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脱炭素社会実現とSDGsの関連性とは?企業にできる取り組み事例も紹介
目次
近年、世界では気候変動や自然災害の多発など環境の変化によって、さまざまな被害が発生しています。地球の未来を守るためにも、脱炭素の実現やSDGs達成が重要です。本記事では、脱炭素やSDGsについての概要や関連性などについて解説します。国や自治体、企業が実践している取り組み事例も紹介するため、参考にしてください。
世界が目指す「脱炭素」社会とは
「脱炭素」とは、気候変動などを引き起こす地球温暖化を食い止めるために、二酸化炭素などを含む「温室効果ガス」の排出をゼロに近づける取り組みです。温室効果ガスの排出ゼロを目指す社会を、「脱炭素社会」といいます。
また、脱炭素のために温室効果ガスの排出量を削減したり、植林などで吸収量を増やしたりする取り組みにより、実質的な排出量をゼロにする状態を「カーボンニュートラル」と呼びます。
石炭や石油など、化石燃料を使用する際に発生する温室効果ガスに含まれるのは、主に二酸化炭素です。また、農業や廃棄物処理などからはメタン、工業プロセスからはフロンガスなど、合計で7種類の温室効果ガスが排出されています。温室効果ガスの排出量増加に伴い、地球ではさまざまな問題が発生している状況のため、脱炭素社会の実現が求められています。
世界的に脱炭素が注目されている背景
以下のとおり、脱炭素はさまざまなきっかけで世界中から注目されるようになりました。
2015年「パリ協定」の策定
2015年12月にフランスで開催された「COP21」では、世界的に深刻化する気候変動問題に向き合うために「パリ協定」が策定されました。パリ協定は、世界的に脱炭素社会を実現するための国際的な枠組みとされています。産業革命前を基準とし、世界の気温上昇を2度以下に保ち、1.5度以下を目指すことが目標です。
パリ協定に伴い、各国は温室効果ガスの削減目標を5年ごとに提出するよう求められており、脱炭素に向けた取り組みが世界的にも注目されるようになりました。
参考:今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~|経済産業省
地球温暖化による影響の深刻化
近年、深刻化している地球温暖化の影響は、温室効果ガスの排出量増加が原因とされています。このままでは、世界的な平均気温の上昇が2度を超えてしまう可能性も否めません。猛暑による農作物への影響や自然災害の増加、寒冷期の短縮による健康被害などが増加する危険性もあるため、早急な対策が必要とされています。
化学燃料の枯渇
温室効果ガスを排出する化学燃料は、このまま使い続けると枯渇する可能性があります。また、化学燃料に依存し続けた場合、温室効果ガスを排出し続けるだけではなく、資源の枯渇による産業活動への影響も懸念されるため、脱炭素に向けた取り組みが重要です。
持続可能な社会を作り出すためには、化学燃料のような有限の資源に依存しない社会の実現も求められています。
世界的な目標「SDGs」とは
昨今は、「SDGs(エスディージーズ)」という言葉をよく聞くようになりました。ここでは、SDGsの概要や推進されている背景について解説します。
SDGsの概要
SDGsとは、2015年9月の国連サミットで採択された「17の世界共通目標」です。持続可能な社会の実現のため、世界的に取り組みが必要な問題を取り上げて「17の目標」と「169のターゲット」が設定され、さらにその下に「232個のインジケーター(指標)」があります。
※参考:SDGsとは?|外務省
※参考:SDGsってなんだろう? | SDGsクラブ | 日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会) (unicef.or.jp)
SDGsが推進されている背景
SDGsは、特定の分野に対する目標を定めているわけではありません。世界的に影響のあるさまざまな分野に対する目標が、設定されています。世界では地球温暖化による気候変動だけでなく、「貧困」「飢餓」「ジェンダー」「雇用」「格差」など、さまざまな課題があります。持続可能な社会を実現するためには、それぞれの課題を世界的に解決する動きが必要です。
また、技術や経済発展による社会の変化や戦争などの経験から、人権尊重や「誰1人取り残さない社会」の実現という考え方が、世界で広まっている背景があります。
脱炭素とSDGsの関係性
脱炭素はSDGsの目標のなかでも、特に以下に関連しています。
・目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに
・目標13:気候変動に具体的な対策を
ただし、SDGsの目標は,それぞれが相互関係にあるため、目標7と目標13の実現を目指すには、ほかの目標達成にも目を向けなければなりません。たとえば、目標9で設定されている「産業と技術革新の基盤をつくろう」という目標では、ターゲット9.4として「2030年までに環境に配慮したクリーンエネルギーの活用」について設定されています。
目標9のターゲット9.4は、目標7と目標13の実現にも寄与するだけではく、脱炭素の実現にも深い関連性があるといってよいでしょう。
脱炭素に必要とされている取り組み例
脱炭素に必要とされている取り組みには、以下が含まれます。
再生可能エネルギーの活用
温室効果ガスの削減には、再生可能エネルギーの活用が欠かせません。再生可能エネルギーという言葉は近年よく耳にしますが、具体的には以下のエネルギーを指します。
・太陽光発電
・風力発電
・地熱発電
・水力発電
・波力発電
・バイオマス発電
再生可能エネルギーは、自然の力を活用するので枯渇の心配がなく、二酸化炭素を排出しないのが特徴です。
廃棄物や二酸化炭素のリサイクル
温室効果ガスの発生原因の1つである廃棄物に対し、リサイクルを推進して脱炭素を目指す動きが注目されています。これらの取り組みは「カーボンニュートラル」の実現に欠かせません。
具体的には、廃棄物のリサイクルを仕組み化して最終的に廃棄物ゼロを目指す「ゼロウェイスト」、排出される二酸化炭素を資源として再利用する「カーボンリサイクル」などの取り組みがあります。
森林保全や植林の強化
脱炭素社会の実現に寄与するカーボンニュートラルの実現には、温室効果ガスの「排出」をゼロにする努力が必要ですが、温室効果ガスを「吸収」する環境の保護も重要です。そのためには産業活動によって減少してしまった森林の保全活動や、植林活動の強化も欠かせません。
国が実践している脱炭素やSDGs実現に向けた取り組み
脱炭素やSDGs実現に向けて、国が実践している取り組みを解説します。
地球温暖化対策推進法の改正
地球温暖化対策推進法は、2021年5月に一部改正法として成立されました。2050年までに脱炭素社会を実現させることが、法的にも目標として定められています。
また、脱炭素社会の実現やSDGs目標達成に向けた取り組みに関連し、追加された項目もあります。たとえば、カーボンニュートラルの実現のための「再生可能エネルギーの利用促進」、企業に対する「温室効果ガスの排出量データのオープン化」などです。
※参考:地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案の閣議決定について|環境省
グリーン成長戦略の推進
脱炭素社会の実現には、各企業の戦略やビジネスモデルの変化が必要です。経済産業省は、2020年12月に「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を制定しました。環境への配慮や対策は、企業にとってのコストや負担になるものではなく、経済成長につながる施策であると捉えてもらうための政策です。
脱炭素に伴って成長が期待される14の分野に対して、具体的な目標や見通し、支援策などが策定されています。
※参考:2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略|経済産業省
地域脱炭素ロードマップの策定
2021年6月には、2050年までのカーボンニュートラル実現のために、必要な工程を策定した「地域脱炭素ロードマップ」が策定されました。地域脱炭素ロードマップの対策・施策の全体像として、2020年から2025年までの5年間を集中期間とし、人材・技術・情報・資金の積極的な支援を提唱しています。
2030年までには、脱炭素先行地域を全国に少なくとも100か所に増やすほか、全国各地で「自家消費型太陽光」「省エネ住宅」「電動車」などの重点対策を実施することが目標です。また、モデルとなる脱炭素先行地域から、各地域に脱炭素社会の実現を広げ、2050年を待たずに「打炭素達成(脱炭素ドミノ)」の実現を掲げています。
※参考:地域脱炭素とは|環境省
脱炭素やSDGs実現に向けた企業の取り組み事例
先述したとおり、脱炭素に向けた取り組みは環境への配慮だけではなく、経済成長にもつながります。日本でも多くの企業が脱炭素に向けて取り組んでいる状況です。たとえば、トヨタ自動車では再生可能エネルギーを活用することによって、工場から排出される二酸化炭素の排出ゼロを目指しています。
スターバックスでは、国内店舗で使用する電力を100%再生可能エネルギーに切り替え、二酸化炭素排出ゼロを目指しています。
脱炭素やSDGs実現に向けた自治体ごとの取り組み事例
地方自治体においても「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ」を表明する自治体が増え続けています。表明している地方自治体では、それぞれ脱炭素に向けた取り組みを実施しており、千葉県では「CHIBAむつざわエネジー」として、再生可能エネルギーの防災活用が進められています。
2019年に発生した「台風15号」では、実際に停電した際に活躍したことが話題となりました。
脱炭素やSDGs実現に向けて1人ひとりができること
企業や地方自治体だけでなく、個人でも脱炭素やSDGsに関する心構えが必要です。1人ひとりができることとして、食品を買い過ぎず、食べられる量だけ作るなど「食品ロス」が出ないように工夫するなどの取り組みがあります。
また、LED電球を使用する、グリーンカーテンの活用でエアコンの使用頻度を下げるなどの「省エネ対策」も効果的です。さらに、公共交通機関を利用する、輸送エネルギー削減のために地産地消を心がける、レジ袋削減のためにマイバックを利用するなどの取り組みも、脱炭素やSDGsの実現に近づきます。
まとめ
気候変動や自然災害などが多発し、脱炭素の実現やSDGs達成は世界で取り組む必要があります。脱炭素やSDGs実現に向けて取り組みたいけれど、どうしたらよいか分からない企業も多いでしょう。「ゼロ炭素ポート」は、脱炭素の情報発信をはじめ、脱炭素についての悩みを気軽に相談できる「場」になることを目指しています。
脱炭素やカーボンニュートラルに関する相談も可能です。脱炭素ソリューションの資料をダウンロードすることも可能なので、ぜひご利用ください。
執筆者プロフィール
会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA