地球温暖化対策は、企業の経営にとっても重要な課題となっています。温暖化による影響が深刻化するなかで、企業としても、地球温暖化対策の取り組みが求められているのが現状です。
本記事では、企業が地球温暖化対策に取り組む重要性や、具体的な事例などを解説します。今後の取り組みの参考にしてください。
ここではまず、地球温暖化とは何か、そして地球温暖化に向けて取るべき対策について解説します。
地球温暖化とは、人間の活動を原因として地球の気温が上昇していることや、気温の上昇によって起こる問題を意味する言葉です。現在、気温の上昇による海面上昇や異常気象が地球上で問題となっています。人間の活動によって排出される温室効果ガスの量が、気温の上昇に深く関わっていると考えられています。
地球温暖化対策とは、地球温暖化に対処する方法のことです。緩和策・適応策の両方が重要とされています。緩和策とは、気候変動の原因を取り除くことです。一方、適応策とは気候変動など温暖化の影響に対処することを表しています。
緩和策の一例としては、温室効果ガスの排出抑制が挙げられます。地球温暖化の直接的な原因といわれている温室効果ガスを削減するためには、再生可能エネルギーの利用促進や、省エネといった方法があります。
適応策の例としては、インフラの耐久性向上や災害リスクの管理・対応などがあります。異常気象による荒天の被害を最小限に留めることが適応策の目的です。
SDGsはSustainable Development Goalsの略語で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。2015年に世界共通の目標として国連サミットで採択されたもので、世界で達成すべき17の目標が定められました。
これらのうち、SDGs目標13では、気候変動への対策に言及しています。気候変動を抑制する具体的な対策を考案し、行動に移すことが求められている項目です。
日本では2020年に、2050年までにカーボンニュートラル達成を目指すことが宣言されました。次いで2021年4月には、2030年度までに2013年比で温室効果ガスを46%削減し、さらに50%までの削減を目指すと表明しています。
2021年10月には、地球温暖化対策計画が閣議決定され、従来の目標をさらに上回る具体的な施策が策定されました。日本で排出される温室効果ガスの大部分がCO2です。個人だけでなく、企業もCO2排出の当事者として、削減に取り組む必要性に迫られているといえます。
※参考:地球温暖化対策計画(令和3年10月22日閣議決定)|環境省
なぜ、企業が地球温暖化対策を行うことは重要なのでしょうか。以下で、その理由について解説します。
企業活動は、CO2排出の大きな要因の1つとなっています。化石燃料の利用でCO2が発生するため、多くのエネルギーを使用する企業活動においても、排出量削減の取り組みが重要です。
近年は、エシカル消費が注目を集め、環境保全に取り組む企業が消費者の支持を集める傾向にあります。エシカル消費は「倫理的消費」と訳されるもので、消費者自身が社会的課題に取り組んだり、社会的課題に取り組む事業者を応援したりする消費活動のことです。
したがって商品やサービスを消費者に選んでもらうためには、以下に解説するような代表的な取り組みを理解し、実施していくことが欠かせません。
RE100とは、事業において使用するエネルギーの100%を、再生可能エネルギーで調達することを目指す国際的なイニシアチブです。もともとはイギリスの団体が発足したものですが、現在は日本も含めた全世界のさまざまな業界から、多くの企業が参加しています。
2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略は、14の重要分野で、企業がカーボンニュートラルに挑戦しやすい環境を整えるための指標です。CO2の排出抑制やカーボンニュートラル実現に向けた取り組みが、各分野に合わせた実行計画でサポートされています。
※参考:2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略|経済産業省
GXは「グリーントランスフォーメーション(以下「GX」という。)」の略語です。具体的には、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換を目指す政策のことを指しており、省エネルギー推進・再生可能エネルギーの導入促進などが目指されます。
企業が地球温暖化対策を実施する場合、具体的な施策としては次のような方法があります。
企業が地球温暖化対策をする際は、エネルギーの消費量を減らすことが効果的です。まずは、自社オフィスの省エネから手軽に始めてみましょう。オフィスにおける省エネ診断の実施も効果的です。省エネ診断の詳細については、一般社団法人 環境共創イニシアチブのWebサイトを確認してください。
※参考:省エネ診断事業について|一般社団法人 環境共創イニシアチブ
再生可能エネルギーとは、温室効果ガスを排出せず、枯渇することなく国内で生産できるエネルギー源のことです。温暖化を防ぐには、化石燃料に依存しないエネルギーを利用する必要があります。具体的には、太陽光発電・風力発電・バイオマスエネルギーなどです。日本では、政府が再生可能エネルギーの普及に力を入れています。
販売する製品の環境負荷を低減させることも、企業に可能な温暖化対策です。設計段階から資源消費を抑え、リサイクルできる素材の採用、長期間使用できる製品の開発などがポイントとなります。
企業が地球温暖化対策に取り組むと、コスト削減、社会的な信頼などのメリットが得られます。
地球温暖化対策は、長期的なコストの削減につながる有意義なものです。省エネルギーによって光熱費を抑えられるうえに、無駄がなくなることで事業の効率化も目指せるでしょう。
さらに太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入する場合、エネルギー価格の変動による影響を受けづらくなるのもメリットです。
地球温暖化対策への取り組みを行っているかどうかは、社会的な注目を集めている事柄の1つです。積極的な取り組みを実施することで、取引先や消費者からの信頼を得られるでしょう。近年では、サプライチェーン全体でCO2の排出量に取り組む風潮が強まっており、自社商品が流通する全体像をとらえながら温暖化対策を行うことが重要です。
近年は、金融機関がESG投資を推進しています。ESG投資とは、社会的責任を果たしている企業へ積極的な投資を行うことです。Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字をとった言葉です。つまり、企業は地球温暖化対策に取り組むことで、資金調達を受けるチャンスが広がるといえます。
地球温暖化対策は、現在さまざまな法律や規制によって義務付けられています。以下では、温暖化対策に関連する法規制について解説します。
諸外国の地球温暖化対策を見ると、EUではEU排出量取引制度(EU-ETS)を導入し、各企業の温暖化ガス排出量を抑制しています。アメリカでは大気清浄法(通称「マスキー法」)を定める他、州ごとに規制を設けている点も特徴です。一方、中国は大規模企業にCO2の報告・取引を義務付けている他、近年では排出量取引も盛んに行われています。
日本では、「地球温暖化対策の推進に関する法律(地球温暖化対策推進法)」によって、温室効果ガスを一定以上排出する企業に、CO2排出量の報告義務を課しています。
また、「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)」では、一定規模以上の企業に、エネルギーの使用状況などの定期的な報告、省エネや非化石エネルギーへの転換に関する取り組みの見直し、計画の策定などが義務付けられました。
一方、再生可能エネルギー導入を促進するために、「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(再エネ特措法)」が施行されています。
2020年に、地球温暖化対策のため各国が削減目標を設定した国際条約がパリ協定です。国連でも、持続可能な開発目標(SDGs)の「目標13」において、気候変動対策を行うよう促しています。これらの国際的な取り決めは、各国の取り組みに影響を与える重要なものです。
ここでは、実際にさまざまな企業が行っている地球温暖化対策の事例を、具体的に紹介します。
Amazon.com, Inc.では、2025年までに、使用するエネルギーの100%を再生可能エネルギーとし、2040年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指すと発表しています。Climate Pledge Fund基金を設立し、気候変動対策を行う企業へ投資を行っているのも特徴です。
Microsoftでは、2030年までにカーボンネガティブ実現を目指しています。カーボンネガティブとは、植林や再植林、土壌炭素隔離などにおける温室効果ガスの吸収量が、排出量を上回った状態です。同社排出のCO2による環境への影響を、2050年までに排除することを目指しています。
Netflixでは、温室効果ガス排出量を実質ゼロに抑制し、さらに自然の生態系保護などにも力を入れる、「ネットゼロ+自然」に取り組んでいます。撮影の過程で温室効果ガスを排出しやすいため、機器を電動化して環境負荷を抑える他、グリーン水素を使用した発電機を撮影現場に導入しています。
米マクドナルドの取り組みをもとに、日本マクドナルド株式会社でも温暖化対策の取り組みが強化されています。例えば、店内の機械メンテナンスをマニュアル化し、作業効率を高めて消費エネルギーの無駄を減らしています。また、店舗における省電力化、配送業務の効率化なども欠かせない取り組みです。
キユーピー株式会社では、他社との3社共同で、共同輸送に取り組んでいます。異業種間で共同輸送を実施する取り組みにより、トラックの空移動を減らすことに成功しました。一部では、トラック輸送に比べてCO2排出量の少ない船舶の利用に切り替え、コンテナ空間の余りを活用するなど、業種を超えた協力で輸送にかかわる環境負荷を抑えています。
株式会社ダスキンは、2030年度までに、CO2排出量を2013年度比で46%以上削減することを目指しています。このため、エネルギーロス削減に力を入れており、生産事業所では設備運転の効率化と節電の取り組みが盛んです。直営拠点には順次、太陽光発電設備の導入が行われています。
地球温暖化対策には、失敗事例もあります。参考の1つとして、失敗した取り組み事例を知っておきましょう。
過去に大規模な太陽光発電プロジェクトで、温暖化対策を実施しようとしたエネルギー関連企業の事例です。技術的欠陥によって想定した発電量が確保できず、資金調達不足もあり、施策が失敗に終わりました。
また自動車メーカーのなかにも、電気自動車の市場拡大に取り組んだものの、技術が追いつかず、製品リコールや充電設備の設置の遅れから普及に至らなかった例があります。
企業が温暖化対策を成功させるには、技術的な検査や市場調査の徹底が求められます。資金調達に対する努力を怠らず、財務管理を徹底する必要もあるでしょう。他の企業の事例からポイントを学び、自社に可能な取り組みを見極めていくことも大切です。
地球温暖化対策は、企業が積極的に取り組むべき課題の1つです。前向きな取り組みによって持続可能な社会を実現することで、コストの削減や効率的な企業運営が可能になり、社会的な評価も得られるでしょう。
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会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA