ゼロ炭素ポート

ヨーロッパの再生可能エネルギーの割合は?エネルギー事情と成功の理由を解説

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2025年03月06日

温室効果ガスの削減に向けて、再生可能エネルギーの普及は世界で取り組むべき課題です。ヨーロッパは、世界のなかでも再生可能エネルギーの割合が多いことで知られています。この記事では、ヨーロッパの再生可能エネルギーの割合や普及に成功した理由をはじめ、日本における課題についても紹介します。

再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーとは、石油・石炭のような枯渇することが考えられる化石エネルギーとは異なり、太陽光・風力などの自然界に存在するエネルギーです。再生可能エネルギーは、地球温暖化の大きな原因でもあるCO2を含む温室効果ガスを排出または増加させないという特徴があります。

再生可能エネルギーの種類

日本では、「エネルギー供給事業者によるエネルギー源の環境適合利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」によって、再生可能エネルギーを以下のように定めています。

・太陽光
・風力
・水力
・地熱
・太陽熱
・大気中の熱その他の自然界に存在する熱
・バイオマス(動植物に由来する有機物)

※参考:エネルギー供給事業者によるエネルギー源の環境適合利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律施行令(平成二十一年政令第二百二十二号)|e-GOV 法令検索

世界主要国の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合

資源エネルギー庁が発表した、主要国の2021年の発電電力量に占める再生可能エネルギーの比較によると、主要国のうちカナダが1位の67.2%で発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合が多いことがわかりました。日本の再生可能エネルギーの割合は、カナダの3分の1にも満たない20.3%で、主要国9か国中8位という結果になっています。

※参考:再エネの導入|経済産業省

日本の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合

資源エネルギー庁の発表によると、日本の2021年度の発電電力量の構成は以下のとおりでした。

・天然ガス:34.%
・石炭:31%
・再生可能エネルギー:12.7%
・石油その他:7.4%
・原子力:6.9%
・水力:7.5%

水力7.5%とその他の再生可能エネルギー12.7%を合わせると、再生可能エネルギーは約20%の割合です。再生可能エネルギーのうち、太陽光が約861憶kWhと最も多く、水力の778憶kWh、バイオマスの332憶kWh、風力の94憶kWh、地熱の30憶kWhと続いています。

※参考:再生可能エネルギー FIT・FIP制度ガイド2023年度版|資源エネルギー庁

日本で再生可能エネルギーの発電が増加した理由

日本では、再生可能エネルギーの発電割合が増加しています。理由は、2009年に導入された「固定価格買取制度(以下「FIT制度」という。)」が大きいといえるでしょう。

FIT制度とは、再生可能エネルギー事業者が再生可能エネルギーで発電した電気を一定の間、固定価格で電力会社が買い取る制度です。再生可能エネルギー事業者は、FIT制度によって建設コスト回収などの見通しがつくようになり、再生可能エネルギー普及が進みました。

ヨーロッパの再生可能エネルギー事情

再生可能エネルギーの割合が大きいヨーロッパから、ドイツとスウェーデンの再生可能エネルギー事情を解説します。

ドイツの再生可能エネルギー事情

2021年の発電電力量に占める再生可能エネルギー比率で39.6%と主要国のなかでも上位だったドイツは、2022年に「再生可能エネルギー法2023年改正法(EEG2023)」を提出しました。2035年までには、ほぼ完全の再生可能エネルギー供給を目指しており、陸上・洋上風力、太陽光発電の設備容量目標を増加しています。

スウェーデンの再生可能エネルギー事情

スウェーデンは、水力とバイオマスをはじめとする再生可能エネルギーとCO2を排出しない原子力発電の割合が大きい国です。スウェーデンは、早くから環境問題に取り組んだ国として知られています。

1960年代には、バイオガスの取り組みを始めました。一般家庭の生ごみもバイオマスエネルギーに活用され、都市部を運行しているバスもバイオマスをエネルギー源にしているものがあります。

ヨーロッパが再生可能エネルギー導入に成功した理由

ヨーロッパが再生可能エネルギーの導入に成功したのには、以下のような理由があります。

ドイツが再生可能エネルギー導入に成功した理由

ドイツが再生可能エネルギーの導入に成功したのには、政府と産業界が連携したことが理由の1つといわれています。政府は法律や規制を整備し、産業界は技術革新や効率向上に取り組みました。再生可能エネルギーや、エネルギー変革に対するに国民の需要度の高さも成功の一因といえるでしょう。

スウェーデンが再生可能エネルギー導入に成功した理由

スウェーデンは、自然と移動用水に恵まれており、バイオマスにおいても豊富な森林資源に恵まれています。風も強く、海沿いの街や傾斜のある山間部などに風車が建ち並び、約16%の電力を風力発電でまかなえています。環境問題を政府主導で国民に呼びかけているため、市民の意識も高いといえるでしょう。

ヨーロッパの各再生可能エネルギーへの取り組み

ヨーロッパの各再生可能エネルギーへの取り組みは、以下のとおりです。

風力発電

欧州風力協会(以下「ウインド・ヨーロッパ」という。)は、2024年1月に、2023年のEUの風力発電の新規設備容量が過去最大となったと発表しました。

新設容量は国別で、ドイツ、オランダ、スウェーデンの順に増加しています。ウインド・ヨーロッパは、今後も2030年の最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギー比率42.5%の目標を達成するために、各国政府に対して協力を求めています。

太陽光発電

ヨーロッパでは、温室効果ガスの排出ゼロを目標とする「欧州グリーンディール」の達成に向けて、太陽光発電が再生可能エネルギー政策の中心的役割を担っています。特に、ドイツは太陽光発電パネル導入・発電所建設数を、最も加速させています。

バイオマス発電

バイオマスエネルギー先進国といわれるスウェーデンでは、各家庭の生ごみの分別を無料のコンポスト用紙袋を利用するように求めてきました。各家庭から袋に入ったままの生ごみを回収し、それを燃焼させてバイオマスエネルギーの原料として活用しています。

ドイツでは、バイオガス発電の農家参入や休耕地を活用した作物の作付優遇などを行い、バイオマス・バイオガス発電の発展に向けた取り組みが行われています。

水力発電

ノルウェーは豊富な水を活用し、水力発電で国内電力の約95%をまかなっています。1992年からは、北欧諸国を送電線でつなげて互いの電力を補い合って電気を売買する国際電力取引市場「ノルドプール(Nord Pool)」を開始し、ノルウェーの水力発電は加盟国の約50%の電力をまかなっています。

再生可能エネルギーを導入するメリット

ここでは、再生可能エネルギーを企業が導入するメリットを解説します。

環境負荷の低減

再生可能エネルギーはCO2排出量を削減するため、企業の環境負荷も低減できます。企業の社会的責任(CSR)を果たせるのはもちろん、環境に配慮している企業としてイメージアップにもつながるでしょう。

ビジネスチャンスの創出

再生可能エネルギーに対する投資は、環境問題を重視する投資家・金融機関の支持を得やすくなります。企業価値が向上すれば、新規ビジネスの創出や既存の事業の拡大を目指せる可能性が広がるでしょう。

再生可能エネルギーの自家消費

太陽光発電システムなどを設置して再生可能エネルギーを自家消費すれば、電気代の削減につながります。余剰電力を売電すれば、売電収入を得ることも可能です。

企業が再生可能エネルギーを導入する方法

企業が再生可能エネルギーを導入するには、以下のような方法があります。

自家発電・自家消費

企業が自家発電・自家消費を目的とした設備を構築して、自社で使用する方法です。初期投資と運用・管理にコストがかかるものの、政府の補助金や税制優遇措置を活用できます。導入後は低いコストで運用でき、リアルタイムの発電状況も把握できるようになります。

外部電力の購入

再生可能エネルギーで発電した電力を、電力会社から購入する方法です。多くの電力会社では、さまざまな再生可能エネルギーのプランを提供しているため、ニーズに合わせた購入ができます。

環境価値の活用

ESG投資家や国際イニシアチブからの評価を得るため、企業は脱炭素社会の実現に向けて貢献する必要があります。CO2を排出しないという「環境価値」の部分を取り出して、売買する以下のような証書やクレジットを購入することで、企業は環境価値を取り入れられます。

・非化石証書
・グリーン電力証書
・J-クレジット

日本の再生可能エネルギーの課題

世界的に再生可能エネルギーの推進が取り組まれているなか、日本には以下のような課題があります。

コスト高

再生可能エネルギーの導入には初期投資が必要ですが、初期費用が従来のエネルギー源よりも高いことが課題です。太陽光発電や風力発電は、特に設備導入にコストがかかります。日本とヨーロッパでは、非住宅向けの太陽光発電システムのコストは2倍近くの差があります。今後は再生可能エネルギーの普及に向けて、制度の改革や技術の向上も必要になるでしょう。

バランスのとれた再生可能エネルギーの導入促進

日本の再生可能エネルギーは、太陽光発電に偏りすぎています。太陽光発電以外の新規導入は、事業に着手して売電できるまでの所要時間であるリードタイムが長いことから、限定的なものに留まっていることが現状です。

今後は、太陽光発電以外の投資リスクの低減や環境アセスメント手続きの迅速化を推進し、事業がスムーズに進められるような取り組みが求められています。

日本における今後の再生可能エネルギー政策

日本では、2030年に向けての再生可能エネルギー導入目標として、再生可能エネルギーの発電量の割合や発電量の向上を目指しています。エネルギーの使用量を削減する省エネルギー(以下「省エネ」という。)についても推進していく考えです。

政府は企業に対し、省エネの取り組みを透明かつ具体的に開示することを促進するため、サポートを行う考えを示しています。各家庭に対しても、住宅の省エネ化や省エネ家電の購入に対して補助金を提供するなどの考えを示しています。

まとめ

世界のなかでも、再生可能エネルギーの導入に成功しているヨーロッパの事情や成功した理由を解説しました。日本でも、再生可能エネルギーの普及に向けてさまざまな取り組みが行われていますが、課題が多いのも現状です。企業が再生可能エネルギーを導入するメリットや方法も紹介したので、ぜひ参考にしてください。

ゼロ炭素ポート は、脱炭素の情報発信をはじめ、困りごとを気軽に相談できる「場」を目指しています。資料のダウンロードも可能ですので、ぜひご活用ください。

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA