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省エネ法とは?改正省エネ法の変更点、企業ができる取り組みを紹介 

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2024年12月13日

エネルギー消費量が多い事業者に対して、エネルギー使用の効率化を求める法律が省エネ法です。効率的なエネルギー使用の促進を目的として施行されました。本記事では、省エネ法の概要について詳しく解説します。また、改正省エネ法の内容から、企業ができる取り組みもまとめているため、ぜひ参考にしてください。 

省エネ法とは 

省エネ法とは、エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律のことで、石油や石炭などの化石燃料に依存した供給構造の改善を目指しています。日本ではエネルギーの多くを化石燃料に頼っているため、消費の効率化が重要です。また、省エネ法では無駄な消費の削減を通じてエネルギー需給構造の健全化を推進しています。 

※参考サイト:1.安定供給|経済産業省 

省エネ法におけるエネルギーの定義 

省エネ法におけるエネルギーは、燃料・熱・電気に分けられています。それぞれの定義は以下のとおりです。 

・燃料:原油、重油、ガソリン、可燃性天然ガス、石炭など 
・熱:燃料を熱源とする熱(蒸気や温水など) 
・電気:燃料を由来とする電気 

また、廃棄物から取り出すエネルギーや非化石エネルギーは対象外となっています。 

省エネ法で求められる報告の種類

省エネ法で求められる報告は、以下にあげる5つの種類があります。 

・事業者の基本情報:事業所名、住所、事業内容 
・エネルギー使用量:自社で使用するエネルギーの種類と量(原子力や再生可能エネルギーも含める) 
・省エネ活動の詳細:取り組んでいる省エネ活動の内容 
・省エネ活動の実績:省エネ活動によって得られた成果 
・今後の取り組みや計画:改善に失敗した場合にはその理由、将来的な改善計画などの具体的な計画 

省エネ法の対象となる事業者 

省エネ法はすべての事業者が対象となるわけではありません。ここでは、省エネ法の対象事業者について解説します。 

省エネ法の直接規制・間接規制 

省エネ法には2種類の規制段階が定められています。1つは、工場や事業場、運輸分野などを対象とする「直接規制」です。もう1つは、自動車や家電製品、建材といった機械器具などの製造、もしくは輸入事業者を対象とする「間接規制」です。直接規制・間接規制の具体的な対象は以下で解説します。 

直接規制の対象 

直接規制の対象となるのは「自社で工場やオフィスを所有している」「貨物や旅客輸送事業者、または荷主」のどちらかに当てはまる法人です。なかでも、下記のいずれかに当てはまる場合は、エネルギー使用の報告が義務づけられます。 

・特定事業者 
・特定貨物、旅客輸送事業者 
・特定荷主 

該当する事業者には、エネルギー使用量の定期報告や中長期計画書の提出などだけでなく、エネルギー管理者を選ぶ必要もあります。 

間接規制の対象 

間接規制の対象となるのは、自動車や家電製品などの製造または輸入業者です。また、家電やエネルギーの小売業者も対象となります。上記の条件に当てはまる事業者は、32品目のエネルギー消費効率目標を設定し、達成に向けて取り組まなければなりません。また、小売業者の場合は、努力義務として消費者に対する情報提供を行うこととされています。 

省エネに向けた取り組み 

ここでは、省エネに向けた取り組みとして、省エネ法で求める主な内容を解説します。 

基準の遵守 

省エネ法では、特定の施設や設備に効率基準が設けられており、基準を守ることが義務づけられています。対象施設は効率化に向けた対策を講じ、適任の管理者を任命する必要があります。管理者は、エネルギー使用状況の監視を通じて、無駄の削減や効率向上を推進し、具体的な改善策を提案する役割を担います。 

エネルギー使用量の監視・報告

一定規模のエネルギーを使用している事業者には、エネルギー使用量の監視と報告が義務づけられています。決められた期間の使用量を監視して報告することにより、エネルギー使用状況を把握して省エネ対策を評価します。また、省エネ対策の計画から実施、検証、改善を繰り返して、持続的な省エネ努力を行うことも重要です。 

エネルギー管理システムの導入 

一部の大規模エネルギー消費者に対しては、エネルギー使用状況を可視化する管理システムの導入が求められています。これにより、効率的なエネルギー使用に向けた施策の立案や実施、効果測定が行いやすくなり、経営改善にもつながります。 

エネルギーの“見える化”で企業のGHG排出量削減を支援|東京ガス株式会社 Joyシリーズインタビュー | ゼロ炭素ポート

改正省エネ法とは 

省エネ法は、2022年5月に改正されました。ここでは、改正省エネ法について詳しく解説します。 

省エネ法は2022年5月に改正され、2023年4月から改正省エネ法として施行されています。省エネ法が改正された背景には、カーボンニュートラルの実現・電気需要の最適化があります。温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させるカーボンニュートラルや、効率的な電力使用を促進するために、省エネ法が改正されました。 

※参考サイト:省エネ法の改正​|経済産業省 

「エネルギーの使用の合理化」対象拡大 

省エネ法の改正によって、エネルギーの定義が拡大しています。改正前と改正後の内容は以下のとおりです。 

・改正前:エネルギーの定義は、化石エネルギーのみ 
・改正後:定義を拡大し、非化石エネルギーも対象になった 

改正により太陽光発電などを導入だけに留まらず、非化石エネルギーの効率的な使用を目指すことも求められています。 

非化石エネルギーへの転換

改正により、非化石エネルギーへの転換についても変更がなされています。 

・改正前:一定規模以上の事業者に、エネルギー使用状況の報告義務がある 
・改正後:非化石エネルギー転換の中長期計画の作成義務が加わる 

改正によって、エネルギー使用の合理化の推進、非化石エネルギーの導入拡大なども求められるようになりました。 

電気需要の最適化 

電気需要の最適化に関する変更点は以下のとおりです。 

・改正前:昼・夜・平準化時間帯の電気使用量を報告 
・改正後:電気需要の最適化が必要 

また、改正後にはDR(デマンド・レスポンス)に関する報告が必要になりました。対象となる事業者は「需要増加時の対応(上げDR」)や「需要削減時の対応(下げDR」)を実施し、その状況を報告することと定められています。 

企業がとるべき対応

改正省エネ法に対応するために、企業が取るべき対応は大きく分けて4つです。それぞれの対応方法について解説します。 

機器・設備の運用を改善する 

まずは、機器や設備の運用の見直しです。導入されている機器や設備の使われ方を把握したうえで、合理的なエネルギー使用を目指しましょう。たとえば、機器の利用時間を減らす、エアコンの温度設定を調整するなど、適切な温度を保つ取り組みが挙げられます。 

省エネ機器・設備を導入する 

省エネ機器や設備を導入することも企業ができる取り組みです。たとえば、LEDなど消費電力の少ない機器や設備を導入することで、効率的なエネルギー利用が可能になります。また、省エネ機器を導入したり、太陽光発電の電気を購入したりする施策も、改正省エネ法に対応する手段の1つです。 

電気需要最適化の設備を導入する 

電気需要最適化に役立つ以下のような設備を導入する方法もあります。 

・デマンドコントロールシステム:使用する電気量の監視や調整により、需要の最大値を抑制できる装置 
・蓄電池:電気を貯めておける装置 

これらの設備を導入することで効率的に電気を活用できます。 

第三者認証を活用する 

第三者認証を取り入れて、非化石エネルギー活用の証明をすることも可能です。第三者認証としては、J-クレジットや非化石証書などが挙げられます。ただし、第三者認証の種類によって証明可能なエネルギーは異なります。たとえば、J-クレジットなら非化石熱のみなし使用量のみとなっているため、注意しましょう。 

省エネ法への取り組みに応じたランク制度もある 

省エネ法への取り組みによって事業者をランク分けする制度もあります。ここでは、2つのランク制度について解説します。 

SABC評価制度 

SABC評価制度とは、省エネ法に基づく定期報告を提出するすべての事業者について、S~Cまでランク分けする制度です。 

・Sランク:努力目標もしくはベンチマーク目標を達成している優良事業者 
・Aランク:Sクラスには達しないが、Bクラスよりは省エネ水準が高い目標未達成事業者 
・Bクラス:目標未達成の停滞事業者 
・Cクラス:判断基準の遵守状況が不十分な目標未達成事業者 

Sランクは優良事業者として公表されます。また、Bクラスは報告徴収や立入検査、現地調査の可能性があり、Cクラスは省エネ法に基づく指導が実施される可能性があります。 

※参考サイト:事業者クラス分け評価制度​|経済産業省 

省エネコミュニケーション・ランキング制度 

省エネコミュニケーション・ランキング制度とは、省エネに関する情報提供や充実度を評価するための制度です。「エネルギー小売事業者の省エネガイドライン検討会」に基づいてランク分けされます。高評価の事業者は、資源エネルギー庁によって取り組み事例が公表される仕組みになっています。 

※参考サイト:省エネコミュニケーション・ランキング制度|経済産業省 

省エネ法に関する罰則・ペナルティ

省エネ法で義務づけられている届出書などを提出しない、もしくは虚偽の届出をした場合には、ペナルティが課せられます。 

・エネルギー使用状況届出書:罰金(50万円以下) 
・定期報告書・中長期計画書:罰金(50万円以下) 
・エネルギー管理統括者・管理企画推進者・管理者・管理員の不選任:罰金(100万円以下) 

このように、罰金が科せられるケースもあるため、省エネ法を遵守することが大切です。 

※参考サイト:工場・事業場編 - 資源エネルギー庁|経済産業省 

まとめ 

省エネ法とは、エネルギー消費量が多い事業者にエネルギー使用の効率化を求める法律で、エネルギー需給構造の改善を目的としています。省エネ法では、該当する事業者に省エネに関する報告が求められているため、必要な報告を行いましょう。 

ゼロ炭素ポートは、自社のみならず他社ソリューションとも協力し、お客さまのニーズにお応えするサイトです。脱炭素やカーボンニュートラルなどの取り組みを効率的に進めるためにも、お気軽にお問い合わせください。 

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA