地熱発電は、再生可能エネルギー活用法の1つです。火山国の日本は、世界有数の地熱資源量を誇り、地熱発電に適した国といえるでしょう。
本記事では、地熱発電の概要を解説します。地熱発電のメリット・デメリットや課題についても解説するため、ぜひ参考にしてください。
まずは、地熱発電について理解することが大切です。ここでは、歴史や仕組みを詳しく解説します。
地熱発電とは、地球内部の熱(地熱)を利用した発電方法です。石油や石炭といった化石燃料のように枯渇せず、繰り返し利用できることから、再生可能エネルギーに分類されています。また、CO2を排出しないため環境に優しく、長期間にわたる供給が期待される点も特徴です。
地熱発電は、発電以外に暖房や浴場、ハウス栽培などの熱源として利用できます。特に、火山国である日本は地熱を活用しやすいことから、純国産エネルギーとして注目されています。
※参考:地熱発電|経済産業省
日本の地熱発電は歴史が古く、1919年には、大分県別府市で水蒸気を噴出する噴気孔の掘削に初めて成功しています。1925年には日本初の地熱発電に成功しましたが、第二次世界大戦などを理由に大きな発展は見られませんでした。
しかし、20世紀初頭のイタリアで、世界初の地熱発電所が稼働したことで技術が拡大します。電力の安定供給という課題を抱えた日本でも、1966年に初の松川地熱発電所が岩手県で運転を開始しました。
※参考:これまでの歴史|独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構
地熱発電は、地熱流体と呼ばれる蒸気を利用してタービンを回すことで、エネルギーを取り出す発電方法です。地面に吸収された雨が地下深くに浸透し、マグマに熱せられると高温になります。このマグマによってエネルギーを得た高温・高圧の蒸気が地熱流体です。
地熱流体が溜まる場所は、地熱貯留層と呼ばれます。地熱貯留層に井戸を掘って地熱流体を取り出し、蒸気でタービンを回して発電するのが地熱発電の基本的な仕組みです。
※参考:地熱発電のしくみ|独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構
地熱発電には、いくつかの種類があります。ここでは、主流となっている2つの発電方法について解説します。
フラッシュ発電は、地熱流体で直接タービンを回転させる発電方法です。高温の蒸気が必要となるため、200℃以上の熱水がくみ上げられる地域に適しています。さらに、フラッシュ発電は2つの手法に分けられます。
1つ目のシングルフラッシュ方式は、一度だけ蒸気を取り出す方法です。2つ目のダブルフラッシュ方式は蒸気を2回取り出し、高圧蒸気と低圧蒸気の両方でタービンを回す方法です。シングルフラッシュよりも、約20%出力が増加するとされています。
※参考:地熱発電のしくみ|日本地熱協会
バイナリー発電は、地熱貯留槽とタービンの間に、ペンタンや代替フロンなどの二次媒体を使用してタービンを回す方法です。水よりも沸点の低い二次媒体を使うことで、低い温度でも蒸気を発生させられることから、地熱の温度が低い地域に適しています。
主に温泉地などで利用されており、湧き出した温泉を発電に利用した後は浴用に適した温度になるため、有効利用できる発電方法といえるでしょう。
※参考:地熱発電のしくみ|日本地熱協会
地熱発電には、一体どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、3つのメリットについて解説します。
1つ目のメリットは、地熱発電が再生可能エネルギーで枯渇の心配がない点です。火力発電で使用する化石燃料には限りがあり、枯渇が懸念されています。海外からの輸入に大きく依存する日本は、エネルギー自給率が低いことも課題といえるでしょう。
しかし、地熱発電は自然を活用したエネルギーで、永続した発電が可能です。自国の資源を活かせることから、資源国の動向に影響されない点もメリットといえます。
2つ目のメリットは、再利用できる点です。地熱発電で使う蒸気・熱水は一定の温度まで冷やした後に地下へ戻しますが、その一部を有効利用できます。地熱発電は、特に寒い地域で重宝されています。例えば、地熱発電の熱水を活用することで、1年を通してトマトやきゅうりなどのハウス栽培が可能です。光熱費をかけずに低コストの運営が実現できるでしょう。
3つ目のメリットは、天候や季節、昼夜を問わず発電できる点です。同じ再生可能エネルギーの風力発電や太陽光発電は天候に左右されるため、発電量が変化しやすいというデメリットがあります。しかし、地熱発電は絶えず蒸気を噴出させることから、継続した発電が可能です。天候などに左右されることがなく、安定性の高い発電方法といえます。
メリットだけではなく、デメリットも確認しておくことが大事です。ここでは、導入前に把握しておきたい主な2つのデメリットについて解説します。
デメリットの1つ目は、地熱発電設備の開発・建設に時間がかかる点です。地熱発電では、最初に地熱貯留層を探し当てるための調査が必要です。地表調査や掘削調査、噴気試験などの探査、発電設備の設置にも長い年月を要します。導入コストが大きい上に、投資資金の回収が遅い点もネックといえるでしょう。
地熱発電に適した地域は温泉や公園と被ることが多く、開発に着手するハードルが高いと考えられます。発電施設を建設する際には、地元関係者などとの調整が必要です。景観を損ねるおそれや地下水が汚染される可能性など、さまざまな懸念が生じるかもしれません。前述した地熱発電のメリットを提示して、地域の理解を図ることが重要です。
以下では、地熱発電における現在の状態を、日本と世界に分けて解説します。
火山地帯にある日本は、地熱発電に高いポテンシャルがあるといえます。全国の地熱発電所の発電設備容量は合計約54万kWとなっていますが、2019年度の発電電力量は2,472GWhにとどまっており、これは日本の電力需要の約0.2%にあたります。
火山や地熱地域は北海道・東北・九州に集中し、歴史が古い一方で、現時点での発電量は限られているのが現状です。背景には地域の理解が得られにくいことに加え、開発や設備設置の規制・コストなどが考えられます。
しかし、カーボンニュートラルの実現には、再生可能エネルギーによる発電電力量の増加が不可欠です。カーボンニュートラルとは、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを指します。政府や自治体による技術革新および規制緩和の推進など、今後の発展が期待されています。
※参考:日本の地熱発電|独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構
※参考:カーボンニュートラルとは|環境省
世界では、早期に地熱発電の技術が進化し、拡大しています。1913年にイタリアで、世界初の蒸気卓越型地熱発電所が稼働しました。1958年にはニュージーランドでイタリアの技術をもとにした、世界初の熱水卓越型地熱発電所が操業されます。
気水分離器の開発が成功したことにより、世界中に地熱発電所ができるきっかけとなりました。1960年にはアメリカでも世界最大の地熱地帯に、地熱発電所が建設されています。同施設では、1997年に生活排水の処理水を地熱貯留層に注入するリチャージにより、蒸気の減衰で低下した発電能力の回復を図りました。
※参考:これまでの歴史|独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構
地球に優しいとされる再生可能エネルギーですが、地熱発電による環境への負荷はないのでしょうか。以下で、詳しく解説します。
地熱発電によって蒸気量が減少したり、水質が酸性化したりする場合があります。人工的な注水により蒸気量の回復は期待できますが、地下をモニタリングすることで、早期に適切な対策を講じることが可能です。変動データの取得や研究を実施し、地熱貯留層の維持・管理に役立てています。
地熱発電による温泉への影響は確認されていません。しかし、検証データが少ないのも事実です。温泉資源への影響や状況を的確に把握するためには、さらなるデータの取得が望ましいといえるでしょう。
地熱発電の導入には、地域理解の促進が不可欠です。環境モニタリングシステムによって地域への影響を観測し、温泉資源の保護を図ることが重要であるといえます。
多くの課題があるとはいえ、地熱発電が重要なエネルギー源であることは間違いありません。海外から輸入される化石燃料に依存している日本において、恵まれた地熱資源は有効活用すべきエネルギーといえるでしょう。地熱発電は持続可能な再生可能エネルギーとして、さらなる普及が期待されています。
再生可能エネルギーとして注目されている地熱発電は、蒸気を利用してタービンを回す発電方法です。持続的かつ安定した発電が可能で、二次利用ができるなどのメリットがあり、純国産エネルギーとして期待されています。
導入までの時間やコスト、地域理解の取得など多くの課題もありますが、エネルギー自給率の向上やカーボンニュートラルの実現を考えれば、早期に活用したい資源といえるでしょう。再生可能エネルギーやカーボンニュートラルへの取り組みにお悩みなら、ゼロ炭素ポートを利用してはいかがでしょうか。
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会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA