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再生可能エネルギーの電子申請による定期報告とは?|必要事項や対象者など解説

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2025年03月06日

再生可能エネルギーに関する定期報告は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(以下「FIT制度」という。)により、義務付けられています。この記事では、再生可能エネルギーに関する定期報告について解説します。対象者、報告期日と期間、電子申請のやり方などについても解説するので、参考にしてください。

再生可能エネルギー発電設備の定期報告とは

再生可能エネルギー発電設備の定期報告は、FIT制度で義務付けられています。FIT制度は、再生可能エネルギーで発電された電気を、電力会社が、固定価格で一定期間買い取ることを保証する制度です。FIT制度の対象となる再生可能エネルギーは、以下のとおりです。

・太陽光発電
・風力発電
・水力発電
・地熱発電
・バイオマス発電

※参考:費用の定期報告|FIT・FIP制度|なっとく!再生可能エネルギー

再生可能エネルギー発電設備の定期報告の目的

再生可能エネルギー発電設備の定期報告は、エネルギーの需要と供給状況の把握と、FIT制度の評価と改善を目的として実施されています。

再生可能エネルギーの需要と供給状況を把握するため

再生可能エネルギー発電設備の定期報告の目的は、エネルギーの需要と供給状況を把握することです。地球温暖化対策として脱炭素化を推進するためには、再生可能エネルギーの普及が急務といえます。定期報告を通じて集められるデータは、再生可能エネルギーの普及状況を正確に把握するための情報源となっています。

FIT制度の評価と改善のため

再生可能エネルギー発電設備の定期報告で得られたデータを元に、FIT制度の実施効果が評価され、必要に応じて買取価格が調整されます。

また、FIT制度の運営費用は、電気利用者が支払う再生可能エネルギー発電促進賦課金(以下「再エネ促進賦課金」という。)によって賄われています。従って、国民の協力を得るには、制度の透明性が重要です。定期報告から得られるデータは、制度の納得性を高める根拠としても役立っています。

【電子申請】再生可能エネルギー発電設備の定期報告のやり方

ここでは、電子申請による再生可能エネルギー発電設備の定期報告のやり方について、太陽光発電設備の場合と、その他の発電設備に分けて解説します。

太陽光発電の場合

「再生可能エネルギー電子申請」にアクセスのうえ、手続きを進めてください。以下に、太陽光発電設備(10kW以上)について、定期申告の手続きを紹介します。

1.マイページから「定期報告」をクリックする
2. 定期報告用設備一覧画面で検索をかけ、定期報告を行う設備を選択して作成をクリックする
3.報告区分(設置費用報告・増設費用報告・運転費用報告)を選択し、「情報入力」をクリックする
4.画面の指示に従い情報を入力し、「保存して次に進む」をクリックする
5.書類をアップロードする
6.報告が完了し、報告IDが発行されたことを確認する

※参考:FIT制度・FIP制度 再生可能エネルギー電子申請操作マニュアル【定期報告:太陽光10kW以上】|資源エネルギー庁

太陽光発電以外の場合

「再生可能エネルギー電子申請」にアクセスのうえ、手続きを進めてください。申請の際は、「GビズID」のアカウントが必要となります。GビズIDは、行政サービスにログインする際に必要です。定期報告に利用できるアカウント種別は、「GビズIDプライム」または「GビズIDメンバー」です。

以下に、水力発電について、定期申告の手続きを紹介します。

1. マイページから「定期報告」をクリックする
2. 定期報告用設備一覧画面で検索をかけ、定期報告を行う設備を選択して作成をクリックする
3. 報告区分(設置費用報告・増設費用報告・運転費用報告)を選択し、「情報入力」をクリックする
4.発電設備の出力情報および、流量と有効落差を入力する
5. 画面の指示に従い情報を入力し、「保存して次に進む」をクリックする
6. 書類をアップロードする
7. 報告が完了し、報告IDが発行されたことを確認する

※参考:FIT制度・FIP制度 再生可能エネルギー電子申請操作マニュアル【定期報告:風力・水力・地熱・バイオマス】|資源エネルギー庁

再生可能エネルギー発電設備の定期報告の種類別必要情報

再生可能エネルギー発電設備の定期報告は、3種類に分けられます。太陽光発電設備を例に挙げて、設置費用報告、増設費用報告、運転費用報告について具体的な報告内容を解説します。

設置費用報告

設置費用報告では、設置形態や設置費用を報告します。設置費用関連の主な項目は、以下のとおりです。

・設計費
・設備費
・蓄電池の費用
・土地造成費
・工事費
・接続費
・値引きされた費用
・その他費用
・補助金受給の有無
・リース契約関連

増設費用報告

増設費用報告の主な項目は、以下のとおりです。

・設計費
・設備費
・土地造成費
・工事費
・接続費
・値引きされた費用
・その他費用
・補助金受給の有無
・リース契約関連

増設費用報告の主な内容は、設置費用報告と同様の項目で構成されていますが、蓄電池に関する費用項目が含まれていない点が異なります。

運転費用報告

増設費用報告の主な項目は、以下のとおりです。

・土地等賃借料
・修繕費
・保守点検費
・事務所経費
・人件費
・保険料
・インターネット通信料
・法人事業税
・固定資産税
・年間リース料
・パワーコンディショナのソフトウェア書き換え費用
・制御ユニット費用(後日設置した場合)
・蓄電池の費用(後日設置した場合)
・撤去および処分にかかった費用

再生可能エネルギー発電設備の定期報告の対象者とタイミング

ここでは、再生可能エネルギー発電設備の定期報告の対象者と、報告するタイミングについて解説します。

※参考:費用の定期報告|FIT・FIP制度|なっとく!再生可能エネルギー

報告の対象者

発電設備の分類 報告形態
設置費用報告(増設費用報告) 運転費用報告
太陽光発電設備 10kW未満の設備※ 必要
(増設費用報告は不要)
経済産業大臣が求めた場合は必要
(対象者には、後日別途ご案内いたします。)
10kW以上の設備 必要 必要
太陽光以外の発電設備 必要

※ 特例太陽光発電設備(設備IDの頭文字がF)は、設置費用報告、運転費用報告とも不要です。
※ 10kW未満であっても増設により10kW以上となった場合、増設費用報告は必要となります。

再生可能エネルギー発電設備の定期報告の対象者は、FIT制度の適用を受ける再生可能エネルギー発電事業者です。ただし、太陽光発電設備の所有者は、定格出力が10kW未満であれば定期報告の義務はありません。太陽光発電以外の再生可能エネルギー発電設備の場合は、定格出力に関係なく設置費用、増設費用、運用費用について報告が必要です。

報告のタイミング

報告内容によって、以下のように報告するタイミングは異なります。

・設置費用報告:運転開始した日から1か月以内に報告
・増設費用報告:増設した日から1か月以内に報告
・運転費用報告:発電設備が運転開始した月またはその翌月に報告し、以降は毎年報告

【電子申請以外】再生可能エネルギー発電設備の定期報告のやり方

ここでは、電子申請以外の再生可能エネルギー発電設備の定期報告のやり方について、太陽光発電設備の場合と、その他の発電設備に分けて解説します。

太陽光発電の場合

指定の様式をダウンロードして必要事項を記載し、経済産業省が委託した代行申請機関(一般社団法人 太陽光発電協会 JPEA代行申請センター(JP-AC))に郵送してください。自身でダウンロードできない場合は、代行申請機関に設備規模と報告区分を郵送で連絡すると、該当する書式が送付されてきます。

太陽光発電以外の場合

太陽光以外の発電設備について定期報告する際は、書類の郵送先が異なります。指定の様式をダウンロードし、必要事項を記載したうえで、発電設備の立地場所の都道府県を管轄する各経済産業局に郵送してください。

再生可能エネルギー発電設備の定期報告における注意点

ここでは、再生可能エネルギー発電設備の定期報告における注意点を解説します。認定が取り消されないように適切に報告しましょう。

報告しないと認定を取り消される場合がある

再生可能エネルギー発電設備の定期報告を怠ると、認定を取り消される場合があるため注意してください。2018年に、資源エネルギー庁から「定期報告に関するお知らせ(注意喚起)」が出されました。お知らせの文面には、以下が記載されています。

「定期報告の提出は認定基準として義務付けられているため、2018年8月10日までに御提出いただけない場合には、経済産業大臣による指導の対象となるほか、認定が取消しの対象となる可能性があります。」

※引用:定期報告に関するお知らせ(注意喚起) |資源エネルギー庁

廃棄費用の報告も義務化されている

再生可能エネルギー発電設備の運用を辞める際は、設備の廃棄費用を報告する義務があります。FIT 制度の調達価格には、廃棄費用も含まれているためです。

※参考:廃棄費用(撤去及び処分費用)に関する報告義務化について(周知)|資源エネルギー庁

まとめ

再生可能エネルギーの定期報告の目的は、再生可能エネルギーの需要と供給状況の把握と、FIT制度の評価と改善です。FIT制度の認定を受ける再生可能エネルギー発電事業者の多くは、定期報告が必要です。定期報告は、再生可能エネルギーの種類によらず電子申請できます。電子申請が困難な場合は、指定の様式による郵送での手続きも受け付けています。

ゼロ炭素ポートは、自社のサービスだけではなく他社のソリューションも含めて、お客さまの脱炭素への取り組みを総合的にサポートするサイトです。再生可能エネルギーに興味のある人は、ぜひゼロ炭素ポートをご活用ください。

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA