf (env.go.jp)

ZEBの定義 | 環境省「ZEB PORTAL - ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ゼブ)ポータル」

・地方自治体の省エネに関する補助金

省庁のみではなく、地方自治体でも様々な省エネに関する補助金が準備されています。これらの内、2024年度に実施された補助金の一部をご紹介いたします。是非とも自社の事業所所在地の自治体のホームページ等で補助金を探してみてください。

実施団体 上限金額 補助金内容
兵庫県高砂市 1,000万円 再生可能エネルギー設備又は省エネルギー設備の導入に要する経費の一部を予算の範囲内において補助
滋賀県守山市 100万円 再生可能エネルギーの積極的な導入の促進と省エネルギー化の推進を目的に、太陽光発電システム、蓄電池システム、その他の省エネルギー設備等を導入する事業所を対象に、設備の導入・設置にかかる費用の一部を助成
福岡県福岡市 900万円 事業所の省エネルギーに係る取組みを推進するため、省エネルギー設備(高効率照明設備(LED照明)、高効率空調設備、高機能換気設備)の設置経費を一部助成
熊本県荒尾市 200万円 高効率空調設備および高効率照明設備の導入への補助
北海道帯広市 100万円 省エネ設備への入替に必要な経費の一部を助成
岐阜県山県市 500万円 再生可能エネルギーや省エネルギー設備の利用促進を図るため、事業所向けの太陽光発電設備などの設置や高効率機器の入れ替えに対して、予算の範囲内で補助金を交付
東京都 1000万円 2050 年ゼロエミッション東京の実現に向け、中小企業等の更なる省エネルギー化を推進するため、事業所や工場等から発生する廃熱等を有効利用する設備の導入を支援
埼玉県本庄市 100万円 地球温暖化対策として事業所内でエネルギーを用する目的で、創エネや蓄エネなどの設備を導入する場合に補助金を交付

出典:高砂市中小事業者脱炭素化設備等導入促進補助金/高砂市 (takasago.lg.jp)

令和6年度 中小企業等再エネ・省エネ設備等導入促進補助金|滋賀県守山市公式ウェブサイト (moriyama.lg.jp)

福岡市 令和6年度 福岡市事業所の省エネ設備導入支援事業 (fukuoka.lg.jp)

事業者用高効率空調機器・高効率照明機器導入補助金の申請受付を開始します - 荒尾市 (arao.lg.jp)

カーボン・マイナス・シティ推進事業用補助金 - 山県市ホームページ (city.yamagata.gifu.jp)

中小・小規模企業 省エネルギー環境整備緊急対策事業 助成金(令和6年9月30日締切)| 帯広市ホームページ 十勝 (city.obihiro.hokkaido.jp)

クール・ネット東京 :東京都地球温暖化防止活動推進センター | 「中小規模事業所向け廃熱有効利用設備導入支援事業」 (tokyo-co2down.jp)

本庄市事業所用エネルギーシステム導入事業補助金/本庄市 (honjo.lg.jp)

スマート補助金 - 日本最大級の補助金、助成金、給付金のポータルサイト (smart-hojokin.jp)

参考記事:脱炭素の補助制度について知ろう! | ゼロ炭素ポート (zerotansoport.com)

3. 化学工場の省エネ事例紹介

ここまでは、化学工場における省エネについて解説してきました。ここでは、これまで化学工場で実際に行われた省エネの事例についてご紹介いたします。

3-1. 株式会社資生堂 掛川工場

株式会社資生堂の掛川工場では、2019年から大幅な省エネを行いました。この取り組みのポイントは3点あり、①全員参加型の省エネシステムの導入及び施策の実行、②徹底した間接プロセスエネルギー使用の削減、③再エネ導入及びエネルギー需要可視化です。この3つを行うことで基準年と比較して9.5%、重油換算で735kL相当の省エネに成功しています。

実際に行われたことは、電力主要系統430か所へ電力計を設置し、エネルギー管理システムを導入すると共に、生産計画と再エネ需要バランス予測システムの導入と運用、生産プロセス別エネルギー可視化などです。

この取り組みにより、経済産業省が後援する2022年度の省エネ大賞の資源エネルギー庁長官賞を受賞しています。

出典:e-all22.pdf (eccj.or.jp)

3-2. トーヨーケム株式会社 川越製造所

トーヨーケム株式会社の川越製造所では、2018年より「省エネモデル建屋QB棟の省エネ活動」が行われていましたが、この取り組みで得られた知見を生産部全体へ拡大しました。この活動により基準年と比較して部門全体で6.3%、原油換算で212kL相当の省エネに成功しています。

具体的に行われた施策は、換気ファンのスケジュール停止、水を循環させるためのチラー設備の設定温度の変更、スチームトラップの集中更新などです。この取り組みにより、2022年度の省エネ大賞の省エネルギーセンター会長賞を受賞しています。

出典:e-all22.pdf (eccj.or.jp)

3-3. 金剛化学株式会社 本社工場

工場内に省エネ設備を導入する際に、補助金が得られる場合があります。金剛化学株式会社の本社工場では、補助金を得ながら大幅な省エネを達成しています。

金剛化学では、本社工場に高効率の蒸気ボイラを6台導入しました。それまではA重油とLPガスを使用するタイプに分かれていたボイラを都市ガス用に統合することで、従来のA重油とLPガスからの燃料転換が行われています。これにより、年間エネルギー使用量の1,291.4kLの内、153.1kLが省エネされており、補助対象設備の省エネ率は11.8%となっています。また、A重油よりも都市ガスの方が燃焼時のCO2発生量が少ないため、この燃料転換においてCO2の排出量も削減されています。

この時、補助対象経費となった4,572万円の内、1/3に当たる1,524万円が補助金として支給されており、補助金を上手く利用して大幅な省エネを行った事例と言えます。

出典:75_kongo-chemical.pdf (sii.or.jp)

4. まとめ

近年はカーボンニュートラルの流れを受けて省エネ設備導入の敷居が低くなっています。化学工場では省エネとして建物のZEB化や太陽光発電設備、省エネ設備、AI管理システムの導入などが行われています。また、省エネはGHG排出削減に繋がるために、設備導入の際に補助金が得られやすくなっています。省エネ設備導入コストが補助金額、エネルギーコスト削減額、さらにGHG削減によるクレジット売却額を下回る場合は再エネ設備の初期コストの回収が可能になりますので、省エネをお考えの化学工場の設備導入担当者様や脱炭素担当者様は最初にこれらのコスト計算をすることが省エネへの第一歩につながります。

執筆者:高牟礼昇