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サステナビリティの推進にはウェルビーイングが重要!主な取り組みを紹介

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2025年03月21日

サステナビリティの推進には、ウェルビーイングの実現が欠かせません。サステナビリティの推進に向けたウェルビーイングの取り組みには、どのようなものがあるのか知りたい担当者も多いのではないでしょうか。

本記事では、ウェルビーイング実現に向けた取り組みの内容と、取り組みを進めている企業の事例を紹介します。ウェルビーイングに取り組むメリットや、2025年1月時点での日本の実態も解説するので、サステナビリティの推進に役立ててください。

サステナビリティ推進にはウェルビーイングの実現が不可欠

まずは、ウェルビーイングとは何かを理解しておく必要があります。以下では、ウェルビーイングの意味や、言葉が使われるようになった背景を解説します。

ウェルビーイングとは

ウェルビーイングは英語で「Well-Being」と表記され、「健康」「幸福」「福祉」といった意味合いがあります。1946年に世界保健機関(WHO)憲章の前文で定義されました。日本でも、厚生労働省によって「個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念」と定義されています。

ウェルビーイングにおいて大切なのは、身体的な健康状態だけを追求するのではありません。精神的・社会的に良好で、満たされている状態になることを目標としている言葉だといえます。

※参考:世界保健機関(WHO)憲章とは|公益社団法人日本WHO協会

ウェルビーイングという言葉が誕生した理由

ウェルビーイングという言葉が誕生したきっかけは、世界的な経済成長に伴い、所得の不平等や過労死といった課題が深刻化したことが、理由として挙げられます。

国の経済状況を測る指標として、国内総生産(GDP)が使用されていましたが、生活の豊かさや幸福度を測定するには適していない指標でした。GDPが成長しても幸福だと感じている国民は、比例して伸びるわけではありません。GDPばかりを見るのではなく、人々の幸福度に焦点を当てるため、ウェルビーイングという言葉が使用されるようになったといわれています。

ウェルビーイングの領域・要素

ここでは、どのような状態をウェルビーイングと呼ぶのか、代表的な2つの定義を紹介します。

5つの領域「PERMA(パーマ)」

心理学者マーティン・セリグマンは、ウェルビーイングの指標として「PERMA(パーマ)」を提唱しました。PERMAでは以下の要素を5つ満たすことで、幸福な状態にあるかどうかを図ります。

・Positive Emotion(ポジティブ エモーション):嬉しい、楽しい、ありがたいなどポジティブな感情を持つこと
・Engagement(エンゲージメント):時間を気にせず何かに没入できていること
・Relationship(リレーションシップ):他者と良好な人間関係を築けていること
・Meaning(ミーニング):自分が生きる理由や目的を自覚できていること
・Accomplishment(アコンプリッシュメント):自分の力で何かを達成すること

セリグマンは一時的に感じられる幸福ではなく、幸福な状態を持続させることが、ウェルビーイングの実現に向けて重要だと考えています。

アメリカのギャラップ社が定義した5つの要素

幸福度調査を実施しているアメリカのギャラップ社は、ウェルビーイングとは以下の要素を5つ満たした状態だと定義しています。

・Career Wellbeing(キャリア ウェルビーイング):自分が選択したキャリアに対する幸福度
・Social Wellbeing(ソーシャル ウェルビーイング):良好な人間関係に対する幸福度や満足度
・Financial Wellbeing(ファイナンシャル ウェルビーイング):経済的な満足度
・Physical Wellbeing(フィジカル ウェルビーイング):身体的・精神的な健康状態への幸福度
・Community Wellbeing(コミュニティ ウェルビーイング):地域社会や組織とのつながりに対する幸福度

ギャラップ社が定義したウェルビーイングでは、健康面や社会面で良好な状態を維持し、幸福度や満足度が満たされているかどうかという点を重視しています。ウェルビーイングは、考え方や行動によって自分自身で高められるといえるでしょう。

サステナビリティ推進でウェルビーイングが注目される理由

以下では、サステナビリティの推進にあたり、ウェルビーイングが重要視される理由について解説します。

働き方改革の実現

2019年4月、日本で働き方改革が施行されました。働き方改革でワーク・ライフ・バランスが推奨されていることが、理由の1つとして挙げられます。長時間労働や雇用形態に関わらない公平な労働・賃金などの規制があり、働き方が大きく変化しました。生産性の向上や雇用機会を拡大し、1人ひとりが多様な働き方を選択できる社会を目指しています。

2020年以降は、リモートワークやサテライトオフィスなどを活用した働き方が増加し、生活環境も大きく変化したことで、ウェルビーイングに対する関心が高まったと考えられています。

※参考:働き方改革|厚生労働省

価値観の多様化

多様な価値観やバックグラウンドを持つ人が働くようになったことで、多様な考え方の尊重が求められるようになりました。性別や国籍などの属性で限定されず、それぞれの個性や実力を発揮して活躍できる環境づくりが大切です。多様な属性を持つ人材の受け入れは、企業の活性化にもつながると考えられています。

人材不足の解消

少子高齢社会の影響で労働人口の減少が続いており、さらなる人材不足や生産性の低下が予想されています。優秀な人材を確保するため、採用市場の激化が進んでおり、採用力の強化が各企業に求められています。

採用力の強化に伴い、現在の従業員の幸福度を高め、定着率を伸ばすことも重要です。ウェルビーイングの実現を目指すことにより、従業員の定着率・採用力強化が期待できます。

健康経営の推奨

健康経営とは、経営的な視点で従業員の健康維持・増進を目指すことで、企業全体での生産性向上や業績向上につながるという経営方法です。経済産業省が健康経営を推奨したことで、各企業からの関心が高まりました。健康経営に取り組むことで、社会から好印象を獲得できる可能性も考えられます。

SDGsの目標達成

2015年9月の国連サミットにより、国際的な目標であるSDGsが採択されました。SDGsが掲げる17のゴール項目には、目標3「すべての人に健康と福祉を」があります。目標3により、ウェルビーイングの促進が行われるようになりました。

目標3におけるウェルビーイングでは、母子の健康や子どもの死亡率減少、感染症対策、ケガや死亡の減少などがターゲットとして挙げられます。基本的な保険サービスや福祉などを充実させることも、健康維持には不可欠です。

※参考:SDGsとは?|外務省
※参考:持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組|外務省

サステナビリティ実現に向けてウェルビーイングに取り組むメリット

サステナビリティの実現を目指して、ウェルビーイングに取り組むメリットを3つ解説します。

顧客満足度の向上

ウェルビーイング実現に向けて取り組むことで、職場環境の改善が期待できます。従業員が身体的・精神的に健康になると、仕事に対するモチベーションも高まるでしょう。従業員が意欲的に働くことによって、生産性や商品・サービスの質が向上し、顧客満足度のアップにつなげることが可能です。

健康経営の実現

多様な働き方や、身体的・精神的な健康を維持・増進に向けた取り組むことは、ギャラップ社が定義したウェルビーイングの要素にも含まれています。従業員の健康維持・増進に対する取り組みは、「健康経営銘柄」「健康経営優良法人制度」の認定要件にもなっており、さらなる健康経営の促進にもつながります。

・健康経営銘柄:東京証券取引所の上場企業のうち、健康経営に優れている企業を投資家にアピールし、健康経営の取り組み促進を目指す制度
・健康経営優良法人制度:健康経営に取り組んでいる優良な法人を見える化し、他社や金融機関などから社会的評価を受けられる顕彰制度

人材不足の解消

少子高齢化によって労働人口は減少しつつあり、企業にとっても人材不足は課題となっています。ウェルビーイングの実現を目指すことで、従業員の身体的・精神的な健康が維持・増進され、離職率の低下につながります。従業員の流出を防ぐには、環境や社内制度、コミュニケーションの改善が欠かせません。

快適な職場環境は企業力の向上にもつながるため、優秀な人材からの応募が集まる可能性があります。

サステナビリティのウェルビーイング実現に向けた取り組み

ここでは、サステナビリティのウェルビーイング実現に向けた、具体的な3つの取り組みを紹介します。

労働環境の見直し

ウェルビーイングの実現には、労働環境の見直しが不可欠です。長時間労働をはじめとする従業員への負担削減を目指し、労働環境を整えましょう。具体的には多様な働き方に対応できるよう、フレックスタイム制やリモートワークなどの導入が挙げられます。

また、性別や年齢、国籍などの属性にこだわらない労働環境づくりも大切です。有給休暇や育児休暇が取りやすくなるように、従業員がストレスを感じにくい環境を整備しましょう。

コミュニケーションの活性化

コミュニケーションの活性化も、ウェルビーイングには重要です。職場内の人間関係を良好に保つことは、生産性の向上にもつながります。具体的には、休憩スペースの設置や、従業員同士が気軽にコミュニケーションを取れる社内イベントがおすすめです。従業員向けのチャットツールやSNSの導入を検討してもよいでしょう。

健康面でのサポート

従業員が心身の健康を維持・増進し働くためには、福利厚生の費用を企業が負担するという選択もあります。金銭的な補助以外にも、プライベートを充実させる制度の制定を検討してもよいでしょう。例えば、家賃や住宅ローン補助、育児休暇・介護休暇の充実などが挙げられます。

心身の健康維持・増進を目指す場合は、人間ドックやスポーツ施設の利用を補助する制度もおすすめです。

サステナビリティ推進でウェルビーイングに取り組む企業

サステナビリティ推進に向けてウェルビーイングに取り組む企業と、実際の取り組み内容を紹介します。

サイボウズ株式会社

サイボウズ株式会社は、100人100通りの働き方があってよいと考え、1人ひとりと向き合い、個性を大切にした多様性を活かす組織の構築に努めました。

従業員それぞれの事情を考慮して、勤務時間・場所を選択できる「働き方宣言制度」や、他の部署を体験勤務できる「大人の体験入部」などの制度を整えています。各制度の導入やその他の取り組みを実施したことで、過去28%だった離職率を3%程度まで低下させています。

株式会社丸井グループ

株式会社丸井グループでは、ウェルビーイングが注目されるよりも前から、従業員の健康と幸せの実現に向けた取り組みを実施しています。ストレスチェックや組織健康度調査の導入により、従業員や社内の状態を定期的に把握しているのが特徴です。2016年には健康経営推進プロジェクトを発足し、情報発信やセミナーの開催などを実施しています。

積水ハウス株式会社

積水ハウス株式会社は、2020年に「わが家」を世界一幸せな場所にするという、グローバルビジョンを掲げました。「健康や家族とのつながり」という付加価値を社内外に推進しています。

従業員に対して幸せ度調査を行い、社内における「幸せ」を見える化し、調査結果をもとに対話やワークショップも実施しています。柔軟な働き方や、男性育児休業(育休)制度をはじめとする制度の制定も行われています。

日本におけるサステナビリティ推進に対するウェルビーイングの実態

2024年の世界幸福度ランキングで、日本は先進国のなかでも下位の51位でした。G7のなかでは最下位という結果になっています。2022年は54位、2023年は47位と、過去数年にわたって幸福度ランキングの順位が低迷している状態です。

理由として、「労働環境がよくない」「ジェンダー学歴などの属性が影響している」「寛容な人間が少ない」などの理由が挙げられています。

まとめ

サステナビリティの推進には、ウェルビーイングの実現が不可欠です。2024年時点で日本における幸福度は低いため、各企業によるさらなるウェルビーイングへの取り組みが求められています。SDGsの目標の1つとしても注目を集めており、取り組みを進めることで社会的な評価にもつなげられます。

自社でウェルビーイングの実現に向けた取り組みを検討しているのであれば、ゼロ炭素ポートの活用をご検討ください。他社のソリューションと協力しながら、お客さまのニーズに合わせてお応えできるようサポートいたします。

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA