再生可能エネルギー発電設備の譲渡や相続時には、名義変更手続きが必要になる場合があります。この記事では、再生可能エネルギー発電設備の名義変更について、必要書類や手続き、電子申請の可否などを解説します。ぜひ参考にしてください。
以下は、再生可能エネルギー発電設備関連の、主な8つの名義変更です。
・事業計画認定
・売電契約
・土地登記簿
・メンテナンス契約
・メーカー保証・施工保証
・保険契約(損害保険)
・償却資産申請
・補助金・助成金
本記事では、上記8つの名義変更について、必要書類や手続きを解説します。
事業計画認定を受けた再生可能エネルギー発電設備の名義変更手続きは、電子申請にて可能です。手続きを行う人は譲受側で、譲渡方法によって変更手続きや必要書類が変わります。譲渡方法は、以下の6つです。
・事業譲渡等の場合(生前贈与等も含む)
・会社分割、合併の場合
・競売物件による事業者変更の場合
・離婚による分与
・賃貸マンション等で入居者に設備を貸与する形態の入居者の変更を行う場合
・相続による場合
※引用:FIT制度・FIP制度 再生可能エネルギー電子申請操作マニュアル【事前変更届出】風力・水力・地熱・バイオマス|資源エネルギー庁
再生可能エネルギー発電設備について名義変更を電子申請する際は、設備IDが必要です。設備IDの確認方法は、以下の2つです。
・「再生可能エネルギー電子申請の設備ID照会」にアクセスして調べる
・電力会社に問い合わせる
「再生可能エネルギー電子申請」にアクセスし、新規登録してログインIDとパスワードを取得しましょう。個人・法人区分とユーザー情報を登録すると、入力したメールアドレスに確認メールが送信されてきます。メールに記載されたリンクをクリックし、手続きを完了させてください。
「再生可能エネルギー電子申請」にログイン後、認定設備、変更認定申請の順に選択します。事前または事後変更を選択し、必要事項を入力してください。その後、必要書類をPDF形式あるいはZIP形式でアップロードします。
必要書類は操作マニュアルにまとめられているため、自分の状況に合わせて用意すべきものを確認しておきましょう。
個人の状況によって、添付する必要書類は変わります。例えば、事業譲渡の場合は、以下の書類が必要です。
・譲渡契約書または譲渡証明書
・譲受人と譲渡人双方の印鑑証明書
・土地登記簿謄本など、土地の取得を証する書類
・裁判所による破産管財人証明書(破産による譲渡時)
・事業実施体制図
・関係法令手続状況報告書
上記書類に加え、法人の場合は双方の履歴事項全部証明書が必要です。個人の場合は、住民票の写し、住民票記載事項証明書、戸籍謄(抄)本のいずれかを用意します。
相続の場合は、以下の書類が必要です。
・被相続人の附票を含む戸除籍謄本または、住民票の除票
・法定相続人全員の戸籍謄本および印鑑証明書
・遺産分割協議書または相続人全員の同意書
※参考:FIT制度・FIP制度 再生可能エネルギー電子申請操作マニュアル【事前変更届出】風力・水力・地熱・バイオマス|資源エネルギー庁
売電収入を得るための名義変更手続きは、電子申請できません。ここでは、再生可能エネルギー発電設備について売電契約の名義変更手続きを解説します。
売電契約の名義変更手続きが必要になったときは、管轄の電力会社に問い合わせましょう。問い合わせの前に、発電設備の設置場所の住所と、変更前の名義人の氏名をメモしておいてください。速やかに情報を提供できると、円滑な手続きが可能となります。
売電契約の名義変更手続きに必要となる主な書類は、以下のとおりです。詳細は電力会社によって異なるため、個別に確認してください。
・口座振替依頼書または口座振込依頼書
・電力受給契約申込書(低圧)
・契約当事者双方の個人情報が分かる書類
・前所有者の氏名やお客さま番号が分かる書類
・発電設備の設置住所が分かる書類
2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されたことを受け、再生可能エネルギー発電設備が設置されている土地についても、相続による名義変更が必要となりました。再生可能エネルギー発電設備について、土地登記簿の名義変更手続きを解説します。
土地登記簿の名義変更の際は、法務局へ必要書類を提出する必要があります。手続きには専門的な知識が求められるため、太陽光などの発電事業者や不動産業者、司法書士などの専門家に代行してもらうことが一般的です。
土地登記簿の名義変更手続きは、贈与と相続で必要な書類が異なります。贈与の場合は、一般的に以下の書類が必要です。
・登記申請書
・登記識別情報または登記済証
・登記原因証明情報
・代理権限証明情報
・贈与者の印鑑証明書
・受贈者の住民票の写し
相続の際は、主に以下の書類を用意します。
・登記申請書
・被相続人の戸除籍謄本などの登記原因証明情報
・住民票の写しなど、相続人全員分の住所証明情報
・代理権限証書
再生可能エネルギー発電設備について、その他の名義変更手続きを以下で解説します。
メンテナンス契約については、既存のメンテナンス業者との契約を新しい名義で結び直す必要があります。名義変更直後に、故障などのトラブルが起きるかもしれません。設備の状態を把握するため、事前点検を実施して引き継ぎ後のトラブルを防ぎましょう。
購入時に受けたメーカー保証の名義変更は、メーカーや施工業者に問い合わせて手続きします。手続きにあたり、保証書の提示が求められる場合があります。また、事業者によっては、施工保証の名義変更に対応できないケースも少なくありません。
発電設備が加入している保険契約の取り扱いは、名義変更の内容によって異なります。生前贈与の場合は、既存の契約を一度解約し、新しい名義で改めて契約を結び直す必要があります。一方、相続による名義変更の場合は、保険契約上の権利義務を継承できるため、既存の保険を継続可能です。
発電設備の名義変更に伴い、固定資産税(償却資産税)の申告が必要になる場合があります。ただし、発電設備が小規模で個人使用が主な目的の場合は、償却資産申請が不要となるかもしれません。具体的な申告の要否は自治体によって判断基準が異なるため、管轄の税務課に確認しましょう。
発電設備が補助金・助成金を受けていた場合は、公募先の事業者もしくは自治体に、名義変更について連絡を取りましょう。仮に設備を売却する場合は、受け取った補助金・助成金の一部返還を求められるケースがあります。
トラブルを避けるには、速やかに名義変更の手続きをすることが大切です。ここでは、再生可能エネルギー発電設備の名義変更に関する注意点を解説します。
名義変更には時間がかかるため、困らないように早めに手続きをしておきましょう。名義の違いを理由に、以下の事態に陥る可能性があります。
・売電収入を受け取れない
・補助金の不正受給と見なされる恐れがある
・保険契約やメーカー保証、施工保証の対象外となる
・施工業者とのメンテナンス契約に支障が生じる
・発電設備の売買や相続ができない
再生可能エネルギー発電設備を贈与または相続する際は、評価額に応じて税金が発生する可能性があります。
贈与の基礎控除額は、年間110万円です。基礎控除額を超える評価額に対して贈与税が課されます。贈与税の負担を抑えたい場合は、「低炭素化設備の普及のための世代間資産移転促進に関する非課税措置(贈与税)(以下「緑の贈与」という。)」の利用を検討しましょう。緑の贈与が適用されると、税負担を軽減できる場合があります。
一方、相続の場合は、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」が基礎控除額です。発電設備の評価額が基礎控除額を上回る場合に、相続税が課されます。
固定価格買取制度における再生可能エネルギーの買取価格は、年々低下傾向にあります。発電設備の名義変更を新規で行うと、現行の買取価格が適用される結果、以前よりも低い価格での取引となる可能性があるため、注意が必要です。
再生可能エネルギー発電設備の名義変更を怠ると、売電収入を受け取れなくなったり、発電設備の売買や相続に支障が出たりする恐れがあります。名義変更手続きには時間がかかるため、速やかに取りかかりましょう。事業計画認定を受けた再生可能エネルギー発電設備の名義変更手続きは、電子申請可能です。
ゼロ炭素ポートは、自社のサービスだけではなく他社のソリューションも含めて、お客さまの脱炭素への取り組みを総合的にサポートするサイトです。再生可能エネルギーに興味のある人は、ぜひゼロ炭素ポートをご活用ください。
会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA