ゼロ炭素ポート

世界各国のCO2削減目標とその現状|日本国内の実績と取り組みも紹介 

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2025年02月14日

昨今のさまざまな環境問題を踏まえ、CO2排出量削減の取り組みを始める職場も増えています。 

そこで本記事では、CO2削減目標についての情報収集している人に向け、世界各国が定めているCO2削減目標やその現状などを解説します。国内のCO2削減目標やその取り組みについても解説するため、ぜひ参考にしてください。 

CO2削減目標に関する基礎知識 

まずは、CO2削減目標とはどのようなものかを解説します。 

パリ協定とは 

パリ協定は、2015年にパリで開催されたCOP(国連気候変動枠組条約締約国会議)で合意された協定のことです。この協定は、気候変動対策についての取り決めが記されており、1997年に採択された京都議定書の後継に当たるものです。 

なお、京都議定書の段階では、CO2の削減に取り組んでいたのは一部の先進国のみでした。しかし、パリ協定では、途上国を含む多くの国が、気候変動対策の取り組みに参加しています。 

CO2削減目標とは 

パリ協定には、世界共通の2つの長期目標が掲げられています。内容は以下の通りです。 

・世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする 
・できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量を減らしていき、21世紀後半には温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる 
CO2削減目標とは、この長期目標を達成するために、世界各国が定めた数値目標のことです。なお、CO2削減目標は、5年ごとに各国での見直しが義務づけられています。 

出典:経済産業省資源エネルギー庁 パリ協定における長期目標 

CO2の増加によって地球温暖化が進行する 

CO2の増加が、地球温暖化を進行させる理由を解説します。 

CO2を含む温室効果ガスは、太陽光によって生じた地表の熱を吸収し、大気の温度を上昇させる原因です。CO2は、メタンや一酸化二窒素などの温室効果ガスのなかでも、特に地球温暖化への影響が大きいとされています。このまま温暖化が進むと、IPCCの報告によれば、今世紀末までに3.3〜5.7度上昇すると予測されています。 

なお、二酸化炭素は自動車や飛行機を動かしたり、ゴミを燃やしたり、電力発電したりする際に多く発生します。 

CO2の増加による地球温暖化がもたらす影響 

CO2が増加して、地球温暖化が進行すると、地球や私たち人類にはどのような影響があるのか解説します。 

海水面の上昇 

地球温暖化が進むと、気温の上昇に伴い北極や南極の氷が溶けます。その影響を受けて海水面が上昇し、結果として標高の低い土地の国は水没する可能性があります。また、海水面の上昇により生息地が失われ、絶滅する動植物が存在します。動植物の絶滅は、その動植物が絶滅するだけでなく、生態系が崩壊する恐れもあります。 

異常気象の深刻化 

地球温暖化によって地球上の水蒸気が増加すると、豪雨災害が発生しやすくなります。一方、雨量が少ない地域では干ばつが発生する可能性もあります。また、異常気象の影響で気温が上昇し、乾燥しやすくなることで森林火災が起きる場合もあります。 

食糧不足 

地球温暖化による気温上昇や日照り、多雨などは、農作物の育成に悪影響を及ぼす恐れがあります。また、影響は農業だけにとどまらず、地球温暖化が海の生態系も狂わせるため、漁業において漁獲量が減少する場合があるでしょう。結果、多くの食料が不足し、食料難が発生する可能性があります。 

世界各国のCO2排出量 

2021年時点で、世界各国から排出されているCO2の量は、次の通りです。 

・中国:106億4,850万トン 
・米国:45億4,930万トン 
・インド:22億7,900万トン 
・ロシア:16億7,760万トン 
・日本:9億9,810万トン 
・ドイツ:6億2,410万トン 
・韓国:5億5,860万トン 
・カナダ:5億0,560万トン 
・ブラジル:4億3,910万トン 
・トルコ:4億80万トン 
・南アフリカ:3億9,000万トン 
・メキシコ:3億8,000万トン 
・イギリス:3億2,000万トン 

人口が多く、産業が盛んな国ほどCO2排出量が高い傾向があります。そのなかでも、中国はCO2排出量が最も多い国ですが、1人あたりの排出量で比較すると、中国よりも日本の方がやや多いという結果も出ています。 

出典:二酸化炭素(CO2)排出量の多い国|外務省 

世界各国が掲げるCO2削減目標 

地球温暖化を食い止めるため、世界各国が掲げているCO2の削減目標は、どのようになっているのでしょうか。 

フランス 

フランスはEU全体での目標として、2030年までにCO2を含む温室効果ガスを、1990年の排出量の55%削減すると表明しています。この削減量は、2013年の排出量の44%に当たるため、大幅な削減を目標に掲げていることが分かります。 

ドイツ 

ドイツはフランスと同様にEU加盟国であるため、EU全体としての削減目標を表明しています。また、ドイツではEU全体の目標とは別に独自の目標として、2030年までに国内の温室効果ガスを、1990年の排出量の65%に削減する目標を設定しました。加えて、2045年までにカーボンニュートラルを実現することも掲げています。 

英国 

英国では、2030年までにCO2を含む温室効果ガスを、1990年の排出量から、68%(2013年の排出量55%に当たる数値)削減することを、目標にしています。また、2035年までの目標として、1990年の排出量から78%削減することを掲げました。 

米国 

米国は、2030年までにCO2を含む温室効果ガスの排出量を、2005年の排出量を基準に50%から52%削減することを目標にしています。なお、この削減量は、2013年の排出量に対して45%から47%に相当します。 

世界各国のCO2削減の現状 

世界各国では、CO2削減に掲げた目標を達成するためにさまざまな取り組みをしていますが、現状ではどのような結果が出ているのでしょうか。 

EU 

EUには、27の国が加盟しており、原子力発電を推進してきたフランスや、脱原子力を完了させたドイツなど、国によってエネルギーに多種多様な政策方針を持っています。そのEUの2021年の温室効果ガス削減実績は30%です。これは、2021年の目標値を21%上回っています。また、2019年以降、化石燃料以外のエネルギー供給の比率は60%以上になっています。 

フランス 

EU加盟国であるフランスの、2021年の温室効果ガスの削減実績は23%です。これは、2021年の目標値を34%上回っていることを示しており、2021年の化石燃料由来以外の電力供給の比率は92%になっています。また、2015年から2021年のあいだに、国民1人当たりのCO2排出量(化石燃料由来のエネルギー消費)は、0.29トン削減されました。 

ドイツ 

EU加盟国であるフランスの、2021年の温室効果ガスの削減実績は23%です。これは、2021年の目標値を34%上回っていることを示しており、2021年の化石燃料由来以外の電力供給の比率は92%になっています。また、2015年から2021年のあいだに、国民1人当たりのCO2排出量(化石燃料由来のエネルギー消費)は、0.29トン削減されました。 

英国 

英国は、1990年比で温室効果ガスを68%削減する目標を設定しており、2021年の温室効果ガスの削減実績は47%でした。これは、2021年の目標値を11%上回っていることを意味しています。なお、2021年における石炭火力由来の電力供給の割合は全体の2%です。 

さらに、2015年から2021年のあいだで、国民1人当たりのCO2排出量(化石燃料由来のエネルギー消費)も、1.28トン削減されました。 

米国 

石油や石炭、天然ガスなどの化石エネルギー資源を国内に有している米国の、2021年における温室効果ガスの削減実績は17%です。また、これは2021年の目標値を24%上回っていることを指しており、2021年における化石燃料以外の電力供給の比率は39%です。 

また、2015年から2021年のあいだで、国民1人当たりのCO2排出量(化石燃料由来のエネルギー消費)は、1.6トン削減されました。 

日本におけるCO2削減の目標 

世界各国のCO2削減目標や現状は先に解説した通りです。日本ではどのような目標を立てているのかというと、2030年度までにCO2を含む温室効果ガスを、2013年度の排出量の46%削減することを目標にしています。また、2050年までに温室効果ガスの排出を全体として、ゼロにする「カーボンニュートラルの達成」を達成するため、さまざまな取り組みをしています。 

日本におけるCO2削減の現状 

日本のCO2削減の現状としては、2021年時点で2013年比で温室効果ガスを21%削減しています。なお、近年は、再生可能エネルギーの拡大や、東日本大震災後に稼働停止していた原子力発電所の影響から、非化石電源が拡大しています。しかし、2021年度の化石燃料以外の電力供給の割合は、全体の27%にとどまっています。 

なお、国民1人当たりのCO2排出量は、2015年から2021年のあいだに1.11トン削減されました。 

日本におけるCO2削減の取り組み 

地球温暖化を食い止めるため、日本では政府や企業が主体となってさまざまな取り組みを進めています。 

政府による取り組み 

日本政府が実施している取り組みは、温室効果ガス排出削減を、地域特性に応じて実施する脱炭素先行地域の設置の設定や、企業や民間の電力自家消費の推進などです。 

そのほかにも、化石燃料を使う火力発電とは異なり、発電時にCO2を排出しない太陽光発電の導入を公共施設やビル、工場などへ拡大しています。また、住宅や建築物の省エネの推進、カーボンフットプリントの普及、グリーントランスフォーメーションの促進にも取り組んでいます。 

企業による取り組み 

日本では各企業でも政府によるCO2削減の主導、ESG投資への配慮、事業の持続可能性への考慮といった背景にある、CO2削減の取り組みが拡大されています。そのため、非政府アクターも1.5度目標に沿った排出削減目標を設定し、取り組みの推進が推奨されています。 

企業が掲げる脱炭素化の目標には、次のようなものがあります。 

・SBT(Science Based Targets):科学的に削減が必要とされる排出量と整合する目標を設定した企業に認定を与える枠組み 
・RE100(100% Renewable Electricity):世界で影響力のある企業が、事業で使用する電力の再生可能エネルギー100%化にコミットするもの 

企業ができるCO2削減方法 

最後に各企業が取り組むCO2削減方法の例を紹介します。自社の取り組みの参考にしてください。 

再生可能エネルギーの活用 

化石燃料由来のエネルギーは、CO2が排出されます。そのため、再生可能エネルギーを自社の事業に活用すると、CO2の排出量を削減できるでしょう。 

再生可能エネルギーは、自然界に常に存在する地球資源のエネルギーのことです。具体例には、太陽光を利用した自家発店設備の導入があります。太陽光発電は自社で発電ができるため、電気料金のコスト削減にもつながります。 

省エネ 

事業で消費するエネルギー自体を削減する省エネ対策も、企業ができるCO2削減方法です。省エネは、日常的な業務のなかで意識して省エネに取り組むだけで、CO2の排出量を削減できます。そのため、再生可能エネルギーの導入と異なり、設備投資しなくても始められるのが特徴です。 

なお、自社でできる省エネの仕方が分からない場合は、専門家による診断を受けることもできます。 

参考:「省エネ診断・コンサルティング」 で企業に新たな気づきとアクションを|株式会社エスコ  インタビュー | ゼロ炭素ポート

まとめ 

h2:まとめ 

CO2などが原因となって起きている地球温暖化は、2015年にパリで開催されたCOPで合意されたパリ協定でも取り上げられており、現在も世界各国でCO2削減に取り組んでいます。国内でも政府の取り組みだけでなく、企業の取り組みが進んでいるため、できることからスタートしていくとよいでしょう。 

自社でCO2削減の取り組みを始める際は、東京ガスの「ゼロ炭素ポート」をご活用ください。ゼロ炭素ポートは、脱炭素の情報を発信しているだけでなく、“脱炭素の未来をつくる方々”のお困りごとを気軽に相談できる「場」になることを目指しています。 

サイトでは、知りたい情報をキーワード検索できるほか、コラムCO2排出量計算ツールを活用し、自社に必要な情報を収集できます。また、具体的な検索脱炭素・カーボンニュートラルに関するご相談も、お気軽にお寄せください。 

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA