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サステナビリティブランディングの事例を紹介!企業価値を向上するポイントも解説

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2025年03月19日

現代は地球規模の環境問題や社会問題など、一国だけでは対処できない課題が増えてきました。関心も高まり、企業の責任や取り組みが重要視されています。サステナビリティブランディングは、ブランド価値を高める持続可能な戦略です。この記事では、サステナビリティブランディングの基本から、企業の具体例まで詳しく解説します。

サステナビリティブランディングとは

サステナビリティブランディングは、環境や社会に配慮した取り組みを通じてブランド価値を高める戦略です。そもそもサステナブルという単語には「持続可能な」という意味があります。

その意味を組み、企業が持続可能性を軸として理念や活動を消費者や社会に訴求し、ブランドイメージの強化や他社との差別化につなげるのが、サステナビリティブランディングです。長期的な企業の成長と、社会貢献を両立させるアプローチとして注目されています。

サステナビリティブランディングが重要視されている理由

なぜ企業活動でサステナビリティブランディングが重要視されるのか、主に以下で解説する3つの理由があります。

企業には持続可能性への取り組みを進める役割がある

気候変動や資源枯渇など、現代は地球規模での環境問題が深刻化しています。2015年には国連総会でSDGs(持続可能な開発目標)が採択され、具体的に17の目標と169のターゲットが示されました。

SDGsは2030年までに達成すべき国際的な目標であり、持続可能でよりよい世界を目指すためのナビゲーションのようなものです。企業活動は環境に与える影響が大きいため、積極的な参加が期待され、持続可能な取り組みが求められています。

※参考:SDGsって何だろう?| 日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)

消費者行動が変化している

世界的に環境問題が叫ばれるようになったことで、消費者も環境や社会への影響を考えるようになり、持続可能な商品を選ぶ傾向が強まっています。企業に対しても、環境問題や社会課題に対して責任ある行動が期待されるようになりました。サステナブルな取り組みに力を入れることで、購買意欲やブランド支持に直接影響を与えています。

リスク管理と企業価値向上が成長の基盤になる

環境規制や労働基準が厳格化している状況を受け、企業には不適切な対応による評判の低下や、訴訟リスクを防ぐことが求められるようになりました。持続可能性を実現するための対応が、結果的に事業の安定性確保や企業の信頼性・競争力の強化につながります。投資家やステークホルダーからの評判を高め、長期的な成長も実現できるということです。

サステナビリティブランディングに企業が取り組むメリット

サステナビリティブランディングへの取り組みで得られるメリットについて、3つのポイントから解説します。

ブランドイメージを強化できる

自社や自社の商品がどのように見られているか、企業にとってブランドイメージの確立は大きく経営に関わってきます。サステナブルな取り組みを行うことで、他社との差別化が可能です。問題がグローバル化しやすい現代では、環境や社会に配慮した企業姿勢は、顧客のエンゲージメントを高めやすく、サステナビリティに関心のある新規顧客の獲得につなげられます。

企業価値が向上する

環境や社会に対して責任を果たそうとする企業は、消費者からの信頼を得やすい傾向にあります。サステナブルな取り組みに力を入れることでブランド力を高め、市場での競争優位性を強化できるでしょう。持続可能な経営を行っていると投資家や取引先をはじめ、ステークホルダーからの評価も高めやすく、資金調達の際も有利になる可能性があります。

従業員満足度を向上できる

社会的意義のある企業活動は、働く従業員にとっても誇りとなり、やりがいや働きがいが高まるでしょう。従業員の満足度が高まれば生産性の向上につながるほか、離職率も下がることが期待できます。また、サステナブルな取り組みを続ける企業ほど、意識の高い人材が集まる傾向があるため、優秀な人材を確保しやすくなるのもメリットです。

サステナビリティブランディングの具体例

ここでは、サステナビリティブランディングを実行している企業の具体例を紹介します。

味の素株式会社

味の素株式会社は、事業が健全なフードシステムと、豊かな地球環境の上に成り立っていると認識し、取締役会やサステナビリティ委員会を設置しました。これらの組織を通じて、サステナビリティに関する戦略策定や進捗管理を行っています。

具体的には2030年までに環境負荷を50%削減、2050年までにネットゼロを達成することが目標です。また、2030年までに10億人の健康寿命を伸ばすことを目指し、アミノ酸の働きを活用した製品やサービスを提供しています。

能美防災株式会社

能美防災株式会社は、各種防災設備やシステムを提供する企業です。サステナビリティを推進するためサステナビリティ基本方針を策定し、2023年にはサステナビリティ委員会も設置しました。委員会では社会課題を解決するための取り組みや方針、施策の審議を行っています。また、子どもたちへの啓蒙活動に積極的な点が特徴的です。

株式会社コーセー

化粧品の製造・販売を中心とした事業を展開している株式会社コーセーでは、中長期ビジョンにおいてサステナビリティ戦略が位置づけられています。

環境負荷を最小限にするため具体的に取り組んでいるのは、再生可能エネルギーの使用やリサイクル可能素材の採用、廃棄物の削減や水資源保護、生物多様性の保全などです。地域コミュニティとの連携や多様性の尊重に取り組みつつ、信頼関係につなげています。

パタゴニア・インターナショナル・イン

パタゴニア・インターナショナル・インは、アウトドア製品を手がけるメーカーです。モノを長く使い続けることで全体的な消費を減らすというコンセプトのもと、製品の修理や再利用を推進し、消費者の過剰な消費の抑制や環境負荷の軽減を図っています。

ブラックフライデーに「このジャケットを買わないで」という挑発的な広告を出したことでも話題になりました。これは広告でWebサイトに誘導し、パタゴニアの考え方を広く示す狙いがあったとされています。

積水化学工業株式会社

積水化学工業株式会社は、社会のインフラ創造や、ケミカルソリューションをはじめとした多彩な事業を展開している企業です。サステナビリティ貢献製品を提供することにより、ブランド価値の向上や競合との差別化につなげています。SDGsへの貢献活動や自然環境保全、次世代教育から地域コミュニティへの貢献まで、多岐に渡る活動を行っているのも特徴です。

株式会社良品計画

「無印良品」を中心とした専門店事業の運営や商品企画などを行う株式会社良品計画は「感じ良い暮らしと社会」への貢献を目指し、ESGの推進体制を整備しています。

素材選びから製造、販売、廃棄に至るまで、事業部ごとにSDGsに取り組み、環境への負荷を最小限に抑える商品開発を推進してきました。コミュニティを活性化させるため、店舗を拠点として地域社会とのつながりを深める活動も展開しています。

サステナビリティブランディングに取り組む際のポイント

サステナビリティブランディングに取り組む際、具体的にどのようなところに気をつければいいのか、ポイントを3点挙げて解説します。

ボランティア活動ではないことを認識する

サステナビリティブランディングは、サステナビリティを意識したブランド開発やブランドの再構築を行い、ステークホルダーから共感を得ることが目的です。ただし、サステナブルな活動は目的ではなく、あくまでも手段に過ぎません。ボランティア活動ではなく、事業戦略の一環として位置づけ、社会課題の解決と企業成長を両立させることが重要です。

自社の事業と結びついた取り組みを重視する

SDGsには17の目標がありますが、あまり関連性のない取り組みをしても意味がありません。まずは自社の事業内容を再評価し、関連性の高いサステナブルな活動を特定する必要があります。他社との差別化を図るために独自性のある戦略を模索しつつ、事業と直結したサステナビリティ戦略を策定し、効果的な成果を目指しましょう。

サステナブルの価値を組織全体で共有する

サステナビリティブランディングを成功させるためには、従業員の理解と協力が欠かせません。従業員に自社が考えるサステナビリティの価値や基本を伝える必要があるため、説明会の実施やワークショップなどの研修のほか、内部メディアを活用するとよいでしょう。

企業全体での取り組みとして、従業員の理解や協力を促進することが重要です。サステナビリティ活動に取り組む意義を共有し、組織全体で意識統一を図れるようにしてください。

SDGsウォッシュとグリーンウォッシュには注意が必要

サステナビリティブランディングに取り組むうえで、SDGsウォッシュとグリーンウォッシュには気をつける必要があります。それぞれの違いは以下の通りです。

項目 SDGsウォッシュ グリーンウォッシュ
対象領域 SDGs全般(社会・経済・環境) 環境やエコ活動
主なリスク SDGsの信頼性低下、社会的評価の低下 環境問題への不誠実さ、法的リスク
具体的な例 ロゴや言葉だけで実質的な活動なし 環境配慮を過剰にアピールする

SDGsウォッシュとは

SDGsウォッシュとは、SDGsへの取り組みを装いながら、実際には具体的な行動や成果が伴っていない状態です。たとえば、具体的な取り組みはせず、SDGsに関連する企業のロゴやキーワードだけを使い、イメージを演出しているケースが挙げられます。

表面的なアピールだけでは企業の評判や信頼を低下させる可能性があるため、サステナビリティブランディングに取り組む前の段階で、SDGsウォッシュだと批判されない対策が必要です。

グリーンウォッシュとは

グリーンウォッシュとは、環境への配慮をアピールしてはいても、実際の取り組みが主張する内容に見合っていない状態です。たとえば、製品の一部にエコ素材を使用していると主張しているものの、製造プロセス全体を見ると環境負荷が高い場合などが該当します。

グリーンウォッシュは消費者の誤解を招き、企業の信頼性低下につながるものとして、欧州では取り締まりの対象です。日本では現時点で規制されていませんが、今後は対象になる可能性もあります。

SDGsウォッシュとグリーンウォッシュの対策

サステナビリティブランディングを成功に導くためには、SDGsウォッシュやグリーンウォッシュへの対策が重要です。

SDGsウォッシュの対策

取り組みが具体性に欠けていると、SDGsウォッシュだと判断される懸念があります。取り組みの実効性を示すためにも数値や期限を明確にし、具体的な目標を掲げるようにしてください。社内でサステナブルやSDGsへの理解を深め、取り組みの意義を従業員に認識させることも大事です。加えて自社の信頼性を高めるために、第三者機関からの認証を得るのもよいでしょう。

グリーンウォッシュの対策

グリーンウォッシュへの対策では、科学的根拠に基づいた評価基準や目標を設定したうえで、施策を実施することが重要です。消費者や投資家から信頼を得るためには、自社の環境への取り組みとその成果の情報を正確に開示する必要もあります。

「グリーンウォッシュの7つの罪」にも注意してください。グリーンウォッシュの7つの罪は、環境保護を謳った製品を評価するためのツールとして提唱されました。アメリカの第三者安全科学機関「ULソリューションズ」が、消費者が誤解を避けるために開発しています。企業側も正しく内容を理解することで意図しないグリーンウォッシュを防ぎ、信頼性を高めるのに役立ちます。

※参考:Sins of Greenwashing | UL Solutions

まとめ

サステナビリティブランディングは、環境や社会に配慮した取り組みを通して企業のブランド価値を高める戦略です。地球規模での環境問題が深刻化している現代では消費者行動も変化し、企業に対しても積極的にSDGsへの貢献が求められています。ただし、取り組む際には、SDGsウォッシュやグリーンウォッシュに気をつけなければなりません。

ゼロ炭素ポートは、脱炭素を踏まえた経営に役立つ情報を発信するとともに、自社のみならず他社ソリューションとも協力し、お客さまのニーズにお応えするサイトです。サステナビリティブランディングが必要と感じているのであれば、ゼロ炭素ポートにご相談ください。

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA