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再生可能エネルギーの現状と課題とは?解決に向けての対策・方法も解説!
目次
世界的にも脱炭素が推進されており、日本でも再生可能エネルギーの導入や普及が必要とされるようになりました。しかし、現時点では再生可能エネルギーの導入・普及には多くの課題が残されています。本記事では、再生可能エネルギーの現状や導入するメリット、課題と解決方法を解説します。
日本におけるエネルギーの課題と原因
日本は資源に乏しく、石油や天然ガスなどのエネルギー資源の多くを海外から輸入しています。資源エネルギー庁が公表している「主要国の一次エネルギー自給率比較」によると、2021年度のエネルギー自給率はわずか13.3%です。
しかも、不安定な世界情勢や資源不足によって、電気代の高騰をはじめとしたエネルギー問題に直面しています。世界的には脱炭素が推進されている一方、日本は石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料に依存しているのも問題です。
※参考:2023―日本が抱えているエネルギー問題(前編)|経済産業省 資源エネルギー庁
再生可能エネルギーの概要
再生可能エネルギーとは、太陽光や風力など、自然の力を利用して電力を生み出すエネルギーを指します。太陽光や風などの自然の力は永続的な利用が可能であり、基本的に枯渇することがありません。「グリーンエネルギー」や「自然エネルギー」とも呼ばれ、温室効果ガスを排出しないため、脱炭素社会の実現には欠かせないエネルギー源です。
再生可能エネルギーの現状
では、日本における再生可能エネルギーの現状はどうなっているのでしょうか。以下では、再生可能エネルギーの割合や導入状況を解説します。
日本の発電量に占める再生可能エネルギーの割合
一次エネルギー自給率の高い国に比べると日本の自給率は低いものの、再生可能エネルギーの供給は8年連続で増加傾向にあります。しかし、日本の再生可能エネルギーの電力比率は2021年度で約20.3%であり、多くの化石燃料に依存している状態です。
※参考:令和2年度(2020年度)エネルギー需給実績を取りまとめました(速報)|経済産業省
※参考:再エネの導入|経済産業省 資源エネルギー庁
再生可能エネルギーの導入状況
資源エネルギー庁では、再生可能エネルギーの発電導入容量を発表しています。2022年度時点での内訳を見ると、最も多いのは太陽光発電です。次いで水力発電が多く、風力発電、地熱発電が続いています。また、各国の再生可能エネルギー発電導入容量では、2021年度の実績で中国がトップです。日本はアメリカ、ブラジル、インド、ドイツに次いで6位でした。
再生可能エネルギーの主な種類
再生可能エネルギーにはいくつかの種類があり、特徴も異なります。ここでは、2021年度の導入容量順に解説します。
太陽光発電
太陽光発電のエネルギー源は、太陽光です。具体的には太陽光を太陽電池モジュールと呼ばれるパネルに当て、エネルギーに変換して発電します。導入が簡単であるため、家庭や中小企業でも利用可能です。
※参考:PPAモデルの太陽光発電で企業の脱炭素への1歩を後押し|株式会社ヒナタオエナジーインタビュー | ゼロ炭素ポート
水力発電
水力発電は、高い位置にある水を低い位置に落とす際の水流で水車を回し、回転エネルギーを電気エネルギーに変換させる発電方法です。ダムや河川のほか、農業用水や上下水などが発電に利用されています。天候に左右されにくい発電方法ですが、初期費用が高くなるのは難点です。
バイオマス発電
バイオマス発電では、発電に家畜の糞尿やトウモロコシなど、動植物から生まれたバイオマス燃料を燃やし、熱した蒸気でタービンを回して発電する方法です。焼却時に二酸化炭素が発生するものの、バイオマスの成長時に吸収する量が同量とされています。
風力発電
風力発電は、風で風車を回した際に生まれる回転エネルギーを、電気エネルギーに変換して発電させる方法です。風が吹いていれば夜間でも発電できるため、風の強い地域で導入が進んでいます。陸上・洋上どちらでも発電可能であり、電気エネルギーへの変換率も高いのが特徴です。
地熱発電
地熱発電は、地下のマグマを熱源とする発電方法です。マグマで熱せられた高温の熱水や蒸気を取り出し、タービンを回して発電します。地下の地熱エネルギーを利用するため枯渇することがなく、長期にわたって安定した供給が可能です。
再生可能エネルギーを導入するメリット
再生可能エネルギーを導入すると、以下で挙げる4つのメリットがあります。
温室効果ガスを排出しない
世界共通の課題である地球温暖化対策に向けて、原因となる二酸化炭素などの温室効果ガス削減が急務な状況です。再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出しないため環境に優しいメリットがあり、脱炭素の推進には欠かせません。
エネルギーの海外依存から脱却できる
日本では、エネルギー源となる石油・石炭・天然ガスなど、化石燃料を海外からの輸入に頼っています。再生可能エネルギーを拡充できれば、化石燃料の使用割合を減らせるのはもちろん、海外依存からの脱却も目指せるでしょう。
エネルギーが枯渇しない
石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料は、埋蔵量に限りがある有限資源です。一方で、再生可能エネルギーは自然の力をエネルギー源としているため、枯渇する心配がありません。どこにでもある太陽・水・風などを活用し、すべての国でエネルギーを産出できるのがメリットです。
環境問題への取り組みが評価される
再生可能エネルギーの導入で環境に配慮している企業だと認識されると、投資機関やステークホルダーからの信頼を獲得できるのもメリットです。企業価値が向上すれば、投資を受けようとする際にも有利になる可能性があります。
再生可能エネルギーの課題
再生可能エネルギーの導入や普及は多くのメリットを生む一方、以下のような課題もあります。
導入・発電に時間やコストがかかる
再生可能エネルギーの発電所建設には、周囲の環境に悪影響を与えるリスクについて調査を要します。建築費の高さも懸念材料となり、導入に時間やコストがかかるのが課題です。さらに、化石燃料より発電コストが高いうえ、日本固有の地理や天候の問題から、諸外国に比べてもコストはさらに高くなります。
安定供給が難しい
再生可能エネルギーのなかでも、太陽光発電は天気に左右されやすいエネルギー源です。特に日本の日照時間は世界平均よりも短いとされています。風力発電も風がない日は発電量が落ちる電源です。さらに、再生可能エネルギーは大量に貯めておくことが難しく、安定した発電量を維持しにくいという課題があります。
設置場所の確保が難しい
太陽光発電にしろ、風力発電や水力発電にしろ、再生可能エネルギーの発電所を建設するためには、広大な面積が必要です。日本の国土の多くは山地で占められているうえ、自然災害も多く、施設やプラントの設置・建設に向く場所が多くありません。発電所だけではなく、送電設備も必要になるため、設置場所の確保が難しいのも課題です。
変換効率が低い
変換効率とは、再生可能エネルギーを電気に変換する効率を指します。化石燃料を使用する火力発電のエネルギー変換効率は、35~43%程度であるのに対し、以下のように水力発電以外の変換効率はそれほど高くありません。
・水力発電:約80%
・太陽光発電:約20%
・風力発電:約30〜40%
・地熱発電:約20%
・バイオマス発電:約20%
※参考:太陽光発電の「変換効率」とは?計算方法や発電量を増やす方法を紹介|東京電力エナジーパートナー
再生可能エネルギーの課題を解決する対策・方法
ここでは、再生可能エネルギーが抱える課題を解決する対策・方法を解説します。
コネクト&マネージ
再生可能エネルギーの比率を上げたくても、系統容量には上限があるため、単純にただ増やせばいいわけではありません。そこで注目されているのが、既存の電力系統を最大限に活用する「コネクト&マネージ」です。コネクト&マネージは、最大発電量を下回る時間帯や、非常時に備えて空けている容量などを活用する仕組みで、2021年から運用が始まりました。
次世代型太陽電池の開発
現状では、日本で最も普及している再生可能エネルギーは太陽光発電です。しかし、天気に左右される太陽光発電は発電量が不安定なうえ、設置コストでも課題を抱えているため、次世代型太陽電池の開発が進んでいます。
次世代型太陽電池は薄くて軽く、柔軟性もある電池です。設置場所が限られる従来の太陽電池とは違い、これまで設置が難しかった場所にも設置できることで注目を集めています。経済産業省では、2024年11月に「次世代型太陽電池戦略」を発表しました。次世代型太陽電池は今後も需要が見込まれ、導入の拡大を目指しています。
※参考:次世代型太陽電池戦略|経済産業省
蓄電池の活用
蓄電池は、充電することで繰り返し利用できる電池です。電力が足りないときは蓄電池に貯めた分から補い、余ったときは貯めておけます。特に発電量が天気や天候に左右されがちな再生可能エネルギーでは、安定供給が実現できる蓄電池の普及は必須です。蓄電池を普及させるために、国も以下のような補助金制度を設けています。
・定置用リチウムイオン蓄電池導入促進対策事業費補助金
・需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業費補助金(VPP)
・災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金
売電契約の整備・普及
太陽光発電整備の建設や運用にはコストがかかることもあり、オンサイトPPAやオフサイトPPAと呼ばれる売電契約について、整備・普及を目指しています。オンサイトPPAは、企業などの敷地に発電事業者が太陽光発電設備を無償で提供し、発電した電気は企業に供給する仕組みです。
一方、オフサイトPPAでは太陽光発電設備が企業の土地から離れた場所に設置され、電力網などを通じて送電されます。オフサイトPPAでも、発電設備にかかる費用を出すのは発電事業者です。どちらも企業にとっては初期費用やメンテナンス費用を負担することなく、再生可能エネルギーを利用できます。
再生可能エネルギーの今後
政府は再生可能エネルギー政策について、電力別の論点や今後の目標値、施策のフォローアップを公開しています。たとえば、再生可能エネルギーの電源構成比は2022年でまだ21.7%ですが、2030年までに36~38%に引き上げるのが目標です。
また、二酸化炭素に限らずメタンや一酸化二窒素、フロンガスを含む温室効果ガスについて、2050年までに0にするカーボンニュートラルの実現も掲げています。
※参考:今後の再生可能エネルギー政策について|資源エネルギー庁
まとめ
化石燃料の資源が少ない日本では、これまでエネルギー資源を海外からの輸入に頼ってきました。しかし、世界的に脱炭素が推進されるようになり、今後は再生可能エネルギーの導入や普及が欠かせない状況です。
ゼロ炭素ポートは、脱炭素やカーボンニュートラルの実現に向けて、情報発信をするとともに、相談の受付も行っています。脱炭素への取り組み、再生可能エネルギーの導入などの課題を抱えているなら、ゼロ炭素ポートにご相談ください。
執筆者プロフィール
会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA