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再生可能エネルギーの電子申請方法は?新規申請や定期報告の手順を解説 

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2025年02月27日

再生可能エネルギーによって発電した電力の余剰分は、電力会社に買い取ってもらえます。しかし、電力を売るためには事前に電子申請を行う必要があります。種類や規模によってはステップが多く複雑になることもあり、ハードルが高いと感じる場合もあるでしょう。 

本記事では、再生可能エネルギーの電力買取制度の概要、電子申請の具体的な手順、メリット、注意すべきポイントを解説します。 

再生可能エネルギーによる電力の売電には電子申請が必要 

再生可能エネルギーで発電した電力を売電する場合、国が定めたルールに従う必要があります。ここでは、売電に関する代表的な制度である固定価格買取制度(以下「FIT制度」という。)と、発電設備や運用計画の適合性を認定する事業計画認定について解説します。 

FIT制度とは 

「FIT制度」とは、一定の期間において再生可能エネルギーで発電した電力を、国が定める価格で電力会社に売電できる制度のことです。「FIT」という名称は、英語の「Feed-in Tariff」 に由来しています。 

FIT制度を活用すれば、期間内は電力を固定価格で買い取ってもらえるため、長期的な収支計画を立てやすい利点があります。売電価格や期間は、再生可能エネルギーの種類や設備の規模などによって異なり、毎年経済産業省から価格表が公表されます。 

※参考:よくある質問 FIT・FIP制度|経済産業省 

事業計画認定とは 

再生可能エネルギーによって発電した余剰電力を売電するためには、事前に事業計画書を作成して国の認定を受けなければなりません。この認定の仕組みが「事業計画認定」です。 

申請には、設備や事業者の情報に加え、保守点検・維持管理に関する情報など、さまざまな書類の提出が必要です。提出された書類は経済産業省が審査し、要件を満たしていると判断されると、売電が許可されます。 

「再生可能エネルギー電子申請」とは 

再生可能エネルギー電子申請は、FIT制度に関する申請をインターネットで行うためのWebサイトです。以前は郵送での申請も可能でしたが、現在では基本的に電子申請が必要です。やむを得ない事情で電子申請ができない場合は郵送での申請も可能ですが、その場合はインターネットから履歴を確認することができません。 

新規の設備認定申請だけでなく、変更や廃止の届出、発電設備の設置費用や運転費用に関する定期報告も、電子申請が可能です。 

※参考:再生可能エネルギー電子申請|経済産業省 

FIT制度の対象となる再生可能エネルギーの種類 

FIT制度では、以下の再生可能エネルギーによる発電が対象となります。 

・太陽光発電:ソーラーパネルを利用し、太陽光のエネルギーを電気に変換する 
・風力発電:風の力で風車を回して発電する 
・水力発電:高い位置から低い位置に流れる水の力で発電する 
・地熱発電:地中深くから取り出した蒸気や熱水で発電する 
・バイオマス発電:動植物や可燃ごみを燃焼させたり発酵させたりして発電する 

FIT制度の対象は、国が定める要件を満たす事業計画を策定し、事業計画に基づいて発電を行う事業者です。発電した電気は全量が買取対象となりますが、ビルや工場の屋根に設置するような10~50kWの太陽光発電装置の場合、自社での消費分を除いた余剰分のみ買取対象となります。 

【新規申請】再生可能エネルギー電子申請の手順 

再生可能エネルギー電子申請を利用して、新規申請を行う手順を解説します。ただし手順や必要な情報、提出書類の種類などは設備の種類や規模によって変わるため、詳しい操作方法は経済産業省のマニュアルをご参照ください。 

※参考:操作マニュアルのダウンロード|経済産業省 

事業計画策定ガイドラインの確認 

再生可能エネルギーの新規申請手続きを始める前に、「事業計画策定ガイドライン」を確認する必要があります。発電設備の種類によってガイドラインが異なるため、適切なものを選んで閲覧しましょう。詳細は、経済産業省の認定手続関係資料をご参照ください。 

※参考:認定手続関係 新規認定申請|経済産業省 

ユーザー登録 

初めて申請する場合、「再生可能エネルギー電子申請ホームページ」にアクセスして、ユーザー登録する必要があります。アクセス後、まずは法人・個人の区分を選択しましょう。法人の場合は法人名や法人番号、住所などの基本情報を入力します。 

登録ボタンを押すと確認メールが送信されるため、メールに従ってパスワードを設定しましょう。パスワードを設定するとマイページが表示され、登録が完了します。50kW以上の太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電の場合、「GビズID」という事業者向けの行政サービス共通IDの取得も必要です。 

仮登録

発電設備の種類や規模によって、本登録の前に仮登録と周辺住民への説明会の開催が必要な場合もあります。「再生可能エネルギー電子申請」のマイページから「新規認定申請入力」をクリックし、必要事項を入力すると、仮登録が必要かどうか判定できるため、まずは仮登録が必要かどうか確認しましょう。仮登録が必須ではない場合はそのまま本登録に進めます。 

仮登録が必要な場合は、仮登録のための情報を入力しましょう。工事開始日や設備の運転開始日、説明会の開催情報も入力します。 

本登録前の準備 

本登録に進む前に、次の手続きを完了させておく必要があります。 

・説明会の開催(仮登録が必須の場合) 
・各種許認可の取得(例:林地開発許可など) 
・電力会社との接続契約の締結 
・発電設備設置場所の土地取得 

複数の手続きを効率的に行えるよう、計画的に申請を進めましょう。 

認定申請登録(本登録) 

準備が整ったら、マイページの「新規認定申請入力」から本登録を進めましょう。 

仮登録をした場合、「仮登録済申請の本登録」から仮登録情報を参照し、内容に問題がなければそのまま本登録に進めます。画面の指示に従って事業者情報や設備情報などを入力すると、必要な添付書類の一覧が表示されるため、それぞれPDFまたはZIP形式でアップロードしましょう。 

発電設備の種類や規模によってフローや必要書類が異なるため、適切なマニュアルを確認しましょう。 

【定期報告】再生可能エネルギー電子申請の手順 

設置費用は、発電設備の運転開始日から1か月以内、運転費用は毎年運転開始した月またはその翌月に報告が必要です。発電設備の種類に応じて使用するマニュアルは異なりますが、ここでは定期報告の一般的な電子申請の流れを解説します。 

ログインして定期報告開始 

まずは、「再生可能エネルギー電子申請」のマイページにログインし、「定期報告」をクリックします。申請する設備を選択して定期報告を開始しましょう。設備の情報や各費用の金額といった必要情報を入力して登録すると、報告IDが発行されます。 

※参考:再生可能エネルギー電子申請|経済産業省 

審査・受理 

定期報告内容の登録が完了すると、審査が行われます。特に不備がなければ、報告が受理された旨のメールが届きます。報告に不備があった場合は差し戻しメールが届くため、「再生可能エネルギー電子申請」に再度ログインして報告内容を修正し、再提出しましょう。 

再生可能エネルギー電子申請のメリット

ここでは、再生可能エネルギー電子申請における4つのメリットを解説します。 

時間や場所を選ばずに手続きできる 

再生可能エネルギー電子申請は、24時間稼働しています。窓口の時間制限や郵便の回収時間などに縛られず、申請者の都合がよい時間・場所で申請手続きを進めることができます。 

煩雑な作業を省ける 

オンライン上で画面の指示に従って情報を入力していけばよいため、申請書類の様式を1つ1つダウンロードして記入していく手間が省けます。郵送の場合と異なり、遅延や紛失のリスクもありません。 

書類の不備があった場合の再提出に対応しやすい 

郵送だと、書類に不備があった場合、再作成や再提出に手間と時間が必要でした。電子申請なら、オンライン上で不備を修正し、すぐに再アップロードできるため、申請内容の修正にもスムーズに対応できます。 

申請履歴を簡単に確認できる 

電子申請した情報はデータベース化され、いつでもインターネットから履歴を参照できます。申請の進捗状況や過去に行った申請内容の確認も簡単に行えるため、新しく別の設備を申請する際にも活用可能です。 

再生可能エネルギー電子申請の注意点 

再生可能エネルギー電子申請を行う際には、いくつかの注意点も必要です。 

申請前に電力会社との接続契約を締結する必要がある 

以前の制度では申請時までに接続契約が結べていなくてもよかったのですが、改正後はあらかじめ接続契約を締結しておく必要があります。接続契約締結までの目安期間は電力会社ごとに異なるため、事前に確認して早めに準備を進めておきましょう。 

申請から承認まで時間がかかる 

電子申請から認定まで、提出内容に不備がない場合の標準処理期間は、以下のとおりです。 

・10kW未満太陽光発電設備:2~3か月 
・10kW以上太陽光、風力、中小水力、地熱発電設備:3か月 
・バイオマス発電設備:4か月 

前述のとおり、電力会社との接続契約にも時間がかかります。電力会社によりますが、3か月~6か月程度の期間が必要な場合もあります。特に年度末は申請が集中するため、承認までの期間が長引きやすくなります。 

※参考:よくある質問 FIT・FIP制度|経済産業省 

運転開始期限がある 

認定日から設備の運転開始までの期間には期限が設けられています。発電設備の種類によって期限は異なるため、よく確認しておきましょう。運転開始期限を超過してしまった場合、認定が失効したり、電力買取の期間が短縮されたりといったペナルティを受けるため、注意が必要です。 

※参考:よくある質問 FIT・FIP制度|経済産業省 

まとめ 

再生可能エネルギーを利用して発電し、売電する場合、FIT制度・事業計画認定に基づいて電子申請し、認可を得る必要があります。「再生可能エネルギー電子申請」から24時間申請が可能なため、マニュアルを参照して手続きを進めましょう。 

ゼロ炭素ポートは、脱炭素・カーボンニュートラルを目指してさまざまな情報発信を行い、困りごとを相談できるサイトです。ぜひ資料をダウンロードしてみてください。 

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA