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省エネ補助金とは?概要やメリット、指定設備導入事業に使える制度を紹介
目次
企業が省エネを目的とした指定設備を導入する際、省エネ補助金を受けられるケースがあります。初期費用の負担を減らせるため、ぜひ省エネ補助金を活用しましょう。本記事では、省エネ補助金とは何か、補助金の例や申請方法などを解説します。
省エネ補助金とは
省エネ補助金とは、省エネのために導入する指定設備を購入するための費用を、国が補助してくれる制度のことです。以下で詳しく解説します。
省エネは現代の重要課題
省エネとは、限りあるエネルギーを有効に活用して、無駄遣いをしないようにする取り組みのことです。日本ではエネルギー資源を輸入に頼っています。一方で国内のエネルギー消費は増加傾向にあり、省エネは国を挙げて取り組まなければならない重要な課題です。
省エネはエネルギーの不足を防ぐだけでなく、近年問題になっている地球温暖化の防止にもつながります。その取り組みの1つとして実施しているのが省エネ補助金の支給です。
省エネ補助金の概要
省エネ補助金は環境省や経済産業省などが支給しており、指定設備や機器の導入に必要な費用などの一部もしくはすべてを補助します。導入に必要な資金を補えるだけでなく、返済も不要となっています。
※参考:省エネ設備への更新支援(省エネ補助金)|一般社団法人 環境共創イニシアチブ
省エネ補助金ができた背景
日本で省エネが注目されるようになったきっかけは、1970年代に起きた2度のオイルショックです。エネルギー資源の供給を海外に頼っていた日本は、オイルショックにより燃料が高騰したり、供給が制限されたりして大きなダメージを受けました。
そこで1979年に制定されたのが、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(以下「省エネ法」という)です。さらに1998年には、「地球温暖化政策の推進に関する法律」(以下「温対法」という)が制定され、経済産業省と環境省が一緒に補助金に取り組む運びとなりました。
※参考:時代にあわせて変わっていく「省エネ法」|経済産業省
※参考:地球温暖化対策推進法の制定(1998年)|独立行政法人環境再生保全機構 ERCA
省エネ補助金の申請方法
省エネ補助金は事前に準備を整えてから申請しなければなりません。補助金の申請方法を確認しておきましょう。ここでは、一般社団法人 環境共創イニシアチブの「交付申請のステップ」をもとに申請方法を解説します。
※参考:省エネ設備への更新支援(省エネ補助金)|一般社団法人 環境共創イニシアチブ
申請前の準備
まずは補助事業ポータルのアカウント登録をします。次に公募要領や手引きをチェックして、補助金に関する情報を集めます。補助金によって対象となる指定設備が異なるため注意が必要です。
対象の設備を選定したら、設備と工事費の見積もりを請求します。不当な金額を請求されないためにも、複数の業者に依頼しましょう。準備は時間にゆとりをもって、設備を導入する3か月前には始めておくのが理想です。
申請の手続き
準備が整い補助金の申請書や必要書類を作成したら提出します。申請書を作成したり提出したりする条件として、面接や説明会への参加が求められることもあるため確認しておきましょう。書類を提出して、無事に採択されれば着工が可能です。なお、補助金の支給が認められた後も、報告や事務処理などを求められることがあります。
補助金の受け取り
補助金が受け取れるのは、設備の施工完了後です。そのため、補助金を受け取る前に工事費用の支払いを求められた場合は、自己資金から支払わなければなりません。必要な費用を用意するための計画を立てる、融資を検討するなど、自社で支払いができるよう準備しておきましょう。
省エネ補助金を活用するメリット
補助金を活用するには時間や手間がかかりますが、その分メリットもあります。
省エネ設備を導入できる
省エネ設備を導入すると光熱費を抑えられたり、エネルギー効率がアップしたりしてコストを削減できます。しかし、効果的な設備を導入すると初期費用がかかり、その費用も高額になりがちです。補助金を活用できれば設備を導入するときの負担を軽減できます。返済も不要なので、導入費用を返済するための負担も減らせます。
設備改修を計画的に進められる
設備を導入したからといって、いつまでも新品と同じ状況で使用できるとは限りません。一定期間ごとにメンテナンス、ある程度年数が経過すれば修理も必要になります。補助金のなかには、設備の改修に活用できるものも用意されています。その場合は改修にかかるコスト負担を抑えられるため、改修計画がしやすくなる点もメリットです。
設備投資の回収を早められる
設備投資に大きな金額を使うと、設備投資にかけた資金を回収して黒字にするまで時間がかかります。補助金を活用して初期費用を減らせると、設備投資にかかった資金を回収できる期間を減らせる点もメリットです。設備投資の回収が早まれば無理のない事業計画が立てられるため、ステークホルダーからの承認も得やすくなる可能性があります。
「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」
ここからは「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」について解説します。
先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金とは
企業の省エネ設備導入や取り組みを支援する目的で行われている補助金で、5つの支援があります。それぞれの支援は後述します。
公募情報
2024年8月時点で公募対象となっているのは、2022年度以前に初年度採択された複数年度事業のみで、2024年度の新規事業に関する公募と採択は実施していません。
なお、最新情報は「一般社団法人 環境共創イニシアチブ」のWebサイトに記載されるため、補助金の活用を視野に入れている企業はこまめに確認してみてください。
※参考:令和6年度 先進的省エネルギー投資促進支援事業|一般社団法人 環境共創イニシアチブ
【省エネ補助金】先進事業((Ⅰ)工場・事業場型)
2024年10月現在、これまでは「先進事業」だった事業区分が、「(Ⅰ)工場・事業場型」に変更されています。詳細は以下のとおりです。
・事業要件:先進的で省エネ性能が高く、大きな省エネ効果を得られる設備やシステムの導入を支援
・省エネ効果の要件:申請単位において、省エネ率や石油換算料をベースとして一定の要件を満たす事業
・補助対象経費:設計費、設備費、工事費
・補助率:中小企業などは1/2以内(先進要件を満たせば2/3以内)、大企業およびその他は1/3以内(先進要件を満たせば1/2以内)
・年度の限度額:上限額15億円、下限額100万円
複数年度事業や連携事業、先進要件を満たす複数年度事業の場合、限度額が変わります。詳しくは経済産業省のWebサイトをご確認ください。
【省エネ補助金】オーダーメイド型事業((Ⅰ)工場・事業場型)
2024年10月現在、これまでは「オーダーメイド型事業」だった事業区分が、「(Ⅰ)工場・事業場型」に変更されています。事業要件などの内容は、先述した先進事業と同じです。詳しくは経済産業省のWebサイトをご確認ください。
【省エネ補助金】(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型
2023年度に新設された補助金で、正式名称は「(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型」です。詳細は以下のとおりです。
・事業要件:電化や脱炭素目的の燃料転換を伴う設備などの導入を支援
省エネ効果の要件:電化・脱炭素を目的とする燃料転換を伴うこと(ヒートポンプで対応できる低温域は電化のみ)
・補助金対象経費:設備費(電化であれば付帯設備も含む)
・補助率:1/2以内
・限度額:上限3億円(電化は5億円)、下限額30万円
詳しくは経済産業省のWebサイトをご確認ください。
補助対象設備
2024年10月現在、補助金の対象となる設備は以下のとおりです。
・産業ヒートポンプ
・業務用給湯器のうち業務用ヒートポンプ給湯器
・低炭素工業炉
・高効率コージェネレーション
・高性能ボイラ
詳しくは、一般社団法人 環境共創イニシアチブのWebサイトをご確認ください。
※参考:『(Ⅲ)設備単位型』補助対象設備一覧|一般社団法人 環境共創イニシアチブ
【省エネ補助金】指定設備導入事業((Ⅲ)設備単位型)
2024年10月現在、これまでは「指定設備導入事業」だった事業区分が、「(Ⅲ)設備単位型」に変更されています。詳細は以下のとおりです。
・事業要件:SIIがあらかじめ定めたエネルギー消費効率などの基準を満たし、かつ補助対象設備として登録・公表した指定設備へ更新する事業を支援
・省エネ効果の要件:SIIがあらかじめ定めたエネルギー消費効率などの基準を満たした設備を導入していること
・補助対象経費:設備費
・補助率:1/3以内
・限度額:上限1億円、下限30万円
詳しくは経済産業省のWebサイトをご確認ください。
補助対象設備
2024年10月現在の補助対象設備は以下のとおりです。
・ユーティリティ設備:高効率空調、産業ヒートポンプ、業務用給湯器など
・生産設備:工作機械、プラスチック加工機械、プレス機械など
詳しくは、一般社団法人 環境共創イニシアチブのWebサイトをご確認ください。
※参考:『(Ⅲ)設備単位型』補助対象設備一覧|一般社団法人 環境共創イニシアチブ
【省エネ補助金】エネマネ事業((Ⅳ)エネルギー需要最適化型)
2024年10月現在、これまでは「エネマネ事業」だった事業区分が、「(Ⅳ)エネルギー需要最適化型」に変更されています。詳細は以下のとおりです。
・事業要件:申請単位で「EMSの制御効果と省エネ診断等による運用改善効果」によって、原油換算量ベースで省エネルギー率2%以上を満たす事業
・省エネ効果の要件:エネルギーマネジメントシステム(EMS)機器の導入
・補助対象経費:設計費、設備費、工事費
・補助率:中小企業などは1/2以内、大企業およびその他は1/3以内
・事業全体の限度額:上限額1億円、下限額100万円
詳しくは、一般社団法人 環境共創イニシアチブのWebサイトをご確認ください。
※参考:省エネルギー投資促進支援事業費補助金|一般社団法人 環境共創イニシアチブ
先進的省エネルギー投資促進支援事業の申請方法
ここからは、経済産業省の最新の募集要項となる、「令和6年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業費」に係る補助事業者募集要領」に沿って申請方法を解説します。
対象となる企業・団体
先進的省エネルギー投資促進支援事業の申請対象には、いくつかの要件が設けられています。以下は対象となる主な企業や団体の一例です。
・日本に拠点がある
・産業や業務分門などで省エネ関する設備や技術に精通し、本事業を的確に遂行できる組織や能力、人員を有している
・本事業を滞りなく進められる経営基盤や資金力において十分な管理能力を有している
詳しくは経済産業省のWebサイトでご確認ください。
※参考:令和6年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業費」に係る補助事業者募集要領
必要となる申請書類
補助金を申請するために用意する主な書類は、以下のとおりです。
・申請書
・提案書
・会社概要(パンフレットなど)
・直近の財務諸表
詳しくは経済産業省のWebサイトでご確認ください。
※参考:令和6年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業費」に係る補助事業者募集要領
申請書類の作成方法
補助金の申請書類はポータルで作成可能となっており、申請は原則補助金申請システム「Jグランツ」で応募します。Jグランツで申請した場合、通知もJグランツをとおして行われます。また、Jグランツを利用する際は、GビズIDの取得が必要です。詳しくは経済産業省のWebサイトでご確認ください。
※参考:令和6年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業費」に係る補助事業者募集要領
その他の省エネ補助金
省エネ補助金は、前述した補助金以外にも多数用意されています。経済産業省や環境省による補助金をはじめ、国土交通省では、オフィスビルとして活用している既存の建築物に関する補助金があります。
また、全国の自治体では、その自治体で暮らす住民や事業者を支援する補助金が用意されています。今回対象となる補助金がなかった場合も、事業を運営している自治体に活用できる補助金があるかもしれないので、確認してみましょう。
まとめ
省エネ補助金は、企業が省エネのために導入する設備費用を支援する仕組みです。返済する必要がないため、導入費用の負担が軽減できる、設備改修を計画的に進められるなどのメリットがあります。
ただし、要件を満たした上で指定設備を導入しなければならないなど、補助金を活用できる条件はしっかり確認しておかなければなりません。事前の準備も重要なので、早めに計画を立てましょう。
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執筆者プロフィール
会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA