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企業のサステナビリティ戦略:持続可能な社会を描く未来イメージと挑戦

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2025年03月19日

企業の経営戦略にサステナビリティを取り入れることは、持続可能な社会の実現はもちろん、企業イメージの向上にもつながります。しかし、その取り組み方に悩む担当者も多いのではないでしょうか。この記事では、企業が持続可能な未来を描きつつ、実務担当者が実行可能な具体的な施策や成功事例を解説します。ぜひ参考にしてください。

サステナビリティ戦略の重要性と背景

なぜ昨今、世界各国や企業がサステナビリティに取り組んでいるのでしょうか。サステナビリティ戦略の重要性と背景を解説します。

そもそもサステナビリティとは

近年、耳にする機会が増えた「サステナビリティ」は、多くの方が地球に優しいエコなイメージを持つ言葉です。サステナビリティ(Sustainability)は「支える、持続させる」を意味する「sustain」と「可能性」を表す「ability」を組み合わせた言葉で、1987年に「Our Common Future」という報告書で初めて登場しました。

現在では、地球環境や社会、人間の持続可能性を含む広い意味で使われています。これは、環境や社会、経済が持続的に発展する社会を目指す考え方を指します。

世界的な課題としての持続可能性

サステナビリティが世界規模で注目されるようになった大きな契機は、2005年に開催された世界社会開発サミットでした。このサミットでは、サステナビリティを支える3つの柱、「経済開発(Economic Development)」「社会開発(Social Development)」「環境保護(Environmental Protection)」が提唱されました。さらに、2015年の国連サミットでは「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択され、2030年までに達成するべき17の目標と169のターゲットが示されました。

近年頻発する大規模な自然災害や気象変動の影響により、地球規模でサステナビリティの視点がますます重要視されるようになっています。

ESG投資やSDGsが企業に求める役割

ESGとは「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字で、企業の長期的な成長を評価する重要な観点です。投資家は、キャッシュフローなどの財務情報だけでなく、ESGの視点を含む持続可能性を重視した投資(ESG投資)を行っています。

企業が持続的に成長するためには、自然環境への配慮、社会発展への貢献、そして健全な経営を支える自己管理体制を整えることが重要です。また、SDGsは2030年を目標とした国際的な持続可能性の指針であり、サステナビリティを推進する具体的な道筋を示しています。企業にはこれらの目標を取り入れる役割が期待されています。

企業が今サステナビリティ戦略を考えるべき理由

サステナビリティ戦略とは、環境、社会、経済の持続可能性を重視しながら、企業活動全体を見直して経営戦略を構築することです。この戦略を取り入れることで、消費者や投資家からの評価が向上し、企業の競争力が強化されます。

一方で、サステナビリティやESGの視点を欠いた企業は、近年では経営や事業存続に深刻なリスクを抱える可能性があります。対応が遅れると致命的なダメージを受けかねない状況です。短期的な利益追求ではなく、長期的な視野でサステナビリティを意識した行動が、これからの企業には不可欠といえるでしょう。

企業がサステナビリティに取り組むメリットと必要性

ここからは、企業がサステナビリティを経営に取り入れるメリットや取り組むべき理由を4つにまとめて解説します。

企業イメージやブランド力を高める

サステナビリティへの取り組みは、企業ブランドにポジティブな影響を与えます。自然環境保護や社会貢献への関心が高まる中、透明性を持ってサステナブルな活動を推進する企業は、ブランドイメージアップにつながります。企業の積極的なサステナブルへの取り組みは、投資家や消費者の信頼を得る重要な要素となり、結果として売上増加や市場での競争力向上に寄与します。

また、社会的な信頼を獲得することで、企業全体の価値を高めることも可能です。持続可能性を重視する企業は、単なる事業利益の追求だけでなく、より広い社会的責任を果たす存在として評価され、長期的な成功を築く基盤となります。

優秀な人材採用や従業員エンゲージメント向上につながる

サステナビリティへの取り組みは、企業イメージの向上を通じて戦略的な人材採用に寄与します。特に、環境や社会問題に関心の高いZ世代やミレニアル世代の優秀な人材を引き付ける大きな要因となります。

さらに、サステナブルな活動は従業員のモチベーション向上にも効果的です。環境や社会に貢献している実感を持つことで、従業員のエンゲージメントが高まり、離職率の低下にもつながります。また、多様性を尊重した働き方やライフステージに応じた柔軟な環境の整備は、社会発展の視点にもつながり、持続可能な企業の姿勢を内外に示す重要な要素となります。

エネルギーや資材のコストを削減できる

企業のサステナビリティへの取り組みは、エネルギーや資材コストの削減につながります。エネルギー使用量や廃棄物の削減を実現することで、長期的に大幅なコストカットが可能です。また、再生可能エネルギーや循環型の資材を活用する企業は、効率的なリソース管理によりさらなるコスト削減を図っています。

ただし、短期的には初期投資が必要になる場合もあるため、コストと長期的な利益のバランスを慎重に見極めることが重要です。これにより、経済的メリットと持続可能性を両立する経営戦略を構築できます。

新たなビジネスチャンスの拡大や創出も可能になる

サステナビリティを経営に取り入れることで、単なる環境配慮にとどまらず、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性があります。例えば、環境データを活用した農業や漁業の支援、エネルギー効率化に特化したコンサルティングなどが挙げられます。

さらに、既存市場の拡大に加え、サステナビリティ関連の新しい市場やビジネスモデルを開拓するチャンスも広がります。このような取り組みは、企業にとって持続的な成長の原動力となるだけでなく、社会的価値の創出にもつながる重要な戦略です。

サステナビリティ戦略における「未来イメージ」の必要性

ここからは、企業がサステナビリティ戦略を考える上で具体的な未来イメージをしっかり描く必要性や、未来予想を立てて事業を行うことの重要性を解説します。

サステナビリティの具体的な目標設定

サステナビリティ戦略を成功させるには、未来のあるべき姿を描き、そこから逆算して今後の行動をプランニングする「バックキャスティング」の思考法が有効です。この手法により、自社の事業に関連する最優先課題を明確化し、長期的なビジョンを基に具体的な目標を設定できます。

重要なのは、実現可能な取り組みを具体化し、戦略的に進めることです。明確な目標設定は、持続可能な社会への貢献だけでなく、企業自身の成長や競争力向上にもつながる効果的なアプローチとなります。

社内外のステークホルダーを巻き込むビジョン共有

サステナビリティ戦略を成功させるには、未来のビジョンを社内外で共有し、ステークホルダーを巻き込むことが不可欠です。成功事例を具体的に示すことで従業員のモチベーションを高め、目標や成果を適切に共有することで、企業への信頼や評価を向上させる効果が期待できます。

また、商品やサービス自体がサステナブルで魅力的であることが、ステークホルダーからの支持を得るために重要です。経営層を説得する際には、インパクトのあるデータやシナリオ分析を用いることで、戦略の実現性を明確にし、全社的な取り組みを促進できます。

サステナビリティのメッセージの伝え方

サステナビリティの取り組みを積極的に開示することで、企業イメージの向上や顧客増加が期待でき、ステークホルダーからの信頼も獲得できます。これにより、経営、環境、社会面でサステナブルな企業として評価される基盤が築けます。

ブランドメッセージを伝える際は、順番や方法が重要です。初めからサステナブル要素を強調しすぎるのではなく、商品やサービスの詳細を周知した後で「実はサステナブルである」という形でメッセージを伝えると効果的でしょう。また、社内外への発信には、成果を分かりやすく可視化する報告書を作成し、具体的な取り組みをイメージとして共有することが重要です。

サステナビリティへの企業の取り組みの進め方

サステナビリティへの企業の取り組みの進め方がしっかりイメージできるよう、段階別に解説するので参考にしてください。

1.理解を深め、自社事業の優先課題を特定する

サステナビリティへの取り組みを進める第一歩は、環境、社会、経済の各側面での情報収集を通じて理解を深めることです。国内外の法令や最新の動向に注意を払い、グローバルな視点も取り入れることが大切です。

次に、自社事業に関連する課題を特定し、優先順位を明確にしましょう。この際、自社特有の必然性を持つ課題を選定し、社会課題と事業への影響度を慎重に分析することが重要です。その上で、選定した課題が妥当であるかを確認することで、効果的なサステナビリティ戦略の土台を築くことができます。

2.長期的なビジョンのもと、具体的な目標設定をする

サステナビリティへの取り組みは短期間で成果が得られるものではなく、終わりのない継続的な活動です。そのため、自社の状況を踏まえながら模索しつつ、長期的な視点で取り組みを進める必要があります。

まずは、サステナビリティに取り組む目的を明確にし、その上で中長期的に実現したい目標を設定しましょう。この際、達成度を測定するために具体的な数値目標や指標を定めることが重要です。

3.行動計画を立てる

サステナビリティ目標を実現するには、具体的な行動計画の策定が欠かせません。目標達成までのロードマップを描き、フェーズごとに分けて進捗を管理することが重要です。計画には、定期的な進捗評価や必要に応じた調整を組み込めば、柔軟で効果の高い取り組みが実現しやすくなるでしょう。

さらに、KPI(重要業績評価指標)を設定し、特定の期間やアクションを明確に共有することで、全体の目標達成率を高められます。

サステナビリティ戦略の実行に向けた課題と注意点

次にサステナビリティ経営やサステナビリティ戦略のための課題と注意点、ポイントをまとめて解説します。

社内でサステナビリティ・リテラシーを育む

サステナビリティ・リテラシーとは、サステナビリティに関する十分な情報を基に適切な意思決定を支える知識、スキル、価値観、倫理観を含む能力を指します。単なる知識の蓄積だけでなく、深い理解と倫理的な判断力が求められます。

企業が持続可能性を推進するには、従業員ひとりひとりのサステナビリティ・リテラシーを向上させることが重要です。そのためには、積極的に取り組める体制を整える必要があります。

サステナビリティは環境問題だけではないことを理解する

サステナビリティは環境問題だけを指すものではありません。ダイバーシティ(多様性)やインクルージョン(多様性の活用)を含み、誰もが取り残されない平等な社会を目指す包括的な概念です。

例えば、子育て世帯の負担を軽減する福利厚生の整備や、労働環境の改善などもサステナビリティ戦略の一環です。企業は、これら多角的な視点を取り入れ、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めることが求められています。

成功した企業のサステナビリティ戦略から学ぶ

サステナビリティ戦略を実行する上で、成功している企業の取り組み事例を参考にすることは有効です。同じ業界で実際に実施された事例やその成果を分析することで、効果的な施策や取り組みのヒントを得ることができます。

市場で成功を収めている理由を深掘りすることで、自社に適した方法を見つける手助けにもなります。他社の経験から学び、効果的な戦略を立案・実行することが、成功への近道となるでしょう。

まとめ

企業の経営戦略にサステナビリティの要素を効果的に取り入れられれば、持続可能な未来の実現はもちろん、企業のイメージアップにもつながります。

ゼロ炭素ポートは、脱炭素社会と持続可能な未来の実現を目指し、サステナビリティに関するソリューションや情報を発信するWebサイトです。自社の取り組みに加え、他社とも連携し、多様なお客さまのニーズに応える包括的なプラットフォームを提供しています。サステナビリティの実現に向けた第一歩として、ぜひ以下の資料をご活用ください。

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA