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農業におけるサステナビリティの取り組み!メリットや事例を紹介
目次
近年、「サステナビリティ」という用語をよく耳にするようになりました。サステナビリティは、農業にも活用されています。この記事では、サステナビリティの特徴や歴史をはじめ、農業におけるサステナビリティの取り組みや事例について詳しく解説します。サステナビリティを取り入れた農業に関心がある人は、ぜひ参考にしてください。
サステナビリティとは
農業におけるサステナビリティについて解説する前に、まずはサステナビリティについて詳しく解説します。
サステナビリティの特徴
サステナビリティとは、英語で「sustainability」と表記し、日本語で「持続可能性」を意味します。「環境」「社会」「経済」を柱として、長期的な視野でさまざまな物事を持続可能な状態に導くことを表します。
サステナビリティでは、地球上の資源を責任ある方法で効率的に使うこと、環境負荷を最小限に抑えることなど、持続可能な社会を実現することが課題です。サステナビリティ実現のために、世界ではさまざまな取り組みが行われています。
サステナビリティの歴史
サステナビリティの始まりは、1987年の「環境と開発に関する世界委員会」です。「持続可能な開発」という概念が取り上げられました。さらに、1992年の「地球サミット」で、開発と自然環境の保全を両立させる「アジェンダ21」という概念が広まりました。
サステナビリティが注目される背景
大量に生産して消費する産業発展は、環境への負荷を増大させることがわかりました。不平等、貧困、人権侵害などの社会問題も日々、深刻化しています。経済活動の推進だけでは、地球環境と人類を守れません。どの業界においても「環境」「社会」「経済」への影響を踏まえた行動が求められています。
サステナビリティと似た用語との違い
以下では、サステナビリティと混同されやすい用語の特徴や違いについて解説します。
サステナビリティとサステナブルの違い
サステナビリティは、英語で「Sustainability」と表記する名詞で、「持続可能性」を意味します。サステナブルは、英語で「Sustainable」と表記する形容詞で、「持続可能な」を意味します。「サステナブルに取り組む」というのは、文法的に誤りです。正しくは、「サステナブルな取り組みをする」「サステナビリティに取り組む」という使い方をします。
サステナビリティとSDGsの違い
SDGsとは、持続可能な世界の発展を実現するための国際目標です。サステナビリティは「考え方」などの概念を指しますが、SDGsはサステナビリティ実現のための具体的な「目標」を指します。
サステナビリティとリジェネラティブの違い
リジェネラティブには「再生させる」という意味があり、環境の分野では「環境再生」と訳されます。「再生」を示し、問題を改善する意味合いが強い言葉です。一方で、サステナビリティは「継続」を示します。今あるシステムを維持する意味が強い言葉です。リジェネラティブは、サステナビリティの一歩先を行く考え方として注目されています。
サステナビリティを取り入れた農業とは
サステナブル農業とは、「環境」「社会」「経済」の3つの目的を追求した農業です。自然を利用する農業は、環境の影響を受けやすいため、サステナブル農業の重要性が近年高まっています。
サステナビリティを取り入れた農業が注目される理由
安全で健康的な食料の供給に大きく影響するサステナブル農業は、農産物の品質と安全性を高めることができます。気候変動や環境破壊の問題が深刻化しているなかで、サステナブル農業に取り組めば、環境負荷の低減が期待できます。
サステナビリティを取り入れた農業の具体的なメリット
サステナブル農業は、地球環境や農家にとって以下のようなメリットをもたらします。
CO2の削減が期待できる
サステナブル農業では、土壌を再生する技術などで土壌を修復したり、改善したりします。土壌が改善されると、多くのCO2を吸収・隔離できるようになるため、大気中のCO2減少が期待できます。
農業における環境破壊を減らせる
化学肥料を使うと短時間で栄養が行き渡るメリットがあるものの、植物が吸収しきれない分が土壌に広がって、環境汚染につながるデメリットもあります。有機肥料を使うことで、農業における環境破壊の減少が期待できます。
農家の収入が増える
サステナブル農業では土壌が改善されるため、農作物を増やすことが期待できます。安全で健康的な食料を供給するだけではなく、農作物が増えることで農家の収入アップも見込めます。
農業におけるサステナビリティのための取り組み
農業では、以下のように、サステナビリティに対するさまざまな取り組みが行われています。
輪作
輪作とは、害虫の影響を防ぐため、違った種類の作物を同じ土壌で一定の順番に栽培する方法です。多くの虫は特定の作物を好む傾向にあるため、違った作物を植えることで害虫駆除に役立ち、化学肥料を使わなくてもよくなります。
ポリカルチャー
ポリカルチャーとは、同じ地域内で複数の種類の作物を栽培することです。複数の作物を一緒に植えることで土壌の栄養の偏りを防ぎ、農薬や化学肥料を減らすとともに病害虫のリスクも減らします。
被覆作物の活用
降雨や風の作用で土壌が流れ出る「土壌浸食」を防ぐため、土壌浸食を防いで土壌改良に役立つ「被覆作物」を植えて、土壌の質を向上させる方法です。被覆作物は、肥料などの化学物質の使用を最小限に抑えるのにも役立ちます。
有機農業
有機農業とは、化学肥料や農薬を使用せず、遺伝子組み換え技術も利用しない農業です。土壌、水源、生物多様性を保護しながら環境への負荷を低減させられ、安心感と商品価値の高い作物を生産できます。
再生可能エネルギーの活用
CO2などの温室効果ガスを増加させる化石燃料を使わず、太陽光・風力・バイオマスなどの再生可能エネルギーを使用して地球温暖化防止に貢献する方法です。「農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律」が2013年に成立し、2014年から施行されており、農山漁村での取り組みが行われています。
※参考:再生可能エネルギー導入促進にむけた取組について|農林水産省
スマート農業の導入
スマート農業とは、ロボット、IoTセンサー、AIなどを活用して省力化、生産性の向上などを実現させる農業です。環境負荷の低減や労働力不足の解消にもつながり、農業の持続可能性を高められます。
地産地消の普及
地産地消とは、地域で生産された農林水産物を地域内で消費することです。輸送に伴うCO2の排出量を減らせるだけでなく、輸送コストの削減にもつながります。
フードバンク活動の普及
フードバンク活動とは、まだ食べられるにもかかわらず廃棄されてしまう食品を福祉施設などに無料で提供する取り組みです。食品ロス削減の効果はもちろん、貧困対策にもなります。
サステナビリティな農業の取り組み事例
以下では、サステナブル農業の企業における取り組みについて、3つの事例を紹介します。
JAグループ
全国組織の協同組合である「JAグループ」では、農業生産・産地における取り組みに加え、流通段階や小売段階でも環境負荷や資源効率を意識した取り組みを行っています。農産物直売所「JA ファーマーズマーケット」の活性化や、持続可能な消費行動推進への取り組みなども実施しています。
サカタのタネ株式会社
「サカタのタネ株式会社」をはじめとするサカタグループでは、企業全体でSDGs問題に取り組んでいます。輸送時間が長期化することで発生するトマトの出荷ロスを解消するため、収量性・輸送性に優れた新品種トマトの種子を2023年に発売したことで、話題となりました。
パタゴニア
アメリカ発のアウトドアブランド「パタゴニア」では、製品にコットンを使用するため、有機農業に取り組んでいるコットン農家を支援しています。2022年には、リジェネラティブ・オーガニック認証プログラムの製品を初めて発表しました。
ネスレ
世界最大の食品飲料会社「ネスレ」では、再生農業技術の開発に向けた協力を行っています。「人と地球のために」「コミュニティのために」「家族とペットのために」をテーマとし、持続可能なパッケージへの変更などの取り組みを実施してきました。再生農業を正しい方向へ進めるために、サプライヤーの教育や訓練、イニシアティブの強化に重点を置いています。
まとめ
サステナビリティは、持続可能な社会の実現に欠かせない考え方です。世界のさまざまな問題を解決に導くため、業界を問わずサステナブルな取り組みが行われています。サステナビリティの考え方は農業にも取り入れられ、CO2の削減や環境負荷への軽減、農家の収入アップなどのメリットが期待されています。
ゼロ炭素ポートは、「脱炭素の未来をつくる方々」の困りごとを相談できる「場」を目指したサイトです。脱炭素に関するさまざまなコラムやソリューションを提供しています。資料のダウンロードも可能ですので、ぜひご活用ください。
執筆者プロフィール
会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA