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オフィスの省エネアイデアをテナント・自社ビル別に紹介|メリットや事例も解説
目次
オフィスの省エネは、企業にとって重要な課題です。しかし、省エネといっても、何から取りかかればよいか分からない人は多いかもしれません。
本記事では、オフィスの省エネについて、テナントでも実践できる簡易な取り組みから、自社ビルでの設備投資を伴う本格的な施策まで解説します。事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
オフィスの省エネとは?
そもそも省エネとは、「省エネルギー」の略で、石油や石炭、天然ガスなど、限りあるエネルギー資源がなくなってしまうことを防ぐため、エネルギーを効率よく使うことをいいます。 オフィスでできる省エネは、職場で消費されるエネルギーを効率的に管理し、無駄を最小限に抑える取り組みです。オフィスは日夜多くの人が出入りする場所であり、照明やOA機器、空調などさまざまな設備を継続的に使用しています。適切な省エネ対策を実施すると、大きなエネルギー削減効果が見込めます。
※参考:省エネって何?|経済産業省
オフィスのタイプと省エネの自由度
オフィスは、テナントタイプと自社ビルタイプに分けられます。ここでは、オフィスのタイプ別に省エネの自由度を解説します。
テナントタイプ
テナントタイプとは、オフィスビルの一部または全フロアを賃借する形態のことです。テナントタイプでは建物自体の所有権がないため、抜本的な省エネ対策には制限があります。設備の運用面に関して工夫し、省エネを促進することが重要です。
なお、一般社団法人省エネルギーセンターは、オフィスを専有する場合内のエネルギー消費の内訳は、照明が40%、OA機器などのコンセント使用が32%、空調が28%であるとの調査結果を公表しています。
※参考:1. オフィスビルのエネルギー消費の特徴|一般社団法人省エネルギーセンター
自社ビルタイプ
自社ビルタイプは、企業が建物の所有権を持つ形態です。テナントタイプとは異なり、設備の導入や見直しに関する裁量が大きく、さまざまな省エネ対策がを検討できます可能です。オフィスで使用される照明・OA機器・空調だけではなく、エレベーターや給湯設備、共用部の設備など、建物全体のエネルギー効率化を総合的に進めることが重要です。
テナント向けのオフィスの省エネ
テナントタイプのオフィスであれば、設備の導入・見直しは制限されます。ただし、設定変更やルール作りによる省エネは可能です。以下では、テナント向けのオフィスの省エネについて解説します。
【テナント向け】照明関連のオフィスの省エネ
テナントタイプの場合、照明関連の省エネは、設備投資を必要としない運用面での工夫から始めましょう。具体的には、以下のような取り組みが効果的です。
・不要な照明の消灯ルールの定着
・時間帯別の照明利用計画の実施
・自然光が入る窓際エリアでの照明の間引き
「時間帯別の照明利用計画」とは、オフィスの活動パターンに合わせて照明のルールを作って実行することです。例えば、「昼休みの時間帯は窓際エリアの照明を消灯する」、「残業時間帯は必要最小限のエリアのみ点灯する」など、具体的なルールを設定すると、高い省エネ効果を得られるでしょう。
【テナント向け】OA機器関連のオフィスの省エネ
OA機器は、パソコンやプリンター、シュレッダーなどを指します。コンセント関連で比較的手軽に取り組めるオフィスの省エネとして、具体的には以下のような取り組みが挙げられます。
・長時間離席時の機器電源オフの習慣化
・モニター輝度の適切な設定による消費電力抑制
・スリープモードの有効活用
・複合機の配置数見直しと省エネモードの積極活用
【テナント向け】空調関連のオフィスの省エネ
空調関連で比較的手軽に取り組めるオフィスの省エネには、以下の取り組みが挙げられます。
・エリアごとの最適温度設定の管理
・空調設備の定期清掃と保守点検
・空調設備の定期メンテナンス
・サーキュレーターの活用による室内空気循環の効率化
・ブラインドやカーテンの設置による遮熱・断熱効果の向上
・計画的な換気運転の実施
・送風モードの有効活用
・使用頻度の低い空調機器の把握と運用見直し
【テナント向け】服装関連のオフィスの省エネ
服装関連で取り組めるオフィスの省エネとして、具体的には以下のような取り組みが挙げられます。
・クールビズやウォームビズの推奨
・季節に応じた快適な服装ガイドラインの設定
・冷感アイテムの活用促進
・適度な活動による体温調節の推進
クールビズやウォームビズを推進する際は、ビジネスシーンにふさわしい服装例を写真付きで提示したり、部署ごとの特性に配慮したガイドラインを作成したりすると効果的です。来客対応時の服装ルールなども明確にしておけば、従業員は安心してクールビズやウォームビズに取り組めるようになります。
自社ビル向けのオフィスの省エネ
自社ビルタイプのオフィスであれば、設備の導入・見直しを含めた大がかりな省エネが可能です。自社ビル向けのオフィスの省エネについて、エネルギーの見える化にも触れつつ解説します。
【自社ビル向け】設備の導入・見直し関連のオフィスの省エネ
自社ビルタイプの省エネ対策として、設備の導入・見直し関連の施策の具体例を以下に示します。
| 省エネ種別 | 施策 |
| 照明 | ・LED照明の導入 ・照明器具の配置最適化 ・人感センサーによる自動制御の実施 ・反射板の設置 ・タスクアンビエント照明方式の採用 |
| 空調 | ・空調システムの起動時間の最適化 ・起動時における外気取り入れ制御の改善 ・ポンプや送風機へのインバータ導入 ・高効率な空調機の導入 |
| その他 | ・節水コマや節水器具の導入 ・給湯器具の分散化による効率向上 ・高効率な熱源機器の導入 |
【自社ビル向け】エネルギーの見える化関連のオフィスの省エネ
自社ビルタイプの省エネ対策を効果的に進めるには、建物全体のエネルギー使用状況を正確に把握する必要があります。エネルギーの見える化により、無駄な消費が発生している場所や時間帯を特定できると、的確な施策を立てられます。
BEMS(Building Energy Management System)は、建物全体のエネルギー使用状況を、リアルタイムで監視・分析できるシステムです。
※参考:ビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)|国立研究開発法人 国立環境研究所
オフィスの省エネが必要とされる理由
オフィスの省エネが求められる背景には、地球温暖化の抑制、電気料金の節約という課題があります。以下では、課題の詳細を解説します。
地球温暖化を抑制するため
オフィスの省エネ化が求められる背景として、地球温暖化対策への貢献が挙げられます。地球温暖化は、CO2などの温室効果ガスの増加によってもたらされる環境課題です。政府は2050年のカーボンニュートラル実現を目指し、脱炭素型ライフスタイルを推進する国民運動「デコ活」を展開しています。
デコ活の目標達成には、政府の取り組みだけではなく、企業や個人による主体的な協力が欠かせません。特に、オフィスは業務部門における主要なエネルギー消費源です。オフィスの省エネは、温室効果ガスの削減に大きな効果をもたらすと期待されています。
※参考:デコ活 環境省が推進する「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」|環境省
電気料金を節約するため
オフィスの省エネは、環境への配慮に加え、電気料金の節約という観点からも重視されています。東日本大震災以降、電気料金の平均単価は、燃料価格の高騰などを理由に値上がり傾向にあります。日常的な省エネ活動の積み重ねが、確実な電気料金の削減につながるでしょう。
※参考:電気料金の変化|経済産業省
オフィスの省エネに取り組むメリット
以下では、オフィスの省エネを通じて、地球温暖化の抑制、電気料金の節約以外で企業が得られるメリットを解説します。建物全体で省エネ対策を検討できる自社ビルタイプのオフィスは、取り組みにより特に大きなメリットを得られます。
自社ビルの不動産価値が上がる
自社ビルの省エネは、不動産価値の向上にも大きく貢献します。特に、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化は、建築物の価値を高める重要な要素として評価されています。ZEBは、高断熱化や高効率設備の導入、再生可能エネルギーの活用などにより、年間のエネルギー消費量を実質ゼロにする建築物です。
環境性能に優れた建物として認知されると、ESG投資の観点から金融機関の融資条件が優遇される場合があります。また、環境志向の高いテナントの誘致も容易になり、市場競争力のある賃料設定も可能となります。
※参考:1. ZEBとは?|環境省
災害に備えられる
自社ビルの省エネでZEB化を目指す取り組みは、災害対策としても価値を発揮します。ZEBは「省エネ」と「創エネ」を組み合わせた建築物で、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを積極的に活用します。
再生可能エネルギーは、太陽光・風力・地熱など、自然界から継続的に得られるエネルギー源です。再生可能エネルギーを活用したエネルギー供給システムを導入すると、大規模災害による停電時にも、事業継続に必要な電力をまかなえる可能性があります。
オフィスの省エネに取り組む企業の事例
以下では、オフィスの省エネに取り組む企業の事例を、テナントタイプと自社ビルタイプに分けて解説します。
シティグループの事例
シティグループは、オフィスビルの選定において、LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)認証を取得したビルを優先的に検討しています。
LEEDは、米国グリーンビルディング協会(USGBC)が開発した環境性能評価システムで、建築物の省エネ性能や環境負荷の低減度を総合的に評価します。認証は世界各国で採用され、単体の建築物から都市まで、幅広い規模での環境配慮を評価可能です。
あなぶきセントラルビルの事例
あなぶきセントラルビルは、穴吹興産株式会社によって、ZEB Ready認定を取得する建築物として改修されました。ZEB Readyとは、ZEBの実現に向け、建物の断熱性能を高め、高効率な省エネ設備を導入した建築物のことです。同社は、詳細な省エネ診断により設備改修のポイントを特定し、効率的な投資を実現しました。
※参考:ZEBの定義|環境省
オフィスの省エネを進める際の注意点
オフィスの省エネを進める際の注意点として、従業員の理解を得ながら継続的に取り組みを発展させるポイントを解説します。
できるところから取り組む
オフィスの省エネは、スモールスタートが成功への近道です。最初から大規模な設備投資や厳格なルール適用を目指すのではなく、実現可能な小さな取り組みから始めましょう。無理を強いる施策は、生産性の低下やストレスの蓄積を招く可能性があります。
また、具体的なルール作りも大切です。「省エネを心がけましょう」という抽象的な呼びかけではなく、「外気温が28℃を超えた場合は、空調設定を26℃にする」といった、判断に迷わない具体的な基準を設定しましょう。
従業員の納得・協力を得て進める
オフィスの省エネを成功に導くには、従業員の理解と積極的な参加が不可欠です。新しい施策を導入する際は、目的や具体的な方法について前もって丁寧に説明しましょう。また、省エネ対策を継続するためには、部署間での省エネ達成度を競い合ったり、月次の電力使用量の削減結果を共有したりするなど、従業員の省エネ意識を高める工夫も効果的です。
省エネに向けた管理体制を作る
効果的に省エネを推進するためには、適切な管理体制の構築が重要です。ただし、適切な体制は、自社ビルタイプとテナントタイプで異なります。
自社ビルタイプの場合、建物全体のエネルギー管理を自社で統括可能です。一般社団法人省エネルギーセンターの「ビルの省エネルギーガイドブック2023」には、エネルギー管理項目として、以下の5つが必要と記載されています。
・管理体制
・エネルギーの見える化
・計測・記録
・保守管理
・運転管理
一方、テナントタイプの場合は、単独での管理体制構築に制限があります。特に「エネルギーの見える化」に着手するためには、ビルオーナーの協力が必要です。ビル管理会社や他のテナントと連携し、建物全体での省エネ推進体制を構築しましょう。
※参考:ビルの省エネルギーガイドブック2023|一般社団法人省エネルギーセンター
省エネを推進し続ける
適切な管理体制の構築と、現実的な施策の導入が、オフィスの省エネ対策における出発点となります。施策を実行した後は、目標との差異を分析して改善し続けましょう。同時に、複数の省エネ活動におけるリーダー(エバンジェリスト)を配置すると、押し付けではない自発的な省エネ活動が期待されます。
まとめ
オフィスの省エネは、地球温暖化の抑制や電気料金の節約につながる重要な取り組みです。省エネは、テナントタイプと自社ビルタイプで効果的な進め方が変わります。従業員の納得・協力を得たうえで、徐々に社内の省エネに対する意識を高めましょう。
「ゼロ炭素ポート」は、自社のサービスだけではなく他社のソリューションも含めて、お客さまの脱炭素への取り組みを総合的にサポートするWebサイトです。オフィスの省エネ対策に向けた取り組みをお考えの人は、ぜひゼロ炭素ポートをご活用ください。
執筆者プロフィール
会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA