近年は、サステナビリティ経営が浸透しつつあり、さまざまな企業が取り組みを行っています。サステナビリティ経営には多くのメリットがありますが、課題を抱えている企業も少なくありません。この記事では、サステナビリティ経営のメリットや実現方法について解説します。サステナビリティ経営に取り組んでいる企業事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
サステナビリティの内容やサステナビリティ経営の定義・方針について解説します。
サステナビリティとは、「持続する(sustain)」と「〜できる(able)」を組み合わせてできた言葉です。日本語では「持続可能性」を意味し、「環境」「社会」「経済」の3つの観点から、長期間にわたって環境を壊さず資源も使い過ぎない経済活動を維持し続けることを指します。
企業が事業を長期的に維持・継続していくためにも、「環境」「社会」「経済」の3つの要素に与える影響を考慮していかなければなりません。
企業が利益のみを追求すると、環境や社会だけでなく、企業自身の存続にも悪影響を及ぼすでしょう。サステナビリティ経営とは「環境」「社会」「経済」に配慮しつつ、事業の持続可能性向上を図るための経営戦略を指します。企業は危機的状況を回避しつつ、地球の持続可能な未来に貢献していくことが大切です。
サステナビリティ経営と混同されやすい「CSR」や「SDGs」との違いを解説します。
CSRとは、日本語で「企業の社会的責任」を意味し、利益だけではなく社会に対して責任を持ちながら期待や要求に応えることを指します。CSRは企業が主体なのに対して、サステナビリティ経営は企業を含む各個人など、対象が広範囲に及んでいることが特徴です。
SDGsとは、2015年に開催された国連サミットで採択、発表された国際目標です。サステナビリティ経営に取り組むために、より具体的なSDGsを目標に掲げている企業も増えています。SDGs では17のゴールが設定され、ゴールを達成するための169のターゲットがそれぞれに定められています。
サステナビリティ経営が注目されるようになったのには、以下のとおりさまざまな理由があります。
経済活動が拡大する一方で、気候変動・森林伐採・海洋汚染などの環境破壊が加速化しており、深刻な問題となっています。環境問題が健康被害や災害を招くこともあり、生産性の低下など経済活動の持続可能性にも大きな影響を与えています。
人間が動植物と共存しながら発展し続けるためにも、環境に配慮することは、個人の意識だけでは足りません。企業単位での取り組みも必要になります。
世界的に取り組まれているサステナビリティは、消費者にとっても身近なものになったため、サステナビリティを意識した商品やサービスが重要視されるようになりました。今後もニーズは高まっていくことが予測されるため、企業もサステナビリティに長期的に取り組む必要があります。
求職者や従業員も企業を選ぶ際に「社会に貢献する企業で働きたい」「持続可能性への真摯な取り組みに貢献したい」などの意識を持つようになりました。就職や転職の際もサステナビリティに取り組んでいるかを判断材料にする傾向にあります。今後も企業への定着率や、人材採用などにも影響を及ぼすと考えられます。
企業がサステナビリティ経営を行えば、以下のようにさまざまなメリットをもたらします。
サステナビリティ経営に取り組むことは、投資家・顧客・取引先からの評価にもよい影響をもたらします。市場を通じた資金調達もしやすくなり、税制面での優遇措置なども期待できるでしょう。企業のブランドイメージ向上にもつながります。
サステナビリティ経営は、多様性の推進や働きやすさの実現など、従業員にとってもよい影響を与えるため、エンゲージメントの向上が期待できます。従業員のエンゲージメントを高めれば、離職率の低下や業務の生産性向上も期待できるでしょう。
求職者や従業員が働きたい場所として選ばれる企業になるためにも、サステナビリティ経営は重要です。学生を対象にしたアンケートによると「SDGsに対する姿勢」を企業選びの基準にしている学生が約2割います。企業イメージがよく、親しみが持てるなどの声もあるため、優秀な人材を獲得するためにもサステナビリティ経営は欠かせないものになっています。
※参考:就活生の約2割が「SDGsに対する姿勢」を企業選定軸に。取り組み状況から企業の“社会的責任”や“将来性”を判断したい考え|HRpro
SDGsに取り組めば、新たな市場開拓の機会が生まれることもあるでしょう。開発力やイノベーション力がある他企業と連携することによって、サステナビリティに配慮した製品やサービスを生み出す可能性が広がります。
サステナビリティは世界的に取り組まれているものの、日本では海外に比べてサステナビリティへの関心度が低いという課題があります。サステナビリティの重要性が、商品やサービスの価格に十分反映されていないことも問題です。
サステナビリティへの関心が顧客企業や消費者の間で高まるようになると価格への反映を受容する文化ができるようになります。サステナビリティへの関心を高めるためには、企業努力だけではなく、政府による政策的な介入や積極的な仕組み作りも必要です。
サステナビリティ経営を実現するには、以下のような手順で取り組んでいきましょう。
サステナビリティ経営における自社の課題を明確にするためには、まず自社の現状を把握する必要があります。自社が社会にどのように関わっているかを把握・分析しましょう。経営層だけで行うのではなく、従業員やステークホルダーと共に多方面から把握・分析する必要があります。
サステナビリティ経営は長期的なビジョンを策定することが大切です。多くの社会課題に対し、自社がどのように取り組んでいくかを明確にします。ただし、長期的に取り組むためにも経済的価値の追求との両立も重要です。
長期ビジョンをもとに、実現に向けた目標を設定します。経営方針や目標を理解したうえで、従業員が取り組めるように研修などを行うのもよいでしょう。形骸化しないように、定期的に成果を測定することも必要です。
サステナビリティ経営を行っている企業の事例を2つご紹介します。
スウェーデン発祥の家具・インテリア用品の販売企業「IKEA(イケア)」では、2030年までに達成すべき目標を掲げ、さまざまな取り組みを行っています。廃材や再生可能な素材の使用、使い捨て商品を繰り返し使えるように工夫するなど、サステナブルな商品を手頃な価格で提供しているのも取り組みのひとつです。
2021年には、工場における再生可能電力100%を達成し、原材料にも再生可能素材やリサイクル素材を他企業に比べて高い水準で使用しています。
世界で400を超えるブランドを展開している「ユニリーバ(Unilever)」は、サステナビリティや環境保護を重視した事業戦略を行っています。「気候」「自然」「プラスチック」「生活水準の向上」をサステナビリティの4つの優先分野として注力しており、従業員の安全や健康の向上にも努めています。
GRIとは、1997年にアメリカのボストンで設立された機関です。GRIスタンダードとは、GRIによって作成されたフレームワークで、2016年に国際基準として発表されました。GRIスタンダードは、多くの企業がサステナビリティ報告書を作成するときに使用されています。
企業のサステナビリティ報告書は、GRIスタンダードに沿って作成されることが一般的です。環境・社会・経済の34テーマに対して、自社がどのように貢献し、どのような効果をもたらしたのかを明記します。日本では多くの企業がホームページなどでGRIスタンダードに準拠していることを明示し、サステナビリティへの取り組みを公表しています。
多くの企業が持続可能な地球の未来に貢献するために、サステナビリティ経営に取り組んでいます。環境破壊の深刻化や消費者ニーズの多様化などにより、サステナビリティ経営は今後ますます注目を集めるでしょう。サステナビリティ経営を実現するには、将来的なビジョンを明確にすることが大切です。
ゼロ炭素ポートは、「脱炭素の未来をつくる方々」の困りごとを気軽に相談できる「場」を目指しています。脱炭素に向けて役立つ資料のダウンロードやさまざまなソリューションの紹介を行っているので、サステナビリティ経営の参考資料としてご活用ください。
会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA