2030年までの再生可能エネルギーに関する目標とは?現状や課題について解説!

目次

日本政府は、2030年の達成を目標に、再生可能エネルギーの普及に取り組んでいます。この記事では、日本における再生可能エネルギーの取り組みについて解説します。代表的な再生可能エネルギーの発電方法やその特徴、さらに再生可能エネルギーを取り巻く現状についても詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

日本における再生可能エネルギーへの取り組みの経緯

日本における再生可能エネルギー(以下「再エネ」という。)への取り組みは、1973年に第一次オイルショックが発生したことに起因します。当時、中東へのエネルギー依存度が高かった日本では、第一次オイルショックにより大きな混乱が生じました。このような背景を受け、再生可能エネルギーの活用や電源の多様化を目指す政策が打ち出されました。

その一環として、再生可能エネルギー技術の開発を目的とした国家プロジェクトであるサンシャイン(SS)計画が挙げられます。このプロジェクトは、1974年から2000年まで実施されました。

※参考:再生可能エネルギーの歴史と未来|再生可能エネルギー・新エネルギー|エネこれ|資源エネルギー庁

日本における再エネに関する2030年度までの目標とは

日本のエネルギー政策の方向性を示す計画書であるエネルギー基本計画では、再生可能エネルギーについても言及されています。2021年10月に策定された第6次エネルギー基本計画は、2050年のカーボンニュートラル実現や、2030年度のCO2排出削減目標を背景に作成されました。

再生可能エネルギーに関しては、2030年度の電源構成比率のうち36%から38%を再生可能エネルギーで賄うことを目標としています。

※参考:エネルギー基本計画の概要 p.12|資源エネルギー庁

日本におけるエネルギー政策の基本的な方針

日本におけるエネルギー政策の基本的な方針は、主に2つあります。それぞれの方針の内容は、以下の通りです。

3E+S

3E+Sは、Safety(安全性)を前提に、Energy Security(エネルギー自給率)、Economic Efficiency(経済効率性)、Environment(環境適合)の3つのEを達成することを目指す考え方です。

1. Energy Security(自給率):2030年度に、東日本大震災前の約20%を超える約25%のエネルギー自給率を実現させる
2. Economic Efficiency(経済効率性):2030年度の電力コストを、2013年度の9.7兆円から9.5兆円まで引き下げる
3. Environment(環境適合):2030年度に、温室効果ガスの排出量を2013年度比で26%削減する

これら3つのEは個別に達成するのではなく、同時に達成することを目標としています。

※参考:グラフで見る世界のエネルギーと「3E+S」安定供給① ~各国の自給率のいま|エネこれ|資源エネルギー庁

h3: エネルギーミックス

エネルギーミックスとは、社会に供給する電力の発電方法を多様な種類で構成することを目指す考え方です。日本語では、電源構成とも呼ばれます。発電方法にはさまざまな種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。1つの発電方法に依存すると、問題が発生した際に大きなリスクや損害を招きかねません。

そのため、複数の発電方法を組み合わせて電源を構成することが、重要とされています。具体的な発電方法については、以下で詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

代表的な再エネの発電方法とそれぞれの特徴

再エネの発電方法は、多岐にわたります。ここでは、代表的な発電方法とその詳細について解説します。

太陽光発電

太陽光発電は、太陽電池を用いて太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する再生可能エネルギーの一種です。発電時に二酸化炭素を排出せず、燃料が尽きる心配がない点が大きな利点です。一方で、発電できるのは日中に限られるうえ、気候条件によって発電量が変動するという課題があります。

水力発電

水力発電とは、水が高い場所から低い場所へ流れる際の位置エネルギーを利用した発電方法です。発電時にCO2を排出しないうえ、エネルギー効率が高く、24時間稼働が可能など、多くのメリットがあります。しかし、現在の日本では活用可能な場所がほとんど残っておらず、新たな開発が望めないことが難点です。

風力発電

風力発電とは、風の力を利用して風車を回し、その回転エネルギーを電気に変換する発電方法です。燃料が不要であることに加え、夜間でも発電可能なのもメリットとして挙げられます。しかし、風の力を利用する特性上、発電量が天候に左右されやすいという課題があります。また、暴風など風が強すぎる場合には発電できないことも難点です。

地熱発電

地熱発電とは、地下に存在する地熱エネルギーを利用し、蒸気でタービンを直接回して発電する方法です。天候に左右されないため、安定したエネルギー供給が期待できます。特に、火山国である日本では高いポテンシャルが見込まれています。しかし、地熱開発が温泉に与える影響が懸念されるため、温泉事業者との合意が必要になるなど、課題も少なくありません。

バイオマス発電

バイオマスとは、動植物などから得られる生物資源の総称です。バイオマス発電では、これらの生物資源をガス化し、燃焼させて発電します。可燃ごみなど、本来は利用されなかったものを資源として活用できる点が評価されています。一方で、生物資源は広範囲に分散していることが多く、その収集や調達にはコストがかかることが難点です。

その他の発電方法とそれぞれの特徴

再エネ以外にも、さまざまな発電方法があります。以下は、再エネ以外の代表的な発電方法とその特徴です。

原子力発電

原子力発電とは、ウランの核分裂で発生する熱を利用した発電方法です。発電の仕組みは火力発電と同じで、水を加熱して発生した蒸気でタービンを回します。発電時にCO2を排出せず、安定的かつ大量の発電が可能であるなど、多くのメリットがあります。しかし、ウラン燃料の取り扱いには細心の注意が必要であり、使用済み燃料の処分が難しいことも懸念点です。

火力発電

火力発電とは、ボイラーで発生した熱を利用して水を蒸気に変え、その蒸気でタービンを回して発電する方法です。燃料には石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料が使用されています。燃料があれば24時間稼働できるため、安定的かつ大量の発電が可能である点が利点です。

しかし、燃料となる化石資源の価格変動や、大量の二酸化炭素を排出することなど、課題も多く抱えています。

日本の再エネの現状と目標

ここでは、日本の再エネの現状と目標を、それぞれの発電方法ごとに解説します。

太陽光発電

太陽光発電は、国土面積に対する導入容量が主要国のなかで最大級となっており、積極的に導入が進んでいます。再エネの電源構成比において、太陽光発電は2011年度に0.4%だったのが、2022年度には9.2%にまで向上しました。さらに、2030年には14~16%程度まで割合を拡大することを目指しています。

※参考:経済産業省『国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案』(2024/10)

水力発電

再エネの電源構成比における水力発電は、2011年度の7.8%から2022年度には7.6%へと減少しました。2030年には11%程度まで増加させることを目指していますが、課題が多く残されています。

主な課題として、開発可能な地点が奥地に偏っていることや、開発期間が長期化していることが挙げられます。これらの課題に対応するため、開発リスクやコストの低減を図ることや、既存設備の効率化によって発電量を増加させる取り組みが検討されています。

※参考:経済産業省『国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案』(2024/10)

風力発電

再エネの電源構成比において、風力発電は2011年度の0.4%から2022年度には0.9%へとわずかに向上しました。2030年度には5%程度に達することを目標としています。風力発電は、洋上風力発電と陸上風力発電の2つに分けて取り組みが進められています。

特に洋上風力発電では、2030年の目標(5.7GW)に対し、すでに5.1GW分の案件が形成されており、進展が見られました。

一方、陸上風力発電は2030年の目標(17.9GW)に対し、2023年12月末時点で導入量は5.5GWにとどまっています。また、FIT/FIP認定済みで未稼働の容量が10.4GW存在するため、これらの案件を運転開始できるかが重要な課題です。

※参考:経済産業省『国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案』(2024/10)

地熱発電

地熱発電は、再エネの電源構成比において、2011年度は0.2%でしたが、2022年度でも0.3%とほとんど拡大していません。2030年には1%に達することを目指していますが、この目標との差が懸念されています。その主な理由として、事業開発に長期間を要することや、温泉事業者など地域の関係者との共生の必要性が挙げられます。

※参考:経済産業省『国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案』(2024/10)

バイオマス発電

バイオマス発電は、再エネの電源構成比において、2011年度は1.5%でしたが、2022年度には3.7%に拡大しました。2030年度の目標である5%に対し、すでに3.7%まで進捗しており、目標に近い値まで達しています。

中小規模事業では緩やかではあるものの、継続的な拡大が見られる状態です。一方で、大規模事業においては新規案件の組成が進んでいない状況が続いており、課題となっています。

※参考:経済産業省『国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案』(2024/10)

日本の再エネに関する課題

日本の再エネには、いくつか課題があります。代表的な課題と、その詳細は以下の通りです。

発電コストが高い

日本における再エネの発電コストは、国際水準と比較して高い傾向にあります。その主な原因として、日本の物価や人件費の高さ、地理条件の悪さによる建設コストの増大などが挙げられます。

※参考:第3部 第3章 はじめに│令和5年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2024) HTML版|経済産業省・資源エネルギー庁

需要に対して供給が安定しない

再エネによる発電の多くは、天候や季節、気象条件などにより発電量が変動することが課題です。そのため、需要に対して供給が安定しない可能性があり、大規模停電などのリスクも懸念されています。

再エネを普及させるための取り組み

再エネの普及に向けて、日本政府はさまざまな取り組みを進めています。以下は、具体的な取り組みとその詳細です。

FIT・FIP制度の導入

固定価格買取制度(以下「FIT制度」)は、再エネで発電された電気を電力会社が一定期間、固定価格で買い取る仕組みです。この制度により、再エネで電力を生産した一般事業者や家庭は利益を得ることができます。また、電力会社にとっても発電元の多様化や、自社の発電コスト削減といったメリットがあります。

さらに、2022年度からは新たにフィードインプレミアム(Feed-in Premium)制度(以下「FIP制度」)が導入されました。FIP制度では、売電の際に補助金を上乗せすることができ、高価格で電力を販売することが可能になります。

補助金の提供

再エネの普及を進めるため、再エネに関する補助金が用意されています。再エネに関する代表的な補助金は、以下の通りです。

・地域脱炭素推進交付金 (地域脱炭素移行・再エネ推進交付金、特定地域脱炭素移行加速化交付金等)
・ゼロカーボンシティ実現に向けた地域の気候変動対策基盤整備事業
・地域脱炭素実現に向けた再エネの最大限導入のための計画づくり支援事業
・地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業
・民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業 (一部 総務省・農林水産省・経済産業省 連携事業)
・環境保全と利用の最適化による地域共生型再エネ導入加速化検討事業
・再生可能エネルギー資源発掘・創生のための情報提供システム整備事業
・「脱炭素×復興まちづくり」推進事業

まとめ

日本は再エネに関する目標を設定し、その達成に向けた取り組みを進めています。一部では一定の成果が出ているものの、達成が難しいと予測される課題も少なくありません。また、近年は行政だけでなく、企業にも地球環境改善への取り組みが求められています。しかし、計画の策定や実現に伴うコストの算出など、多くの課題に直面しています。

こうした課題の解決に役立つのが「ゼロ炭素ポート」です。ゼロ炭素ポートでは、脱炭素経営を推進するためのソリューションや関連コラムを紹介しています。さらに、脱炭素やカーボンニュートラルに関する相談も受け付けているため、企業の担当者はぜひご活用ください。

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA