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再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)とは?基本から詳細解説 

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2025年02月28日

再生可能エネルギーの固定価格買取制度は、事業者や個人が所有する再生可能エネルギーシステムで発電した電力について、固定価格で買い取る制度です。通称「FIT」と呼ばれています。再生可能エネルギーでの発電を検討するうえでは、知っておきたい制度です。 

本記事では、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の概要や背景、仕組みなどを解説します。 

再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度) 

「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」は、事業者や個人が再生可能エネルギーで発電した電力を、一定期間にわたって、一定価格で電力会社が買い取る制度です。この制度は、「Feed-in Tariff」の頭文字をとった「FIT(フィット)制度」と呼ばれることもあります。 

電力の買い取りは、2012年7月に施行された「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再エネ特措法)」に基づいて、国が保障しているものです。制度の目的は再生可能エネルギーによる発電の普及にありました。 

実際、余った電力を買い取ってもらえるという条件に魅力を感じ、再生可能エネルギーシステムに興味を持ったユーザーも少なくありません。太陽光パネルの設置が進み、企業が再生可能エネルギー発電事業を展開しやすくなるなど、一定の効果が確認されています。 

※参考:再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号)|e-Gov 法令検索 

再生可能エネルギーの固定価格買取制度が導入された背景 

再生可能エネルギーの固定価格買取制度が導入された背景には、次のような問題があります。 

エネルギー問題 

再生可能エネルギーの固定価格買取制度が導入された背景の1つに、エネルギー問題があります。日本では1次エネルギーの8割以上を化石燃料が占めており、そのほとんどを輸入に頼っている状況です。 

日本は国土が狭く資源も少ない特徴があり、エネルギー自給率の向上は長きにわたって大きな課題でした。国土から資源が産生される見通しもない以上、自給率の劇的な向上は簡単ではありません。こうした状況のなかで、エネルギー自給率を上げる方法として再生可能エネルギーが注目され、問題解決策の1つに位置づけられています。 

※参考:日本のエネルギー|経済産業省 

環境問題 

環境問題への対応の必要性も、再生可能エネルギーの固定価格買取制度導入につながっています。これまで、日本の発電エネルギーは火力発電が高い割合を占めていました。しかし、火力発電は、温室効果ガスの1つである二酸化炭素の排出量が多い発電方法です。 

日本では2050年までのカーボンニュートラルの実現を掲げており、目標達成のためには火力発電への依存度を下げなくてはなりません。再生可能エネルギーは、発電時に二酸化炭素をほとんど排出しないため地球環境に優しく、火力発電に代わる方法として導入が進められています。 

再生可能エネルギーの固定価格買取制度の仕組み 

ここでは、再生可能エネルギーの固定価格買取制度について理解を深めるために、制度の仕組みを解説します。 

発電事業者・電力使用者・電力会社・政府の関係性 

発電事業者(再生可能エネルギーによる発電事業者)は、再生可能エネルギー発電設備の設置・運用を担当します。そして、発電した電力は電力会社が買い取り、電力使用者へ売却する流れです。電力使用者は、使用した電力の対価として電力会社へ電気代を支払います。 

このとき、毎月の電気代に上乗せされるのが、再生可能エネルギー発電促進賦課金です。さらに、電力会社は電力使用者から回収した再エネ促進賦課金を使用し、発電事業者から電気を買い取ります。これが一連のサイクルとして行われる仕組みです。政府は、再生可能エネルギーの種類や設備容量に対して買取価格を設定しています。 

再生可能エネルギー発電促進賦課金とは 

固定価格買取制度を維持するための財源の一部は、電力使用者が支払う再生可能エネルギー発電促進賦課金(以下「再エネ促進賦課金」という。)によって賄われています。電力使用者の大半を占めるのは国民です。つまり、国民が再エネ促進賦課金という、いわば追加の電気代を支払うことで、固定価格買取制度が維持されているといえるでしょう。 

このように見ると、再生可能エネルギーによる発電の普及を支えているのは、国民の負担です。近年は、再エネ促進賦課金による負担額が年々上昇しており、新たな問題となっています。 

固定価格買取制度のメリット 

国民の負担になっている印象を受ける固定価格買取制度ですが、以下のとおり、メリットも複数あります。 

エネルギー自給率の向上 

再生可能エネルギーの固定価格買取制度の大きなメリットは、日本のエネルギー自給率を向上させる可能性があることです。固定価格買取制度により、国内で再生可能エネルギーによる発電が促進されています。 

再生可能エネルギーによる発電が広がるほど、化石燃料などの輸入エネルギーに依存するリスクは軽減できるでしょう。同時に、エネルギー供給の安定性が国際政治や経済に左右される度合いも減少します。 

電気代の抑制が可能 

固定価格買取制度は、電気代の抑制に寄与している面もあります。この制度では、再生可能エネルギーで発電した電力の買取価格と買取期間について、国が事前に確定しています。国によって決められた価格には変動の可能性がないため、発電事業者は投資回収の計画などを立てやすいでしょう。 

安定した投資環境が整うことで、再生可能エネルギーによる発電設備を導入する企業が増加するようになると、国内の再生可能エネルギーの普及が促進されます。最終的に電力市場全体の安定化につながり、長期的には電気代の抑制につながる可能性があります。 

環境保護に貢献 

固定価格買取制度によって、企業や個人による再生可能エネルギーの導入が進めば、温室効果ガスの発生を抑制でき、地球温暖化を食い止める可能性もあります。前述したように、再生可能エネルギーによる発電は、温室効果ガスをほとんど排出しません。再生可能エネルギーの利用によって環境保全に貢献し、企業の場合は社会的責任を果たすことができます。 

固定価格買取制度の課題 

固定価格買取制度には、以下のような課題もあります。 

再エネ促進賦課金の負担増 

前述したように、再エネ促進賦課金を支払っているのは国民であり、少なからず家計の負担となっています。この先ますます再生可能エネルギーによる発電が増えれば、再エネ促進賦課金も増額される可能性があるでしょう。その結果、国民全体の負担増という大きな問題に発展する恐れがあります。 

制度終了後の売電価格の低下 

再生可能エネルギーの固定価格買取制度には、あらかじめ一定の期間が国によって設定されています。買取期間が終了した状態は「卒FIT」と呼ばれ、固定価格買取制度から離れて個別に売電先を探すことになります。 

卒FITの状態は国の管理下にはなく、民間事業者との契約になるため買取単価が下がるのは避けられません。場合によっては、想像よりも安い金額に驚く人もいるでしょう。 

固定価格買取制度の利用方法 

これから再生可能エネルギーを利用する場合に備え、固定価格買取制度を利用する方法を確認しておきましょう。 

必要な手続き 

発電設備の設置から電力供給開始までには手続きが必要です。固定価格買取制度を適用するには、再生可能エネルギーの発電設備と発電計画について国に申請し、事業計画認定を受けなければなりません。 

事業計画認定によって、買取価格および買取期間の適用を受けることができますが、事業計画認定の前には、電力会社から系統接続の同意を得たうえで「接続同意書類」を取得しておく必要があります。電力会社によって手続き期限も定められているため注意しましょう。 

買取価格と買取期間 

固定価格買取制度における電力の買取価格は、関係省庁などの意見を参考として、経済産業大臣が年度開始までに定めることになっています。価格はベースとなるコストをもとに定められており、価格の目標や適正な利潤なども考慮されたものです。毎年変動する可能性があるため、再生可能エネルギーによる発電を行う場合は、年度ごとの確認を必要とします。 

買取期間は発電方法によって異なり、太陽光発電や風力発電、水力発電、バイオマス発電は20年で地熱発電は15年と定められています。太陽光発電であっても、発電量10kW未満のものに限り、買取期間は10年です。 

※参考:再生可能エネルギーFIT・FIP制度ガイドブック2024|経済産業省資源エネルギー庁 

全量配線と余剰配線 

再生可能エネルギーの配線は、全量配線と余剰配線の2種類に分けられます。全量配線は、再生可能エネルギーで発電した電力だけを系統連系する供給方法です。送電された電力について、電力会社がすべて買い取る全量買取制度などで使用されます。 

余剰配線は、家庭や企業に供給されるものと同じ引き込み線に、再生可能エネルギーによる発電を接続する方法です。太陽光発電での発電量が10Kw未満の場合は、余剰配線のみが適用されます。 

まとめ 

h2:まとめ 

再生可能エネルギーの固定価格買取制度は、再生可能エネルギーを全国的に普及させ、エネルギー関連の課題に対応するための重要な施策です。固定価格買取制度を維持するためには、国民が負担しなければならない部分はあるものの、環境問題やエネルギー供給の安定性などを考えても、一定の効果が期待できる制度と捉えてよいでしょう。 

再生可能エネルギーの導入を考えているなら、ゼロ炭素ポートで最適なソリューションを検討してみてはいかがでしょうか。ゼロ炭素ポートでは、自社のみならず他社ソリューションとも協力し、お客様の課題を解決する施策をご提案します。ぜひお気軽にご相談ください。 

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA