中長期的な社会の発展に向けて、世界的にサステナビリティの推進が進められています。この記事では、企業におけるサステナビリティ推進について解説します。企業が導入している代表的なサステナビリティ推進の仕組みや、その推進によるメリットについても解説するため、参考にしてください。
サステナビリティとは、環境や経済などに配慮した活動を通じて、中長期的な視点で社会全体の発展を目指す考え方です。持続を意味するsustainと、可能性を意味するabilityを組み合わせた造語であり、日本語では持続可能性とも呼ばれます。
この考え方は、経済開発、社会開発、環境保護の3つを基本方針としており、社会のさまざまな場面で重視されています。
サステナビリティは、指標や指数を用いて効果を測ることが大切です。ここからは、2つの代表的な指標・指数を解説します。
GRIスタンダードは、オランダに本部を置く組織であるGlobal Reporting Initiativeが、2016年に発表した国際的なフレームワークです。このスタンダードは共通スタンダードと項目別スタンダードに分かれており、項目別スタンダードはさらに経済、環境、社会の3つに分類されています。
抽象的な概念であるサステナビリティを具体的な指標として可視化し、定量的に扱うために効果的な仕組みです。
DJSIは、1999年に開発された投資家向けのインデックス・指数です。Dow Jones Sustainability Indicesの頭文字を取って、DJSIと呼ばれています。開発は、スイスのRobecoSAM社と米国のS&P Dow Jones Indices社の共同で行われました。
このインデックスは、世界の主要な企業をサステナビリティに基づいて評価し、総合的に優れている企業をDJSI銘柄として指定しています。DJSI銘柄に指定されることで、サステナビリティに優れた企業として外部ステークホルダーや投資家から高く評価されやすくなります。
企業でサステナビリティ推進が求められている代表的な理由は、ESG投資とCSRの広がりです。以下は、それぞれの理由の詳細です。
ESG投資とは、以下の3要素を重視する企業を選別して行う投資を指します。
・環境(Environment)
・社会(Social)
・企業統治(Governance)
持続可能な社会の実現が注目されるなかで、企業の環境や社会への姿勢が重要視されるようになっています。このような流れを受け、企業が社会的な信頼を得るためにも、サステナビリティの推進が求められるようになりました。
CSRはCorporate Social Responsibilityの略称で、日本語では企業の社会的責任を意味します。企業は社会的責任を負う存在として、自社の利益追求のみならず、ステークホルダー全体の利益を考慮するべきという考え方です。
サステナビリティとCSRには、よりよい社会の実現という共通の目標があります。CSRは1990年代以降に重視され始め、共通の目標を持つサステナビリティの浸透にも関与していると考えられています。
企業がサステナビリティを推進する際には、何らかの仕組みを導入することが一般的です。ここからは、代表的な仕組みについて解説します。
サステナビリティ推進室とは、持続可能な企業活動の実現を目的に、企業や組織内に設置される専門部署のことです。この部署は部門を超えて、時にはグループ企業全体を統括し、効果的なサステナビリティ活動の推進を目指します。
具体的には、サステナビリティに関する戦略の立案や、ステークホルダーへの情報開示などを担当します。
サステナビリティ委員会は、サステナビリティに関する活動を経営レベルで判断するために設置される専任組織です。経営の中枢に関わる組織として、施策の立案や取締役会への報告などの業務を行います。企業内での位置づけとしては、サステナビリティ推進室や推進部などの上位組織として設置されることが一般的です。
サステナビリティ推進の仕組みを立ち上げる際は、一定の手順に沿って進めることが推奨されます。以下は、具体的な手順とその詳細です。
サステナビリティを適切に推進するためには、サステナビリティへの理解を深めることが重要です。特に、取り組みを始めたばかりの段階では、知識やリテラシーが不足し、共通の認識を持てないことが少なくありません。
企業の能力や規模を踏まえ、無理のない施策を立案することが大切です。短期的ではなく中長期的な視点で実現可能な取り組みを行うためにも、サステナビリティに対する理解度を高めることが推奨されます。
サステナビリティを適切に推進するためには、課題や目標を正確に把握することが求められます。課題については、社会全体の課題が自社に与える影響を考慮しつつ、自社が取り組むべき施策を見極めましょう。目標については、中長期的な視点で設定し、実現に向けた具体的なサステナビリティ活動を検討することが重要です。
課題や目標を把握した後は、それらに基づいたロードマップを作成します。提案された施策や方向性について議論し、経営方針や事業戦略の観点から提言を行いながら、ロードマップを策定しましょう。また、具体的な数値を用いた達成指標を設定することで、目標達成に向けた定量的な評価がしやすくなります。
サステナビリティの推進活動では、社内外を問わずステークホルダーとの連携が求められます。社内では、部署や部門を超えた連携を始め、グループ全体での協力も重要です。社外では、投資家や取引先などに情報を開示し、適切な理解と協力を得る必要があります。
また、情報開示によって寄せられた意見を参考にし、取り組みの内容や進め方を改善していくことも重要です。
サステナビリティ推進に関する業務はいくつかあります。以下は、代表的な業務とその詳細です。
サステナビリティ推進に関する戦略や方針の立案は、代表的な業務のひとつです。企業にとって優先度の高い課題であるマテリアリティや、ステークホルダーからの要望を把握することも求められます。社会課題や環境課題は多岐にわたるため、自社およびステークホルダーが解決すべき課題を見つけ出し、取り組むことが重要です。
また、社会や事業の変化に伴い、課題の内容や優先度は変化するため、定期的に内容を見直すことも大切です。
サステナビリティの推進に対する理解を得るだけでなく、取り組みに対する評価を得るためには、情報の開示や発信が欠かせません。社外のステークホルダーや評価機関に情報を開示することで、サステナビリティに関する自社の取り組みをアピールできます。
企業全体でサステナビリティを推進するためには、社内への情報発信を行い、従業員の理解を深めることも重要です。また、情報の開示や発信によって得られたフィードバックを基に、戦略や方針を見直し、改善を図ることが効果的です。
サステナビリティ推進の活動を効果的かつ効率的に進めるためには、情報収集が欠かせません。情報収集が関わることとして、国際基準や法律の変更の対応、他社の事例のチェックなどが挙げられます。代表的な情報収集の手段は、以下の通りです。
・国際機関や政府機関などの公式Webサイト
・ニュースサイト
・書籍
・セミナーやカンファレンス
・SNS
・専門家への相談
サステナビリティ推進の活動には、従業員への教育や啓蒙も含まれます。企業のサステナビリティ推進活動は、組織的に取り組むことが重要であり、従業員ひとりひとりの理解度を高めることが求められます。従業員向けのセミナーや研修の実施、eラーニングの活用など、さまざまな手段を用いてサステナビリティへの理解を促しましょう。
サステナビリティを意識した経営には、抑えるべきポイントがあります。ここからは、代表的なポイントとその詳細を解説します。
場当たり的な活動では、サステナビリティを意識した経営の実現は難しいでしょう。長期的に取り組むことを前提に、達成すべき目標の設定などを行うことが推奨されます。また、目標の達成率や取り組みの評価を適切なものにするためには、定量的および定性的な観点を意識して目標を設定すると効果的です。
自社の事業と関連性の高い課題を特定した上で、サステナビリティに取り組むことが重要です。まず、社会、経済、環境といった広い範囲でサステナビリティに関する情報を収集しましょう。その後、自社の事業との関連性や課題の優先度を把握し、経営の領域に落とし込んでいきます。国内外を問わず、法令の変化や社会の動向を意識することも重要です。
企業におけるサステナビリティ推進のメリットは多岐に渡ります。具体的なメリットとその詳細は、以下の通りです。
サステナビリティ推進を通じて社会問題や環境問題に取り組むことで、ステークホルダーによい印象を与えやすくなります。これは、自社の利益だけでなく、社会的な利益にも取り組む姿勢を示せるためです。社会的なイメージが向上すると、売上の向上や取引先の拡大などにつながり、企業としての価値も高まりやすくなります。
労働環境の改善や整備は、サステナビリティへの取り組みの一環です。職場環境が働きやすくなることで、従業員のエンゲージメント向上が期待できます。従業員のエンゲージメントが向上すると、長期的に働き続ける可能性が高まります。これは、企業に対する愛着が深まり、企業理念が浸透するためです。
サステナビリティへの取り組みをきっかけに、新たな技術やアイデアが生まれる可能性があります。また、既存の事業をサステナビリティに適合させる過程で、話題性の獲得や取引先の拡大なども期待できます。
環境問題や将来性といった観点から、持続可能な社会の実現が日本のみならず世界中で目指されている状況です。また、企業は自社の利益だけでなく、ステークホルダー全体の利益を考慮することが求められています。しかし、サステナビリティを効果的に推進するためには、一定の知識やノウハウが必要です。人材やコストなどの面でも課題は多くあります。
ゼロ炭素ポートは、自社だけでなく他社ソリューションとも協力し、お客さまのニーズに応えるサイトです。脱炭素化に向けた取り組みを検討している企業の担当者は、ぜひゼロ炭素ポートをご利用ください。
会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA