ゼロ炭素ポート

地球温暖化防止に向けたCO2削減で企業ができる取り組みを解説  

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2025年02月27日

地球温暖化が進むなか、企業においてもCO2削減の取り組みが求められています。しかし、実際にどのような取り組みを行えばよいのか、わからない企業も多いのではないでしょうか。 

本記事では、企業が取り組めるCO2削減に向けた対応を解説します。取り組まなければいけない理由についても解説するので、ぜひ参考にしてください。 

地球温暖化にCO2削減が必要な理由 

地球温暖化対策には、CO2の削減が不可欠です。ここでは、CO2削減の取り組みが欠かせない理由を解説します。 

地球温暖化が起こる仕組み

地球温暖化はCO2をはじめとする温室効果ガスは、太陽によって温められた熱を吸収し、生物が生息できる程度に地球の気温を保つ役割があります。しかし、温室効果ガスが増加しすぎると、必要以上に温められた熱を吸収してしまいます。うまく熱が放出されないことにより、地球上の気温が上昇する地球温暖化につながるという仕組みです。 

地球温暖化とCO2の関係 

CO2は温室効果ガスの大半を占めています。CO2の増加で気温が上昇すると、さまざまな気候変動の発生につながります。具体的には、海面の上昇や農作物の不作、洪水などの影響が考えられるでしょう。 

日本においても、沿岸域への影響が懸念されています。環境省によると、65cmの海面上昇で81.7%の砂浜が消失し、1mの海面上昇で90.3%の砂浜が消失すると推測されています。 

※参考:2 地球温暖化が我が国に及ぼす環境影響|環境省 

地球にCO2が増加する原因 

それでは、一体なぜCO2は増加傾向にあるのでしょうか。ここでは、CO2が増加する主な原因を解説します。 

1.産業の発展 

日本が排出する温室効果ガスのうち、約90%を占めるのがCO2です。CO2排出量の約40%が電力部門、残りの約60%は産業や運輸、家庭などの非電力部門から排出されています。 

18世紀後半の産業革命以降は化石燃料が主なエネルギー源となり、CO2が排出されるようになりました。化石燃料とは長い時間をかけて微生物や植物が化石になり、石油や石炭となったものであり、燃焼して利用します。2017年におけるCO2の平均濃度は405.5ppmで、観測開始以来最高値を記録しました。 

※参考:第3節 2050年カーボンニュートラルに向けた我が国の課題と取組|経済産業省 
※参考:1-4 二酸化炭素はなぜ増えたのか|全国地球温暖化防止活動推進センター 
※参考:2017年の地球の平均CO2濃度、過去最高405.5ppm。増加基調変わらず。1990年からの全放射性物質量は41%増に。WMO事務局長「行動の機会はほとんど閉ざされつつある」と悲鳴(RIEF)|一般社団法人環境金融研究機構 

2.生活の進化 

産業に限らず、車のガソリンやストーブの灯油など、生活のなかにも化石燃料が使用されているようになったことで、CO2の増加が加速して進むようになりました。世界的にも、化石燃料の代替電力が導入されつつありますが、発電所でも石炭や天然ガスなどの化石燃料が使用されているのが現状です。 

3.森林の減少 

CO2を吸収してくれる森林を減少させているのも、CO2増加の大きな要因です。森林の過剰な伐採や森林火災、焼畑などにより、森林の量は減り続けています。樹木はCO2を吸収し、炭素として蓄えることで成長していきます。いくつもの樹木が集まっている森林は、地球温暖化防止へ貢献できるでしょう。 

CO2が地球温暖化に与える影響 

CO2の排出量が減少せず、そのままの場合、さらに地球温暖化が加速していきます。IPCC の第6次評価報告書によると、18世紀後半の産業革命以前から2100年までの間に、最大で5.7℃上昇するとされています。海面よりも陸上の方が気温上昇しやすく、北極圏においては世界の平均気温よりも、約2倍の速さで気温が上昇していくことが報告されています。 

※参考:温暖化とは?地球温暖化の原因と予測 | 全国地球温暖化防止活動推進センター 

日本の企業におけるCO2の排出量 

日本の企業が排出するCO2の量は、一体どの程度なのでしょうか。以下では、「産業部門」と「業務その他部門」のそれぞれの排出量を解説します。 

産業部門 

産業部門とは、製造業や農林水産業、鉱業、建設業のことです。産業部門のCO2排出量は、2020年度は約3億5,300万トンでした。2005年度のCO2排出量と比べると、24.4%も減少しています。GDP(国内総生産)が増加しているなかで、CO2排出量が減少傾向にあるのは画期的だといわれています。 

※参考:2020年度(令和2年度)の温室効果ガス排出量(速報値)について 

業務その他部門 

業務その他部門とは、事務所・ビル、旅館・ホテル、商業・サービス業施設などのことを指します。主に照明や冷房、暖房、給湯などがCO2排出の原因です。2020年のCO2排出量は、約1億8,400万トンと報告されており、2005年のCO2排出量と比較すると16.3%も減少傾向にあります。 

しかし、エネルギー消費指数は倍増しているため、まだまだ省エネルギーに取り組めると判断できるでしょう。 

※参考:2020年度(令和2年度)の温室効果ガス排出量(速報値)について 

日本の家庭におけるCO2の排出量 

日本の家庭におけるエネルギー消費には、冷房や暖房、キッチン、給湯、動力・照明などが挙げられます。2020年度のCO2排出量は、約1億6,700万トンであり、2005年と比較すると1.8%減少しています。しかし、2019年度と比べると、790万トンも増加しているのが現状です。 

地域別にCO2排出量を見てみると、北海道、東北地方、北陸地方など、雪の多い地域の排出量が多い傾向にあります。寒い地域は灯油を使用した暖房機器の使用が多いことが増加の理由です。電化製品による電力消費が増加しているため、まだ省エネの余地があるといえるでしょう。 

※参考:2020年度(令和2年度)の温室効果ガス排出量(速報値)について 

地球温暖化対策としてCO2削減を目指す手順 

ここでは、地球温暖化の対策として、CO2削減を目指すために必要な手順を解説します。 

1.CO2排出量の把握 

CO2削減に取り組むためには、CO2排出量の把握が不可欠です。 

「地球温暖化対策の推進に関する法律(地球温暖化対策推進法)」に基づき、2006年4月1日から温室効果ガスを多く排出する「特定排出者」に認定された事業者は、排出量を計算し報告しなければいけないと義務化されました。「特定排出者」とは、1年間のエネルギー使用量合計が1,500kl以上の事業者を指します。 

CO2排出量を把握できたら、CO2の排出を削減する方法を検索しましょう。詳細は、環境省のWebサイトで確認するのがおすすめです。 

※参考:制度概要|環境省 

2.省エネ対策の実施 

使用電力量を減らすことも、CO2排出量削減には有効な方法です。例えば、白熱電球ではなくLED照明を利用する、高効率ヒートポンプによる排熱回収を実施するなどの取り組みが、省エネ対策として挙げられます。 

3.再生可能エネルギーの利用 

再生可能エネルギーを利用すれば、発電の段階で生じるCO2を大幅に削減できます。再生可能エネルギーとは、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できるエネルギー源です。具体的には、太陽光発電や風力発電などによって生じたエネルギーを指します。自社で発電した電力で使用電力を賄うと、電気代の節約にもつながるため、コスト削減も期待できるでしょう。 

※参考:再生可能エネルギーの特徴|経済産業省 

地球温暖化防止とCO2削減に向けた世界の取り組み 

2015年に「パリ協定」で合意されたことで、温室効果ガスの削減が世界の共通目標になりました。途上国を含むすべての参加国に対して、温室効果ガス排出量を削減する努力を求めています。 

主な参加国の2050年の目標や取り組み内容は、以下のとおりです。 

国名  2050年の削減目標  取り組み内容 
イギリス  ネットゼロ  ・2024年9月末までに回収設備のない石炭火力を廃止 ・2035年までに電力システムを脱炭素化 
フランス  1990年より75%減  ・2030年までに炭素の価格を1トン100ユーロまで引き上げ ・すべての建物を低エネルギー消費ビルの基準に 
ドイツ  1990年より80~95%減  ・ほとんどの電力を再生可能エネルギーに変更 ・新築建物に野心的基準とリノベーション戦略を記載 ・産業分野における研究や開発、普及プログラムを立ち上げ 

※参考:2020年以降の枠組み:パリ協定|外務省 
※参考:第2節 パリ協定を踏まえた世界の潮流|環境省 
※参考:英国 基礎情報|環境省 

地球温暖化防止とCO2削減に向けた日本の取り組み 

日本における地球温暖化の対策とCO2削減の取り組みとして、2020年に「2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする」という目標を掲げています。2021年には、経済産業省と関係省庁と連携して「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(グリーン成長戦略)」を策定しました。企業のCO2削減を進めるために、国が政策支援をしています。 

2022年には、「改正地球温暖化対策の推進に関する法律(改正地球温暖化対策推進法)」が施行されました。2050年カーボンニュートラル宣言などを反映させた基本理念の新設、脱炭素経営に向けた企業の排出量情報のデジタル化・オープンデータ化の推進などが追加されました。 

また、2012年から始まった「固定価格買取制度(以下「FIT制度」という。)」によって、再生可能エネルギーの普及が急激に進んでいます。FIT制度とは、再生可能エネルギーによって発電された電力を電力会社が一定期間・一定価格で買い取ることを、国がサポートする制度です。 

※参考:2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略|経済産業省 
※参考:地球温暖化対策推進法について|環境省 
※参考:再生可能エネルギー - FIT・FIP制度 ガイドブック|経済産業省 

地球温暖化防止とCO2削減に向けて企業でできること 

ここでは、地球温暖化防止とCO2削減に向けて、企業ができることを解説します。これから導入を検討している企業は、ぜひ参考にしてください。 

再生可能エネルギーの導入 

再生可能エネルギーの利用を進めることは、発電から利用までのすべての段階でCO2削減につながります。 

省エネでCO2削減を目指すのではなく、そもそもCO2を排出しないものにエネルギーを変えることも重要です。省エネよりも再生可能エネルギーへ変換する方が、効率的にCO2削減が期待できます。再生可能エネルギー電力を利用した場合は、電気代の節約にもつながるといえるでしょう。 

省エネに取り組む 

再生可能エネルギーの利用だけでは十分にCO2排出量を削減できない場合、省エネへの取り組みを導入してもよいでしょう。 

省エネへの取り組みには、手動と自動の省エネがあります。手動の場合は、こまめに電気を消す、必要のない空調は切るなどが挙げられます。自動の省エネであれば、LEDへの切り替えや人感センサーの活用が有効な省エネ方法として挙げられます。 

カーボン・オフセット 

再生可能エネルギーや省エネで対応できないCO2排出量は、カーボン・オフセットで削減する方法もあります。カーボン・オフセットとは、温室効果ガスの排出量に見合っただけの投資を行う取り組みを指します。具体的な投資として、省エネ設備の導入や再生可能エネルギー設備の導入、森林管理などが挙げられるため、自社に合った投資方法を検討するとよいでしょう。 

※参考:J-クレジット制度及びカーボン・オフセットについて|環境省 

地球温暖化防止とCO2削減における企業の取り組み事例 

ここでは、地球温暖化の防止と、CO2削減に取り組む企業の事例を2社紹介します。 

株式会社ファミリーマート 

株式会社ファミリーマートは、1999年に環境配慮型プライベートブランド「We Love Green」を立ち上げました。同ブランドの商品において2009年に期間限定で、製造から廃棄までの過程で発生したCO2排出量を、インドの水力発電プロジェクトで相殺し、その分を日本政府に譲渡する取り組みを実施しました。 

他にも2013年度比で、2050年のCO2排出量を100%削減の目標も掲げて、省エネ設備の導入や電気使用量の削減に取り組んでいます。 

トヨタ自動車株式会社 

トヨタ自動車株式会社では、直接取引をしている世界の部品メーカーに対し、2021年のCO2排出量を前年より3%削減するように求めました。サプライチェーン全体で、脱炭素に向けた取り組みを実施しています。トヨタ自動車株式会社の場合は、取引先件数が多いため、各取引先がCO2削減に取り組むことで、産業界での排出量削減につながるとされています。 

地球温暖化防止とCO2削減に取り組む注意点

再生可能エネルギーによる電力を100%使用している場合、電力使用量を減らしてもCO2を排出しない電力のため、CO2削減にはつながらないことに留意してください。また、CO2削減に取り組むには、初期投資が必要です。コストがかかるうえ効果が短期的には見えにくいため、途中で諦めず、長期的に取り組みましょう。 

まとめ

地球温暖化の防止やCO2削減に向けて、さまざまな企業が対策に取り組んでいます。温室効果ガスの1つであるCO2は、地球温暖化を加速させる要因です。企業それぞれが、自社にできることを実施していくことが大切です。 

CO2削減への取り組み方がわからないときは、自社以外のソリューションとも協力して、お客さまのニーズに応えるゼロ炭素ポートをご活用ください。CO2を削減し、地球温暖化対策に役立つ情報をお届けします。 

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA