ゼロ炭素ポート

CO2削減に向けた取り組みと効果とは?取り組み事例も紹介 

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2025年02月14日

CO2削減への取り組みは、日本だけでなく世界中で重要視されています。 

この記事では、日本がCO2削減に取り組んだ効果の値や取り組み事例などについて解説します。CO2削減に興味がある人は、参考にしてください。 

CO2削減とは 

CO2とは、産業活動や日常生活によって排出される温室効果ガスの1種です。企業活動によって、地球上には多くのCO2が排出されています。環境保護に貢献し、持続可能な社会を実現するためにも、企業によるCO2削減が求められています。 

温室効果ガスとは 

温室効果ガスとはCO2やメタンなどを指す言葉であり、その名のとおり「温室効果」によって地球を温める働きをする一面を持ったガスのことです。主な温室効果ガスの種類は、以下のとおりです。 

・CO2:炭素と酸素が組み合わさっており、プラスチックや木を燃やすと発生する 
・メタン:炭素と水素が組み合わさっており、石油や天然ガスの採掘によって発生する 
・一酸化二窒素:窒素と酸素が組み合わさっており、化学工業の活動などによって発生する 

など 

脱炭素とは

脱炭素とは、地球温暖化の主な原因であるCO2の排出量をゼロにすることを目指した取り組みです。排出されるCO2を削減するだけではなく、排出した分の回収などによって相殺し、全体の排出量を実質ゼロにすることを目指します。CO2排出が実質ゼロになった社会は、「脱炭素社会」と呼ばれます。 

カーボンニュートラルとは 

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、実質的に排出量をゼロにすることを指します。具体的には、化石燃料の使用を減らし、再生可能エネルギーへの移行や省エネルギー化を進めつつ、排出された温室効果ガスを、後から回収することでバランスを取ります。 

CO2の増加による影響 

ここでは、CO2の増加による影響について解説します。 

海水面上昇 

CO2の増加による影響は、海面の上昇です。北極や南極の氷が溶け、海面上昇が進み、低地や島国が水没する恐れがあります。これにより、生息地を失った動植物が絶滅し、生態系が連鎖的に崩れるリスクも高まります。また、気温上昇による海水の膨張も、海面上昇の一因です。 

異常気象 

CO2増加によって平均気温が上昇することで、地上や海面からの蒸発量が増え、降る雨の量がこれまで以上に多くなります。実際に、記録的な豪雨や熱波といった異常気象が各地で観測されました。これにより、洪水や干ばつ、森林火災が多発し、多くの人の生活基盤が脅かされています。 

疫病の発生 

気温の変化により、生物の生息域が変わることで、疫病の発生リスクが高まっています。たとえば、デング熱やマラリアを媒介する蚊が新しい地域に移動すれば、感染者数が増加する可能性が上がるでしょう。また、水温上昇によって感染症を引き起こす菌やウイルスが増加すれば、上下水道が未整備の地域では大きな健康リスクとなります。 

不作・不漁 

気温上昇や日照りが続くと、農作物の生育に悪影響を及ぼし、不作を招く恐れがあります。また、水温変化や海水の酸性化により、海洋生物の成長や繁殖が妨げられ、漁業にも大きな影響が出てきます。その結果、獲れる魚の種類や収穫量が減少し、食物連鎖全体に影響を及ぼす恐れがある点が現状です。 

企業がCO2削減に取り組むべき理由 

ここでは、企業がCO2削減に取り組むべき理由について解説します。 

脱炭素社会を実現するため 

日本は、2050年までにカーボンニュートラルを達成し、脱炭素社会を実現するという目標を掲げました。この目標を達成するため、政府は再生可能エネルギーの導入を促進するための補助金制度や法整備を進めています。政府だけの取り組みだけではなく、企業にも同様に脱炭素化を目指すための、具体的な取り組みが求められています。 

SDGsが推進されているため 

企業がCO2削減に取り組むべき理由は、持続可能な開発目標(以下SDGsという)が推進されているためです。SDGsは、2015年に国連によって採択され、2030年までに達成すべき17の目標を掲げています。そのなかの目標13「気候変動について具体的な対策を」では、CO2削減を通して地球温暖化を防ぐ指針が示されました。 

世界のあらゆる企業には、持続可能な社会を実現するための役割が期待されており、CO2の削減を通して社会的価値を提供することが求められています。 

CO2削減に向けて日本で実施されている取り組み 

ここでは、CO2削減に向けて日本で実施されている取り組みを解説します。 

2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略 

2050年のカーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略は、CO2削減を実行しつつ経済と環境の好循環を生み出すための産業政策です。この戦略は、企業が脱炭素に向けた挑戦をしやすくする環境を整備することを目指しています。 

対象となる14の分野は、以下のとおりです。 

【エネルギー関連産業】 

・洋上風力、太陽光、地熱 
・水素・燃料アンモニア 
・次世代熱エネルギー 
・原子力 

【輸送・製造関連産業】 

・自動車、蓄電池 
・半導体、情報通信 
・船舶 
・物流、人流、土木インフラ 
・食料・農林水産業 
・航空機 
・カーボンリサイクル・マテリアル 

【家庭・オフィス関連産業】 

・住宅、建築物、次世代電力マネジメント 
・資源循環関連 
・ライフスタイル関連 

地域脱炭素ロードマップ 

地域脱炭素ロードマップは、地域ごとの特性を活かして脱炭素化を進めるために2030年まで行うべき施策をまとめたものです。このロードマップは、脱炭素を地域の成長戦略と位置づけ、経済活性化と環境保護の両立を目指しています。国・地方脱炭素実現会議によって2021年6月に取りまとめられ、具体的な行動指針が示されました。 

国内におけるCO2削減の目標と効果 

ここでは、国内におけるCO2削減の目標と効果について解説します。 

目標 

日本は、2050年までにCO2排出量を実質ゼロにすることを目標に掲げています。このカーボンニュートラル達成に向けた中間目標として、2030年には2013年度比で46%の削減を実現し、さらに50%削減を目指すという目標を設定しています。 

効果 

2024年4月に環境省から発表された内容によると、2022年のCO2排出量は前年比で2.5%減少しました。具体的には、排出量が2,860万トン減少し、11億3,500万トンとなっています。この数値は、2013年と比べると22.9%の削減を達成しており、目標に向けて着実に進展していることが示されています。 

出典:2022年度の我が国の温室効果ガス排出・吸収量について|環境省 

企業がCO2削減に取り組むメリット 

ここでは、企業がCO2削減に取り組むメリットについて解説します。 

SDGsの達成に貢献できる 

企業がCO2削減に取り組むメリットは、SDGsの達成に貢献できる点です。CO2削減に取り組むことで、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」に対する具体的なアプローチが可能です。環境問題に真剣に取り組む姿勢を示すことで、顧客や取引先、投資家からの信頼を得られ、企業イメージの向上にもつながります。 

資金調達しやすくなる 

企業がCO2削減に取り組むメリットは、資金調達がしやすくなる点です。金融機関もCO2削減を支援する動きを強化しており、ESG投資に注力しています。そのため、CO2削減に積極的に取り組む企業はESG投資の対象となりやすく、金利優遇措置などの対象となります。 

CO2削減に取り組む際の流れ 

環境省は、CO2削減への取り組みを検討している中小規模事業者向けの「脱炭素経営導入ハンドブック」を公開しています。同ハンドブックの内容を参考に、CO2削減に取り組む際の流れについて解説します。 

知る 

CO2削減に取り組む際にまずやるべきは、「知る」ことです。「知る」のフェーズは、情報収集と方針の検討から成ります。 

・情報収集:カーボンニュートラルに関わる方法を集めることで、環境問題を自社の問題として捉えられるようになる 
・方針の検討:環境問題を解決するために、自社でどのような施策を打てるのかを検討する 

測る

「知る」の次は、「測る」のフェーズに移ります。このフェーズは、CO2排出量の算定と削減ターゲットの特定から成ります。 

CO2排出量の算定:実際に削減に取り組むために、現在の排出状況を「活動量✕係数」の計算式を用いて算出する 
削減ターゲットの特定:事業所単位で取り組むのか、事業活動ごとに取り組むかなど、取り組みを行う対象を選定する 

減らす 

「測る」を終えたら、「減らす」のフェーズに進みます。このフェーズは、削減計画の策定と削減対策の実行から成ります。 

・削減計画の策定:算出したCO2をどのように減らせるのかの計画を立てる 
・削減対策の実行:立てた計画を実行し、その後検証や計画の見直しを行う 

CO2削減に取り組んだ企業の事例 

丸井グループ 

丸井グループは、2030年までに電力を再生可能エネルギーに100%切り替えることを目指しています。この取り組みと並行し、温室効果ガスについては2014年3月と比較して46%の削減を目標に掲げました。具体的には、店舗でLEDを導入する、空調や照明の管理を綿密に行うなどを実行しています。 

イオングループ 

イオングループは、「イオン 脱炭素ビジョン」を策定し、CO2削減に向けた取り組みをグループ全体で行っています。具体的には、2025年までに店舗すべての使用電力を再生可能エネルギーに置き換える取り組みを行っています。加えて、顧客がCO2削減に取り組めるよう、脱炭素に向けた啓蒙活動を行っている点が特徴です。 

日清食品ホールディングス株式会社 

日清食品ホールディングスはICP制度を導入し、CO2の価格を独自に設定して、設備投資の判断を行っています。これにより、環境に優しい設備の導入が進み、自社で排出するCO2の削減が可能となりました。 

まとめ 

持続可能な社会の実現に向けて、CO2削減はすべての企業にとって重要な課題です。政府によるカーボンニュートラルの推進や環境意識の高まりを背景に、企業の環境対策が注目されています。ぜひ削減に向けた取り組みを検討してみてはいかがでしょうか。 

もしCO2削減に着手したいなら、ぜひ「ゼロ炭素ポート」をご活用ください。自社のCO2排出量を計算し、環境に配慮した施策を打ちましょう。詳細が気になる人は、ぜひお問い合わせください。 

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA