カーボンニュートラルは全世界が取り組んでいますが、企業が取り組まないとならない課題が少なくありません。カーボンニュートラルの実現には、再生可能エネルギーが不可欠であり、なかでも太陽光発電が有効な手段です。
本記事では、カーボンニュートラルの基本知識や取り組みを解説します。太陽光発電の導入目標やその推移やメリット、デメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
まず、カーボンニュートラルを知るために、その基礎知識について解説します。
カーボンニュートラルとは、国や企業などの枠組み内で、温室効果ガスの排出量と吸収量を相殺し「ゼロ」にすることです。全世界を対象とした取り組みですが、日本では2050年のカーボンニュートラルの達成を目指しています。これは、2010年に総理大臣が所信表明演説で宣言したことです。
この宣言により、各企業や団体も2050年に向けてカーボンニュートラルの達成が求められています。この宣言の特徴は、温室効果ガスとされている二酸化炭素以外の温室効果ガスも含まれていることです。メタンや一酸化窒素、フロンガスなどあらゆる温室効果ガスが含まれています。
なお、「カーボン」は炭素ですが、カーボンニュートラルでは、それ以外の温室効果ガスも含めて削減を目指さなければなりません。
カーボンニュートラルと同義語として使われているのが「ネットゼロ」です。SDGsやサスティビリティと比べると認知度が低い言葉ですが、重要な意味を含んでいます。
カーボンニュートラルは、温室効果ガスの排出量と吸収量や回収量がニュートラル(均衡)し保っている状態を目指しています。明確な違いはありませんが、ネットゼロは炭素を含めて温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることが目的です。
ただし、温室効果ガスの排出をゼロにすることは現実的に無理があります。そこで、行政や報道ではカーボンニュートラルに着目しているのです。
カーボンニュートラルの達成は企業にも求められており、企業が達成できなければ国内の達成は難しいといえるでしょう。これは、企業が排出している温室効果ガスが、現在の地球環境に大きな影響を与えているからです。
具体的な企業での取り組みとして、小さなことでは省エネやペーパーレスがあげられます。大きなコストをかけての取り組みには、再生可能エネルギーの導入があります。企業のなかには、すでに自社で使う電力のすべてを再生可能エネルギーに切り替えているケースも見られます。
なかでも、自社で太陽光発電を導入し、自社での電力消費を上回る電力を売電して利益をあげているケースが多く見られるようになってきました。これは、カーボンニュートラルの達成には、再生可能エネルギーの導入が必要であり、なかでも太陽光発電が大きな役割を果たしているといえます。
現在の再生可能エネルギーの主力は、太陽光発電です。ここでは、太陽光発電の導入目標や拡大への取り組みなどを解説します。
太陽光発電は、光が当たると電気が発生する現象を用いて、太陽電池を利用して太陽光エネルギーを直接電気に変換する発電方法です。太陽電池は、発電した電力を貯める蓄電池ではなく、太陽光エネルギーを直接電力に変換する発電機を指します。
太陽光エネルギーが太陽電池に当たることで、光電効果や光起電力効果などの現象が起こることを利用します。太陽電池の半導体に太陽光が照射されることで、電子が動き電気が起きる仕組みです。
太陽電池は、素材によって発電効率が異なっており、シリコン系や化合物系、有機系などあります。現在の主流は、比較的にイニシャルコストが安価なシリコン系であり、世界の生産量の80%程度を占めています。化合物系は、イニシャルコストは高めですが、発電力がシリコン系より高いのが特徴です。
2012年7月のFIT制度(以下「固定価格買取制度」という。)の開始により、再生可能エネルギーの導入は大幅に増加しました。FIT制度は、再生可能エネルギーで発電された電気を電力会社が一定の期間、一定の価格で買い取る制度です。
この制度が施行された影響もあり、太陽光発電の日本の再生可能エネルギー電源構成比は、2011年度の0.4%から2020年度は7.9%に増加しました。また、2022年のエネルギーミックス改定では、2030年度の温室効果ガス46%削減に向けて、さまざまな施策効果が見込める場合の野心的目標を定めています。
2020年度では、7.9%となっている太陽光発電の再生可能エネルギー電源構成比を、2030年新ミックスでは14~16%程度まで増やし、全再生可能エネルギー電源構成費で36~38%を目指すものです。
出典:2050年カーボンニュートラルの実現に向けて~太陽光発電への期待~ 環境省
2030年の新エネルギーミックスの達成に不可欠な太陽光発電の拡大の取り組みは、国をあげて施策が講じられています。各省庁においては、関係省庁と連携して太陽光発電の導入目標の達成を目指している最中です。
政策面をみれば、環境省では公共部門の率先実行として、太陽光発電の設置可能な建物の約50%以上の導入を目指すと明記しました。同じく環境省では、地域共生太陽光発電の導入により、地域特性に合わせた導入に向けた取り組み支援を進めています。
国土国交省では、航空の再生可能エネルギー拠点化を策定し、再生可能エネルギーを含む航空脱炭素化のための調査を進め始めました。具体的には、21の重点調査空港のなかで、10空港に太陽光発電の導入を検討し、空港の脱炭素化を進める取り組みのガイドラインを策定しています。この他にも、多くの省庁で太陽光発電の導入拡大の施策を模索しているのが現状です。
出典:2050年カーボンニュートラルの実現に向けて~太陽光発電への期待~ 環境省
太陽光発電には、多くのメリットがあります。ここでは、代表的なメリットを5つ紹介します。
自社で太陽光発電を導入すれば、大幅な電気代の削減が可能です。自社で必要な電力を100%太陽光発電で賄うことも可能であり、実現すればこれまで電力会社に支払ってきた電気代を支払う必要はなくなります。
自社で電気を使いきれなかった余剰電力が出れば、蓄電池に電気を貯めたり売電したりすることを検討しましょう。SDGsやサステナビリティの企業の役割を考えれば、基本的に自社で消費することや蓄電が優先です。
停電になった際にも電気を使えることも、太陽光発電の大きなメリットです。非常時でも業務を止めることなく稼働できれば、大きな利益の損失はありません。また、太陽光発電を導入しているオフィスや事業所を、従業員やその家族の避難場所にも利用できます。
太陽光発電設備は減価償却資産です。その減価償却期間は17年間であり、イニシャルコストすべてを減価償却できるため、大きな節税効果がのぞめます。
太陽光発電を導入すれば、17年間は固定資産税を納めなければなりませんが、固定資産税は太陽光発電設備の評価額の1.4%です。年々評価額が減少する仕組みであるため、必ずしも減価償却の節税メリットが打ち消しになるとはいえないでしょう。
太陽光発電を導入すれば、カーボンニュートラルに貢献するだけでなく、サステナビリティ企業として企業ブランドや企業イメージが向上します。SDGsの活動にも関わっているため、企業にクリーンなイメージがつきやすくなるでしょう。
企業イメージ向上のために、壁面のガラスに太陽光発電を導入している企業もあります。このように、太陽光発電を導入していることをアピールすることで、企業を取り巻くステークホルダーからのイメージアップにもつながります。
太陽光発電設備を導入し、発電で余剰電力が出れば、蓄電しておくことで夜間や発電量が少ない天候時に使用できます。蓄電できる電力を上回る発電があった場合は、発電した電気を売ることで売電収入が得られます。
先にも少し触れたように、カーボンニュートラルやサスティビリティ社会の考え方は、あくまでも自家消費です。FIT制度の仕組みも自家消費を促しており、買取価格は年々下がってきています。売電を目的とする場合は、太陽光発電を事業として展開することが望ましいといえます。
しかし、太陽光発電による電気を売電することで利益を得られることに変わりはありません。余剰電力を売電できることは大きなメリットです。
太陽光発電には、少なからずデメリットもあります。ここでは、主なデメリットを3つ紹介します。
太陽光発電の発電量は、天候によって大きく変動します。雨や曇りの日は発電量が大幅に低下し、太陽光の当たり具合や日照時間も発電量に大きく影響します。そのため、太陽光発電設備の導入時には、設置する場所の日当たりや日照時間を調べてから導入しましょう。
太陽光発電設備の導入は、規模にもよりますが、多額のイニシャルコストが必要です。イニシャルコストは、太陽光パネルの種類によっても大きな違いがあり、発電効率が高いパネルほどコストは高くなる傾向です
まずは、自社が必要とする発電量を、これまでの電力会社からの明細などで確認し、その必要な発電量に対して、太陽光パネルの種類や日照時間、蓄電量、売電量などを検討し導入することが望ましいでしょう。
どのような設備でも定期的なメンテナンスが欠かせませんが、太陽光発電設備においても同様です。低圧(50kW未満)の場合は、4年に1度の点検が推奨されています。また、専門家によるメンテナンスが不可欠です。メンテナンスにより、耐用年数の17年より長く大量に発電できれば、メンテナンスのコストを上回る利益を得られます。
カーボンニュートラルは、行政や企業の垣根を越えて取り組まなければいけない大きな課題です。企業が担う責任も小さくはありませんが、すでにカーボンニュートラルを達成している企業も出始めています。
カーボンニュートラルに大きく貢献するのが太陽光発電です。太陽光発電は、2030年への目標も明確となり政府の後押しもあります。また太陽光発電を導入するメリットも多くあるため、導入する企業も年々増えてきています。
太陽光発電設備の導入を検討している企業で課題があれば、ゼロ炭素ポートを活用してください。他社のソリューションとも協力し、ユーザーのニーズに答えるサイトです。
会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA