再生可能エネルギーは、地球温暖化などの影響により世界的に注目されています。近年では、再生可能エネルギーを導入している国内企業も多いですが、興味はあっても詳しくは知らない人もいるでしょう。本記事では、再生可能エネルギーの種類やメリット、デメリットを解説しつつ、実際に行われている日本企業の導入事例も紹介します。
再生可能エネルギーとは、太陽光や地熱、風力、水力、バイオマスなど自然界にあるエネルギーを指します。永久的に繰り返し使えるのが大きな特徴で、使用する際には二酸化炭素をほとんど発生させません。これまで世界では火力発電や燃料として、主に化石エネルギー(石炭、石油、天然ガスなど)が使用されてきました。
しかし、化石エネルギーは埋蔵量に限りがあります。一方、太陽光や風力といった自然環境を活用して生産される再生可能エネルギーは、資源の枯渇は心配ありません。つまり、再生可能エネルギーは環境への負荷が少なく半永久的に使えるため、新たな主力エネルギーとして世界的に注目されています。
特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)の発表によると、日本における再生可能エネルギーの利用率は、2023年度で約25.7%でした。2022年度は22.7%だったため、ゆるやかに普及が進んでいるといえます。
欧州では、2023年の再生可能エネルギーの利用率が50%を超える国もあるため、諸外国と比べると、日本の再生可能エネルギー利用率は低い状況です。しかし、国内における過去データと比べると、再生可能エネルギーの割合が年々増えているため、今後さらなる普及が望めるでしょう。
※参考:2023年の自然エネルギー電力の割合(暦年・速報)|特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所
再生可能エネルギーには、さまざまな種類があります。それぞれの特徴や発電方法は、以下のとおりです。
太陽光発電とは、パネルを使って集めた太陽光から電気へと変換する発電方式です。身近なところだと、街中に設置されている街灯や道路標識などに太陽光発電が導入されています。太陽光発電は導入しやすい発電方式のため、企業や自治体だけでなく、一般家庭で導入されているケースも多いです。災害時には非常用電源としても活躍します。
参考:PPAモデルの太陽光発電で企業の脱炭素への1歩を後押し|株式会社ヒナタオエナジーインタビュー | ゼロ炭素ポート
水力発電とは、水を高所から低所へ落とす勢いで水車を回し、電気エネルギーを生み出す発電方法です。主にダムで水力発電を行うケースが多く見られるものの、高低差があれば河川の流水や上下水道でも発電できます。また、水をせき止めたり汲み上げたりすれば、発電量を調節できる点も水力発電ならではの特徴といえるでしょう。
風の力で風車を回して電気エネルギーに変換する発電方法です。風が吹いていれば設置場所は問わないため、陸にも海にも設置できます。中国やアメリカ、ドイツなどで多く導入されており、近年では日本でも普及が推進されています。風力発電で作られた電力は、主に街灯や非常用電源、無線中継基地で使われることが多いです。
再生可能な生物資源(動植物)を燃焼もしくはガス化させ、エネルギーを生み出す発電方法です。燃焼時に二酸化炭素が発生しますが、材料である植物の光合成によって二酸化炭素を吸収するため、理論上は排出量が相殺されます。
また、木材チップや食品廃棄物など、生物由来の廃棄物を資源として再利用できるため、日本でも多くの企業が導入するようになりました。バイオマス発電で作られた電力は、暖房設備や温浴施設の給湯に利用されるケースが多いです。
地熱発電は、地熱帯から取り出した蒸気でタービンを回して発電します。1966年から利用されている発電方法で、発電に使用した蒸気を資源として多段階活用できる点がメリットです。太陽光発電や風力発電とは違い、時間帯や天候に左右される心配もありません。日本国内には地熱資源が豊富にあり、今後も生産拡大が見込まれています。
太陽熱利用とは、太陽の熱エネルギーを集めてタービンを回す熱利用の方法です。ここまで解説した発電方法とは異なり、太陽熱利用では電気ではなく、お湯を作り出します。名前が似ていますが、先述した太陽光発電と太陽熱利用は別物です。太陽光発電は光を電気に変換しますが、太陽熱利用は熱エネルギーとして使用します。
温度差熱利用とは、外気と水の温度差を利用する発電方法です。ヒートポンプを使って水を適切な温度に調整して、主に冷暖房や給湯に活用します。温度差熱利用は熱源と消費地が近いため、新たな都市型エネルギーとして注目度が高い発電方法です。近年では、全国的に導入が広まりつつあります。
雪氷熱利用は、雪や氷を貯蔵庫に保管しておき、冷熱が必要なときに冷房・冷蔵に活用する仕組みです。主に、ビルの冷房や農作物の冷蔵などに活用されています。雪氷熱利用は、雪や凍結した氷を保管しておかなければならないため、寒冷地で利用可能なエネルギーの活用方法です。そのため、日本では北海道を中心に寒冷地で普及しています。
ここでは、再生可能エネルギーの導入によって得られるメリットについて解説します。
資源の枯渇は、世界的に問題視されています。その点、再生可能エネルギーは太陽光や風といった自然エネルギーを活用するため、原料が枯渇しません。化石燃料の使用を抑えられて、半永続的に繰り返し使えるのが大きな特徴です。
また、化石燃料が不足した際は燃料費の高騰が避けられないものの、再生可能エネルギーは燃料費が上がる心配はありません。再生可能エネルギーの導入がさらに進めば、安定した価格で電力を供給できるようになるでしょう。
化石燃料を使うと、温室効果ガスが排出されます。温室効果ガスは、地球温暖化につながるとして世界的に問題視されており、多くの国や企業が排出量の削減に向かって取り組んでいる状況です。その点、再生可能エネルギーの導入が進めば、温室効果ガスの排出量を削減できます。
さらに、温室効果ガスだけでなく、酸性雨の原因になる二酸化硫黄や窒素酸化物の排出抑制も可能です。そのため、再生可能エネルギーは環境に優しいエネルギーといえるでしょう。
日本では、化石燃料によるエネルギーの生産が主流になっており、海外から輸入する資源に頼っている状態です。しかし、輸入に頼りすぎていると、海外の情勢が資源の確保に大きく影響します。
たとえば、国際状況が悪化してしまうと輸入が困難になり、電気代やガス代が大幅に上がってしまう可能性もあるでしょう。その点、再生可能エネルギーは国内で資源を調達できるため、国内のエネルギー自給率向上につなげられます。
再生可能エネルギーを導入するとメリットがある反面、いくつかデメリットもあります。
再生可能エネルギーの多くは、化石燃料による発電方法よりも発電コストが高いとされています。コストは年々低下しているものの、日本は地理的な要因や災害対策の必要性といった理由により、世界的に見て発電コストが高い傾向です。
発電コストの高さは家庭や企業にとって経済的な負担となり、再生可能エネルギーの普及率に大きく影響します。日本国内で再生可能エネルギーを普及させるためには、発電コストの問題を解決しなければなりません。
再生可能エネルギーの導入にあたっては、専用の設備が必要不可欠です。しかし、設備の製造や運搬、設置には温室効果ガスが発生します。温室効果ガスの問題を解消するためには、排出量と同程度の温室効果ガスを吸収する仕組みの構築が欠かせません。
また、設備を建設する際に発生する温室効果ガスの削減も重要な課題です。たとえば、設備の建設時にリサイクル素材を活用したり、輸送手段の効率化を推進したりする方法が考えられます。コスト削減や環境負荷の軽減が実現できれば、再生可能エネルギーの普及がさらに進みやすくなるでしょう。
再生可能エネルギーの導入を検討する際は、事例を参考にすると判断がつきやすくなります。ここでは、再生可能エネルギーの利活用を進めている身近な例を紹介します。
浜松市は、平成26年8月に国が公表した市町村別の太陽光発電導入状況において、固定価格買取制度(FIT制度)に基づく10kW以上の設備導入数が全国1位となりました。日照時間が安定して長いという地域特性を活かし、大規模な太陽光発電を推進した結果、現在もトップを維持しています。
浜松市では、浜松新電力と官民一体で学校の屋根に太陽光パネルを設置しました。発電量を校内に設置したモニターで表示し、太陽光発電の仕組みや効果を身近に感じてもらう工夫が行われています。教育的な効果だけでなく、再生可能エネルギーの理解促進や、地域全体の意識向上にもつながっている取り組みです。
福岡県にある瑞梅寺浄水場では、2011年4月から瑞梅寺川の上流にあるダムを利用して、水力発電を行っています。水力発電に利用しているのは、瑞梅寺ダムから浄水場着水井までの落差42.5メートルで、発電出力は35kWです。
瑞梅寺浄水場では、水力発電を開始してからわずか1年で、平成23年度の発電量が浄水場の使用電力とほぼ同じ実績を記録しました。あらかじめ設定していた計画値を上回る、良好な発電状況となっています。
宗谷岬ウインドファームは、北海道稚内市にある陸上風力発電所です。強風が吹きやすい宗谷丘陵の立地を活かして、2005年11月から風力発電を開始しています。同発電所では、敷地内に57基(47基は牧草地、10基は森林地域)の発電機を設置して、総出力5万7,000kWという結果を出しました。
総出力5万7,000kWの風力発電施設は、日本最大級クラスです。現在も、引き続き風力発電は続けられており、発電した電力はすべて北海道電力に売電しています。
大分県日田市にある株式会社グリーン発電大分では、山林未利用材や木くずを燃料としたバイオマス発電を行っています。発電規模は約5,700kWで、林地残材や未利用間伐材、製材過程で発生する木くずなどを活用しているのが特徴です。
株式会社グリーン発電大分では、今後も長期かつ継続的に取り組み、森林の持続的な再生の仕組み作りを目指しているといいます。林業や製材業を中心とする地域特性を活かした事例といえるでしょう。
長野県小諸市にあるブルーマリンスポーツクラブ小諸では、太陽熱を利用した給湯システムを、温水プールやシャワールーム、ジャグジー、サウナなどに導入しています。これまでは年間約600万円の燃料費がかかっていたそうですが、太陽熱を利用した給湯システムの導入により、年間約79万円コストを削減しました。
さらに、年間1万リットルの燃料と24.3トンの温室効果ガスを削減するなど、コスト削減だけでなく、省エネにもつながっています。
最後に、再生可能エネルギーを導入する際に注意すべきポイントを解説します。
現在日本では、条件を満たせば再生可能エネルギー関連の補助金や税制優遇、融資制度などが受けられます。補助金額や条件、対象者はさまざまですが、公募期間を設けているケースが多いです。制度によっては、貸付期間が長めに設定されているケースもあります。
再生可能エネルギーの設備導入コストがネックになっている場合は、国が展開している補助金や税制優遇などの支援制度を活用しましょう。
再生可能エネルギーの導入には、各種手続きを行う必要があります。たとえば、電気事業法に則った工事計画届出や各種申請などです。なかには、自治体の条例の確認が必要な場合もあります。
手続きに関する詳細は、環境省と経済産業省が発表している「再生可能エネルギー事業支援ガイドブック」の最新版に記載されています。必ず最新版をチェックのうえ、手続きに漏れがないか確認しましょう。
再生可能エネルギーは原料が枯渇する心配がなく、環境に優しいとして世界的に注目されています。現在日本の再生可能エネルギーの普及率は世界的に見ると低い状況ですが、さまざまな補助金などが展開されているため、導入を検討している場合は積極的に活用してみてはいかがでしょうか。
ゼロ炭素ポートは、お客さまの脱炭素への取り組みを総合的にサポートしています。自社のサービスだけではなく、他社のソリューションも含めてサポートしていますので、脱炭素に向けた取り組みをお考えの人は、ぜひゼロ炭素ポートをご活用ください。
会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA