再生可能エネルギーは現在、効果的な地球温暖化対策の1つとして世界的に注目されています。日本でも、国や自治体が再生可能エネルギーの普及に取り組んでいますが、まだ十分に効果が出せているとはいえないのも現実です。
本記事では、日本における再生可能エネルギーの現状、普及しづらい理由などを解説します。日本の現状に目を向けつつ、脱炭素への取り組みの参考にしてください。
まずは再生可能エネルギーとは何か、そして再生可能エネルギーの現状を確認しておきましょう。
再生可能エネルギーは、地球上のさまざまなエネルギーのなかでも資源として枯渇せず、永続的な利用が見込めるもののことを指します。
化石燃料はいずれ枯渇しますが、再生可能エネルギーは尽きることがなく、かつ温室効果ガスの発生を抑えることも可能です。再生可能エネルギーについては、「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律(以下エネルギー供給構造高度化法という)」で定義されています。
※参考:再生可能エネルギーの特徴|経済産業省
※参考:エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律|e-Gov法令検索
日本の再生可能エネルギー電力比率は、2021年度で約20.3%であり、以前に比べると増加傾向となっています。しかし、発電電力の全体では火力発電に依存しているのが現状です。化石燃料による発電は温室効果ガスの排出量が多く、地球環境のためにも再生可能エネルギーへの転換が期待されています。
※参考:再エネの導入|経済産業省
経済産業省が2024年に発表した資料によると、2022年度の再生可能エネルギーの導入状況は、以下のとおりです。
・太陽光発電:9.2%
・水力発電:7.6%
・風力発電:0.9%
・地熱発電:0.3%
・バイオマス発電:3.7%
これを踏まえ、それぞれの発電方法について解説します。
太陽光発電は、太陽光パネルを利用して発電を行う方法です。戸建て物件の屋根に太陽光パネルを設置したり、広い土地を使ってメガソーラー発電を行ったりすることが多いため、太陽光発電は、日本の再生可能エネルギーにおいて比較的高い割合を占めています。
近年は、コスト高騰などにより普及が伸び悩んでいるものの、徐々に導入が進んでいるといってもよいでしょう。太陽が出ていれば発電できること、災害時などの停電に際しても電力を利用できる可能性があること、個人でも設置しやすいことなどがメリットです。
※参考:太陽光発電|経済産業省
※参考: PPAモデルの太陽光発電で企業の脱炭素への1歩を後押し|株式会社ヒナタオエナジーインタビュー | ゼロ炭素ポート
水力発電は、水が上から下に落ちる力を利用して発電する方法です。日本では水資源が豊富なこともあり、太陽光発電に次ぐ割合の高さを誇ります。日本国内で100%資源を賄える貴重なエネルギーといえるでしょう。
ダムがあれば、大規模な水力発電が可能です。しかし新たなダム建設にはコストがかかる他、環境問題も考慮すると簡単ではありません。そのため、現在は小規模な発電が注目されているところです。
※参考:水力発電|経済産業省
風力発電は、風で風車を回して発電する方法です。利用割合は、太陽光発電や水力発電と比較してまだ低いものの、発電に伴う環境負荷とコストの低さが評価されているため、徐々に増加傾向にあります。
ただし、風力発電は建設に向いた土地が限られており、現在では洋上風力発電の検討が進められている最中です。風は夜間の発電も可能で、発電効率もよく注目度の高い発電方法といえます。
※参考:風力発電|経済産業省
日本では上記の他に、地熱発電、バイオマス発電などが利用されています。地熱発電は、火山が発する地熱を利用して蒸気を噴出させ発電に利用する方法です。排出した蒸気や熱水も産業利用が可能で、効率よく運用できます。バイオマス発電は、家畜排泄物・林地残材といった、生物資源に該当する廃棄物を利用してガスを発生させ、発電に利用する方法です。
現状、いずれも発電量はさほど多くないものの、それぞれ他の発電方法にはない強みがあります。コスト削減や環境整備などによって、さらなる普及も考えられるでしょう。
※参考:地熱発電|経済産業省
※参考:バイオマス発電|経済産業省
日本では、パリ協定の決定事項に従い、2050年のカーボンニュートラル実現を目指しています。これに伴って設定されているのが、エネルギーミックス(電源構成)の目標です。概要としては、現在に比べて火力発電の割合を下げ、2030年には全体の約36~38%を再生可能エネルギーで賄うことが掲げられています。
※参考:2050年カーボンニュートラルを目指す 日本の新たな「エネルギー基本計画」|経済産業省
※参考:マンガでわかる 電気はあってあたりまえ?|経済産業省
日本の再生可能エネルギー比率は、主要国と比べて低いのが現状です。ただし、日本における再生可能エネルギーの導入量は高く、力を入れていることが分かります。今後も普及を続けることで、再生可能エネルギー比率も高められる見通しです。
総量として増加しているとはいえ、日本の再生可能エネルギー普及は遅れがちです。その理由は、次のような部分にあります。
再生可能エネルギーの導入はコストが高く、普及が遅れる原因となっています。例えば、日本での太陽光パネル購入費は海外と比べて高額な傾向にあり、しかも工事費も高くなりやすいのが難点です。さらにメンテナンス費用などの発電コストもかかります。開発当初に比べて安価になってきたという意見もありますが、まだ手が届きやすいとはいえません。
また、蓄電池の利用などを考慮すると、より割高になってしまうのが現実です。
再生可能エネルギーを利用しづらい背景には、日本の天候の特性もあると考えられます。日本は日照時間が比較的短い国で、決して太陽光発電に適しているわけではありません。さらに台風の被害を受けやすいため、悪天候時に発電ができない他、自然災害によって設備に破損があれば発電が止まってしまいます。
また、破損によって修理費が発生することも普及が進まない一因といえるでしょう。
日本の地形が、再生可能エネルギー利用の壁となっている部分もあります。南北に長く、起伏も多いため、地域によって気候が大きく異なり、発電量の予測が難しいのが現状です。また地震が多く、発電設備の破損リスクが高いと判断されることもあります。
さらに、日本では破損に対応するためのメンテナンス・修理費用が高額です。総合的に考えて、再生可能エネルギーの導入を見合わせてしまうケースも少なくありません。
再生可能エネルギー普及を促進する取り組みとして、日本では次のようなことが行われています。
再生可能エネルギーを利用した発電は、余剰分を買い取ってもらうことができます。現行では、再生可能エネルギー発電を一定期間にわたって固定価格で買い取る「固定価格買取制度(以下「FIT制度」という。)」と、市場価格に連動する電力の売却価格に補助金を上乗せしてもらえる「フィードインプレミアム(以下「FIP制度」という。)」が運用されています。
このような電力の買い取り費用は、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ促進賦課金)によって賄われています。
※参考:再生可能エネルギー - FIT・FIP制度 ガイドブック|経済産業省
再生可能エネルギー発電促進賦課金(以下「再エネ促進賦課金」という。)は、すべての電気の使用者から、電気代と合わせて集められているお金です。再生可能エネルギーの発電コストは化石燃料に比べて高いため、再エネ促進賦課金を設け補助金に回すことで、FIT制度・FIP制度などを通して普及に力が入れられています。
国や自治体では、再生可能エネルギー普及のために各種補助金を用意しています。補助金の利用で、再生可能エネルギー導入の費用負担を抑えられるでしょう。再生可能エネルギー導入を検討しているなら、補助金の情報をチェックすることをおすすめします。現行の補助金については、システム設置を扱う業者へ問い合わせるとよいでしょう。
現在、オフサイトPPAなど、事業者主導による再生可能エネルギーの導入が促進されています。また、次世代太陽電池の実用化支援、風力発電の次世代技術の開発も同時に行われており、再生可能エネルギー比率を増加する努力が続けられている最中です。
再生可能エネルギーに関する事業規律の強化によって、安全面や防災面で法令違反がないかもあわせて順次、確認が行われています。
再生可能エネルギー普及のためには、個人でも事業者でも、それぞれできることがあります。個人では、日常で使う電力に再生可能エネルギーを選択するとよいでしょう。事業者は、再生可能エネルギーを扱う電力会社への見直しを行う他、自社で太陽光発電の導入を検討すると効果的です。
個人と事業者、それぞれが再生可能エネルギーを積極的に利用することで、普及の割合を高められます。
再生可能エネルギーは、日本のエネルギー自給率を向上させる可能性をもっています。また環境に優しいエネルギーの割合を増やすことで、2050年までのカーボンニュートラルという日本全体の目標や、地球環境への配慮といった社会的な課題に対応できるようになるでしょう。
こうした取り組みを成功させるには、個人と企業、双方における再生可能エネルギーの利用促進が欠かせません。再生可能エネルギーの利用や電力の見直しを考えているなら、ゼロ炭素ポートでさまざまな情報を提供していますので、ぜひご覧ください。また、お問い合わせページより、個別のご相談も承ります。
会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA