脱炭素に向けた世界の取り組みとは?日本での取り組みについても解説

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「脱炭素」とは、温室効果ガスの1つである二酸化炭素(CO2)などの排出量を削減し、最終的に実質ゼロを目指す取り組みのことです。脱炭素は、気候変動対策の一環であり、環境負荷を減らすために重要とされています。 

本記事では、脱炭素に向けた世界のさまざまな動きとともに、日本国内や企業での具体的な取り組みについても詳しく解説します。 

脱炭素とは

「脱炭素」とは、温室効果ガスの1つである二酸化炭素(CO2)の排出量を削減し、最終的に実質ゼロを目指す取り組みを指します。具体的には、再生可能エネルギーの利用や省エネ技術の導入、森林保全などの活動を通じて、CO2の排出を抑えることが求められています。こうした取り組みにより、環境負荷を軽減し、気候変動の進行を防ぐことを目指しています。 

脱炭素が求められている理由 

脱炭素が求められる理由の1つには、地球温暖化が引き起こす異常気象や自然災害の増加が深刻化していることが挙げられます。このまま温暖化が進行すれば、今世紀末までに地球の気温がさらに上昇し、海面上昇や生態系の崩壊などが予測されており、人間社会と自然環境に重大な影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクを抑えるためにも、脱炭素への取り組みが急務とされています。

脱炭素化における課題 

脱炭素社会の実現に向け、エネルギー供給の転換や産業部門の排出削減など、さまざまな分野で具体的な対応が求められています。しかし、再生可能エネルギーへの移行や新たな技術の導入には多くの課題が存在し、中小企業にとっては経済的な負担も大きな壁となっています。 

エネルギー供給の転換 

日本の電力供給は、依然として火力発電に大きく依存しており、石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料が多く使われています。そのため、CO2の排出量が多く、脱炭素化に向けて再生可能エネルギーへのシフトが強く求められています。 

しかし、再生可能エネルギーの導入には、供給の安定性やコストが大きな課題として立ちはだかっています。たとえば、太陽光や風力発電は天候に左右されるため、安定した供給が難しい側面があるほか、これらのエネルギーを全国規模で普及させるには、コスト面でも大規模な投資が必要です。 

産業部門の排出削減

CO2の排出量が多い産業の一例として、鉄鋼や化学産業が挙げられます。近年では水素エネルギーを活用した新しい製造技術の導入が進められており、炭素排出を抑える試みが始まっています。 

しかし、こうした取り組みには技術面でのブレイクスルーが必要であり、現実的な運用段階に到達するまでにはさらなる研究と開発が不可欠です。また、これらの技術の実用化には時間がかかり、その間にどのようにしてCO2排出を抑制するかも、重要な課題となっています。 

中小企業の経済的負担 

大企業に比べて資金的な余裕が少ない中小企業にとって、省エネ設備の導入やエネルギー効率の改善が必要です。 

脱炭素化への取り組みは、特に中小企業にとって経済的な負担が大きいと言われており、費用負担は容易ではありません。政府はこうした企業への支援や補助金の拡充を進めていますが、持続的な脱炭素化を実現するためには、さらなる支援策が必要とされています。 

世界各国のCO2排出量 

2023年、世界の二酸化炭素排出量は前年比0.9%増加し、過去最高の368億トンに達しました。エネルギー危機によって石炭や石油の使用が増加したものの、太陽光や風力発電の導入拡大やエネルギー効率の向上が進んだことで、当初懸念されていたほどの大幅な増加には至らなかったのが現状です。 

国別の排出量では、中国が全体の31.7%(2021年)を占めて最も多く、一方で日本は全体の3%で6位となっています。 

参照:https://www.jircas.go.jp/ja/program/proc/blog/20230303 

最新版】脱炭素に向けた世界の取り組み状況 

世界各国で脱炭素化に向けた多様な取り組みが進められています。アメリカは、電気自動車(EV)の普及とクリーンエネルギーの導入を加速するため、EVインフラの整備やクリーン水素の生産に巨額の投資を行い、2030年までに新車販売の50%をクリーン自動車とする目標を掲げています。 

一方、EUでは「Fit for 55」計画を打ち出し、2030年までに温室効果ガスを2005年比で55%削減し、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目指しています。 

脱炭素に向けた世界の取り組み 

世界各国が脱炭素社会の実現に向けた具体的な行動を進めています。特に、アメリカやEUをはじめとする先進国や、新興国であるUAEなどが、それぞれの国情に応じた戦略を打ち出し、クリーンエネルギーや再生可能エネルギーの導入拡大、産業構造の転換に取り組んでいます。 

メリカのクリーンエネルギーとEV推進 

アメリカは、2030年までに新車販売の50%をクリーン車両とする目標を掲げ、電気自動車(EV)充電インフラの整備も進めています。具体的には、2030年までに50万基の充電ステーション設置を目指し、再生可能エネルギー導入の支援にも注力しています。 

EUの「Fit for 55」と炭素国境調整措置(CBAM)

EUは、2050年のカーボンニュートラル達成を目指し、「Fit for 55」政策パッケージを展開しています。この中には再生可能エネルギー比率の引き上げや、輸入品にCO2排出コストを課す「炭素国境調整措置(CBAM)」が含まれ、低炭素型産業への転換を促進しています。 

ドイツのイースターパッケージ 

ドイツは、2045年のネットゼロ達成に向けた中間目標として「イースターパッケージ」を採用し、再生可能エネルギーの拡大を優先しています。特に、洋上風力と太陽光エネルギーの拡充を重要課題としており、エネルギー安全保障の強化にも貢献しています。 

UAEの再エネと水素戦略 

UAEは、2050年までにクリーンエネルギー発電比率を50%にすることを目標に、水素エネルギー生産にも注力しています。また、COP28を機会に持続可能な発電へのシフトや、グリーンビジネスの成長戦略にも取り組んでいるのが特徴です。 

国際脱炭素都市連携 

脱炭素に向けた日本の取り組み 

日本は、2050年までにカーボンニュートラルを達成するため、多角的な戦略を展開しています。以下で、主要な取り組みを紹介します。 

グリーン成長戦略 

日本政府は、2050年のカーボンニュートラル目標に向けて、エネルギーと産業の構造転換を図る「グリーン成長戦略」を推進しています。この戦略は、14の重点分野を設定し、水素エネルギーやバイオ燃料などの新エネルギー開発、再生可能エネルギーの導入促進を含んでいます。これにより、経済成長と環境保護の両立を目指しています。 

GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針

GX基本方針では、温室効果ガスの削減と経済成長の同時達成を目指し、カーボンプライシングの導入、再生可能エネルギーの普及、電動車の普及促進などの施策が進められています。特に、水素やアンモニアの利用拡大を通じて、エネルギーの脱炭素化に取り組んでいます。 

ゼロカーボンシティの推進

日本の地方自治体では、2050年までに実質的なCO2排出ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」の表明が進んでおり、国もこれを支援しています。2024年10月時点で、全国の1078の自治体がこの目標に参加し、地域特性を活かした脱炭素計画を策定しています。 

アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)

日本が主導するアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)は、アジア諸国と協力し、化石燃料依存からクリーンエネルギーへの移行を促進する取り組みです。東南アジア各国で歓迎されており、日本の技術支援とエネルギーインフラの整備が進んでいます。 

持続可能な航空燃料(SAF)の推進

日本は、インドネシアの規格外ココナッツを活用して、持続可能な航空燃料(SAF)の製造に取り組んでいます。これにより、ジェット燃料の脱炭素化が進み、日本は国際的な脱炭素目標への貢献を目指しています。 

脱炭素に向けて企業ができること 

企業は、温室効果ガスの削減に向けた取り組みを通じて、社会的責任を果たしつつ、自社の競争力を強化することが求められています。ここでは、具体的な施策を紹介します。 

再生可能エネルギーの活用 

企業が使用する電力を再生可能エネルギー(太陽光や風力など)に切り替えることは、排出削減の主要手段です。多くの企業が「RE100」に参加し、100%再エネ利用の達成を目指しています。リコーやセブン&アイ・ホールディングスなどの企業は、この取り組みを通じて企業イメージの向上と環境負荷の軽減を実現しています。 

省エネ技術の導入と効率化 

エネルギー消費の効率化も、温室効果ガス削減に欠かせない施策です。高効率な設備や省エネ型空調、LED照明などの導入により、エネルギーの無駄を削減することができます。これにより、光熱費や運営コストの削減も見込まれるため、環境と経済の両面において効果が期待されています。 

サプライチェーン全体での排出管理 

企業は自社の取り組みだけでなく、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量を把握し、削減目標を設定することが効果的です。サプライヤーや輸送過程でのエネルギー使用を見直すことで、長期的な環境戦略として脱炭素化を進める企業も増えています。このような包括的な排出管理は、企業価値の向上にもつながります。 

まとめ

脱炭素化は、持続可能な未来を築くために世界全体で避けて通れない課題です。各国が自国の状況に合わせた政策を打ち出し、再生可能エネルギーの活用や産業の構造転換に取り組んでいます。 

日本でも、カーボンニュートラルに向けた戦略が進行中で、企業や自治体の協力が重要な鍵を握っています。地球環境と経済成長の両立を目指し、今後もさらなる技術革新と国際協力が求められるでしょう。 

ゼロ炭素ポートは、自社のサービスだけではなく他社のソリューションも含めて、お客さまの脱炭素への取り組みを総合的にサポートするサイトです。脱炭素に向けた取り組みをお考えの人は、ぜひゼロ炭素ポートをご活用ください。 

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA