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ホテル業界におけるサステナビリティとは?取り組み方や事例について解説!

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2025年03月19日

将来の社会や環境を健全に保つため、さまざまな業界でサステナビリティが注目されています。ホテル業界においてもサステナビリティを意識する企業が増えてきました。この記事では、ホテル業界におけるサステナビリティについて、取り組み方や取り組み事例について解説します。サステナビリティの推進を検討している場合は、ぜひ参考にしてください。

ホテル業界におけるサステナビリティとは

サステナビリティとは、持続可能な経済活動の発展を通じて、将来の社会や環境を健全に保つという考え方です。ホテル業界におけるサステナビリティの取り組みとしては、環境に配慮したアメニティの導入や、地産地消を推進する食事メニューの開発などが挙げられます。

このように、サステナビリティを推進しているホテルは、サステナブルホテルと呼ばれています。また、ホテル業界におけるサステナビリティの取り組みのひとつが、サステナブルツーリズムです。これは、地域文化や経済への配慮を重視した持続可能な観光を意味します。

ホテル業界でサステナビリティが注目される理由

ホテル業界でサステナビリティが注目される理由はいくつかあります。代表的な理由とその詳細は、以下の通りです。

食品ロスを軽減できるから

食品ロスは、日本だけでなく世界的にも大きな問題として注目されています。特に、ホテルはビュッフェ形式で食事を提供する場合が多く、食品ロスが発生しやすい傾向があります。ホテル業界におけるサステナビリティを意識した取り組みのひとつが、食品ロスの削減です。料理の提供方法を工夫したり、生ごみを肥料や飼料としてリサイクルしたりするなどの対策が行われています。

プラスチックの消費量を減らせるから

ホテル業界において、サステナビリティへの取り組みとして注目されていることが、プラスチックの消費量削減です。ホテルでは、アメニティや飲料水のペットボトルなど、さまざまな場面でプラスチックが使用されています。しかし、プラスチックは海洋汚染の原因となる恐れがあるため、使用量を減らす取り組みが重要です。

地域貢献につながるから

サービスの提供方法によって地域貢献が可能である点も、ホテル業界でサステナビリティが注目されている理由のひとつです。例えば、料理に地元の食材を使用したり、地域の文化や伝統工芸を取り入れたりすることが挙げられます。

環境への負荷を軽減できるから

ホテルは電力使用量が多い傾向があり、その結果、環境への負荷も大きくなりがちです。そのため、節電による電力使用量の見直しや再生可能エネルギーの活用など、サステナビリティへの取り組みが注目されています。これらの取り組みは発電に伴う二酸化炭素の排出量削減に貢献し、環境への負荷を軽減することが可能です。

ホテル業界のサステナビリティへの取り組み方

ホテル業界のサステナビリティへの取り組み方は多岐にわたります。以下は、具体的な理由とその詳細です。

プラスチック製の物品を減らす

プラスチックの消費量を減らすことは、ホテル業界におけるサステナビリティの取り組みのひとつです。例えば、ヘアブラシやコームなどのアメニティを竹素材のものに変更したり、カトラリーやペットボトルを紙製のものに切り替えたりすることが挙げられます。

プラスチックの消費量を減らすことで、海洋汚染の防止や、プラスチック製品の製造および廃棄に伴う環境負荷の軽減が期待されます。

地元の食材を活用する

ホテルで提供する料理に地元の食材を活用することで、地域活性化に貢献することが可能です。地産地消は地域経済の発展につながるだけでなく、その土地ならではの料理を楽しんでもらえるなど、利用者にとっても魅力的なポイントとなります。

ヴィーガンメニューを取り入れる

ヴィーガンメニューは、植物由来の食材で構成されている料理です。動物由来の食材に比べて、植物由来の食材は生産時の環境負荷が低いとされています。ヴィーガンメニューは従来の動物愛護の観点だけでなく、自然環境保護の観点からもサステナビリティに貢献できる取り組みです。

リネン交換の頻度を減らす

リネンの交換は、洗濯による水の消費や電力の使用が伴います。そのため、リネン交換の頻度を減らすことで、水や電力の消費を抑えられます。快適な宿泊体験とサステナビリティへの取り組みを両立するためには、利用者にリネン交換の有無や頻度を確認することが重要です。

紙の使用を減らす

ホテルで紙を使用している業務をデジタル化し、紙の消費量を削減することもサステナビリティへの取り組みのひとつです。具体的な施策としては、チェックインやチェックアウトをデジタル機器で行うことや、請求書や領収書をデータで発行することなどが挙げられます。

ホテルのサステナビリティに関する認証・プログラム

ホテルのサステナビリティに関する認証・プログラムはいくつかあります。代表的な認証・プログラムとその詳細は以下の通りです。

グリーンキー認証

グリーンキー認証は、宿泊施設を対象とした国際的なエコラベルです。世界持続可能観光協議会(GSTC)が定めた観光事業者向け基準(GSTC-i)に適合している施設に付与されます。認証の有効期限は1年間で、継続して取得するためには更新手続きや継続的な取り組みが求められます。

サクラクオリティグリーン

サクラクオリティグリーンは、株式会社日本ホテルアプレイザルが提供している認証制度です。取得するための条件として、宿泊施設のサービスを安全性や誠実さなどの観点から評価するサクラクオリティの認証を取得する必要があります。その上で、SDGsに特化した施設であると認められた場合に、サクラクオリティグリーンの認証が付与されます。

エコマーク

エコマークは、公益財団法人エコマーク事務局が発行している認証です。省エネや節水、廃棄物削減などの観点から、施設が環境に配慮しているかどうかが審査されます。また、施設の利用者に環境意識を高めてもらうための取り組みや、施設による環境配慮に関する情報発信も評価の対象です。

日本のホテルのサステナビリティへの取り組み事例

日本のさまざまなホテルで、サステナビリティへの取り組みが行われています。以下は、事例とその詳細です。

スーパーホテル

スーパーホテルは、サステナブルで健康的なライフスタイルの提供をコンセプトに掲げているホテルです。宿泊時に排出される二酸化炭素を宿泊者に代わって削減する取り組みとして、「ECO泊」というサービスを提供しています。

帝国ホテル

帝国ホテルにおけるプラスチック削減の取り組みとして挙げられる施策が、プラスチック素材を竹や木、バイオマス素材へと切り替えることです。また、食品ロス削減の取り組みとして、食材の仕入れ管理を徹底するとともに、生ごみのリサイクルなどを実施しています。

ホテルニューオータニ

ホテルニューオータニは、エネルギー使用量やCO2排出量の削減の一環として、オール電化厨房システムを導入しました。これにより、熱の排出抑制やエアコンの使用時間の管理が可能になりました。

また、サステナビリティへの取り組みとして、さまざまな設備を導入しています。例えば、厨房の排水をバイオ処理して再利用する中水造水プラントや、生ごみを肥料にアップサイクルするコンポストプラントなどです。

ホテル椿山荘東京

ホテル椿山荘東京が提供している「CO2ゼロSTAY」というプランでは、宿泊によるCO2排出量を削減活動への投資で相殺しています。また、プラスチック製ストローの廃止や、客室のエコ清掃の実施など、環境負荷軽減に向けたさまざまな取り組みを行っています。

星野リゾート

星野リゾートでは、プラスチックの消費を減らすため、自販機やショップなどでペットボトルを廃止しました。代わりに、ボトルのレンタルサービスとドリンクバーを提供しています。また、クシや歯ブラシなどのアメニティを提供せず、ショップで使い捨てではない商品を取り扱っています。

さらに、地域活性化に向けた取り組みにも力を入れている点が、星野リゾートの特徴です。西表島について学べるツアーの開催や、地元の食材を使った郷土料理の提供などがその一例です。

札幌プリンスホテル

札幌プリンスホテルは、SDGsに関する品質認証制度である「サクラクオリティグリーン」を取得しました。カーボンニュートラルの実現を目指し、1泊1名につき10kgのカーボンオフセットができるプランを提供しています。また、プラスチック製ではなく紙製のストローを提供したり、提携する観光果樹園で余った果実を引き取って活用したりする取り組みも行っています。

横浜ロイヤルパークホテル

横浜ロイヤルパークホテルは、横浜市が実施するSDGsに関する認証制度「横浜市SDGs認証制度(Y-SDGs)」を取得しました。代表的な取り組みとしては、環境負荷の少ない生分解性ストローの活用や、プラスチック使用量を削減したアメニティの導入などが挙げられます。

さらに、水資源の有効活用にも取り組んでいます。横浜ランドマークタワー内の施設で発生した排水を中水道設備で浄化し、トイレの洗浄水として再利用するなどの取り組みがその代表例です。

世界のホテルのサステナビリティへの取り組み事例

世界のホテルでも、サステナビリティへの取り組みが行われています。具体的な取り組みとその詳細は、以下の通りです。

アークティック・ブルー・リゾート

アークティック・ブルー・リゾートは、フィンランドにあるホテルです。建物には天然素材を使用し、敷地内全体の暖房と電力には再生可能エネルギーを利用しています。また、エリア内の移動には電気自動車を導入し、環境に配慮した取り組みを行っています。

クラウンプラザ・コペンハーゲン・タワーズ

クラウンプラザ・コペンハーゲン・タワーズは、デンマークのなかでも特にサステナビリティに力を入れているホテルです。サステナビリティへの配慮を重視して設計・建設された建物は、デンマーク初のカーボンニュートラルホテルとして認定されています。

また、外観のデザイン性を維持しつつ、エネルギー消費の削減にも取り組んでいます。例えば、建物と一体化したソーラーパネルの設置や、多様な調整が可能なインテリジェント照明の導入などです。

ヴィラ・インコグニト

ヴィラ・インコグニトは、サステナブルでありながら贅沢というコンセプトのもと、サービスを提供しているホテルです。ソンマーロ・スタンダードと呼ばれる9つの基準に従い、ホテルを運営しています。環境に優しい素材を使用したアメニティの導入や、リサイクルへの取り組みなどは、環境負荷の軽減を目指した代表的な取り組みです。

サファイア・フレシネ

サファイア・フレシネは、オーストラリアのタスマニア州に位置するホテルです。カーボンニュートラルを達成し、温室効果ガスの排出量と吸収量のバランスを取ることに成功しています。また、地域への貢献に力を入れていることも特徴です。例えば、家具にはタスマニア産の木材を使用し、オーガニック農産物を使った食事を提供するなどの取り組みを行っています。

まとめ

サステナビリティは世界的に注目されており、ホテル業界でも資源やエネルギーの節約が求められています。しかし、サステナビリティを推進することで、利用者の快適性や企業の利益を損なう可能性があるため、適切な対応が必要です。そこでおすすめしたいことが、専門機関への相談です。

ゼロ炭素ポートは、お客さまのニーズに応えるため、自社だけでなく他社のソリューションとも連携し、サポートを行うサイトです。脱炭素化への取り組みを検討している場合は、ぜひゼロ炭素ポートをご利用ください。

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA