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サステナビリティには指標や項目が必要!取り組むメリットも詳しく解説

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2025年03月21日

サステナビリティ(sustainability)とは「持続可能性」を意味する言葉です。近年、サステナビリティへの取り組みが世界的に広がっており、サステナビリティ経営を重視する企業も増えています。しかし、トレンドだからといって漠然と取り組むだけでは成果が見えず、ステークホルダーからの評価も得られません。

この記事では、サステナビリティの取り組みを可視化できる指標と項目を紹介します。サステナビリティ経営を実現するメリットについても解説するので、ぜひ参考にしてください。

サステナビリティの項目や指標

まずは、サステナビリティの項目や指標として「GRIスタンダード」「ESG指標」「SDGs」の3つを解説します。

GRIスタンダード

GRIとは国連環境計画(UNEP)などの協力のもと、1997年にアメリカ・ボストンで設立された非営利団体で、現在はオランダ・アムステルダムに本部があります。GRIスタンダードは、2016年にGRI(Global Reporting Initiative)が策定した国際基準です。

GRIスタンダードにより、サステナビリティという抽象的なものが、具体的な指標として可視化できるようになりました。GRIスタンダードは情報開示のためのフレームワークでもあり、世界中の企業が自社のIRなどに活用しています。GRIスタンダードに準拠したサステナビリティ情報を開示することで、企業としての取り組みについて理解が得やすくなります。

 GRI|GRI Standards Japanese Translations

ESG指標

ESGは「Environment (環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」の頭文字をとった造語です。ESG指標では、環境や社会、ガバナンスに配慮した取り組みを評価していきます。

この評価をもとに投資先を選ぶのが、EGS投資です。これまでは、企業の財務情報などから投資先を判断するケースが多かったものの、中長期的な視点で企業の取り組みや企業価値を評価できる指標として、ESGへの関心が高まっています。

SDGs

SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語では「持続可能な開発目標」を意味します。17の目標と169のターゲットで構成されており、企業のサステナビリティレポートを作成するうえでの重要な指針です。SDGsには期限が定められており、2030年までに17の目標を達成できるよう、企業にも積極的な取り組みが求められています。

また、企業のSDGsへの取り組みを評価する仕組みとして注目されているのが、国連開発計画(United Nations Development Programme)が進める「SDGインパクト」です。企業がSDGsを経営判断の中核に据え、ポジティブなインパクトを与えられる領域へ資金の流れをつくることを目的に「SDGインパクト基準」という指標を打ち出しています。

また、第三者機関がSDGs活動状況を認証する「SDGインパクト認証ラベル」という制度も用意されており、取得することで一定の基準を達成した証となります。

※参考:SDGsとは?|外務省

サステナビリティの指標:GRIスタンダードの項目

先に触れたGRIスタンダードは、次の3つの要素で構成されています。

・共通スタンダード
・セクター別スタンダード
・項目別スタンダード

ここでは、それぞれの要素について詳しく解説します。

共通スタンダード

共通スタンダードは、すべての企業が従うべき基本的な情報開示の基準で、ユニバーサルスタンダードとも呼ばれます。GRIスタンダードにおける必須要件となっており「ガバナンス構造」「倫理的行動」「ステークホルダーとの関わり方」をはじめ、具体的な開示項目も定められています。要素に含まれる主な項目は、下記の通りです。

・GRI 1 基礎2021
・GRI 2 一般開示事項2021
・GRI 3 マテリアルな項目2021

企業のサステナビリティ報告における重要な原則が示されていることから、透明性や信頼性を高める土台になります。

セクター別スタンダード

セクター別スタンダードは、業種を限定した開示基準です。それぞれの業界の現状や課題に合わせて指標が設定されます。たとえば、製造業では生産過程での環境負荷や労働安全、金融業では投資先への影響など、業種ごとに固有項目を報告します。要素に含まれる主な項目は、下記の通りです。

・GRI 11 石油・ガス2021
・GRI 12 石炭2022
・GRI 13 農業・養殖業・漁業 2022

共通スタンダードはすべての企業に適用されますが、セクター別スタンダードは事業内容や社会的な影響度などを考慮し、個別の業種ごとに適用されます。

項目別スタンダード

項目別スタンダードは、「経済」「環境」社会」など特定分野に関する情報開示の基準で、トピックスタンダードとも呼ばれます。企業の活動がそれぞれのトピックに与える影響を明確にする役割を果たし、温室効果ガス排出量や労働条件など、個別テーマに焦点を当てる際に活用されています。要素に含まれる主な項目は、下記の通りです。

・GRI 201~207 経済パフォーマンス、税金など
・GRI 301~308 エネルギー、水、生物多様性など
・GRI 401~418 雇用、労使関係、ダイバーシティなど

企業によって関係するトピックを取捨選択したうえで、必要な情報を公開していきます。

サステナビリティの指標:ESGの項目

ESGは、次の3つの要素で構成されています。

・環境(Environment)
・社会(Social)
・ガバナンス(Governance)

なお、本章で紹介するESG指標の具体例は、東京証券取引所が公開している「ESG情報公開実践ハンドブック」を参考にしています。以下で、それぞれの要素について詳しく解説します。

※参考:ESG情報公開実践ハンドブック|日本取引所グループ 東京証券取引所

環境(Environment)

環境(Environment)では、環境へ配慮した企業の取り組みを評価します。地球温暖化やそれに伴う気候変動は深刻さを増しており、企業にも積極的に対処が求められています。環境対策における具体的なESG指標は、下記の通りです。

・温室効果ガス排出量
・排出原単位
・エネルギー使用量
・エネルギー原単位
・エネルギーミックス
・水使用量 など

企業の売上を環境保護に回す動きも活発化しており、消費者も商品やサービスを購入することで、間接的にサステナブルな取り組みに貢献できます。

社会(Social)

社会(Social)では、人権や労働環境などに関する取り組みを評価します。世界的に「人権デューデリジェンス(Due Diligence)」という概念が広がっており、従業員が長期的に活躍できる環境の整備が急務となっている状況です。

人権デューデリジェンスとは、人権に対する企業としての適切で継続的な取り組みを指します。社会的観点からの具体的なESG指標は、下記の通りです。

・CEOと従業員の報酬差
・男女の報酬差
・人材の流入・流出の状況
・従業員の男女割合
・派遣社員割合
・反差別に関する方針 など

また、サプライチェーン上での人権侵害を監視する企業姿勢も重要視されます。人権デューデリジェンスの実施状況は、企業の社会的責任を果たしているかを示す重要な指標です。

ガバナンス(Governance)

ガバナンス(Governance)では、企業の管理体制を評価します。リスク管理が適切でないと、企業のブランドイメージが低下し、投資家から敬遠されてしまいます。管理体制に関する具体的なESG指標は、下記の通りです。

・取締役会のダイバーシティ
・取締役会の独立性
・報酬とサステナビリティの紐付け
・団体交渉の状況
・サプライヤー行動規範の有無
・倫理と腐敗防止に関する方針 など

ESG評価では、これらのガバナンスに関する指標に加え、環境や社会への貢献度も総合的に評価されます。ただし、ESG評価は財務的な側面である資本効率や経営の健全性とは異なる概念であり、企業の非財務的な側面に焦点を当てた指標です。

サステナビリティの指標:SDGsの目標(項目)

SDGsには17の目標(項目)があり、5つの「P」でカテゴライズすることが可能です。ここでは、SDGsの分類やサステナビリティレポートの重要性を解説します。

SDGsの17の目標(項目)

SDGsの17の目標は、5つのキーワードに分類できます。

People 人間 人権を尊重し、貧困や飢餓をなくし、教育や水・衛生、ジェンダー平等を実現する
Planet 地球 責任ある消費や生産、資源の持続可能な管理、気候変動対策で地球を守る
Prosperity 豊かさ 誰もが充実した生活をおくり、自然と調和する経済や技術を発展させる
Peace 平和 暴力や差別のない、公正でインクルーシブな世界を目指す
Partnership パートナーシップ 政府、企業、市民社会、国連などが連携して目標を達成する

このようにカテゴライズすることで、SDGsへの理解が深まります。

SDGs目標達成を加速させるサステナビリティレポート

サステナビリティレポートとは、株主や従業員、取引先などのステークホルダーに向けて、SDGs達成に向けた企業の取り組みを示す報告書のことです。サステナブルレポートを公開することで、「社会的な責任をどのように果たしているのか」「ステークホルダーの関心ごとに対してどのような解決策を提示できるのか」を、対外的に示せます。

また、日本ではサステナブルファイナンスの推進が急がれており、2023年3月期からは、有価証券報告書にサステナビリティ情報の記載欄が新設されました。今後は、サステナビリティの情報開示の義務化が段階的に拡大する予定です。

サステナビリティの項目を意識した経営のメリット

最後に、サステナビリティの項目を意識した経営を行うメリットを3つ紹介します。

ステークホルダーからの評価が向上する

サステナビリティの項目を意識した経営により、ステークホルダーからの評価が向上します。これまでは、株主や従業員、取引先が主なステークホルダーと捉えられていました。しかし、サステナブル経営の実現には、地域社会や行政機関と良好な関係を構築することも重要です。会社の評価が高まれば、売上アップや取引先の拡大、リピーターの増加などが期待できます。

従業員エンゲージメントの強化が図れる

サステナビリティの指標には、雇用や労働条件に関する項目も多く含まれています。これらの項目を意識した経営方針を打ち出すことで、従業員が働きやすい職場環境を構築できるだけでなく、エンゲージメントの強化も可能です。労働人口の減少に伴い人手不足に悩む企業が増えているなかで、従業員エンゲージメントの向上は優秀な人材を確保することにもつながります。

事業拡大の可能性が高まる

企業としてサステナビリティの意識が育つことで、思考の幅が広がり、新しいアイデアが生まれやすくなります。サステナビリティに関する取り組みは世間から注目されやすいため、取引先の拡大や自社への投資を増やせる可能性も高まるでしょう。

「サステナビリティはコストがかかる」と思われがちです。しかし、自社の強みを生かした施策の展開により、事業拡大の可能性が高まります。

まとめ

企業が今後も成長を続けるためには、サステナビリティを意識した経営が不可欠です。「GRIスタンダード」「ESG指標」「SDGs」といった項目や指標を活用しながら、自社のサステナブルな取り組みを可視化し、ステークホルダーに広く公開しましょう。

「サステナビリティ経営に興味はあるが、何からはじめたらよいのか分からない」という場合は、ゼロ炭素ポートをご利用ください。省エネ診断やコンサルティングをはじめ、さまざまなサービスをご用意しています。個別のご相談も承っていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA