再生可能エネルギーの取り組みは世界的に拡大しています。企業が再生可能エネルギーの取り組みを成功させたい場合は、自治体や企業の事例を参考にするとよいでしょう。本記事では、再生可能エネルギーの概要や取り組み事例などを解説します。再生可能エネルギーを導入するメリットや導入方法なども解説するため、ぜひ参考にしてください。
再生可能エネルギーとは、何度も再利用できるエネルギーのことです。長らく利用されてきた化石燃料は重要なエネルギー資源の1つであるものの、近年は資源に限りがあることが危惧されています。その点、再生可能エネルギーは再利用が可能なため、持続可能な資源として注目が集まっています。再生可能エネルギーの主な例は、太陽光や風力などです。
近年、脱炭素やESG経営への関心が高まっており、多くの企業が再生可能エネルギーの導入を検討しています。
脱炭素社会の実現は国内だけでなく、世界的に取り組みが広がっています。脱炭素の機運が高まっている要因の1つは、CO2をはじめとする温室効果ガスの排出量の増加です。再生可能エネルギーを導入すれば、従来のエネルギー資源に頼らずに発電でき、温室効果ガスを抑えられます。
ESGとは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の頭文字を略した言葉です。ESG投資は投資家がキャッシュフローや利益率などの財務情報に加えて、非財務情報のESGを判断材料にして投資先を決めることを指します。
近年、投資家の多くは、企業のESGを重視するESG投資に関心を寄せています。資金調達のためにESGを意識したESG経営を行うことで、投資家にとって優良な企業であるとアプローチすることが重要です。
再生可能エネルギーの市場が拡大していることも背景として挙げられます。再生可能エネルギーに関連した商品やサービスが増えている事実からも、世界的に再生可能エネルギーへの注目が集まっていることがわかります。また、再生可能エネルギーに関連する事業へ参入する企業も増えており、今後も市場が拡大する可能性が高いでしょう。
再生可能エネルギーの主な種類は、太陽光発電・風力発電・バイオマス発電です。ここでは、3種類の再生可能エネルギーを解説します。
太陽光発電は建物の屋根や空き地などに、太陽光を受けるためのパネルを設置して発電する方法です。パネルは半導体が使用されており、太陽光がパネルに当たると電気を発生させる仕組みです。太陽光発電はさまざまな地域や場所にパネルを設置できることから、分散型のエネルギーリソースとしても期待されています。
※参考:太陽光発電|経済産業省
風力発電は、風で風車が回るときに発生するエネルギーを利用して発電する方法です。風さえあれば昼夜問わず発電し続けられます。風車は陸上にも洋上にも設置できますが、特に洋上が向いています。洋上に設置する場合は周囲に風を遮るものが少ないため、大規模な発電を行うことも可能です。
※参考:風力発電|経済産業省
バイオマス発電は、生物資源を燃焼またはガス化させたときに、発生するエネルギーを利用して発電する方法です。生物資源の主な例として家畜の排せつ物や間伐材、もみ殻などが挙げられます。バイオマス発電は都市部よりも、生物資源を入手しやすい林業や農業、畜産業を積極的に行っている郊外の地域に適している発電方法です。
※参考:バイオマス発電|経済産業省
ここでは、自治体が取り組んでいる再生可能エネルギーの事例を3つ紹介します。
大阪府吹田市では、「Suita サスティナブル・スマートタウン」という取り組みを実施しています。具体的な取り組みとしては、街中で消費する電力の100%を、再生可能エネルギーで賄うことを目指しています。商業施設や住宅施設を含めた街全体で再生可能エネルギーを導入することは、日本初の取り組みとされています。
広島県広島市は中国電力株式会社と協働し、完全自立型EVシェアリングステーションの事業に取り組んでいます。完全自立型ソーラーカーポートと蓄電・制御システムを一体化し、太陽光発電のみで創出した電力でEVを充電することに成功しました。
再生可能エネルギーとカーシェアリングを組み合わせた広島市の取り組みは、世界初となっています。また、完全自立型EVシェアリングステーションは、広島市の公用車(EV)の充電にも利用されています。
新潟県新潟市では、再生可能エネルギーを活用した電気プランを提供しています。新潟市は民間企業と連携し、地域新電力会社の「新潟スワンエナジー株式会社」を設立しました。同社では廃棄物発電の余剰電力をはじめ、太陽光や風力、バイオマス、水力などの再生可能エネルギーを用いて創出した電力を供給しています。
ここでは、大手企業が実施している再生可能エネルギーの取り組み事例を紹介します。
イオンモール株式会社は、2018年に「イオン脱炭素ビジョン2050」を策定しました。具体的な方針は、イオン系列のモールの消費電力を再生可能エネルギーへ転換することです。
地産地消の再生可能エネルギーを目指しており、2040年までにすべてのモールで使用される電力を、地産地消の再生可能エネルギーに切り替える予定です。再生可能エネルギーの導入にあたって活用されるのは、風力発電や水素エネルギー、蓄電池などが予定されています。
エプソングループは、環境経営の指針として「環境ビジョン2050」を掲げています。具体的な方針はカーボンマイナスや地下資源を消費ゼロにすることです。例えば、全世界のエプソングループ拠点の使用電力を、再生可能エネルギー由来のものに切り替えることが挙げられます。エプソングループでは脱炭素や資源循環、環境技術の開発にも力を入れています。
森永乳業株式会社では、2019年度からESG経営に取り組んでいます。ESG経営の具体的な取り組み事例は主力工場でグリーン電力証書を購入し、工場内で消費される電力をグリーン電力に切り替えることです。
グリーン電力とは、日本自然エネルギー株式会社が再生可能エネルギーで発電した電力のことです。日本自然エネルギー株式会社のグリーン電力証書システムに加入した企業は、グリーン電力証書を購入した分のグリーン電力が提供されます。グリーン電力証書は、環境保全活動に寄与したことの証明になります。
企業は、再生可能エネルギーの導入に取り組むことでさまざまなメリットを得られます。
エネルギー資源の枯渇問題は世界的な懸念事項の1つです。化石燃料をはじめとするエネルギー資源の消費量は、人口増加や途上国の発展などの理由で増加傾向にあります。エネルギー資源を使用し続ければ、資源の枯渇が現実になり得ます。その点、再生可能エネルギーは持続的に利用可能なため、枯渇する心配がありません。
近年、地球温暖化は環境問題のなかでも最重要事項の1つとして挙げられています。地球温暖化の対策として、先進国をはじめとする世界の国々で温室効果ガスの削減が求められています。再生可能エネルギーによる発電は、温室効果ガスが排出されにくい自然や動植物による廃棄物を使用するため、温室効果ガスの排出量を大幅に抑えることが可能です。
日本のエネルギー自給率は、主要国のなかでも低い水準にあります。国内で提供される電力は火力発電が多くを占めているものの、エネルギー資源となる化石燃料は海外からの輸入となっています。一方で、再生可能エネルギーは自然に発生する資源を用いることができるため、国内のエネルギー自給率を高められます。
企業が再生可能エネルギーを導入するには、電力の切り替えや発電施設の設置、グリーン電力証書の利用する方法が挙げられます。
企業が自社で使用する電力を再生可能エネルギーに切り替える場合は、契約している電力プランの変更が必要です。電力プランの内容によっては再生可能エネルギーの割合が異なるため、事前に契約内容を確認しておくことをおすすめします。また、契約する小売電気事業者を検討する際は、自社の予算を考慮したうえで選びましょう。
企業が再生可能エネルギーを導入するには、再生可能エネルギーによる発電施設を自社で設置することも1つの方法です。主な方法は、自家消費型の太陽光発電と、PPAモデル(Power Purchase Agreement:電力購入契約)の2つです。
PPAモデルは、自社の建物の屋根や土地に事業者が発電施設を設置して太陽光発電を行い、企業がその施設で発電した電力を購入する契約を指します。発電施設の所有権が出資者や事業者などの第三者にあることから、第三者所有モデルとも呼ばれています。再生可能エネルギーの発電施設の設置により、電気料金とCO2排出量の削減が可能です。
グリーン電力証書とは再生可能エネルギーによって発電された、グリーン電力の価値を証書化したものです。グリーン電力証書は、再生可能エネルギー発電施設の電力であることを証明できます。例えば、電力会社から電力が供給された場合でも、証書を購入した分の電力量は再生可能エネルギーを利用したと判断され、間接的な再生可能エネルギーの普及に貢献できます。
脱炭素やESG経営を重要視する声が高まっていることで、大手企業をはじめ再生可能エネルギーを導入する企業が増えています。再生可能エネルギーを導入すれば、温室効果ガスの排出量の削減が可能です。再生可能エネルギーを導入するにはさまざまな方法があるものの、事前に正しい情報を入手しておくことが重要です。
ゼロ炭素ポートは、自社だけでなく他社のソリューションとも協力し、お客さまのニーズにお応えする情報を発信するWebサイトです。脱炭素・カーボンニュートラルの実現に向けた施策をご検討の方向けに、資料を配布しています。興味のある方は、ぜひお問い合わせください。
会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA