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サステナビリティの取り組み事例9選!SDGsとの違いやメリットを紹介

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2025年03月19日

持続可能な社会の実現に向けた取り組みが進められるなか、サステナビリティという言葉が注目されています。サステナビリティへの取り組みは多岐にわたり、各企業でさまざまな活動を行っています。この記事では、サステナビリティの基本情報やSDGsとの違い、業界別のサステナビリティの取り組み事例を紹介するので、ぜひ参考にしてください。

サステナビリティとは

サステナビリティとは環境・経済・社会などのさまざまな物事を長期的な視野でとらえ、持続可能な状態にするという考え方です。従来は主に環境に関する用語で使用されていましたが、近年では長期的に持続可能な企業を目指す取り組みを指す言葉としても用いられるようになってきました。サステナビリティの取り組みには多くのメリットがあり、企業にとって欠かせないものになっています。

サステナビリティが注目を集める理由

ここからは、サステナビリティが注目を集める理由を紹介します。理由を知ることで、なぜサステナビリティが必要なのかを理解できるでしょう。

国連環境開発会議

サステナビリティという概念は、1987年に開催された「環境と開発に関する世界委員会」の報告書において生まれました。さらに1992年に開催した「国連環境開発会議(地球サミット)」でも、サステナビリティは注目を集めています。

国連環境開発会議では、次世代の環境保護と経済発展の両立が重要な議題とされ、その概念を表す言葉として「サステナビリティ」が広く知られるようになりました。

環境問題の深刻化

近年、深刻な状況に追い込まれていることが、各種環境問題です。利潤だけを追い、環境負荷を考えなかった結果、社会には数多くの問題が生じています。特に危険視されているのは、地球温暖化や海洋汚染、土壌汚染、資源の枯渇などの問題です。これ以上自然界を破壊しないためにも、サステナビリティに対する取り組みが重要視されています。

消費者ニーズの変化

環境問題が深刻になるなか、消費者ニーズが変化していることも理由のひとつです。以前まで「大量生産大量消費」といった考えが主流でしたが、環境負荷を軽減できる「エシカル消費」へとニーズがシフトしています。さらに投資家においても、ESG投資などの形で環境や社会、ガバナンスに着目した投資手法を推進する流れになっています。

サステナビリティとCSR・SDGsの違い

サステナビリティの他に「CSR」や「SDGs」という言葉があります。ここからは、サステナビリティとCSR・SDGsの違いについて解説します。

サステナビリティとCSRの違い

CSRは「Corporate Social Responsibility」の略で、企業が果たすべき社会的責任を指します。この社会的責任とは、消費者、従業員、投資家への配慮や環境問題への対応、さらには社会貢献に至るまで、多岐にわたる課題に対して適切な意思決定を行うことを意味します。

一方、サステナビリティは持続可能な社会を実現させるための抽象的な概念です。CSRと似ていますが、CSRは対象が企業に限られる点が異なります。企業が自然環境を破壊する物質の削減や無排出、リサイクル資源の活用などの活動を行うことが「CSR」です。

サステナビリティとSDGsの違い

SDGsは「Sustainable Development Goals」の頭文字を取った言葉で、持続可能な開発目標といった意味を持ちます。2015年に国連サミットで採択された持続可能な17個の目標がSDGsです。

SDGsは持続可能な社会(サステナビリティ)を実現するための手立てであり、サステナビリティは概念を指しますが、SDGsはサステナブル社会を実現するために掲げられた目標といった点が異なります。SDGsに貢献できる活動を心がけることで、自然とサステナビリティにつながっていくでしょう。

サステナビリティにおける重要な3つの観点

サステナビリティは「環境保護」「経済開発」「社会開発」の3つの観点から考えられます。ここからは、サステナビリティにおける重要な3つの観点について解説します。

環境保護

環境保護は、環境に配慮する取り組みを指します。地球は気候変動や森林破壊などの影響により、いくつもの深刻な問題を抱えている状態です。そのため、経済活動がもたらす環境への影響を抑え、持続可能で良好な状態を維持するための取り組みが、人々に求められています。

経済開発

経済開発は、地球社会の生産性拡大や経済成長を目的として行われる開発です。貧富の格差や労働条件、社会保障の見直しなど、世界中の人が経済的に安心して暮らせる社会にするための取り組みが求められています。経済の面でサステナビリティを実現するには、経済活動の中心である企業の力が欠かせません。

社会開発

社会開発とは、人々の生活環境を多方面から改善することを目的とした取り組みです。教育格差や貧困問題、ジェンダー差別などを解決しなければ、持続可能な社会は実現できないでしょう。また、働く人の環境に配慮した労働環境の整備や、ダイバーシティなどへの対応が求められています。

サステナビリティを測る指標

企業がサステナビリティに取り組む際、何を基準にすればよいのでしょうか。ここからは、サステナビリティを測る指標を解説するので参考にしてください。

GRIスタンダード

GRIスタンダードは、国連環境計画(UNEP)の公認団体であるGRI(Global Reporting Initiative)が作成したガイドラインです。サステナビリティという抽象的な概念が具体的な指標として可視化されているため、GRIスタンダードを活用することで、外部へ自社のサステナビリティの取り組みを説明しやすくなります。

DJSI(ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス)

DJSIは1999年に金融市場指数を幅広く提供しているアメリカのS&P Dow Jones Indices社と、サステナビリティ投資に特化した投資会社であるスイスのRobecoSAM社が共同開発をした、投資家向けの指標です。

サステナビリティ経営をしている企業の間では、DJSI銘柄に選定されることは大きな名誉だといわれています。投資家や外部ステークホルダーに対するアピールに効果があるため、DJSI銘柄選定を目指す企業は少なくありません。

サステナビリティ経営をするメリット

サステナビリティ経営には多くのメリットがあります。ここからは、サステナビリティ経営をするうえで得られる6つのメリットを紹介します。

企業イメージの向上

サステナビリティ経営をすることで、企業イメージの向上が実現可能です。消費者のニーズは変化しており、環境に配慮した商品やサービスが優先的に選ばれるようになっています。

近年、環境問題や社会問題に積極的に取り組むことが、企業に求められてきました。サステナビリティ経営をすることでより多くの人から興味を持ってもらえたり、信頼を獲得したりなどの効果が期待できます。

ステークホルダーからの評価向上

ステークホルダーは日常的に企業の安定性や将来性に注目しているので、サステナビリティ経営は信頼性の獲得につながります。さらに近年では、投資家が投資先を選ぶ際に、サステナビリティの活動実績を判断材料にする風潮があります。

そのため、サステナビリティを意識した経営は、売上向上や取引先の拡大、リピーターの獲得など、多くのメリットになり得るでしょう。

従業員エンゲージメントの向上

一般的にサステナビリティに取り組んでいる企業では、従業員の満足度が高い傾向があります。どのライフステージにいても働きやすい職場環境にすることで、従業員エンゲージメントの向上が期待できるでしょう。企業が社会問題に積極的に取り組む姿は、従業員のモチベーション向上にもつながります。

コストの削減

サステナビリティに取り組む際、環境への配慮として省エネやリサイクルを行うことで、事業活動にかかるコストの削減が可能です。再生エネルギーへの転換やリサイクル技術は、長期的なコストカットを実現できるでしょう。対策を行う場合は初期投資が必要となるものの、長期的な目線で考えるとコストの削減につながる可能性が高いといえます。

ビジネスチャンスの拡大

サステナビリティ経営はビジネスチャンスの拡大も期待でき、貧困などの社会問題への取り組みがソーシャルビジネスの開拓につながることがあります。また、環境問題の解決につながる製品や技術を開発できれば、新規事業の立ち上げや新たなビジネスパートナーとの連携など、企業経営の幅が広がるでしょう。

優秀な人材の獲得

若手世代は社会問題に関心が高いとされており、社会貢献活動を行っている企業で働きたいと考える人が増加しています。若者の労働人口の減少が問題になっているため、サステナビリティ経営によって人材が集まりやすいことは大きなメリットです。

社会貢献活動をすることで従業員のモチベーション向上にもつながり、従業員満足度が高い企業ほど、優秀な人材を獲得しやすいでしょう。

食品製造業のサステナビリティ取り組み事例

サステナビリティ経営を始めるなら、他の企業の取り組みを参考にしてはいかがでしょうか。ここからは、食品製造業のサステナビリティへの取り組み事例を3選紹介します。

キリンホールディングス株式会社

キリンホールディングス株式会社では、「キリングループ プラスチックポリシー」(2019)を制定し、2027年までに日本国内におけるPET樹脂使用量の50%リサイクル樹脂化を設定することを目標に掲げました。さらに、リサイクルPET樹脂を100%使用した「R100ペットボトル」の商品の拡大をしており、将来的には「ペット製品からペット製品」への再生を目指しています。

森永製菓株式会社

森永製菓株式会社は、チョコレート製品に使われるカカオ豆を2020年度以降「認証カカオ豆」に限定しています。認証カカオ豆を使用することで、カカオ農家の繫栄や社会問題の解決に貢献しています。また、2025年度までに森永製菓商品のカカオ豆をすべてサステナブルな原料に切り替えることが目標です。

スターバックス コーヒー ジャパン株式会社

食品廃棄は、日本でも大きな問題になっています。スターバックスの「フードロス削減プログラム」は、店舗ごとの当日の在庫状況に応じて、閉店前にフード商品を20%割引で販売する取り組みです。割引価格で提供することでフードロスの削減を目指しており、売上の一部は子ども食堂の普及に取り組む「NPO法人全国子ども食堂支援センター・むすびえ」に寄付をしています。

小売業界のサステナビリティ取り組み事例

続いては、小売業界のサステナビリティ取り組み事例を3選紹介します。

株式会社セブン-イレブン・ジャパン

プラスチックごみ削減のために、セブンイレブンでは店舗前にペットボトルの回収機を設置しています。また、2020年7月の「プラスチック製レジ袋の有料化義務化」の施行に合わせ、レジ袋の有料化を実施しました。レジ袋は環境に配慮したバイオマス素材30%配合環境配慮型を推奨しており、2030年にはプラスチック製レジの使用量をゼロにすることを目指しています。

株式会社良品計画

株式会社良品計画は、無印良品を展開する企業です。無印良品では、プラスチック製の収納用品を豊富に取り扱っていますが、資源循環型社会の実現を目指し、プラスチック商品のリユース・リサイクルや代替素材への完全移行を目標としています。

その取り組みの一環として、全国の店舗でプラスチック製収納用品の回収を行い、回収した素材を資源として加工し、新たな無印良品の商品に活用する計画を進めています。

イオングループ

イオングループでは脱炭素社会の実現のために「イオン脱炭素ビジョン2050」を独自に策定し、店舗で排出する温室効果ガスを総量でゼロにする取り組みを、グループを挙げて進めています。さらに、脱炭素型住宅の新築・住宅リフォームや、電気自動車(EV)の購入など、脱炭素型ライフスタイルへの転換を検討しているお客さまをサポートする商品の展開を強化しています。

医療・製薬のサステナビリティ取り組み事例

最後に、医療・製薬のサステナビリティへの取り組み事例を3選紹介します。

第一三共株式会社

第一三共株式会社の医薬品包装分野では、これまで、使用実態に即した適正包装の推進やプラスチック使用量の削減などの環境負荷低減に取り組んでいました。

近年では石油に代わり、植物を原料とするバイオマスプラスチックの包装資材への適用を進めています。2021年には注射剤の内袋に、2023年には注射剤のプラスチックトレイに採用するなどの取り組みを実施しました。

エーザイ株式会社

エーザイ株式会社では「リンパ系フィラリア症」の治療薬「ジエチルカルバマジン錠(DEC錠)」を自社で開発・製造し、2013年から熱帯・亜熱帯の開発途上国に無償で提供してきました。開発途上国・新興国への医薬品アクセス向上への取り組みを通じて、健康福祉の向上、中間所得層の拡大による経済成長への貢献を目指しています。

武田薬品工業株式会社

武田薬品工業株式会社は、物流に伴うCO2排出量の削減を目指し、欧州各地を結ぶ配送センターネットワークの物流フローを効率化しました。配送センターの数を53か所から31か所に削減し、年間の電力消費量削減に取り組んでいます。

トラックの積載率は60%から85%にまで増やして、トラック250台分の需要削減につなげています。その結果、温室効果ガスの排出量を10%以上(2万トン)削減に成功しました。

まとめ

サステナビリティへの取り組みは、さまざまな環境問題や社会問題を解決に導くために企業にとって欠かせません。サステナビリティ経営は多くのメリットを得られるので、ぜひ自社でも取り組むことを検討しましょう。

ゼロ炭素ポートでは、脱炭素の情報発信を行っており、困りごとを気軽に相談できる「場」になることを目指しています。脱炭素の取り組みに関わることでお困りなら、「ゼロ炭素ポート」へご相談ください。脱炭素ソリューションの詳細資料は、以下からダウンロードいただけます。

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA