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再生可能エネルギーのバイオマスとは?発電の仕組みやメリット・懸念点など解説
目次
再生可能エネルギーのバイオマスは、太陽光や風力などと比べると、仕組みや特徴について十分に理解されていない傾向があります。
本記事では、再生可能エネルギーのバイオマスに関して、発電に使える原料や発電の仕組みなどを解説します。ぜひ参考にしてください。
再生可能エネルギーとバイオマスの関係性
再生可能エネルギーとして分類されるバイオマスは、動植物由来の生物資源です。まずここでは、再生可能エネルギーとバイオマスの関係性を解説します。
バイオマスは再生可能エネルギーの一種
再生可能エネルギーは、自然由来のエネルギーで、枯渇しないことが特徴です。再生可能エネルギーには太陽光や水力、風力などがあり、バイオマスもその仲間に含まれます。石炭や石油などの化石燃料は、自然由来のエネルギーではありますが、再生可能エネルギーには分類されません。化石燃料は、使用し続けると枯渇するためです。
バイオマスの定義
バイオマスは、バイオ(生物)とマス(量)を組み合わせた言葉で、動植物由来の生物資源を指します。トウモロコシや麦わら、林地残材、下水汚泥などのように、バイオマス発電に利用できる原料はさまざまです。なお、石炭や石油なども生物由来ではありますが、バイオマスからは除外されます。
バイオマス発電に使える原料
バイオマス原料は「材料」と「状態」の組み合わせによって、9つのカテゴリーに分類できます。
材料の分類は、以下のとおりです。
・木質系
・農業・畜産・水産系
・建築廃材系
・食品産業系
・製紙工場系
・生活系
状態の分類は、以下のとおりです。
・乾燥系
・湿潤系
・その他
主なバイオマス発電の仕組み
ここでは、主なバイオマス発電として、直接燃焼方式、熱分解ガス化方式、生物化学的ガス化方式の仕組みを解説します。
1.直接燃焼方式
直接燃焼方式とは、バイオマスを燃焼させて得られる熱エネルギーでタービンを回転させ、発電する方式です。乾燥系のバイオマスは、直接燃焼方式による発電が適しています。直接燃焼方式は既存の火力発電設備を転用できます。また、バイオマスのみで燃焼させるだけではなく、石炭との混焼も可能です。
2.熱分解ガス化方式
熱分解ガス化方式は、可燃性ガスでタービンを回転させて発電する方式です。可燃性ガスは、バイオマスを高温に加熱して発生するガスを精製して作られます。熱分解ガス化方式には木質系や食品系などのバイオマスが用いられ、直接燃焼方式よりも高効率な発電が可能です。
3.生物化学的ガス化方式
生物化学的ガス化方式は、ガスによってタービンを回す点は熱分解ガス方式と同じです。ただし、使用されるガスは発酵によって得られたものです。下水汚泥のように水分が多いバイオマスは燃焼しにくいため、生物化学的ガス化方式での発電が適しています。
国内におけるバイオマス発電の現状
国内におけるバイオマス発電の現状を、近年の発電比率の推移と、発電設備の増加状況に触れつつ解説します。
発電電力量におけるバイオマス発電の割合
バイオマス発電電力量の発電比率の推移を、2019年度から2023年度まで以下にまとめました。
| 発電電力量(億kWh) | バイオマス発電電力量(億kWh) | 発電比率(%) | |
| 2019年度 | 10,184 | 337 | 3.3 |
| 2020年度 | 9,985 | 349 | 3.5 |
| 2021年度 | 10,279 | 427 | 4.2 |
| 2022年度 | 10,017 | 408 | 4.1 |
| 2023年度 | 9,854 | 432 | 4.4 |
緩やかではありますが、バイオマスによる発電比率は徐々に増加しています。
※参考:2023年度エネルギー需給実績(速報)参考資料|経済産業省
増加傾向にあるバイオマス発電設備
バイオマス発電設備は、年々増加傾向にあります。2024年3月末時点で、国内のバイオマス発電設備の総容量は約753万kWに達しました。原料は木質バイオマスが主力となっており、チップや薪の形などに加工された後に燃料として使用されています。
バイオマス発電を普及させるメリット
温暖化対策から廃棄物の有効活用まで、バイオマス発電は多くのメリットをもたらします。ここでは、バイオマス発電を普及させるメリットを解説します。
カーボンニュートラルに貢献できる
バイオマス発電は、他の再生可能エネルギーと同様に、温室効果ガスの排出削減に大きく貢献します。植物由来のバイオマスは、乾燥系の材料として直接燃焼方式による発電に多く用いられています。
燃焼の過程で発生する二酸化炭素は、植物が成長過程で光合成により、大気から吸収した量と同等とみなすことが可能です。大気中の二酸化炭素量に実質的な変化がないため、カーボンニュートラルに貢献できるというわけです。
廃棄物を有効活用できる
バイオマス発電では、これまでは利用価値がなかった生ごみや家畜排泄物などを、発電用の資源として有効活用できます。廃棄物の削減とクリーンな電力の創出を同時に実現することで、循環型社会の構築に貢献できます。
電力の安定供給に貢献できる
電力の安定供給のためにも、バイオマス発電の普及が望まれます。再生可能エネルギーのなかでも、太陽光発電や風力発電は発電量が自然条件に大きく左右されます。一方、バイオマス発電は、天候に関係なく安定した発電が可能です。また、バイオマスは貯蔵しておけるため、必要に応じて供給量をコントロールすれば、適切に発電量を調整できます。
分散型電源である
バイオマスは化石燃料とは異なり、木材や農作物の残渣、家畜の排泄物などさまざまな形で各地域に存在しています。地域の資源を活用した発電は、エネルギーの地産地消を実現します。また、発電にかかわる新たな雇用を創出することで、地域経済の活性化も期待できるでしょう。
バイオマス発電の懸念点
バイオマス発電の懸念点として、原料調達にかかるコストと発電効率について解説します。
原料調達のコストがかかる
原料調達と加工処理にかかるコストは、バイオマス発電の課題といえます。バイオマスは地域に分散して存在します。分散型電源とはいうものの、発電設備まで収集・運搬するための費用が必要です。また、効率的な燃焼のためには、原料の粉砕や乾燥、生ごみの選別など、原料の状態に応じた前処理工程が必要です。
発電効率が低い
バイオマス発電は、原料調達と加工処理にコストがかかるうえに、発電効率も他の発電方式と比べて低い水準にとどまっています。大規模な電力供給を担うには技術的な課題があるため、現状では分散型電源として中小規模の発電設備が中心です。
自治体におけるバイオマス発電の取り組み
バイオマス発電は、分散型電源として期待されています。ここでは、自治体におけるバイオマス発電の取り組みを紹介します。
岡山県真庭市の事例
岡山県真庭市は、市の大部分を林野が占める自然豊かな地域であり、国からバイオマス産業都市として認定を受けています。真庭市では、地域特性を活かし、木材を直接燃焼させる方式でバイオマス発電に取り組みました。また、バイオマスツアーを実施することで、環境事業と観光産業を結び付けています。
福島県会津若松市の事例
福島県会津若松市では、エネルギーの地産地消を目指し、積極的な取り組みを展開しています。特に注目の取り組みは、これまで無駄にされがちであった間伐材を有効利用したバイオマス発電です。会津若松市では、教育施設や下水処理施設といった施設にバイオマスエネルギー設備を導入し、資源の効率的な活用を推進しています。
国内のバイオマス発電普及に向けた取り組み
ここでは、国内のバイオマス発電普及に向けた取り組みについて、技術的な状況や具体的な制度などを解説します。
バイオマス関連の技術開発
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などが、バイオマス燃料開発を進めています。2024年12月時点では、「バイオジェット燃料生産技術開発事業」や「木質バイオマス燃料等の安定性・効率的な供給・利用システム構築支援事業」といったプロジェクトが進行中です。
固定価格買取制度(FIT制度)
固定価格買取制度(以下「FIT制度」という。)は、再生可能エネルギーの普及を促進するための政策です。政府は電力会社に対して、再生可能エネルギーで生み出された電力を、一定期間にわたって決められた価格で買い取ることを義務付けました。
FIT制度により、発電事業者の収入が長期的に保証され、初期投資を回収する見込みが立ちやすくなっています。バイオマス発電もFIT制度の対象となっており、再生可能エネルギーの普及拡大に貢献しています。
第6次エネルギー基本計画
政府は第6次エネルギー基本計画において、2030年度の電源構成におけるバイオマス発電の目標比率を5%に設定しました。5%は風力発電と同等の比率であり、バイオマス発電を再生可能エネルギーの主力電源の1つとして位置付ける、意欲的な目標となっています。
まとめ
再生可能エネルギーの1つであるバイオマスは、動植物由来の生物資源です。バイオマス発電は、燃焼による熱エネルギーや、熱分解・発酵によるガスのエネルギーにより電気を生み出します。国や企業、自治体の取り組みによって、今後バイオマス発電は普及していくと予想されます。
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執筆者プロフィール
会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA