環境意識が高まる近年、電気の自給自足をかなえるための設備として人気の太陽光発電。長いスパンでの運用を見据えて、設置後の維持管理がいかに重要かを知っておく必要があります。
維持管理が必要な理由として、まずは法律で義務づけられていることが挙げられます。再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)を利用せず、太陽光発電の設備容量が50kW未満の場合を除き、「改正FIT法」や「電気事業法」によって、設備を適切に維持管理することが法律により求められます。FIT制度を例にとると、事業者は太陽光発電の計画の確実性、適切なメンテナンスが行われた上で長期にわたって発電が可能かどうかといった観点で審査を経て、国からの認定を受けますが、法令に違反すると、改善命令だけでなく、最悪の場合、認定が取り消されることもあります。
維持管理が必要な理由は、法令の観点だけではありません。野外に設置される太陽光発電システムは年中雨風にさらされるため、気候や天災はもちろん、鳥のフンや木の枝、雑草やゴミなどによって、絶えず汚れや破損、あるいは雪や雨水の侵入等のリスクに直面しています。
これらのリスクに対し、対策を講じず、適切なメンテナンスがされていないと、発電量の低下だけでなく、時に火災や漏電による感電などの大事故を招く原因にもなり、安全に稼働するためにも維持管理は必要不可欠です。
太陽光発電の維持管理には一体どんな点検やメンテナンスが必要なのでしょうか?以下で具体的に紹介します。
まずは、太陽光発電の設備が異常なく稼働しているかを確認する、日常点検や清掃が必要です。具体的な点検箇所として、大きく以下の4箇所の点検が重要となります。
・太陽光電池アレイ・架台・配線・配管
・接続箱・集電箱
・パワーコンディショナ
・開閉器・漏電遮断機・電力量計
破損や腐食、異常表示の有無などに加え、設備まわりの雑草や樹木などの影響がないかどうかを含めた確認が大切です。点検のポイントも数多くあり、日本電気工業会の「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」によると、20個程度示されています。
日常点検により異常が認められた場合には専門業者に依頼し、各機材を交換する必要も出てきます。とくに直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナは、塩害や雨風の環境によっては故障につながりやすいともいわれていて、注意が必要です。
次に定期点検です。義務化されている定期点検は専門技術を要するため、専門業者による検査が必要です。低圧の場合、設置後1年目、その後は4年に1度の頻度での定期点検の実施が必要であり、高圧の場合はサイクルが短く、半年に1度の定期点検が必要となります。定期点検では、各設備の破損・故障や異常が起きていないか、目視または特殊な機器を使用した点検が必要となります。
具体的には、上記で紹介した日常的なメンテナンスでの点検箇所を含めた目視チェックや数値測定のほか、運転停止の動作確認など多岐に渡ります。日本電気工業会の「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」によると、主要な機器に加えて、端子台やケーブルなど、130以上におよぶ検査要領をクリアにする必要があります。
屋根や地面など設置する場所によっては、以上の内容に加えて、追加で点検が推奨される項目もあります。
<屋根設置型の場合>
屋根設置型の場合、太陽光発電設備に加えて、屋根や水回りの確認が欠かせません。雨漏り跡の確認や、防水処理の状態について異常の有無、破損や隙間、結露などの確認も大切です。
<地面設置型の場合>
地面設置型の場合、周辺の土木管理の不備・不良が地域での公害や災害にもつながるため、さらに厳しく周辺環境への配慮が求められるようになっています。近年、台風や土砂崩れなどの自然災害が頻発していることに加え、太陽光発電システムを設置する地域とのさまざまなトラブルが増えている背景も影響しています。そこで、改正・再エネ特措法により、電気以外の設置場所まわりの周辺環境も含めた、さまざまな法令の遵守が求められるようになっています。
そのため太陽光発電設備の維持管理に追加して、安全確保のためのフェンスの設置や獣害対策、周囲の環境保全のための森林や雑草の管理、反射の防止などにも配慮しなければなりません。また近年、設置場所が離れているケースでは、銅線の盗難が増加傾向にあり、そのための対策も必要です。
※参考/太陽光発電システム保守点検ガイドライン(日本電気工業会・太陽光発電協会技術資料2016年12月28日制定)
※FIT制度とは、再生可能エネルギー(再エネ)で発電した電気を、国が定める価格で一定期間、電気事業者が買い取ることを義務付ける制度です。FITは「Feed-in Tariff(固定価格買取制度)」の頭文字を取った言葉です。
どんなに定期メンテナンスを尽くしても、台風・地震・大雨など、気候や天災といった不測の事態により、どうしても設備の故障やトラブルが起きてしまうこともあります。
<主なトラブル事例>
・外的要因による変色や損傷、割れ
・塩害などによるアルミフレームの腐食
・漏れ電流による火災や感電
・フィルタの詰まりによるパワーコンディショナの停止
・雷による機器故障、それに伴う計測装置の不作動
このようなトラブルが発生すると、都度対応する必要が出てきます。
PPA | 自己所有 | リース | |
---|---|---|---|
初期費用 | ◎0円 | △多額の費用が必要 | ◎0円 |
所有権 | PPA事業者が所有 契約満了後は譲渡されることが多い |
自社で所有 | リース事業者が所有 契約満了後は譲渡されることが多い |
電気代 | △自己所有より高い傾向 使用量に応じて サービス料金を支払い |
◎発電した電気は無償で使える | △自己所有より高い傾向 毎月固定料金を支払い |
定期点検 作業・費用 |
◎PPA事業者が負担 | △自社で負担 | △自社で負担するケースが多い |
故障対応 作業・費用 |
◎PPA事業者が負担 | △自社で負担 | △自社で負担するケースが多い |
リスク | ◎PPA事業者が負う | △自社で負う | △自社で負う |
東京ガスのヒナタオソーラーでは太陽光発電をPPAモデルで提供しております。 詳しいサービス内容はこちらの資料をダウンロードしてご確認ください。