地球温暖化対策は、世界規模の大きな取り組みです。日本でも地球温暖化対策を推進しており、二酸化炭素(以下「CO2」という。)の排出量削減・回収などの技術開発・普及が進行中です。本記事では、地球温暖化対策に関する日本の課題と取り組みを解説します。ぜひ、参考にしてください。
地球温暖化により、世界中の気温が上昇しています。地球温暖化が深刻にとらえられる理由は、気温上昇に伴い、異常気象や海面上昇、水害や山火事などの災害が発生しやすくなるためです。将来さらに温暖化が進行すると、生態系のバランスが崩れ、人間の存続すら危ぶまれるかもしれません。
地球温暖化を引き起こす主な原因は、大気中の温室効果ガスです。温室効果ガスは全体の大部分をCO2が占め、その他はメタンや一酸化二窒素、フロン類などです。温室効果ガスには、太陽光で暖められた地表からの熱を吸収し、地球を適度な温度に保つ効果があります。そのため、過剰に増えた温室効果ガスは気温を上昇させます。
産業革命以降、化石燃料の大量消費や森林破壊により、大気中のCO2濃度は急激に上昇しました。CO2の排出削減と同時に回収量を増やす取り組みが、地球温暖化対策として効果的といえます。
環境問題への関心が世界的に高まるなか、2015年に採択されたパリ協定は、地球温暖化対策の国際的枠組みとなりました。
アメリカでは、トランプ大統領がパリ協定からの離脱を表明しましたが、2021年にバイデン大統領が離脱を撤回しました。また、近年のEUは循環型経済への転換を推進しており、再生可能エネルギーの導入や廃棄物削減など、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを加速させています。
カーボンニュートラルとも呼ばれる脱炭素は、CO2排出量を「実質ゼロ」にすることです。実質ゼロは、排出量と回収量の相殺を意味します。一方で、低炭素は、CO2排出量を削減するという意味です。パリ協定の採択以降、世界は低炭素社会から脱炭素社会へと目標を転換しています。
2020年10月に、日本は2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする、カーボンニュートラル実現を目指すと宣言しました。そして、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた目標が、地球温暖化対策計画において、2030年度までに温室効果ガスの排出量を2013年度比で46%削減するというものです。
目標達成に向けて、日本は、再生可能エネルギーや省エネ関連の取り組みを熱心に進めています。
※参考:地球温暖化対策計画(令和3年10月22日閣議決定)|環境省
2022年度の日本における温室効果ガス総排出量は、約11億3,500万トンです。CO2排出量は、総排出量のうち約10億3,700万トンを占めています。CO2排出量は年々減少傾向にあり、2021年度と比べると2.5%、2013年度比では21.3%減少しています。
※参考:2022年度の温室効果ガス排出・吸収量(概要)|環境省
1997年に採択された京都議定書は、先進国のみを対象とした初めての国際的な温室効果ガス削減の枠組みです。日本は京都議定書の削減目標を達成しています。
2015年に参加したパリ協定は、先進国・途上国の区別なく、すべての国が参加する国際的な枠組みです。日本は、2030年までに2013年度比で温室効果ガス排出量を26%削減するという目標を提出しています。
2020年10月には、2050年までのカーボンニュートラルの実現が宣言されました。翌年2021年には、2030年度の削減目標を26%から46%(2013年比)にまで引き上げることで、カーボンニュートラル実現に向けた意気込みを示しました。
※参考:日本の排出削減目標|外務省
日本が進める地球温暖化対策において、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換や、鉄鋼業・運送業の脱炭素化には重要な課題があります。地球温暖化対策において日本が解決すべき課題の詳細を解説します。
地球温暖化対策として、日本は化石燃料から再生可能エネルギーへの転換を進めています。再生可能エネルギーは、発電時に温室効果ガスをほとんど排出しない、自然由来で枯渇の心配もないエネルギー源です。
しかし、再生可能エネルギーには、高額な発電設備の建設・維持コスト、天候に左右される電力供給の不安定さ、系統の不足などの課題があり、普及を妨げる要因となっています。
鉄鋼業は、日本の製造業のなかでCO2排出量が特に多い産業です。従来の高炉法と直接還元法では、石炭を使用して鉄鉱石から鉄を取り出す際に大量のCO2が排出されます。さらに、高温で加熱するためにも、多大なエネルギーが必要です。
鉄工業の脱炭素化に向け、水素還元製鉄法などに代表される「グリーンスチール」が注目されています。グリーンスチールはCO2排出量を大幅に削減できる製鉄方法で、鉄鋼業の脱炭素化への貢献が期待されています。
運送業では、トラックや船舶、航空機などの主要な輸送手段が化石燃料に依存しており、移動時に大量のCO2が排出されます。運送業の脱炭素化に向け、電気自動車などの次世代車両の開発・普及や、航空燃料の変更、物流の効率化などが進められています。
地球温暖化対策計画では、CO2排出量の削減目標が部門別に設定されています。以下では、産業部門や業務その他部門など、CO2排出量が特に多い部門について、具体的な取り組みを解説します。
産業部門では、地球温暖化対策として以下の取り組みが記載されています。
・産業界における自主的取り組みの推進
・企業経営等における脱炭素化の促進
・省エネルギー性能の高い設備・機器の導入促進
・業種間連携省エネルギーの取り組み促進
・電化・燃料転換
・徹底的なエネルギー管理の実施
・中小企業の排出削減対策の推進
・工場・事業場でのロールモデルの創出
特に、省エネ設備・機器の導入や、電化・燃料転換が重要な施策となっています。
※出典:地球温暖化対策計画|環境省
業務その他部門では、地球温暖化対策として以下の取り組みが記載されています。
・産業界における自主的取り組みの推進
・建築物の省エネルギー化
・省エネルギー性能の高い設備・機器の導入促進
・デジタル機器・産業のグリーン化
・徹底的なエネルギー管理の実施
・電気・熱・移動のセクターカップリングの促進
・中小企業の排出削減対策の推進
・工場・事業場でのロールモデルの創出
・エネルギーの地産地消、面的利用の促進
・脱炭素型ライフスタイルへの転換
・公的機関における取り組み
・その他の対策・施策
新築・既存を問わず、建築物の断熱性能向上や省エネ設備の導入が重要視されています。
※出典:地球温暖化対策計画|環境省
家庭部門では、地球温暖化対策として以下の取り組みが記載されています。
・脱炭素型ライフスタイルへの転換
・住宅の省エネルギー化
・省エネルギー性能の高い設備・機器の導入促進
・徹底的なエネルギー管理の実施
・電気・熱・移動のセクターカップリングの促進
・その他の対策・施策
これらの取り組みにより、住宅の省エネ性能の向上や、エネルギーの見える化などが進められています。
※出典:地球温暖化対策計画|環境省
運輸部門では、地球温暖化対策として以下の取り組みが記載されています。
・産業界における自主的取り組みの推進
・自動車単体対策
・道路交通流対策
・脱炭素型ライフスタイルへの転換
・環境に配慮した自動車使用等の促進による自動車運送事業等のグリーン化
・公共交通機関及び自転車の利用促進
・鉄道、船舶、航空機の対策
・脱炭素物流の推進
・電気・熱・移動のセクターカップリングの促進
・その他の対策・施策
電気自動車をはじめとする次世代自動車への転換や、物流の効率化、公共交通機関の利用促進などの取り組みが重視されています。
※出典:地球温暖化対策計画|環境省
エネルギー転換部門では、地球温暖化対策として以下の取り組みが記載されています。
・産業界における自主的取り組みの推進
・電力分野の二酸化炭素排出原単位の低減
・再生可能エネルギーの最大限の導入
・石油製品製造分野における省エネルギー対策の推進
これらの取り組みにより、発電時におけるCO2排出量削減と、再生可能エネルギーの導入拡大を目指しています。
※出典:地球温暖化対策計画|環境省
エネルギー政策から技術開発、地域の取り組み、国境を越えた協力関係などを通じて、日本は地球温暖化対策に意欲的に取り組んでいます。ここでは、地球温暖化対策に関する、日本の重要な取り組みを解説します。
エネルギーミックスとは、再生可能エネルギー、火力発電、原子力発電など、複数の発電方式を組み合わせてエネルギーを供給することです。再生可能エネルギーの普及は地球温暖化対策として重要ですが、天候による発電量の変動が課題です。そのため、他の発電方式と再生可能エネルギーによる発電方式を組み合わせることで、電力の安定供給が図られています。
カーボンプライシングは、CO2排出量に基づく課税制度で、企業の排出削減を促す役割が期待されています。具体的な仕組みとして、CO2排出量に応じて課税する「炭素税」や、排出枠を取引する「国内排出量取引制度」、輸入品にCO2排出量に応じた負担を課す「炭素国境調整措置」などがあります。
2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指す自治体を、ゼロカーボンシティと呼びます。各地域は、豊富な森林資源を活用した木材利用の促進や、地熱・風力などの再生可能エネルギーの導入、エネルギー利用の効率化といった、地域特性を活かした独自の取り組みを展開しています。
脱炭素社会の実現に向けて、CO2の分離・回収技術や、水素エネルギーの活用などの技術開発が進められています。環境省のサイトには、革新的技術の事例が掲載されています。
二国間クレジット制度(JCM)は、先進国の優れた脱炭素技術や製品を途上国に提供し、その結果実現したCO2排出削減量を、先進国の削減目標達成に活用する仕組みです。途上国は先進的な技術を導入でき、先進国は国際貢献と自国の削減目標達成を同時に実現できるため、二国間クレジット制度は、双方にメリットのある制度といえます。
再生可能エネルギーの普及には、系統(送電線)の容量が課題となっています。従来は、系統の容量が予約済みの場合、新規の発電設備を接続できませんでした。ノンファーム型接続では、系統に空きがある時間帯のみの送電を条件に、新たな接続を認めています。ただし、系統の有効活用が可能になる一方で、混雑時には発電を抑制する必要があります。
文明の発達は、地球温暖化を深刻化させました。産業革命以降、化石燃料の大量消費により温室効果ガスの排出量が急増しています。特に、近年は世界規模での大量生産・大量消費型の経済活動により、地球温暖化が加速しています。原材料の調達から製造、輸送、廃棄に至るまで、製品のライフサイクル全体でCO2が排出され続けているためです。
深刻化する地球温暖化を解消するために、世界各国が対策を進めている状況です。日本の地球温暖化対策には、再生可能エネルギーへの転換や、製造業・運輸部門の脱炭素化に課題があります。課題解決に向け、日本ではエネルギー政策や技術開発、地域が主体となった取り組みなどの多面的な対策が進められています。
ゼロ炭素ポートは、自社のサービスだけではなく他社のソリューションも含めて、お客さまの脱炭素への取り組みを総合的にサポートするサイトです。地球温暖化対策につながる取り組みをお考えの人は、ぜひゼロ炭素ポートをご活用ください。
会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA