ゼロ炭素ポート

再生可能エネルギーが普及しない理由4選と対策|普及に協力するメリットも解説

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2025年03月06日

日本は、再生可能エネルギーが普及していないといわれています。しかし、地球温暖化対策の一環として脱炭素化は必要不可欠な取り組みです。なぜ再生可能エネルギーが普及しないか、気になっている人は多いのではないでしょうか。

本記事では、日本で再生可能エネルギーが普及しない理由と、解決につながる取り組みを解説します。ぜひ参考にしてください。

日本の電源構成における再生可能エネルギーの割合

経済産業省は2024年に、「今後の再生可能エネルギー政策について」という資料を発表しました。

資料によると、2022年度の国内の電源構成のうち、水力を含む再生可能エネルギーが占める割合はわずか21.7%です。2011年度の10.4%と比べると、再生可能エネルギーの割合は増加しています。ただし、各国と比べると、日本は再生可能エネルギーの普及が遅れている状況です。

※参考:今後の再生可能エネルギー政策について|経済産業省

2030年度における再生可能エネルギー普及目標

日本は、「2030年度までに電源構成における36~38%を再生可能エネルギーでまかなう」という目標を掲げています。再生可能エネルギーの普及に向け、国や企業は積極的に取り組む必要があります。

※参考:今後の再生可能エネルギー政策について|経済産業省

主な再生可能エネルギーの概要

再生可能エネルギーとして普及が期待される、主な5つのエネルギーについて、発電の仕組みやメリットに触れつつ解説します。

太陽光

太陽光発電は、シリコン半導体の特性を活用し、太陽からの光エネルギーを電力へと変換する発電方法です。他の再生可能エネルギー設備と比較して、太陽光発電設備は場所を選ばず導入しやすいというメリットがあります。

※参考:太陽光発電|経済産業省

水力

水力発電は、水流の勢いによりタービンを回転させ、電力を生み出す発電方法です。水資源に恵まれた日本では、古くから水力発電が利用されてきました。太陽光発電などと比べて気象条件に左右されにくい水力発電には、安定した電力供給が可能というメリットがあります。

※参考:水力発電|経済産業省

風力

風力発電は、風力でタービンを回転させ、電力を生み出す発電方法です。風力発電のメリットの1つが、発電効率の高さです。大規模な風力発電設備を構築した場合、従来の火力発電に匹敵する経済性を実現できると期待されています。

※参考:風力発電|経済産業省

地熱

地熱発電は、マグマの熱で生成された水蒸気によりタービンを回転させ、電力を生み出す発電方法です。火山大国である日本では、かねてから地熱の力が評価されてきました。気象条件や時間帯に影響されにくく、安定した電力供給が可能な点は、地熱発電のメリットといえます。

※参考:地熱発電|経済産業省

バイオマス

バイオマス発電は、化石燃料を除く生物由来の資源を活用する発電方法です。バイオマス発電のメリットとして、廃棄物の有効活用や、地域資源を活用したエネルギーの地産地消の実現などが挙げられます。

※参考:バイオマス発電|経済産業省

日本で再生可能エネルギーが普及しない理由4選

日本特有の自然環境は、再生可能エネルギーの普及を妨げる要因の1つといえます。ここでは、日本で再生可能エネルギーが普及しない理由を解説します。

1.コストがかかるため

再生可能エネルギーの普及を妨げる課題の1つが、コストの高さです。開発から運用までの一連のプロセスで、発電設備には多額のコストが必要となります。

特に日本では、地震や台風といった自然災害への対策が不可欠であり、耐久性の高い設備の製造・設置にコストがかかりやすい傾向にあります。

2.設置場所を決めにくいため

日本は、平野部が少ない国です。台風や地震による被害リスクも高いことから、再生可能エネルギー発電設備の設置場所の選定は困難です。太陽光発電設備は比較的設置が容易とされていますが、効率的に発電するためには、十分な日照が得られる場所の確保が必要となります。

3.自然条件により発電量がバラつきやすいため

太陽光発電や風力発電は、気象条件によって発電量が変動しがちです。しかも、日本は南北に長い国土を持つため、同じ日で比較しても発電量に地域差が出やすくなっています。電力の安定供給における課題から、結果として従来の火力発電への依存が続いています。

4.系統に空きがないため

再生可能エネルギーの発電設備を増やせても、電力を送るための系統(送電網)に余裕がなければ、系統に接続できないため生み出した電力を活用できません。導入されている再生可能エネルギー発電設備に対し、系統が不足している状況が指摘されています。

再生可能エネルギーの普及を促進する制度や取り組み

普及を阻む要因を解消するため、国はさまざまな施策を実施しています。ここでは、再生可能エネルギーの普及を促進する制度や取り組みを解説します。

【コスト面の対策】固定価格買取制度(FIT制度)

再生可能エネルギーの普及を促進するため、2012年に「固定価格買取制度(以下「FIT制度」という。)」が導入されました。FIT制度は、再生可能エネルギーによって発電された電力を、定められた期間、電力会社が一定価格で買い取ることを約束する制度です。FIT制度で投資したコストを回収しやすくなった結果、再生可能エネルギー事業への参入が促進されています。

なお、買取料金を固定化するための財源が、再生可能エネルギー発電促進賦課金(以下「再エネ促進賦課金」という。)です。再エネ促進賦課金は電気使用量に応じて電気料金に上乗せされる形で、すべての電気利用者が負担しています。

※参考:再生可能エネルギー - FIT・FIP制度 ガイドブック|経済産業省

【コスト面の対策】フィードインプレミアム制度(FIP制度)

「フィードインプレミアム(Feed-in Premium)制度(以下「FIP制度」という。)」が、2022年に導入されています。FIP制度の狙いは、再生可能エネルギー関連事業の採算性を向上させ、再生可能エネルギーの普及を推進することです。

FIT制度では固定価格での買取を保証していましたが、FIP制度では、市場価格に一定額の補助額を上乗せした価格で電気を買い取ります。市場価格の変動を考慮して売電すると、発電事業者は大きな収益を得られる可能性があります。

※参考:再生可能エネルギー - FIT・FIP制度 ガイドブック|経済産業省

【コスト面の対策】補助金制度

再生可能エネルギー発電設備の導入にあたり、コスト面を懸念する事業者は少なくありません。しかし、補助金制度を活用すると、導入コストを一部カバーできます。国は再生可能エネルギーの普及に向け、補助金制度を整備しています。自治体独自の補助金制度も用意されているため、コスト削減に向け、調べてみましょう。

【設置場所不足に関する対策】地域の特性を活かした設備の選定

発電設備の設置場所の確保が難しい日本では、地域の特性に合わせた発電設備の選定が重要です。例えば、温泉地の場合は地熱発電との親和性が高く、効率的な発電が期待できます。畜産業が盛んな地域では、家畜のふん尿などをバイオマス発電に利用できます。

また、建物の屋上や空き地などの余剰スペースがあれば、設置場所の自由度が比較的高い太陽光発電の導入も検討可能です。

【発電量のバラつきへの対策】エネルギーミックス

電力の安定供給を実現する施策が、エネルギーミックスです。エネルギーミックスは、再生可能エネルギーを含む複数の発電方法を組み合わせ、それぞれの特性を活かして安定的な電力供給を実現する方法です。出力の調整が容易な火力発電をうまく組み合わせると、再生可能エネルギーによる発電量の変動を抑制できます。

※参考:エネルギーミックスとは?|独立行政法人中小企業基盤整備機構

【系統の不足に関する対策】ノンファーム型接続

再生可能エネルギーの普及に向け、系統に接続する仕組みの見直しも進められています。従来のファーム型接続では、電力需要のピーク時を基準に接続枠が設定されるため、実際には余裕があっても新規の接続が制限されていました。一方、ノンファーム型接続では、系統の実際の空き状況に応じて柔軟に接続できる仕組みを採用しています。

※参考:再エネをもっと増やすため、「系統」へのつなぎ方を変える|経済産業省

企業が再生可能エネルギーの普及に協力するメリット

企業の協力により、再生可能エネルギーの普及が進むと期待できます。以下では、企業が再生可能エネルギーの普及に協力するメリットを解説します。

経営戦略として有効である

再生可能エネルギーへの取り組みは、企業の経営戦略として効果的です。グリーンマーケットに参入すると、新たなビジネスチャンスが生まれるためです。また、環境問題への積極的な対応は、取引先からの評価を向上させます。サプライチェーン全体で求められる環境対応要請についても、適切に対応できるようになります。

ESG投資に対応できる

再生可能エネルギーの普及に取り組んでブランド価値を高めた企業は、ESG投資家からの支持を得られます。ESG投資とは、企業の財務情報に加えて、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)への取り組みを考慮する投資手法です。ESG投資が重視される理由は、気候変動や労働問題、企業不祥事などの社会問題が注目されているためです。

ESG投資家からの評価を得て資金調達が円滑になると、企業は持続的に成長できます。

※参考:ESG投資|年金積立金管理運用独立行政法人

災害時に備えられる

太陽光発電などの再生可能エネルギー発電設備を導入しておけば、非常時の電力供給源を確保できます。災害時に電力供給が停止すると、企業活動に大きな影響が出る可能性があります。適切な備えにより、災害時の事業継続性を高めましょう。

電気料金を節約できる

電気料金を節約できる点も、再生可能エネルギーの普及に取り組むメリットです。電気料金が値上がり傾向にあるなか、再生可能エネルギー発電設備を導入した企業は、電力会社から購入する電力量を削減できます。余剰電力が発生した場合は、売電収入を得られる可能性もあります。

まとめ

日本で再生可能エネルギーが普及しない理由には、日本特有の自然環境や、発電設備に対する系統不足などが挙げられます。脱炭素化の促進に向け、企業には再生可能エネルギーの普及に協力する取り組みが求められます。

ゼロ炭素ポートは、自社のサービスだけではなく他社のソリューションも含めて、お客さまの脱炭素への取り組みを総合的にサポートするWebサイトです。

再生可能エネルギーに興味のある人は、ぜひゼロ炭素ポートをご活用ください。

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA