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再生可能エネルギー導入で補助金は使える?種類や内容、注意点を解説

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2025年03月06日

再生可能エネルギーを取り入れるとコスト削減につながる一方で、初期費用がかかります。負担を軽減する方法の1つとして、補助金の活用が挙げられます。本記事では、再生可能エネルギーの導入で使える補助金を解説します。自社で再生可能エネルギーの導入を検討している場合や、補助金の活用を検討している場合は参考にしてください。

再生可能エネルギー導入に補助金は使えるか

再生可能エネルギーを導入する際、まず気になるのが補助金を使えるのかどうかです。使えるのであれば、どのような補助金があるのかも気になるのではないでしょうか。以下で、詳しく解説します。

補助金とは

補助金とは、国や自治体が目指す目標達成に向けた取り組みをしている事業者に対し、資金の一部を給付してサポートする施策のことです。日本では、2050年のカーボンニュートラルの実現を目指しています。この目標を達成するために設けられているのが、省エネルギー・再生可能エネルギー関連の補助金です。

※参考:補助金とは|経済産業省
※参考:日本のNDC(国が決定する貢献)|環境省

再生可能エネルギーに使える補助金

再生可能エネルギーに使える補助金は、経済産業省・環境省・国土交通省で募集している他、自治体で独自に募集しているケースもあります。補助金の種類は主に設備投資系で、本体や工事費用など、設備の新設や更新に必要な費用が補助されます。さまざまな種類があるため、状況に応じて選びましょう。

再生可能エネルギーの補助金を受ける条件と流れ

再生可能エネルギーの補助金は、条件を満たしていなければ受けられません。ここでは、条件と流れを解説します。

補助金を受けるための一般的な条件

補助金の目的・対象・仕組み・手続き方法は、制度によって異なります。採択か不採択かは審査によって決まります。また、発注や着工は、補助金の交付が決まってから行わなければなりません。補助金が給付された後も、許可なく設備を改造したり処分したりすることはできないため、詳細をしっかり確認しておく必要があります。

補助金を受ける一般的な流れ

まずは、補助金ごとの公募期間中に申請をして審査を受け、交付が決定したら発注・事業実施に進みます。事業が完了したら報告書を提出し、審査に通れば給付されるのが一般的な流れです。申請して審査に通っても、即時給付ではない点に注意しましょう。完了後も、数年程度は設備の導入による効果を報告する必要があります。

再生可能エネルギーの補助金の選び方

設備の導入を検討している場合は、補助金の公募時期・対象となる設備・要件をクリアできる補助金があるか確認します。条件を満たしている補助金があった場合は、受け取れる金額・申請方法・採択率をチェックしましょう。採択率が低い場合は、どうすれば採択されやすくなるかも確認します。公募期間が短いケースが多いため、早めに検討して準備を進めましょう。

需要家主導型太陽光発電・再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業費補助金【経済産業省】

対象設備は、太陽光発電システムと蓄電池(再生可能エネルギー発電設備に併設する場合のみ)です。温室効果ガス削減目標を実現するために設備を導入する場合や、蓄電池の導入で必要な経費の一部を助成する事業を行っている民間団体などを、対象としています。太陽光発電設備などを設置する直接の事業者を公募するものではありません。

※参考:令和6年度予算「需要家主導型太陽光発電・再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業費補助金」に係る補助事業者(執行団体)の公募について|経済産業省

ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業【環境省】

ストレージパリティとは、蓄電池も併用して導入した方がコスト面でメリットがある状態を指しており、環境省では蓄電池の普及に取り組んでいます。対象設備は、太陽光発電設備と蓄電池です。

対象設備を導入する民間企業や個人事業主、法人などが申請できます。ただし、蓄電池を普及させるためのサポートのため、太陽光発電設備と蓄電池を同時に導入することが条件の1つです。

※参考:民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業のうちストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業の公募開始|環境省

駐車場を活用した太陽光発電設備(ソーラーカーポート)の導入を行う事業【環境省】

対象設備はソーラーカーポートで、民間企業や法人などが申請できます。ソーラーカーポートとは、カーポートに太陽光パネルを設置したものです。太陽光パネルとカーポートが一体化したタイプと、別々になっているタイプがあります。事務所など自社の建物の屋根にスペースがなく、太陽光パネルの導入が難しい場合に活用できます。

※参考:再生可能エネルギー事業者支援事業費(駐車場を活用した太陽光発電設備(ソーラーカーポート)の導入を行う事業)補助金の公募開始|環境省

民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業のうち窓、壁等と一体となった太陽光発電の導入加速化支援事業【環境省】

対象設備は窓や壁などの建材と、一体化した太陽光発電システムです。建物に太陽光発電パネルを設置する際は屋根の上が一般的でしたが、建物によっては屋根の上だけでは十分な発電量を確保できないことがあります。そこで、再生可能エネルギーを可能な限り活用できるように設けられたのが、こちらの補助金です。

補助率は窓と一体型のケースと、壁などと一体型のケースとで異なります。

※参考:民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業のうち窓、壁等と一体となった太陽光発電の導入加速化支援事業の公募開始|環境省

データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業【環境省】

対象設備は、太陽光発電システムと蓄電池です。インターネット用のサーバーやデータ通信に関する装置を設置したり、運用したりしているデータセンターを対象としています。新規でも既存の施設でも、再生可能エネルギーに関するシステムを導入する際のサポートを受けられます。新規の施設と既存の施設とで、要件や補助率が異なる点には注意が必要です。

※参考:民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業(一部 総務省・農林水産省・経済産業省 連携事業)|環境省

地域における太陽光発電の新たな設置場所活用事業(営農地、ため池、廃棄物処分場)【環境省】

対象設備は、太陽光発電システムです。営農地の上部空間・ため池・廃棄物処分場に、営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)を設置する際に申請できます。事業内容や導入費用、発電した電力の供給先などに要件が設けられています。なお、営農型太陽光発電の設備を設置する際は、農地法に基づく一時転用許可が必要です。

※参考:民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業のうち地域における太陽光発電の新たな設置場所(営農地・ため池・廃棄物処分場)活用事業の公募開始|環境省
※参考:営農型太陽光発電について|農林水産省

工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)【環境省】

対象設備は、太陽光発電システムです。2050年のカーボンニュートラル実現などを目的としており、脱炭素に取り組む工場や事業場で利用できます。補助率や上限額は設備を導入する施設や、施設を導入した際の効果によって異なります。申請できる条件は、太陽光発電システムに加えて、高い省エネ性能を持つ他の設備とセットで導入することです。

※参考:SHIFT事業とは|環境省

地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業【環境省】

対象設備は、太陽光発電システムです。脱炭素に取り組んでおり、かつ非常時は防災拠点や避難施設としての機能を果たす場所として、指定された国・自治体の公共施設を対象としています。ただし、PPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約)モデルの導入が条件です。

PPAモデルとは、電力を購入する際の契約方法の1つです。事業者が他の企業や自治体の敷地内で活用できる空間を借りて、発電設備を無償で設置し、そこで発電した電気を企業や自治体が利用する契約方法です。発電設備を設置した事業者が設備の所有者になるため、空間を提供している側が設備の管理をする必要がありません。

※参考:地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業|環境省
※参考:PPAモデル|環境省

建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業【環境省】

対象設備は新規・既存建築物のZEB化に貢献する設備やシステムです。ZEBとは、ネット・ゼロ・エネルギー・ビルを略した言葉です。快適な室内環境の維持と年間で消費する一次エネルギーの収支ゼロを、同時に実現することを目指した建物を指します。省エネと創エネ(自ら電気を作り出すこと)を同時進行するイメージです。

補助率や上限額は、ZEBの達成レベルによって異なります。

※参考:令和6年度「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」の公募開始について|環境省
※参考:1. ZEBとは?|環境省

ZEH関連の補助金

ZEHとは、高い省エネ性能により消費エネルギーの収支ゼロを目指す住宅のことで、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスを略した言葉です。ZEH関連の補助金は3種類あります。

・ZEH支援事業:ZEHまたはZEH+の新築住宅が対象。新築住宅を販売する法人と新築住宅の建築・購入する個人が申請できる
・次世代ZEH+(注文・建売・TPO)実証事業:次世代ZEH+の新築住宅を建築・購入する個人が対象
・次世代HEMS実証事業:次世代ZEH+の新築住宅を建築する個人が対象

※参考:2023年の経済産業省と環境省のZEH補助金について|一般社団法人 環境共創イニシアチブ

再生可能エネルギー補助金の事例

再生可能エネルギーの補助金を活用して、導入時の負担を軽減しながら、CO2排出やエネルギーのコストダウンに成功した事例は少なくありません。具体的には、太陽光発電の導入に自治体の補助金を活用して、導入費用の約半分を補助金でカバーできた事例があります。本来は1億円以上かかる予定だった導入費用を、約5,000万円に抑えることができました。

再生可能エネルギー補助金の注意点

再生可能エネルギーを活用する際は、注意しなければならない点もあります。

審査に通らないと採択されない

補助金は申請して審査を通過しなければ受け取れません。補助金によって受け取れる条件や必要書類は異なります。書類の準備に時間がかかるケースもあるため、公募開始後に準備を始めると間に合わないかもしれません。審査を通過するためにも、必要書類の準備などをしっかりしておきましょう。

太陽光発電のみでの補助金はない

再生可能エネルギー設備として、太陽光発電システムを導入する企業が多い傾向にあります。しかし、太陽光発電システム単体を対象として無条件に受け取れる国の補助金は、2024年12月現在の時点ではありません。蓄電池などとの同時導入や、指定以上の規模を有することなどが条件に含まれています。

ただし、自治体によっては、太陽光発電システム単体で申請できる補助金を設けている可能性があります。こまめに最新情報をチェックしましょう。

新たに条件が追加される可能性がある

補助金は内容や条件が変更されたり、追加されたりする可能性があります。また、今後新しい補助金が設置されるケースも考えられます。既存の補助金制度でも、以前の情報が変更されているケースがあるため、準備や申請をする際は条件などの最新情報を確認することが大切です。

再生可能エネルギー補助金のよくある質問

最後に、再生可能エネルギー補助金に関する2つのよくある質問について解説します。

複数の補助金を受け取れる?

再生可能エネルギーに関する補助金は、国だけでなく、自治体で設けられていることもあります。対象や要件はそれぞれで異なるものの、必要な要件を満たしていれば複数受け取ることも可能です。

ただし、併用できる補助金とできない補助金があるため、専門家に相談するとよいでしょう。また、これまで受け取った補助金や現在受け取っている補助金がある場合は、申請書の記入欄に記載しましょう。

補助金を受けた設備は売却できる?

補助金を受けた設備を売却する場合、補助金の返還義務が生じるケースがあります。返還義務の有無は設備の稼働年数によって異なります。設備が法定耐用年数を超えていない場合は、補助金の一部を返還しなければなりません。無償の譲渡や貸付、廃棄などをするケースも同様です。補助金の一部を返還する際は「財産処分承認申請書」の提出も必要です。

まとめ

再生可能エネルギーに関する補助金は、さまざまな種類が設けられています。補助金の制度によって対象設備や要件、対象が異なるため、最新情報をしっかり確認した上で申請しましょう。

また、申請の準備に時間がかかる可能性もあります。申請できる補助金を事前に調べておき、募集期間が開始されたら、スムーズに申請できるよう準備しておくことも大切です。補助金の申請は、専門家に相談するのも1つの方法です。

ゼロ炭素ポートは、自社のみならず他社ソリューションとも協力して、お客さまのニーズにお応えするWebサイトです。脱炭素・カーボンニュートラルに関する情報をご提供している他、ご相談も受け付けています。お気軽にお問い合わせください。

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA