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地球温暖化対策税とは?世界的な導入状況、日本における現状を解説
目次
世界では、地球温暖化対策のための税金が導入されている国が多くあります。日本にも「地球温暖化対策のための税(以下「地球温暖化対策税」という。)」があるため、税金の趣旨や内容を把握しておくと節税にも役立ち、便利です。
本記事では、地球温暖化対策税とは何か、メリット・デメリットなどを解説します。ぜひ参考にしてください。
地球温暖化は世界的な課題
地球温暖化は、日本だけではなく世界的な課題です。ここでは、地球温暖化に対する世界の姿勢と、必要とされている政策について解説します。
地球温暖化対策を目指すパリ協定
パリ協定は、気候変動問題に関する国際的な枠組みのひとつです。2015年にフランス・パリで開催された、「国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)」で採択され、2016年に発効しました。日本もパリ協定を批准しており、2020年以降は、パリ協定を基準に各加盟国が温暖化対策を打ち出しています。
パリ協定では、以下のことを目標としています。
・温室効果ガスによる世界の平均気温の上昇を、産業革命以前と比べて2℃未満に保つこと
・気温上昇を可能な限り1.5℃に抑えること
目標の達成には個人、企業双方の細やかな取り組みが欠かせません。
地球温暖化対策に必要な政策
地球温暖化対策においては、各国で有効な政策が求められています。地球温暖化そのものは世界的な現象ですが、対策には個々の国がそれぞれに取り組まなければなりません。
温暖化対策として非常に重要となるのが、温室効果ガスのなかで大きな割合を占めるCO2の排出抑制です。CO2増加の主な原因は化石燃料の燃焼であることから、化石燃料の使用量を抑えるためのエネルギー消費に関する政策は、特に重要性が高いといえるでしょう。
地球温暖化対策税とは
地球温暖化対策税にはどういったものがあるのでしょうか。ここでは、世界と日本の地球温暖化対策税について解説します。
世界の地球温暖化対策税
環境問題に対する意識が高いといわれる北欧諸国やヨーロッパ諸国では、1990年代初頭から炭素税が導入されてきました。化石燃料の消費によって発生するCO2量に対して課税するもので、地球温暖化対策を目的としています。炭素税は導入国でのCO2削減に寄与しており、一定の実績がすでに認められている税金です。
日本の地球温暖化対策税
日本では、2012年10月に地球温暖化対策税が導入されました。正式名称は「地球温暖化対策のための税」といいます。地球温暖化対策税は、原油やガス、石炭などの化石燃料に対して、CO2排出量に応じた税率が課されるものです。しかし他国と比べると税金による価格上昇率は低く、実質的な消費抑制効果が期待できないとの指摘もあります。
一方で、地球温暖化対策税の税収は再生可能エネルギーの普及、省エネルギー対策などに活用されています。こうした方面からも、CO2排出量抑制に貢献しているといえるでしょう。
※参考:「地球温暖化対策のための税」について(FAQ)|環境省
税制のグリーン化とは
税制のグリーン化とは、環境浄化につながる製品や、取り組みに対する税金を軽くする措置のことを指します。例えば、電気自動車やハイブリッドカーなどの税負担を、そうでない車に比べて軽減するなどです。
地球温暖化対策税の仕組み
地球温暖化対策税は、石油石炭税に、地球温暖化対策税の税率を上乗せする形で運用されています。税率は化石燃料ごとのCO2排出量から算出されるため、すべてが同じではありません。一方、CO2排出量1トンあたりの税金は289円になるよう設定されています。なお、地球温暖化対策税は、個人がガソリンや灯油、電気やガスを購入する際もかけられている税金です。
世界・日本における税収の使い道の違い
地球温暖化対策税を含む環境税の税収について、世界と日本では使い方に違いがあります。日本では、企業や家庭の省エネ促進、再生可能エネルギーの導入促進、森林の整備・保全などに使われるのが特徴です。
一方、世界では一般財源として使われる他、以下の使い道でも利用されています。
・ドイツ・イタリア・イギリスなど:環境目的にも使う
・デンマーク・オランダ・スイス:課税対象部門に還元。他の税や社会保険料などを減じて、税収中立としている例も多い
税制中立とは、他の税と税率を組み合わせて税収が減らないようコントロールすることです。
環境税とは
「環境税」と呼ばれる税はいくつかありますが、明確な定義はなされていません。一般的には、環境保全を目的とする税金が全般的に環境税と呼ばれています。
地球温暖化対策税を導入するメリット
地球温暖化対策税を導入すると、CO2の排出削減や省エネ技術の革新など、メリットがあります。
CO2の排出削減につながる
地球温暖化対策税は、CO2の排出が多いものに課税されるため、省エネ設備・機器の導入が促進されるようになります。結果として、CO2の排出削減につながる点がメリットです。さらに、税収を省エネ機器の補助金に回せるため、補助金を利用した省エネ機器の導入も増えるなど、よい循環を作り出すことができます。
省エネ技術の革新につながる
地球温暖化対策税の導入は、CO2の排出を抑える技術の発展につながる側面もあります。例えば、CO2を削減するために再生可能エネルギーを創出し、省エネを行いつつエネルギーを蓄えるシステムを装備する、「創・省・蓄エネシステム」の拡大などが期待できるでしょう。
このような技術革新のため、エネルギー対策特別会計(以下「エネ特」という。)からの支出も行われています。エネ特とは、地球温暖化対策のために環境省が実施する補助・委託事業のことです。環境省でも、気候変動を成長のチャンスと捉えて、積極的に技術革新を後押ししていることがわかります。
再生可能エネルギーの普及に役立つ
再生可能エネルギーとは、温室効果ガスを排出せず、原料を輸入に頼らず国内で生産できる、枯渇することのないエネルギー源のことです。従来主流であった化石燃料に比べて温室効果ガスを大幅に削減できるため、地球温暖化対策として注目されています。
しかし、再生可能エネルギーの導入にはコストがかかりやすいのが難点です。地球温暖化対策税の税収が再生可能エネルギーの普及に役立てられることで、導入が増え、地球温暖化の抑制によい影響を与えることが期待されます。
地球温暖化対策の意識が向上する
地球温暖化対策税をはじめ、税制度には多くの人が関心を持っています。したがって地球温暖化対策税の存在により、環境保全への意識が高まる可能性があるでしょう。
実際に、ガソリン代や灯油代、電気代やガス代の一部として自分が税を支払うことで、地球温暖化対策を自分ごととして捉えやすくなるのがメリットです。1人ひとりの意識の変化によって省エネやエネルギー源の切替が進み、CO2をより多く削減することにつながります。
地球温暖化対策税を導入するデメリット
地球温暖化対策税の導入によるデメリットも存在しています。以下では、地球温暖化対策税を導入するデメリットを解説します。どのようなデメリットがあるかを把握しておきましょう。
企業・家庭への負担が増加する
地球温暖化税が導入されることで、企業・家庭にとって税負担が発生します。企業の場合、大きな税負担はグローバルな競争力が低下する要因です。特に中小企業にとっては影響が大きいでしょう。
また、企業がコスト削減のため海外移転する可能性もあります。とはいえ、CO2の排出量に対して何らかの課税が行われているのは海外も同じです。CO2排出量を削減する以外に、根本的に税の問題を解決する方法はありません。
短期的な効果を実感しづらい
地球温暖化対策のために設備投資を行う場合、実際に経費削減効果が出るまでは時間がかかります。短期的な増収にならないため、企業の業績が低下する原因になることがあります。
また、地球温暖化対策に取り組む製品を製造しても、現状では販売競争で有利になる仕組みがないため、必ずしも利益を出せるとは限りません。こうした状況下で、地球温暖化対策税が企業の大きな負担になってしまう可能性があるでしょう。
企業ができる税金対策
地球温暖化対策税が負担になっている場合、再生可能エネルギーの導入によって税負担を抑えられます。CO2を排出する方法によるエネルギー供給をやめ、太陽光発電などを積極的に取り入れるとよいでしょう。
再生可能エネルギー導入には大きなコストがかかるため、注意が必要です。しかし、一定条件を満たす事業者は税制の優遇措置を受けられます。地球温暖化対策税の負担も減らせるため、メリットも大きいといえます。
地球温暖化対策税の還付制度
地球温暖化対策税においては、特定の分野や産業に負担をかけないように課税の公平性が確保されています。一定の分野では免税・還付措置を設けているため、チェックしておくとよいでしょう。
地球温暖化対策税の税率は、以下のとおりです。
【地球温暖化対策税の税率】
| 課税物件 | 本則 税率 | 平成24年10月1日~ | 平成26年4月1日~ | 平成28年4月1日~ |
| 原油・石油製品 [1kL当たり] | (2,040円) | +250円 (2,290円) | +500円 (2,540円) | +760円 (2,800円) |
| ガス状炭化水素 [1t当たり] | (1,080円) | +260円 (1,340円) | +520円 (1,600円) | +780円 (1,860円) |
| 石炭 [1t当たり] | (700円) | +220円 (920円) | +440円 (1,140円) | +670円 (1,370円) |
ただし運輸部門に関しては、以下に該当する場合、2026年3月31日までは特例によって上乗せ分の税率が還付されます。
【還付対象となる石油製品】
[1] 内航運送の用に供する軽油及び重油
[2] 一般旅客定期航路事業の用(遊覧の用を除く)に供する軽油及び重油
[3] 鉄道事業の用に供する軽油
[4] 国内定期航空運送事業の用に供する航空機燃料
まとめ
地球温暖化対策税は、地球温暖化の大きな原因であるCO2排出を抑制するため、企業や個人のCO2排出量に対して課されている税金です。化石燃料の使用量を抑えられるよう、省エネを行ったり、再生可能エネルギーを利用したりすることが、地球環境に配慮することにもつながるでしょう。
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執筆者プロフィール
会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA