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工場で簡単に実践できる省エネ対策とは?メリットや手順も紹介 

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2024年12月27日

世界各国が省エネ活動に取り組んでいることもあり、工場などを有する企業にも省エネが求められています。 

この記事では、工場などにおける電力料金の仕組みや、企業が省エネに取り組まなければならない背景・メリットを解説します。また、工場で簡単に実践できる省エネ対策についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。 

そもそも省エネとは 

省エネとは「省エネルギー」を略した言葉です。限りあるエネルギーとされる石油、石炭、天然ガスなどのエネルギー資源がなくなることを防ぐ、あるいはエネルギーを効率よく使うことを意味します。省エネは主に「地球温暖化防止」や「エネルギー安定供給確保」につながる活動です。 

製造業の燃料種別エネルギー消費量 

工場を有することが多い製造業においては、以下のような割合でエネルギー消費が行われています。なかでも電力が占める割合が多いため、省エネ活動が求められています。経済産業省資源エネルギー庁が発表した「2022年度の製造業における燃料種別エネルギー消費量」の割合は、以下のとおりでした。 

・電力:51.2% 
・蒸気・熱:18.3% 
・石油・石炭:16.8% 
・天然ガス・都市ガス:12.5% 
・再エネ等:1.3% 

参考:令和4年度エネルギー消費統計結果概要|経済産業省資源エネルギー庁 

企業が省エネを求められるようになった背景

企業が省エネを求められるようになったのには、主に以下のような背景があります。 

省エネ法の制定・改正のため 

オイルショックをきっかけに1979年にエネルギーの使用の合理化等に関する法律が制定され、2023年4月からは名称もエネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律 となり改正法が施行されています(以下省エネ法という)。省エネ法により、年間に規定値以上のエネルギーを使用する工場や事業場などは、エネルギー使用に関する使用状況等の定期的な報告が必要です。省エネ法の改正で、省エネ活動はもちろん、非化石エネルギーの導入拡大も目指すようになりました。

カーボンニュートラルへの取り組み

カーボンニュートラルとは、CO2などの温室効果ガスの「排出量」と森林などによる温室効果ガスの「吸収量」を均衡にし、実質ゼロにする取り組みです。日本では、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指しており、各企業の協力も求められています。 

工場など製造業における電力計算の仕組み

工場などの製造業における高圧電力の電気代は、様々な契約があります。代表的な例を挙げます。

高圧の電気代=基本料金+電力量料金+再生可能エネルギー発電促進賦課金 

それぞれ内容をくわしく解説します。  

基本料金 

基本料金とは、使用した電力量に関わらず毎月支払う料金です。高圧電力の基本料金は、以下の計算式に基づいて計算されます。 

基本料金=料金単価×契約電力×(185-力率)/100 

料金単価とは、電力会社が定めた1kW(キロワット)あたりの料金です。契約電力とは、1か月に利用できる電力の最大量で、超えると超過金を支払う必要があります。 

電力量料金 

電力量料金とは、実際に利用した電力量に基づく料金です。電力量料金は、以下の計算式で計算されます。 

電力量料金=(夏季またはその他季の料金単価)×使用電力量+燃料費等調整額 

使用電力量とは1kWの電力を1時間使った場合の電力量で、燃料費等調整額とは電力会社が発電のために使う燃料の価格変動によって増減される料金です。 

再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)

再生可能エネルギー発電促進賦課金とは、再生可能エネルギーを普及させることを目的とした国の制度です。国が決めた再エネ賦課金単価に、毎月の電気使用量を掛け合わせて負担額が決まります。 

工場などが省エネに取り組むメリット 

工場などが省エネに取り組むと、社会貢献できるだけではなく、以下のようなメリットもあります。 

省エネによる経費削減 

工場を稼働させるため、電力はコストの大部分を占めています。そのため、省エネに取り組むことで大きな経費削減が期待できます。また、使用する機械を定期的にメンテナンスすることは負荷の軽減につながり、設備の寿命を伸ばして省エネや経費削減にもなります。 

企業価値の向上 

省エネは社会全体が取り組むべき問題です。世間的には、製品を提供する企業側も社会的責任を果たすべきという考えが強くなっています。省エネの取り組みは対外的にもアピールできるため、企業価値の向上にもつながるでしょう。 

工場の省エネを行う手順 

省エネに取り組む際も、以下のようなPDCAが重要です。 

・P:エネルギー使用状況の把握し、省エネできる項目の選定や施策の検討・選定を行う 
・D:省エネ施策の体制を整備・準備し、実施する 
・C:進捗状況を確認し、実施状況の管理や効果の検証を行う 
・A:施策や管理方法の見直しを行い、追加施策を検討する 

工場で簡単に実践できる照明設備に関する省エネ対策 

工場内の照明点灯ルールを設定し、周知徹底しましょう。照明スイッチの横に点灯エリアを明示し、「業務・作業を行わない場所の照明は点灯をしない」などのルールを設定する方法が効果的です。外光を取り入れて採光調整したり、可能な限りLED照明に変更したりする方法もよいでしょう。 

工場で簡単に実践できる空調設備に関する省エネ対策 

エアコンの設定温度を調整するのも有効です。1℃緩和した場合、冷房は約13%、暖房は約10%の削減が期待できます。定期的にフィルターや室外機などをメンテナンスするのも省エネにつながり、2週間に1回のフィルター清掃で冷房は約4%、暖房は約6%の省エネが可能です。 

室外機の温度環境を改善するのもよいでしょう。夏は直射日光が当たらないようにし、冬は日陰にならないようにします。 

工場で簡単に実践できるOA機器に関する省エネ対策 

工場で使用するパソコンの輝度を100%から40%にした場合、約23%の節電になります。また、パソコンを節電設定にしたり、無償でダウンロード可能な「Windows PC 自動節電プログラム」などを利用したりするのも有効です。さらに、複合機やコピー機を長時間使わないときは、電源を切ると省エネにつながります。 

工場で簡単に実践できる生産設備に関する省エネ対策 

1日のなかで、機器などを使用しない時間帯は電源をこまめに落としましょう。生産設備の電源を同時にいくつも立ち上げると、ピーク電力が高くなります。使用開始の際に電源を入れるなど、分散して電源を入れると省エネ効果が期待できます。また、熱を発する機器にはカバーを装着し、放熱損失を抑えましょう。 

工場で簡単に実践できる給湯・衛生設備に関する省エネ対策

トイレの温水便座設定を低めに設定する、電源を切るなども省エネにつながります。トイレや洗面所の照明の切り忘れを防ぐため、人感センサーなどを導入して、オン・オフの切り替えをするのもよいでしょう。給湯温度は衛生上可能な範囲で低めに設定するのがおすすめです。 

工場で簡単に実践できる再エネ導入による省エネ対策 

自家消費型太陽光発電やPPAモデルなどの発電施設を導入すれば、電気料金とCO2の両方の削減を目指せます。再生可能エネルギーを電源としたプランが選べる電気事業者を選ぶのも有効です。 

工場で簡単に実践できる節ガスによる省エネ対策 

温水ボイラーの運転台数を絞ったり運転時間を短縮したりするのも有効です。工場排気ガスの未利用エネルギーを熱交換器で回収し、エネルギーを還元活用する方法もあります。 

工場で簡単に実践できる節水による省エネ対策 

必要以上の水を使わないように、節水ノズルを付けて水の使用量を減らすと省エネにつながります。また、水を有効活用できる以下のようなシステムを導入するのもおすすめです。 

・海水や雨水を利用するシステム 
・排水リサイクルシステム 
・油を含む水を浄化するシステム 

工場で簡単に実践できるキュービクルのトランス交換による省エネ対策 

キュービクルとは、発電所から送られてきた電気を、工場で使用できる電圧に変圧する機器です。また、トランスとはキュービクルの中身にある電圧を変換する機器を指します。近年は、トランス(変圧器)の省エネ性能が向上しているため、最近機種に変えることで省エネにつながります。 

工場で簡単に実践できるボイラーの省エネ対策 

業種によっては、ボイラーの使用エネルギーは大きな割合を占めるでしょう。燃焼空気比の設定を改善する、高効率ボイラーを優先運転する、運転圧力を調整するなどの方法は有効です。排熱回収装置、省エネ燃焼システム、ボイラブロー水の顕熱回収装置などの導入もよいでしょう。 

工場で簡単に実践できる工業炉の省エネ対策 

工業炉がある工場は、使用エネルギーの多くを占めていることが多いため、改善することで燃料費削減はもちろん、CO2削減などの省エネにもつながるでしょう。燃焼空気比の設定変更、高断熱材による断熱、燃料を石油から天然ガスまたは電気への変更、排ガス熱の再利用などの方法があります。 

工場で簡単に実践できるコンプレッサーの省エネ対策 

コンプレッサーとは気体を圧縮する装置です。コンプレッサーを効率化することで省エネ対策になります。台数制御装置のパラメータ設定変更、吐出圧の管理、台数制御システムの導入、排熱の再利用などの方法が有効です。 

工場で簡単に実践できるカーボンオフセットによる省エネ対策 

カーボンオフセットとは、CO2排出量の価値を購入したり、CO2削減につながる取り組みに投資したりすることで、排出する温室効果ガスを埋め合わせる手法です。オフセット製品やサービスを購入・利用することでカーボンオフセットに貢献できます。

エネルギー価格は今後どうなる? 

原油・石炭・天然ガスなどのエネルギー価格は、今後も上昇すると予測されます。原油・石炭・天然ガスを燃料とした電気料金も値上がりする見通しです。製造業においても、エネルギー費用全体の値上がりが見込まれるため、早急な対策が必要です。 

まとめ 

工場を有することが多い製造業は、エネルギーとして電力を使う割合が多いため省エネが求められます。省エネは社会貢献につながるのはもちろん、今後もエネルギー価格の上昇が続くため、経費削減にも有効です。本記事で解説した工場で簡単に実践できる省エネ対策を、ぜひ参考にしてください。 

ゼロ炭素ポートは、脱炭素の情報発信に加え、脱炭素の未来をつくる方々の困りごとを相談できる「場」を目指しています。工場向け太陽光発電や監視システム構築ソフトウェアの資料をダウンロードすることも可能です。ぜひご利用ください。 

参考:PPAモデルの太陽光発電で企業の脱炭素への1歩を後押し|株式会社ヒナタオエナジーインタビュー | ゼロ炭素ポート
参考:エネルギーの“見える化”で企業のGHG排出量削減を支援|東京ガス株式会社 Joyシリーズインタビュー | ゼロ炭素ポート

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA