ゼロ炭素ポート

サステナビリティとSDGsや他の関連用語との違い、手順やポイントなどを解説

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2025年03月19日

近年、サステナビリティやSDGsに取り組む企業が増加しています。しかし、それぞれの違いを理解していない人も少なくありません。この記事では、サステナビリティとSDGsの違いや、関連するワードの違いを紹介します。企業がサステナビリティやSDGsに取り組む手順やメリット、ポイントなども解説するので、ぜひ参考にしてください。

サステナビリティとSDGsの違い

サステナビリティとSDGsは混同しがちな言葉であり、違いを明確に理解できていない人も多いでしょう。ここからは、サステナビリティとSDGsの違いを解説します。

サステナビリティとは

サステナビリティとは、日本語で「持続可能性」を意味する言葉です。環境・社会・経済の3つの観点から、社会を持続可能にしていくという考え方を指します。サステナビリティとよく似ている言葉に「サステナブル」がありますが、これは「持続可能な」という意味をもつ形容詞になります。

近年では世界的に社会や環境などに対する、サステナビリティな取り組みが推奨されており、サステナビリティ経営に取り組む企業が少なくありません。

SDGsとは

一方、SDGsは国連に加盟している193か国が2030年までに達成すべき17の国際目標を指します。貧困、ジェンダー、環境、衛生などについて、具体的な目標や行動指針などが、政府や企業が取り組むべき指標として掲げられています。

「誰一人取り残さない(leave no one behind)」はSDGsのスローガンであり、発展途上国や先進国を問わず、人種や性別の違いに関係なく、すべての人々が取り組むべき目標です。SDGsへの取り組みは、社会貢献に積極的であると評価されることから、推進に力を入れる企業が年々増加しています。

サステナビリティとSDGsの違いとは

サステナビリティは持続可能な発展を目指すという考え方であり、そのための具体的な目標がSDGsです。そのため、具体的な目標設定の有無という点が、サステナビリティとSDGsでは異なります。

また、SDGsの目標は2030年までの達成を目指していますが、サステナビリティには期限の定めはありません。SDGs達成のための活動がサステナビリティであり、長期的な取り組みが求められています。

サステナビリティに関連するワードとの違い

サステナビリティはSDGs以外にも、関連するワードが複数あります。ここからは、サステナビリティとCSR・ESR・エシカルの違いについて解説します。

CSRとは

CSRは「Corporate Social Responsibility」の頭文字を取った言葉で、企業が担う社会的責任といった意味を持ちます。1990年代以降に注目を集めるようになりました。企業は経済活動において自社の利益追求だけでなく、顧客や取引先、従業員、投資家などステークホルダーに配慮した経営が求められます。

企業が経済、社会、環境など社会のあらゆる面にどのような影響を及ぼしているかを自覚し、悪い影響を最小化し、よい影響を最大化する取り組みがCSRです。

サステナビリティとCSRの違いとは

持続可能な成長や発展を目指すという考え方は共通しているものの、サステナビリティとCSRでは対象範囲が異なります。サステナビリティは企業も含め、国家や各個人まで広範囲が対象なのに対し、CSRは企業が主体です。

サステナビリティは持続可能な開発を目指していますが、CSRは企業が利潤を挙げながらさまざまな環境・社会問題の解決に取り組み、よりよい社会を目標に掲げています。

ESGとは

ESGは「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の略語であり、企業が長期的成長を目指すために必要な観点です。企業が環境や社会に配慮し、適切な企業統治を行うというESGの3要素を重視する経営方法を「ESG経営」と呼びます。

ESGは2006年に当時の国連事務総長コフィー・アナン氏が発表した「責任投資原則(PRI)」において、投資判断の新たな観点として紹介されたことが始まりです。2015年に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がPRIに署名して以降、ESG投資、ESG経営などのESG活動が日本でも進んでいます。

サステナビリティとESGの違いとは

サステナビリティは環境、社会、経済の3つの柱を考慮し、長期的な持続可能性を目指す広範囲な概念です。一方、ESGは経営や投資のスタイルを意味する言葉で、ESG活動は経済活動に特化したものです。

SDGsが「国や企業が推進する目標」であるのに対し、ESGは「企業が経営の際に重視する要素」であり、行動指針として位置付けられます。サステナビリティやESGを意識した取り組みは、SDGsの達成に向けた手段となります。

エシカルとは

エシカルは「道徳上の」「倫理的な」といった意味を持つ形容詞です。エシカルは人や社会、地球環境、地域に配慮した良識的な考え方や取り組みを行うことを指します。

エシカルを実践する方法として「エシカル消費」が挙げられます。エシカル消費とは、地球環境や生産者の労働環境、社会に配慮して製造されたものを購入、消費することです。商品の値段で購入を検討するのではなく、どこで・誰が・どのように作ったのか、生産背景を考えて買うものを選択します。

サステナビリティとエシカルの違いとは

サステナビリティが「持続可能性」を重視するのに対し、エシカルは「良識的」かつ「論理的」であることを最も重要視しています。このため、サステナビリティとエシカルは、重視する点において異なるアプローチを取っています。

どちらの言葉も背景には環境汚染や気候変動といった環境問題、格差社会などがあり、世界規模の問題を解決するために生まれました。サステナビリティな社会を実現するうえで、個々のエシカルな行動が求められています。

企業がサステナビリティやSDGsに取り組む手順

サステナビリティやSDGsを意識した取り組みをしたくても、何から始めればよいのか悩んでしまうものです。ここからは、企業がサステナビリティやSDGsに取り組む手順を解説するので参考にしてください。

SDGsを理解する

SDGsに取り組むには、SDGsを理解しなければ始まりません。社内でSDGsの17の目標と169のターゲットへの理解を深め、企業がSDGsに取り組むべき理論的根拠などを把握します。

「自社がSDGsをどのように有効活用できるか」や「SDGsが従来の企業責任にどの程度基づいているか」を理解することで、169のターゲットに対して自社が取り組むべきことを明確にできるでしょう。

優先課題の決定

続いて、将来の社会・環境・経済状況などを考えて取り組む優先課題を決定します。優先課題を見つける際は、自社が生産する商品の調達から販売、廃棄に至るまでの一連の流れを見渡して考えることがポイントです。自社の特性や業種・業態を考えて、社会に貢献しやすい目標を選びましょう。

目標の設定

優先課題の決定後は、目標の設定に移ります。目標を設定することで、組織全体で優先課題を共有でき、パフォーマンスの向上につながります。目標を立てる際は、期間を設定し、進捗を追えるようにしましょう。また、数値で管理すると、成果や達成度合いを可視化できます。

具体的に設定したら内容を社外に公開することで、危機感が生まれ、責任をもって取り組む意識が社内で高まるのでおすすめです。

経営への統合

設定した課題や目標は、自社のビジネスモデルに組み込みましょう。SDGsに取り組む際は、経営者や役員などのトップが積極的になることが重要です。個人に対して取り組みを要求したとしても、普段の業務に専念することが考えられ、十分な成果を得られない可能性があります。目標を経営方針に落とし込んでこそ、企業としてSDGsに取り組む意義が高まるでしょう。

報告とコミュニケーション

SDGsの取り組みは自社で完結するのではなく、報告まですることがポイントです。昨今は、SDGsに取り組んでいる企業を評価するケースが増えているため、報告書やレポートにまとめ、成果を数字や表で発信しましょう。実際の取り組みの進捗状況を確認し、社内外のステークホルダーと共有します。途中経過の情報共有は、ステークホルダーとの信頼関係構築につながります。

サステナビリティ経営のメリット

サステナビリティ経営は以下のメリットがあります。

・企業評価の向上
・事業拡大のチャンス
・従業員エンゲージメントの上昇

近年、投資家や消費者の間でサステナビリティへの関心が高まっているため、サステナビリティ経営は企業の評価向上に貢献します。また、SDGsへの取り組みを契機に、地域企業やコミュニティとの連携強化、新しい取引先や事業パートナーの獲得、さらには新たな事業の創出など、事業拡大の機会が増えるでしょう。

サステナビリティ経営に取り組む企業は、社会から評価されやすく職場環境などにも配慮するため、従業員エンゲージメントの上昇も期待できます。

企業がサステナビリティやSDGsに取り組むときのポイント

ここからは、企業がサステナビリティやSDGsに取り組むときのポイントを解説します。

従業員の理解を得る

サステナビリティやSDGsに取り組む際は、従業員の理解を得ることが重要です。従業員の理解が追い付かない状況では、思うような成果を上げられない可能性があります。思うように進まないと従業員のモチベーション低下につながり、悪循環に陥るかもしれません。取り組みを成功させるには、現場の協力が必要不可欠です。

SDGsへの取り組みは社内の一部だけで進めるのではなく、経営層やトップが中心となって「SDGsに取り組む必要性」を明確に伝え、社内全体が一丸となって同じ方向に向かって取り組むことが重要です。

取り組みをステークホルダーに伝える

サステナビリティやSDGs達成に向けて事業運営をするときは、ステークホルダーの目に見える形で取り組むことが重要になります。そのためには、自社のSDGs活動を広く発信し、社内外での認知・理解を促進することが大切です。

SDGsへの取り組みを伝えるには、具体的な商品やサービスに紐づけて伝えたり、SDGsへの取り組みへの参加を促すような企画を実施したりするなどの方法があります。発信する内容は、事業ごとよりも、企業全体のストーリーとして伝えるほうがブランディングに寄与しやすいでしょう。

本業を疎かにしない

サステナビリティやSDGsへの取り組みに注力するあまり、本業を疎かにするのは本末転倒です。自社のコアビジネスを疎かにすると、逆に顧客の信頼を失ったり、ブランド価値が低下したりするリスクがあります。

また、取り組みは大切ですが、無謀な取り組みは負担が大きくなってしまいます。継続するためにも、無理のない範囲で取り組むことを心がけましょう。企業として取り組みを進める際は、ビジネスと社会貢献の両方を意識することが重要です。

他社の取り組み事例を参考にする

他社の取り組み事例を参考にすることは、実際に計画を決めるうえで大いに役立ちます。そのため、戦略を検討する際は、他社の具体例を参考にしながら自社へ取り入れる方法が有効です。会社の規模や優先課題の内容などに応じて他社の取り組みを参考にすることで、大きなヒントが見つかるでしょう。

サステナビリティに取り組む企業の事例

最後に、サステナビリティに取り組む企業の事例を3選紹介します。

明治グループ

「メイジ・カカオ・サポート」は、2006年から明治が行っている独自のカカオ農家支援活動です。カカオ豆の品質向上への技術支援や農家の生活向上、地域の環境保全・回復などの社会課題解決に取り組み、活動の維持や推進のためにプレミアム価格でカカオ豆を購入しています。

さらに、2026年度までに、契約するすべての農園までのトレーサビリティの確立と、農家支援を実施した地域で生産されたカカオ豆「明治サステナブルカカオ豆」の調達比率100%を目標に掲げています。

アイリスオーヤマ株式会社

アイリスオーヤマは2010年にLED照明市場に本格的に参入し、以来8年連続で「省エネ大賞」を受賞しました。製品ラインアップは、一般家庭向けにとどまらず、工場や倉庫、商業施設、オフィス、さらにはスポーツ施設向けなど、幅広い用途に対応しています。

特に東日本大震災を契機に生まれた節電ニーズに応えるために開発された高効率LED照明は、高く評価されました。省エネ製品を広く普及させることで、電力消費量の削減が進み、着実に脱炭素社会の実現に向けて貢献できると考えています。

株式会社ニトリホールディングス

ニトリグループは製品の使用後までを考え、企画・設計段階から資源の有効活用を見据えた商品開発や、回収して資源にまわせる製品の拡大を目指しています。

「羽毛布団リサイクルキャンペーン」「カーテン回収キャンペーン」は、不要になった羽毛布団及びカーテンを販売元に関わらず店頭で無料回収し、回収したものを海外で製品や生地としてリユースするほか、国内で自動車の断熱材としてリサイクルする取り組みです。

まとめ

サステナビリティとSDGsは持続可能な発展を目指す点では共通していますが、サステナビリティは概念であり、SDGsは目標といった点が異なります。さらに、関連するワードとしてCSR・ESG・エシカルなどがあるものの、すべての取り組みはSDGs達成に役立つものです。サステナビリティ経営は社会だけでなく企業にも多くのメリットをもたらすので、ぜひ取り組んでみましょう。

ゼロ炭素ポートでは、脱炭素における経営の3ステップである「知る」「測る」「減らす」に該当する記事コンテンツを集約しており、脱炭素経営に関するさまざまなトピックについてのコラムを閲覧できます。ぜひチェックしてみてください。

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA