地球温暖化に伴い、さまざまな問題が発生しています。この状況を受け、世界中で地球温暖化対策の取り組みが推進されています。熱心な取り組みにより、具体的な成果をあげている国が増えてきました。
この記事では、地球温暖化の基本情報に触れたうえで、世界で行われている取り組みについて解説します。地球温暖化対策に関するSDGsの海外の達成状況についても解説するため、ぜひ参考にしてください。
地球温暖化とは、人間社会の活動が活発になり、温室効果ガスが大気中に大量に放出された結果、地球の平均気温を上昇させている現象です。温室効果ガスは、主に二酸化炭素(CO2)です。温室効果ガスには、地球の表面から外に出ていくはずの熱を大気中に溜め込み、地球の表面に戻す性質があります。
18世紀半ば~19世紀にかけてイギリスで起こった産業革命を皮切りに、人間によるさまざまな生産活動や社会活動によって大気中の温室効果ガスが急増し、現在問題になっている地球温暖化の原因を生み出しました。
具体的には、木材の過剰な伐採や火災などによる森林の減少があげられます。森林が減少すると木々に蓄えられていた炭素が排出されるうえに、吸収源が減少します。また、大量の化石燃料の使用も、温室効果ガスが増加している原因の1つです。
地球温暖化により地球の気温がどんどん上昇していることにより、北極や南極の雪氷が溶け出したり、海面が膨張したりし、海面の上昇を引き起こしています。日本でも、海水温や平均気温の上昇などが確認されており、地球温暖化の影響は無視できない状況です。日本の年間の平均気温を見ると、100年あたり約1.19度の割合で上昇しています。
IPCC第5次評価報告書によれば、2081年から2100年までの世界の平均地上気温は、1986年から2005年までの平均よりも最小で0.3度、最大で4.8度上昇すると予測されています。また、今後もこれまでと同様のペースで温室効果ガスを排出し続けた場合、21世紀末には世界の平均海面水位が45〜82cm上昇する見込みです。
地球温暖化は深刻な状況であり、今後も長く適切な環境を保つには積極的な対策が不可欠です。
地球温暖化に対し、世界的な対策が講じられています。ここでは、具体的にどのような対策があるか解説します。
1992年に採択された気候変動枠組条約(気候変動に関する国際連合枠組条約)は、地球温暖化を防止するための方針を定めた国際的な枠組みです。大気中に占める温室効果ガスの濃度を、地球の生態系や人類に悪影響を及ぼさない水準に留め、安定させる目的があります。
現在の温室効果ガスの排出量は、地球全体で吸収できる量の2倍以上です。将来的に地球が温室効果ガスを吸収できる量が増える可能性はあるものの、着実に気候の安定を目指すには、温室効果ガスを積極的に削減しなければなりません。このような状況を受け、2050年までに温室効果ガスを半減させる目標が世界中で意識されています。
パリ協定は、パリで実施されたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)で、2015年に採択、2016年に発効しました。全締約国が参加し、世界共通の目標を定めた史上初の協定です。
パリ協定はすべての国に適用され、目標を達成するには包括的かつ長期的に温室効果ガスの削減に取り組む必要があります。主要排出国のみならず、途上国も含むすべての国がそれぞれ温室効果ガスの削減目標を掲げなければなりません。そして、目標を達成するために必要な具体的な取り組みを、各国で展開する必要があると定められています。
また、実施状況を確認するため、各国に対して5年おきに削減目標の提出を求めています。評価したうえで新しい目標に更新する仕組みです。
2023年にはドバイで国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)をはじめとし、京都議定書第18回締約国会合(CMP18)やパリ協定第5回締約国会合(CMA5)なども行われました。それぞれ日本の大臣や各省庁の関係者などが出席しています。
COP28においては、パリ協定の目的に対してどの程度の成果を出したか評価するためのGST(グローバル・ストックテイク)が採択されました。また、気候変動によって生じた悪影響による損失や損害を表す「ロス&ダメージ」に対する基金や資金について、制度の大枠が採択されています。
2015年9月に国連サミットで採択されたSDGsは、多様性と包摂性のある持続可能な社会を実現するための国際目標です。2030年までに達成すべき具体的な目標が17個設定されています。
SDGsの目標の13個目に「気候変動に具体的な対策を」があり、地球温暖化対策のゴールが示されました。対策のターゲットや手段が詳しくまとめられており、これに沿った取り組みの設定と推進が求められています。
パリ協定で、地球温暖化対策の目標設定や具体的な取り組みの推進が義務づけられ、各国がそれぞれ対応しています。日本と海外の国々が定めた目標と達成状況をまとめると、以下のとおりです。
| 国名 | 温室効果ガスの削減目標 | 達成状況(2016年時点) |
| 日本 | 2030年度までに2013年度比で26%削減 | 7%の削減実績目標ラインと同水準で、最近の動きは削減の傾向 |
| アメリカ | 2025年までに2005年比で26~28%削減 | 12%の削減実績目標ラインから上ぶれ、最近の動きは削減の傾向 |
| イギリス | 2030年までに1990年比で57%削減 | 41%の削減実績目標ラインと同水準で、最近の動きは削減の傾向 |
| フランス | 2030年までに1990年比で40%削減 | 18%の削減実績目標ラインから上ぶれ、削減傾向は横ばい |
| ドイツ | 2030年までに1990年比で55%削減 | 27%の削減実績目標ラインから上ぶれ、削減傾向は横ばい |
出典:「パリ協定」のもとで進む、世界の温室効果ガス削減の取り組み① 各国の進捗は、今どうなっているの? |資源エネルギー庁
SDGsに関して、世界の国がそれぞれ取り組みを展開しています。目標の達成状況をスコア化して算出したランキングを示すと、以下のとおりです。(2025年1月現在)
| 順位 | 国名 | スコア |
| 1 | フィンランド | 86.35 |
| 2 | スウェーデン | 85.70 |
| 3 | デンマーク | 85.00 |
| 4 | ドイツ | 83.45 |
| 5 | フランス | 82.76 |
| 18 | 日本 | 79.87 |
日本の順位は低い方ではないものの、上位には食い込めていない状況です。ここでは、SDGsの目標の達成度が比較的高い国の取り組みについて解説します。
フィンランドでは、グリーンエネルギーが90%を占めており、二酸化炭素の発生を抑制しています。石炭による火力発電もまだ行われていますが、2029年には全廃する予定です。
また、福祉や教育などにも積極的にSDGsの考え方を取り入れています。フィンランドは税率が高い分、手厚い福祉が提供されており、小学校から大学院までの教育費も無料です。さらに、幼稚園のカリキュラムでも環境や社会の問題が取り上げられており、小さな頃からSDGsについて理解を深められるようになっています。
スウェーデンでは、各都市でさまざまな取り組みが行われています。バイオマスエネルギーの活用により温室効果ガスの削減に取り組んでいる都市が多くみられます。
例えば、ベクショー市は化石燃料の使用を2030年までになくすとし、森林資源を活用するバイオマスエネルギーへの転換を進めているところです。また、ハンマルビー・ショースタッド地区は、ごみと生活排水の分別やバイオマスエネルギーの利用に取り組み、暖房、電気、公共交通などの燃料として使用しています。
コペンハーゲンでは、再生可能エネルギーを100%使用する「UN17village」という村を作っています。村に設けられる約400戸の住宅をはじめとする各施設は、いずれも廃材を利用したアップサイクル資材で作られます。100%持続可能な村を目指しており、太陽光発電のためのソーラーパネルや雨水を利用するコインランドリーなども設置される予定です。
ドイツでは、電力市場が自由化されています。環境団体が出資している「グリーンピースエナジー」をはじめとする4社は、再生可能エネルギーしか提供していません。また、量り売り専門のスーパーマーケットの「オリギナル・ウンフェアパックト」も登場しています。個包装の商品はなく、持参した容器に商品を入れて購入する仕組みです。
フランスでは、アパレル業界におけるサステナビリティが推進されています。従来は海外における低コストの生産が主流でしたが、それをやめる動きが加速しています。また、古着の活用も盛んになり、衣類のリサイクルポストの設置も進んでいるところです。植物性の素材にこだわるアパレルブランドも誕生し、注目を集めています。
地球温暖化を食い止めるため、世界中でさまざまな対策が行われています。複数の条約や取り決めが交わされており、世界の国々が同じ目標に向かって努力しているところです。達成状況は国によって大きく異なりますが、継続的な取り組みにより、さらなる成果が求められています。
ゼロ炭素ポートでは、二酸化炭素の削減や省エネに取り組む企業向けの情報を発信しています。自社に限らず他社のソリューションも積極的に紹介しており、幅広いニーズに対応可能です。詳細な資料も公開しているため、企業として脱炭素に取り組む際の参考として役立ててください。
会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA