執筆者プロフィール
高牟礼昇
Noboru Takamure
オーストラリア最古の大学であるシドニー大学のSchool of Physicsで研究員として勤務し、ガラスや次世代太陽電池と言われているペロブスカイト太陽電池、水素の電気分解などカーボンニュートラルに関係する分野の研究を行う。現在はシドニー大学の客員研究員として研究を行う傍ら、山梨県で研究開発サービスを行う株式会社マッケンジー研究所を設立し研究開発サービス及び脱炭素コンサルティングなどを行っている。
脱炭素経営において温室効果ガス(GHG)排出量の削減を行う際は、まず自社のサプライチェーンのGHG排出量を測ることからスタートします。サプライチェーンのGHG排出量は業界ごとに傾向があり、その傾向に応じたGHG排出量削減方法を検討する必要があります。本記事では、建設業界にフォーカスを当てて建設業界のサプライチェーンのGHG排出量の傾向を分析し、分析結果をもとにしたGHG排出量の削減方針を業界内で行われている削減取り組みに照らし合わせながら解説します。さらに、脱炭素の先にある建設業界のビジネスチャンスについても紹介します。
建設業界では気候変動に伴う一般的なリスクに加えて業界特有のリスクの発生が予想されており、その対策が求められています。この気候変動に伴う建設業界のリスクについて解説します。
また、気候変動対策として建設業界ではSBT認定の申請数およびTCFDに賛同する企業数が年々増えており、2050年のカーボンニュートラルへ向けてGHGの排出量削減のための様々な取り組みが始まっています。この建設業界におけるSBT認定の申請数の推移や各企業の目標設定についても紹介します。
地球温暖化が進むと、海面の上昇による陸地の減少や植生の変化、伝染病の増加、さらに台風の巨大化や異常気象の頻発など身の回りにも様々な変化が起こると考えられています。このため、建設業界でも気候変動の進行に伴い様々なリスクが顕在化する可能性があります。
直接的な影響としては、地球温暖化により植生が変わり、木材の供給や品質に影響が生じることで、建築資材の供給量やその品質も低下することが懸念されています。
また、台風の巨大化やゲリラ豪雨の頻発など自然災害による被害の拡大が起こると考えられ、人的及び物的な損害が増えるおそれがあります。この自然災害に備えるために、住宅の耐風性能や防災性能を高めるための技術開発及び生産工程への追加投資が必要になり、コストを押し上げる要因になります。
加えて、建設現場では夏場の気温上昇がさらに深刻になると、作業員の熱中症のリスクが一層高まるため、熱中症対策として工事を中断するケースが頻発する可能性もあります。そのため、工事遅延を理由に損害賠償が発生するリスクがこれまで以上に高まることが予測されます。
また間接的な影響としては、社会が脱炭素に向かうとそれに伴う変化が起こるため、この変化に起因して様々なリスクが出現すると見られています。例えば企業などが排出したCO2排出量に応じて価格を付けるカーボンプライシングとして炭素税が本格的に導入されると、建設コストや調達コストの増加が懸念され、価格への反映が遅れるとビジネスに悪影響を及ぼすおそれがあります。加えて、CO2排出量の削減のためにカーボンクレジットを購入することによるコスト増も考えられます。
脱炭素に伴い新しい法律の制定や規制の強化、建築基準の引き上げなどが行われる可能性もあります。これらの変更は建設コストの増加に繋がり、製品価格の高騰により顧客の発注意欲が低下する可能性も指摘されています。また、引き上げられた基準にいち早く対応できないと、市場において他社優位の状況が生まれる可能性もあり、機会損失となり得ます。
気候変動対策は企業の評価に繋がりつつあり、気候変動対策を行わないと評価が低下する、いわゆるレピュテーションリスクも付きまといます。目先のコスト増を嫌って気候変動対策を行わないと、将来的にはレピュテーションリスクが発生して人材確保や資金確保の障害になる可能性もあります。
これらのリスクを鑑みながら脱炭素社会の中で利益を上げる「脱炭素経営」が建設業界のみならず、産業界全体に求められています。
脱炭素経営に関してはこちらの記事を参照ください。
記事はこちら:脱炭素経営を実践するために重要な3つのステップ
出典:環境省 グリーン・バリューチェーンプラットフォーム|取組事例|業種別取組事例一覧
(https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/case_smpl.html)
こうしたリスクを鑑み、前向きな脱炭素経営を進める企業も少しずつ増えています。建設業界ではSBT認定の申請数が年々増加傾向にあります。以下に2023年の12月までの建設業界の年ごとのSBT認定申請数をグラフにまとめました。グラフは大手企業と中小企業に色分けされています。対象業種は建設業、土木業、ハウスメーカーの3種です。
結果、2018年に1件であった申請が2023年の12月には53件に増えています。申請数は大企業よりも中小企業の方が多くなっており、建設業界では気候変動対策に関心を持ち、実際に行動を起こしている中小企業が多いことを示しています。
出典:SBT COMPANIES TAKING ACTION
(https://sciencebasedtargets.org/companies-taking-action)
環境省 グリーン・バリューチェーンプラットフォーム|排出削減目標設定|SBT全般(https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/targets.html#no00)ページ内「SBT 詳細資料」を編集し、作成。(2024年1月17日時点)
以下に建設業界の大手企業のSBT認定への申請状況をまとめました。表内の「NEAR TERM」とは2030年までの短期的な削減目標を表しています。また、GHG排出量の削減を行い、削減しきれないCO2を植林などにより吸収することで相殺する取り組みである「NET-ZERO」にコミットする企業についても明記しています。スーパーゼネコンと呼ばれる大林組、鹿島建設、大成建設、清水建設、竹中工務店の5社のうち4社は2023年までにNEAR TERMの申請を行っています。竹中工務店は2023年に申請を行っていますが、2年以内にNEAR TERMのGHG排出量削減目標を申請することを示す「COMMITTED」の状態です。これらの企業の中で最も早く申請を行った企業は清水建設で、2019年に申請しています。
大手のハウスメーカーでは住友林業と積水ハウスが申請を行っています。この2社はNET-ZEROにコミットしており、カーボンニュートラル達成へ向けた取り組みを進めています。
| 社名 | 業種 | SBT申請年度 | NEAR TERM | NET-ZERO |
| 住友林業 | ハウスメーカー | 2018 | 2℃ | COMMITTED |
| 清水建設 | 総合建設業 | 2019 | WELL-BELOW 2℃ | - |
| 大成建設 | 総合建設業 | 2019 | 2℃ | - |
| 大林組 | 総合建設業 | 2022 | 1.5℃ | - |
| 積水ハウス | ハウスメーカー | 2023 | 1.5℃ | COMMITTED |
| 鹿島建設 | 総合建設業 | 2023 | 1.5℃ | - |
| 竹中工務店 | 総合建設業 | 2023 | COMMITTED | - |
出典:SBT COMPANIES TAKING ACTION
(https://sciencebasedtargets.org/companies-taking-action)
(2024年1月17日時点)
現在、多くの企業がこのSBTイニシアチブへの参加を通してGHG排出量の削減活動を行っていますが、自社のみではなくサプライチェーンへ取り組みを拡大させる活動も行われつつあり、取引先サプライヤーへSBTの設定を促すサプライヤー・エンゲージメントが行われているケースもあります。
ここからは総合建設業、そしてハウスメーカーのGHG排出量の傾向を見ていきます。建設業では鉄鋼やセメントなど様々な建築資材を使用しますので、この各種建築資材のサプライヤーが含まれます。またビルなどの建物を建設した後の建物の使用もサプライチェーンの一部です。その他にも、建物の解体に伴う廃材の廃棄なども含まれており、こうした背景から自社排出よりも、Scope 3からのGHG排出量が多くなる傾向にあります。
まずは総合建設業のGHG排出量の内訳を見ていきます。以下のグラフは環境省 グリーン・バリューチェーンプラットフォーム「業種別取組事例一覧」で業種別に発表されている各企業の年度別のGHG排出量をもとに、大手総合建設業2社の15のサンプリングデータを抽出し、平均化したものです。総合建設業では、自社排出であるScope 1および2の合計はサプライチェーンのGHG排出量の8.8%しかないことがわかります。これらのGHG排出量は自社所有の自動車や重機類の燃料使用量と電力使用量によって決まります。また工事現場で使用するトラックや重機類の燃料消費に伴うGHG排出量はScope 1に分類されますが、この化石燃料使用に伴うScope 1のGHG排出量は全体の6%程度と低い値になっています。
一方で、Scope 3からのGHG排出量は91.2%を占めています。中でもカテゴリ1「購⼊した製品・サービス」およびカテゴリ11「販売した製品」からのGHG排出量が全体の80%以上を占めていることがわかります。中でもカテゴリ11からのGHG排出量は全体の排出量のほぼ半分を占めています。つまり、大手の総合建設業においてはScope 3のカテゴリ1およびカテゴリ11のGHG排出量を減らすことが不可欠と言えます。
| 大手ゼネコン | 排出源 | 排出割合 | 標準偏差 |
| Scope 1 | 自社直接排出 | 6.2% | 1.9% |
| Scope 2 | 自社間接排出 | 2.6% | 0.9% |
| Scope 3 カテゴリ1 | 購⼊した製品・サービス | 50.3% | 14.3% |
| Scope 3 カテゴリ2 | 資本財 | 1.1% | 1.5% |
| Scope 3 カテゴリ3 | Scope1,2に含まれない 燃料及びエネルギー活動 | 0.4% | 0.3% |
| Scope 3 カテゴリ4 | 輸送、配送(上流) | 1.9% | 1.7% |
| Scope 3 カテゴリ5 | 事業から出る廃棄物 | 1.3% | 1.7% |
| Scope 3 カテゴリ6 | 出張 | 1.1% | 1.5% |
| Scope 3 カテゴリ7 | 雇⽤者の通勤 | 0.2% | 0.3% |
| Scope 3 カテゴリ8 | リース資産(上流) | 0.0% | 0.0% |
| Scope 3 カテゴリ9 | 輸送、配送(下流) | 0.4% | 0.7% |
| Scope 3 カテゴリ10 | 販売した製品の加⼯ | 0.0% | 0.0% |
| Scope 3 カテゴリ11 | 販売した製品の使⽤ | 33.3% | 17.4% |
| Scope 3 カテゴリ12 | 販売した製品の廃棄 | 1.0% | 0.5% |
| Scope 3 カテゴリ13 | リース資産(下流) | 0.3% | 0.4% |
| Scope 3 カテゴリ14 | フランチャイズ | 0.0% | 0.0% |
| Scope 3 カテゴリ15 | 投資 | 0.0% | 0.0% |
※サンプリングデータ数:N=15
出典:環境省 グリーン・バリューチェーンプラットフォーム|取組事例|業種別取組事例一覧(https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/case_smpl.html)ページ内算定事例資料を編集し、作成。
(2024年1月17日時点)
続けて、大手ハウスメーカーのGHG排出量の内訳をまとめました。こちらでも総合建設業のグラフと同様に、環境省 グリーン・バリューチェーンプラットフォーム「業種別取組事例一覧」から大手ハウスメーカー2社の10のサンプリングデータを抽出・平均化し、グラフを作成しています。大手ハウスメーカーの場合も自社排出であるScope 1および2の合計はScope 1〜3全体の排出量のうち、わずか1.8%と非常に少ないことがわかります。これらのGHG排出量は総合建築業と同様に、自社所有の自動車や重機類の燃料使用量と電力使用量によって決まります。
一方で、Scope 3からのGHG排出量の割合は98.2%と大半を占めています。またカテゴリ1およびカテゴリ11からのGHG排出量の割合が80%を超えていることもわかります。特に、カテゴリ11からのGHG排出量の割合が60%以上となっており、住宅の使用に伴う排出量が多くなっています。
さらに、カテゴリ12「販売した製品の廃棄」に伴うGHG排出量の割合が全体の10%以上あり、廃棄の際にも多くのGHGを排出しています。この3つのカテゴリで全GHG排出量の約95%を占めているため、ハウスメーカーがGHG排出量を削減する際にはこの3つのカテゴリのGHG排出量の削減方法を重点的に検討することが重要と言えます。すなわち自社の削減努力よりも他社を含めたサプライチェーンでGHG排出量の削減を行うことが重要です。
| 大手ハウスメーカー | 排出源 | 排出割合 | 標準偏差 |
| Scope1 | 自社直接排出 | 1.1% | 0.5% |
| Scope2 | 自社間接排出 | 0.7% | 0.6% |
| Scope 3 カテゴリ1 | 購⼊した製品・サービス | 22.7% | 4.8% |
| Scope 3 カテゴリ2 | 資本財 | 1.1% | 0.7% |
| Scope 3 カテゴリ3 | Scope1,2に含まれない 燃料及びエネルギー活動 | 0.2% | 0.1% |
| Scope 3 カテゴリ4 | 輸送、配送(上流) | 1.1% | 2.1% |
| Scope 3 カテゴリ5 | 事業から出る廃棄物 | 0.6% | 0.2% |
| Scope 3 カテゴリ6 | 出張 | 0.1% | 0.1% |
| Scope 3 カテゴリ7 | 雇⽤者の通勤 | 0.1% | 0.1% |
| Scope 3 カテゴリ8 | リース資産(上流) | 0.0% | 0.0% |
| Scope 3 カテゴリ9 | 輸送、配送(下流) | 0.4% | 1.3% |
| Scope 3 カテゴリ10 | 販売した製品の加⼯ | 0.0% | 0.0% |
| Scope 3 カテゴリ11 | 販売した製品の使⽤ | 61.0% | 8.4% |
| Scope 3 カテゴリ12 | 販売した製品の廃棄 | 10.9% | 4.6% |
| Scope 3 カテゴリ13 | リース資産(下流) | 0.2% | 0.3% |
| Scope 3 カテゴリ14 | フランチャイズ | 0.0% | 0.0% |
| Scope 3 カテゴリ15 | 投資 | 0.1% | 0.4% |
※サンプリングデータ数:N=10
出典:環境省 グリーン・バリューチェーンプラットフォーム|取組事例|業種別取組事例一覧(https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/case_smpl.html)ページ内算定事例資料を編集し、作成。
(2024年1月17日時点)
GHG排出量の計算はScopeに関わらず活動量×活動原単位により算出されますが、建物の使用に伴うGHG排出量の計算方法では、正確な排出量の算出が困難な場合、製品使用のシナリオを作り、概算するケースもあります。そのケースでは、建物の寿命を設定し、床面積という原単位を用いて排出量を計算します。これは建築業界特有の計算手順と言えます。この建物の寿命は各建設業者により決められており、例えば鹿島建設では30年と設定されています。
また、建物の使用によるGHG排出量は床面積による原単位(単位床面積当たりの年間GHG排出量)を使用して算出します。この1年間を通した床面積当たりの原単位と建物の寿命を掛けることで建物使用に伴うGHG排出量が算出できます。
床面積の他にも施工金額による原単位なども存在しており、計算のしやすさや正確性を加味して適切な原単位と活動量が用いられます。
これまで見てきた通り、建設業界ではScope 3のGHG排出量が全体の9割を占めており、特にカテゴリ1とカテゴリ11のGHG排出量が大半を占めています。この点を踏まえつつ、建設業界におけるScope 3のGHG排出量削減方法を紹介します。
Scope 3のカテゴリ1は購入した資材を製造した際の排出量を指しています。この資材には、セメントや鉄鋼など、製造時にGHGを大量に排出する建築資材が含まれており、これらを多用しているためGHGの排出量が多くなっています。そのため、カテゴリ1のGHG排出量の削減は建築資材のメーカーに依存しており、建設業界が直接対応しづらいことも事実です。これに対応するため、建設業界では建築資材を調達する際に低炭素の資材を購入する「グリーン調達」を積極的に取り入れています。
一方で、建設業界のサプライチェーンを構成する建築資材メーカーも商品価値を高めるために、低炭素製品を開発するなどしてGHG排出量を削減する努力を行っています。このような低炭素製品を使用すると、サプライチェーンのGHG排出量を削減することができるため購入のモチベーションが高くなっており、逆にGHG排出量の多い製品は品質が良くても敬遠される傾向が出つつあります。
特に製造時のGHG排出量が多い鉄鋼およびセメントに関しては、製造時のGHG排出量を削減する新技術の開発が進められており、注目度も高まっています。製造時のGHG排出量が少ない鉄鋼は「グリーンスチール」と呼ばれ、今後さらに価値が増し、重要視されることも考えられます。
カテゴリ11に関しては建設した建物の使用に伴い排出されたGHGが対象です。これは建物の完成後、建物内でユーザーが使用する電気や化石燃料の燃焼によってGHG排出量が多くなることを意味しています。
現在のカテゴリ11のGHG排出量の削減方法としては、建物のZEH(ゼッチ)・ZEB(ゼブ)化の推進が本流になりつつあります。ZEHは“net Zero Energy House”、ZEBは“net Zero Energy Building”の略で、年間を通した発電量と電気使用量が差し引きゼロ以下になる建物のことを指します。これらの建物は、再生可能エネルギーを利用した発電システム、照明や給湯器などの高効率設備、そして高断熱性を備えており、脱炭素を進める事業者からも注目されています。さらに、ZEHを集合住宅に拡大する取り組みも積極的に行われています。
脱炭素社会ではもちろんGHG排出量を削減していくことも大事ですが、社会の変化をいち早く捉えてビジネスチャンスを掴んでいくことも重要です。ここからは気候変動や脱炭素に伴う建設業界の新たなビジネスチャンスについていくつか紹介します。
気候変動に伴い、台風やゲリラ豪雨などの自然災害の被害が増すことが予想されています。このため、防災インフラの整備や災害に強い建物作りやリフォームが行われる可能性があります。また、建設業界のScope 3・カテゴリ11におけるCO2排出削減方法の一つとして紹介してきたZEHやZEBの施工ですが、現在国を挙げて脱炭素社会に進む中、その需要は徐々に高まりつつあります。2022年に建築物省エネ法が改正された影響で、2025年4月以降に着工する全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合が義務付けられることも決定しています。この影響も鑑みると、将来的にこれらの市場が拡大し、受注増加に繋がることが推測されます。
脱炭素社会の実現に向けて、企業間の「低炭素」という新しい価値が出現して一般化されつつあります。今後はこの低炭素という価値がこれまで以上に重要視される可能性が高く、またカーボンプライシングにより価格付けされることも予想されます。その結果、これまでコストが合わずに使用できなかった技術でも、低炭素という価値が加わると、採算を合わせながら活用していくこともできるようになるはずです。鹿島建設が実用化した「CO2-SUICOM®」は、その一例と言えるでしょう。このように、低炭素となる新技術を開発することで、さらに競争力を高められる可能性があります。
今回は建設業界のサプライチェーンのGHG排出量の傾向を分析しました。建設業界ではScope 3・カテゴリ1およびカテゴリ11からのGHG排出量が大半を占めており、この削減を実現することが脱炭素経営における鍵となりそうです。またこれらの排出削減を実現する上で、建築資材の新技術活用・開発やZEH・ZEBの施工などの施策を実行することが、ビジネスチャンスに直結する可能性もあります。いち早く脱炭素に取り組むことが経営戦略上のメリットにもなりうると言えるでしょう。
執筆者:高牟礼昇